霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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麦蒔

インフォメーション
題名:麦蒔 著者:出口王仁三郎
ページ:137
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-30 20:57:00 OBC :B119300c032
二十三四歳の頃
一円の懸賞附きにて醤油(しやうゆ)五合(ごがふ)飲みくらべせし友のつどひて
()をつぶり顔をしかめて五合の醤油をやつと飲み干しにけり
咽喉(のど)かわき耐へがたきまま里川(さとがは)流水(りうすゐ)がぶがぶ鯨飲(げいいん)なしたり
冷水(れいすゐ)幾許(いくら)飲んでも咽喉(のど)かわく苦しき腹は布袋(ほてい)となりぬ
布袋腹(ほていばら)にはかにいたみ雪隠(せついん)に一日数十度かよひつめたり
一円の懸賞とりて農繁の秋半月(はんつき)を病床にくるしむ
わが()める原因(ちち)は探知して(おほ)いにいかり(とこ)より追ひ出す
(くだ)()せおとろへし身を(おこ)し泣き泣き秋田(あきた)麦蒔(むぎまき)なしぬ
空想にふけりつ秋田に麦を蒔きつ(あと)見ず高岸(たかぎし)ゆ墜落をなす
一丈()高岸(たかぎし)()より(さか)さまに山田に落ちて腰いためける
足乳根(たらちね)の父に隠してびつこひき半泣き顔を秋田にはたらく
いつの間にか腰部(えうぶ)はしるく()れあがり遂には父に発見されたり
足乳根(たらちね)の父は驚き医師の()に顔あをざめて(みづか)()せ行く
赤熊(あかぐま)の外科医()たりて診断し不治(ふぢ)(きず)よと宣りてかへれり
外科医師の(げん)に少しは驚きしが勇気を()して(きう)すゑて見し
三週間一日(ひとひ)()かさず(きう)すゑて腰のなやみも全くなほりぬ
初冬(はつふゆ)の空に麦田(むぎた)をたがやせば又(こし)冷えてチクチクいためり
(きう)すゑてやうやく腰は()えたれどつづいて腹水病(ふくすゐびやう
)(おこ)せり
津の国の草山村(くさやまむら)(きう)の師を()ひてやうやく平癒にむかひぬ
(きう)の師の(いへ)に警官()()たり無免許医と()きてかへれり
灸術師(きうじゆつし)老爺(おやぢ)のあとを追ひながらわれも地黄(ぢわう)の警察に()
灸術師(きうじゆつし)二十五銭の科料金(くわれうきん)気の毒のままべんじてかへる
八十のとしをとりたる老灸師(らうきうし)二十五銭で放免されたり
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