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空也の滝

インフォメーション
題名:空也の滝 著者:出口王仁三郎
ページ:99
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 18:51:00 OBC :B129900c21
愛宕山(あたごやま)(おもて)坂道(さかみち)()りゆけば名物のしんこを売る店ならべり
山の()が赤きエプロンかけながらしんこを召せとすすむるうるささ
雨霧(あまぎり)(たに)のひととこ湧きにつつみるみる愛宕の尾根まで包めり
愛宕山(あたごやま)急坂(きふはん)(くだ)清滝(きよたき)紅葉(もみぢ)茶屋(ちやや)に足をやすむる
十八(じふはつ)(ちやう)奥には空也(くうや)の滝ありと茶屋(ちやや)主人(あるじ)はこまごまかたる
(われ)もまた空也(くうや)の滝をしらべむと愛宕の山路(やまぢ)右手(めて)をたどりぬ
辿りゆけば空也(くうや)の滝は滔々(たうたう)(にじ)をゑがきて飛沫とばせり
夏ながらこの滝の()は肌さむし老木(おいき)(しげ)りて(あま)ぎらひつつ
野天狗行者
よくみれば滝を()みつつうづくまる三十(さんじふ)(をとこ)が目をむきてをり
(おほ)いなる目の玉なるよと注視すれば野天狗(のてんぐ)の霊うつれるなりけり
目を転じ滝の右方(みぎて)を眺むれば石碑(いしぶみ)あまた建てつらねあり
石碑(いしぶみ)のおもての文字(もじ)大明神(だいみやうじん)いづれも狐の神号なりけり
よこしまの道に迷ひて山奥のこの滝壷(たきつぼ)()る人(おほ)
そのむかし空也(くうや)上人(しやうにん)のうたれたる滝の水音(みなおと)すさまじく落つ
杉本慧
滝壷(たきつぼ)にうづくまりたる目の男タオルに身体(からだ)のつゆを(おと)せり
よくみれぱ顎髭(あごひげ)までもむしやくしやと山男(やまをとこ)のごと()ふる(すご)さよ
何者よとわれ名をとへば御嶽教(みたけけう)杉本(すぎもと)(さとし)慇懃(いんぎん)()
わがこもる岩窟(がんくつ)()よと杉本は茂みの中を先にたちゆく
われもまた木の()岩の()ふみさくみ杉本がひそむ岩窟(がんくつ)()りぬ
百日行
杉本は今日でやうやく百日の修行あがりとほこりがにいふ
百日の(あひだ)蕎麦粉(そばこ)を水にかき塩をなめつつゐたりと語る
大阪の船場(せんば)御嶽(みたけ)の教会をたてて信徒(しんと)を集むる杉本
相場師(さうばし)や大病人の御祈願をたのまれここに修行せしらし
がやがやと人声(ひとごゑ)きこえ登り()るあまたの足音谷間(たにま)にひびけり
杉本が一百日(いつぴやくにち)(ぎやう)あがり迎へむとして(きた)れる信徒(まめひと)
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