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随筆『神霊界』大正8年7月15日号掲載

インフォメーション
題名:随筆『神霊界』大正8年7月15日号掲載 著者:
ページ:65
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-09-05 05:58:04 OBC :B195502c110707
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]神霊界 > 大正8年7月15日号(第90号) > 随筆
[#神霊界には随筆の前半に「ノアの洪水と方舟」の一文が載っているが史料集成では省かれている。次の著作集3に載っている部分も史料集成には載っていない。]
[#著作集3では次の部分だけ載せている。ここから]
 いつたん心に決した善なることも、たちまち利害の念に左右されて、せつかくの良心の輝きを曇らす人がある。これは第一に神を欺き、わが心を欺くものである。時と場合によつては、少々無害なる嘘は言つても恕すべきだが、わが良心を欺くくらい不快にして、かつ罪の深いことはないと思う。今の世の中は十中の八、九まで、自分の心を欺く人が多い。
[#ここまで]
 土耳古(トルコ)の君府は欧州に於ける最大重要なる地点であって、此地を支配すれば欧州を自由に支配する事が出来る。それで今回の満五ヶ年の戦争も原因は君府の奪取にあるのだ。併し一旦戦争も終熄して平和の曙光を認めたやうだが、何時又た爆発するとも限らない。夫れよりも我国民は東洋の君府に注意を怠つてはならぬ。
 大本は敬神尊皇報国主義を以て天下に現はれたのである。然るに中には敬神の第一義を忘却して、今日は神様斗り祭って、宗教じみた事を為て居る場合でないと唱へる人もあるさうだ。日本は神国、神の建てたる国である。神の開きし国である。神の守る国である。表現神としては天津日嗣天皇様が君臨遊ばし、皇祖天神及び地祇を崇敬して、祭政一致の政治を遊ばす尊とき神国である以上は大本教の信者たるものは其分に応じて、先づ第一に神様を丁寧に御祭り申上げて、誠敬の心を尽すべきが当然であるにも拘はらず、肝心の上に立つ人から之れを阻止するやうな態度に出られては、教祖様の二十七年間の御主張は悉く立消えになるのである。
 神界の御経綸と云ふものは不思議なものである。今春以来各地の新聞紙や雑誌で、大本の事を悪く書いたり、中には絶滅させやうと称えて、非常な中傷的な文句を連日掲載して下さったが、御神諭に毎度世界から悪く言はれるやうに成らんと、此大本の誠の教は拡まらんから、悪く言はれて良くなる仕組じゃと警告されてあった通り、現今の大本は目下の所で、新聞攻撃以前に十倍の勢力が扶植された。人間万事塞翁の馬とか云ふ語は、決つして徒辞でない事も判る。到底小智浅才なる人間が何程考へても、神界の経綸は測知する事が出来ぬものである。
 世に出て時めき玉ふ守護神さんや人民さんに、神様から筆先で永らく気を附けて置かれたにも拘らず、頑迷な守護神さんは耳にも挟まなんだが、今日の状態。少しは気が付いたと見えるなれど、良い程畜生原に自由に為られて、尻の毛まで抜かれて了ふて居るから、モウ此上は大神の教へに帰順するより道はあるまい。夫れでも未だ頑張って居ると、段々に御気の毒な事が出来(しゅったい)して、動きもニジリも出来ぬ様になるであらう。
 世界の平和を主唱する大本の役員さんは、僅かな感情の衝突から互に相憎悪したり、隠口をたLくやうな事の無いやうに気を附けて欲しい。自分から争い心を制しなければ、世界の平和を主唱する資格はないと思ふ。
 世界の終末が来たら、地の高天原へ逃て行くと云ふ人があるさうな。ソンナ弱虫では神様の御邪魔になる斗りである。最後まで国家の為に活動するのが日本魂である。
 大本皇大神(おほもとすめおほかみ)様とさえ称えて居れば、他に神様の名は称えるに及ばぬと云ふ人もあるさうだが、開祖の唱へられた神様は天の御三体の大神様を始め、国常立の尊以下八百万の神様である。多忙の時は大本皇大神様と云ふてそれで善ろしい。大本皇大神とは天神地祇八百万神の総奉称であるから。併し出来る事なら一々丁寧に、セメテ主なる神さま丈けなりと称えられたい。可成大本教祖の仰せの通り守るのが、大本の信者の行いであろうと思ふ。
 三四月八九月と云ふ事斗り気にして、外の神論は皆目判らぬ人もあるそうだ。十年か十一年かと云て、娼婦が年期の明くのを待つやうに、夫れ斗りを焦慮って居る人もある。神様の御心が解らぬ人は悪い事斗りを待ち暮すものと見える。
 至誠天地に通じたる神の選良たる誠の信者は、自然に神徳を得て、社会からも尊敬されるやうに成るものであるが、今の人の多くは自分から鼻高になりて了ふから困る。余り鼻が高くなると、上も見えず向ふも見ず脚下も猶見えず、御先真暗、深溝が前に横はって居っても気が附かず、眼に見えず、気の毒なものである。先づ自分から高い鼻を切断せねば真の神の光りは分るまい。
 鼻高さんに限って一寸雨が降つでも風が吹いても、ソラ世の立替が初まったのじゃ無いかと、物質的方面斗りに精神を取られて、顔の色を変えるものである。睾丸(きんたま)を上げたり下げたり、雨蛙の胸の如にビクビクする者である。自分の心身上に世の立替が初って居つでも、少しも気の附かぬ人が皆鼻高さんの野天狗さんの御仲間であろう。
[#神霊界ではまだ数行続く。「遠方から遙々と大本へ研究に来て~実に骨の折れる事である。」が史料集成では省かれている。]
(「神霊界」大正八年七月十五日号)
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