霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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和解

インフォメーション
題名:和解 著者:出口王仁三郎
ページ:216
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-30 20:57:00 OBC :B119300c050
二十五歳の頃
何時(いつ)までも(らち)のあかねば双方より和解せんかと(われ)言ひ出しぬ
大和屋はわが提案によろこびて門口(かどぐち)あけて庭に()()
やうやくに男を売つた大和屋が男()げたと言はれる苦しさに
双方より十五円づつ出し合うて和解の宴会することとなりぬ
日をさだめ亀岡町(かめおかちやう)の料理屋でいよいよ和解の(えん)をひらけり
治郎松(ぢろまつ)長吉(ちよき)をひきつれたそがれて亀岡京町(きやうまち)料理屋にゆく
()(はう)は三人大和屋五人()れいよいよ和解の(さかづき)()
宴会の最中長吉(ちよき)は階段(くだ)り大和屋負けたと得意気にかたる
喜楽様が負けたぢやないかと(をんな)言へば長吉(ちよき)はウフンと(そら)むき笑ふ
大和屋はのつぴきならず双方から十五円出したと長吉(ちよき)はうそぶく
大和屋は五円をポチに十円を宴会の()にあててゐたりき
治郎松(ぢろまつ)の渡した(かね)のみで大和屋は(やく)にそむきて一文(いちもん)も出さず
長吉公(ちよきこう)がすつぱぬいたる相方(あいかた)は大和屋内縁(ないえん)の妻なりしなり
そのをんな二階にのぼり大和屋に耳うちすれば顔色(かほいろ)かはる
大和屋はそれとも言へず階上(かいじやう)にひつぱりあげて長吉公(ちよきこう)をなぐる
この喜楽(おや)から長吉(ちよき)をあづかつた明日(あす)の朝まではかまふなと()じる
大和屋は()一言(いちごん)に尾をまいて喪家(さうか)の犬のごとくちぢまる
大和屋に別れを告げて治郎松(ぢろまつ)長吉(ちよき)をともなひ夜道(よみち)をかへる
大和屋の乾分(こぶん)()(われ)を松の下にひそみてしかへしせんとたくらむ
抜け道を(しん)家にとりて三人はひそひそ穴太(あなを)をさしてかへりゆく
不鳴川(ならずがは)月夜(つきよ)に石橋ふみはづし治郎松(ぢろまつ)川にばさりと落ちたり
ぬれねづみになりし治郎松(ぢろまつ)(いだ)き上げ(そで)しぼりつつ野道(のみち)を帰れり
大和屋とお玉のたくみし美人局(つつもたせ)はなしまだまだあれど(ふで)()
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