霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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牧場

インフォメーション
題名:牧場 著者:出口王仁三郎
ページ:171
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-30 20:57:00 OBC :B119300c041
二十三四歳の頃
園部(そのべ)より逃げて帰れば()が父は(ひたひ)の凸凹(なが)めておどろく
園部より五里の夜道(よみち)を逃げ帰りほろりとなつた()(いへ)(のき)
凸凹は如何(どう)して出来た直吉(なほきち)に叩かれたかと父は問ひけり
実状をあかせば父は憤慨しせがれの頭を打ちよつたと(いか)
親でさへ打たぬ頭を直吉(なほきち)()料簡(れうけん)ならぬと雄猛(をたけ)びなしをり
腹立てば煙管(きせる)棍棒(こんぼう)で打つ父が腹立ちまぎれにこんなといふ
ともかくも様子は(あと)でわかるから今日は休めと宣りて()()
大切な息子を打つた(なほ)(やつ)もうかへさぬと父()たけびす
この夏は大旱魃(だいかんばつ)ぢや(さいはひ)稲田(いなだ)に水かへさせんとよろこぶ
竪釣瓶(たてつるべ)()む途端に足場はづし井戸に落入(おちい)り両腕ぬきたり
その時にぬきたる(きず)が六十の今になつてもものいう(くる)しさ
搾乳(さくにう)や配達出来ぬに困り果て叔父の清六(せいろく)を呼びによこせり
叔父(しゆくふ)なる佐野(さの)清六(せいろく)いろいろと父をなだめて(われ)を連れかへる
井上の家にかへれば夫婦ともプリンと(つら)をふくらしてゐる
馬鹿らしいもう俺はいぬと言ひながら闇夜(やみよ)(やかた)を駈け出しにけり
()が叔父も従兄(いとこ)井上(ゐのうへ)直吉(なほきち)もおどろきあとより追つかけきたる
いち早く(やみ)にまぎれて藤坂(ふぢさか)薬店(やくてん)()りてひそみゐたりき
奥の間にひそみてをれば()従兄(いとこ)叔父諸共(もろとも)藤坂(ふぢさか)()
藤坂(ふぢさか)主人(あるじ)と叔父と井上と店の()()し論戦つとむる
藤坂(ふぢさか)はわたしが医者に仕上げると気焔(きえん)万丈(ばんぢやう)あたる(すべ)なし
()()かし(はなし)の結果うち解けて再び牧場(まきば)に立ち帰りけり
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