霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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城趾

インフォメーション
題名:城趾 著者:出口王仁三郎
ページ:125
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-30 20:57:00 文字数:953 OBC :B119300c030
二十三四歳の頃
形原(かたはら)神社正(しやう)遷宮式(せんぐうしき)に参拝し余興の武術に興じたる春
形原(かたはら)神社祭典のために亀岡の旧城内(じやうない)の開放されたる
旧城趾(じやうし)銀杏(いてふ)のしたにたたずみてわれ回天の偉業をおもふ
この城趾われの住家(すみか)と口(くち)ばしり空想家よと父にしからる
青垣山(あをがきやま)四方(よも)にめぐらす亀山の城趾にたてばこころうごきぬ
卑賤(ひせん)なる身にしあれども志(こころざし)如何(いか)で通(かよ)はんと雄(を)たけびなしたり
暇(ひま)あれば亀山城趾に忍びゆきて無言(むごん)の銀杏(いてふ)といつも語れり
古世町(こせまち)の伯母上(をばうへ)の家に来(きた)るたび帰りは何時(いつ)も城趾にたちよる
吾(わ)が為(ため)に何かゆかりのある如くなつかしかりし亀山城趾よ
洋洋(やうやう)と水をたたへし内濠(うちぼり)の深きおもひの消ゆるときなし
風流心(ふうりうしん)夢にも知らぬ持主(もちぬし)の千歳(ちとせ)の老松(らうしよう)伐(き)るを惜しみし
亀山の城趾の風致はことさらに丹波の国のほこりなりしを
千引岩(ちびきいは)積みかさねたる濠(ほり)ばたの石垣くだくさまを惜しみし
城内に大八車(だいはちぐるま)ひき入れて珍石(ちんせき)都(みやこ)へはこぶを惜しみぬ
千年(せんねん)の老松(らうしよう)欅(けやき)の大木(たいぼく)を伐(き)りはらひつつ檪(くぬぎ)植(う)えをり
金(かね)にさへなれば記念の旧城趾(じやうし)風致なんかはかまはぬ持主(もちぬし)
田中(たなか)家(け)の所有となりて旧城趾いよよますます荒(あら)されにけり
亀山の士族(しぞく)一同あつまりて形原(かたはら)神社に涙石(なみだいし)はこベり
三百年の亀山城趾は商人の手に入(い)り士族の淋しさを思ふ
せめてもの記念と亀山士族等(ら)は形原(かたはら)神社に巨石をはこぶ
旧城趾(じやうし)落ちたる瓦(かはら)の片(きれ)あつめ城のかたちをつくりて遊びぬ
旧城(きうじやう)の記念と運びし涙石(なみだいし)は亀山士族の真(ま)ごころのあらはれ
いとけなき頃は雲間(くもま)に天守閣白壁(しらかべ)映(は)えしをなつかしみけり
角櫓(すみやぐら)一棟(ひとむね)淋しくのこれるを心無(な)き持主(もちぬし)こぼてるみじめさ
角櫓(すみやぐら)こぼてるそばに佇(たたず)みて吾(われ)さめざめと泣き伏しにけり
栄枯(えいこ)盛衰(せいすゐ)移りゆく世といひながら英雄の心事(しんじ)想ひて涙(なみだ)す
待てしばし昔の城にかへさんと雄(を)たけびしたる若き日の吾(われ)
亀山の稲荷の祠(ほこら)檪生(くぬぎふ)のかげにさびしくたてるををがみし
旧城趾(じやうし)荒れゆく様(さま)に憤慨し稲荷の祠(ほこら)にむかつてどなりぬ
神ならばしつかりせよと稲荷社の前に地団駄ふみし若き日
旧士族なりしなるらん白髪の老翁(らうをう)杖(つゑ)にすがりてのぼり来(く)
老翁(らうをう)は銀杏(いてふ)の木(こ)かげにたたずみて感慨無量の青息(あをいき)をつく
世が世ならこんなことにはなるまいと独(ひとり)言(ご)ちつつ涙こぼせる
士族にはあらねど吾(われ)も憤慨し雑草(あらくさ)の上(へ)に伏して泣きたり
高台ゆ形原(かたはら)神社の棟(むね)を見て世のはかなさをつくづくおもひぬ
石を割る石工(いしく)の槌(つち)の音(おと)つよく胸にこたゆる夕べの城あと
○
吾(わ)がのぞみやうやくたちて亀山の城趾は高くよみがへりけり
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