幼児・嬰児の死後
嬰児や幼児の不幸にして 現世界を去りしその後の
状況つぶさに演べておく。
人と現われ出でし身は 必ず復活するものぞ
そは神言と言霊の 力に頼り得ればなり
言霊神語に神真あり 神真によりて復活し
神をば覚り得るものぞ。
嬰児はその父また母の 善悪正邪にかかわらず
信と不信の区別無く その死に当たりて救世神の
摂受し給うものなれば 神界にても慇懃に
一大薫陶を受くるなり。
嬰児は順序に従いて 教育せられ善と美に
対する情動に浸染し 真智を培い識を得つ
そののち知識と証覚と 相伴いて円満の
域に進むに従いて ついに天界へ導かれ
天人神子となるものぞ。
事物の道理に通暁せる 世人は決して一人でも
地獄根底へ行くために 生まれ出でたる者は無し
ただ神霊界の経綸に 仕うるために生れし者ぞ
根底の国や地獄へと 落ち行く者は自らの
現世に犯せし罪過にて 身を苦しむる者ぞかし
嬰児・幼児は世の中に 罪過を犯せし事もなく
清浄の身魂の故ぞかし。
嬰児・幼児の現界を 去りて他界に到る時は
依然と元の嬰児なり 無識と無智のそのうちに
清浄無垢の所あり 万事に対して可愛こと
その生前と異らず 彼は神界の天人と
なるべき資格能力の 萠芽を自然に保有せり
アヽ惟神々々 神の仁慈の尊さよ。
すべての人の現し世を 捨てて他界に入る時も
また生前と同一の 状態なるぞ不思議なれ。
嬰児は嬰児の状態に 幼児は幼児の状態に
青年・成人・老人も 現界同様の状態で
中有世界に逍遥す 各自の人の状態が
転変するはその後ぞ。
嬰児・幼児の状態の 他よりも優りしものあるは
清浄無垢にて悪念の 起こりしこと無く実際の
その生涯に悪業の 根底を下ろさぬためぞかし
清明無垢の嬰幼児は 神霊世界一切の
事物は心に植え込まれ 信の真と愛の善
受くべき器なればなり。
他界における嬰児の その状態は現界の
小児にすべて超越す 物質的の形態を
有するものは自身にて 頑鈍なればその始め
受くる所の感覚と 情緒は霊界よりで無く
外界起元を辿り行く。
ゆえに世上の嬰児らは いかに地上を歩まむか
いかに動作を統制し 言語を発する事までも
学ばにやならぬ不便あり その感覚に至りても
眼や耳や口の如き そを開かんと焦慮して
ようやく目的達成す。
されど他界の小児らは これと全く相反し
精霊界に在るゆえに 動作ことごと内分より
来れば実習を待たずして あるいは歩み、かつ語る
神霊界の天人の 言語は概して想中の
諸概念にて調停され その情動より流れ出づ
これ現界と霊界の 人の相違の有る点ぞ。