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随筆『神霊界』大正9年3月11日号掲載

インフォメーション
題名:随筆『神霊界』大正9年3月11日号掲載 著者:
ページ:95
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :B195502c110715
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]神霊界 > 大正9年3月11日号(第108号) > 随筆
 東京市内電車従業員の怠業、八幡製鉄所の暴動的再度の罷業、軍隊警官の出動、侠客連の抜刀隊出現、短銃発射、議会解散前后の景況、実に常夜往天の岩戸隠れの実現なり。今回万一議会を解散せざりしならば、弥々日本国体の根本的破壊を速進〔「促進」の意味か〕したるならむも、原敬床次内相の英断に由りて一時の急を免れたり。然れど之は瞬間の小康のみマツソンに使役されつつある民衆の迷夢は容易に醒むベくもあらず、一層猛威を逞ふして、捲土重来するは明白なる事実なり。大本は此際一日一時も空費せず、天下の志士を説き集め以て神政成就の準備を怠る可らず。
 犠牲的精神の尊ぶべき事は今更呶々を要せざる所である。古くは神素盞嗚尊大国常立尊の大なる犠牲近くは佐倉宗五郎が農民を身を投じて救へる、或は明治維新の志士梅田雲浜が王政復古の大業を達成せむと死を鴻毛のそれよりも軽く死せるは偉大なる犠牲である。尊ぶべき哉その心情と目的の善にして且つ美なる。アア大正維新の今日に当りて、一の佐倉宗五郎無き乎。アア一の梅田雲浜なき乎。滔々たる天下犠牲の精神を有するを以て時代後れと罵り狂と呼び痴と笑ふに至る、此時に当りて、太古の犠牲者たる大神の御神慮を拝して奮起せし大犠牲的団体は丹波の山奥に出現せり、アア去れど世人多くは知らず。
 男子は活動する事が天来の使命である、現在の境遇に不足を言はず、不平を唱へず、満足して惟神の儘に各自その業に励み向上発展の道を開くべきである。附ては今回の東京の普選暴動と八幡の盟休暴動である。
 東京では学生や職工や人夫や車夫迄が一把一束と成つて参政権獲得を叫びつつ邪道に彷徨し、八幡は或る種の主謀者に誑惑されて職工が暴動し官に捕はる。知らずや、犠牲者が意義なき犠牲となつて妻子は飢に泣き、身は国法の罪人となる吁哀れなるものは、天下の大勢上、悪神の手先に使役されて附和雷同し、終は一身一家を過つに至る。
 アア一日も早く大本神諭を彼等の頭腹に充実させ度きもの也。
 鈴木梅四郎なる代偽士帝国議会に於て滔々駄法螺を吹き立て終に至つて「我英国は」と呶鳴り脱線も甚だしと各議員連中に嘲笑さる。併し皇道大本の霊学上の見地よりすれば、彼は決して脱線せしにあらず、本音を吹きたる也。
 彼の肉体は日本人なれども、彼の守護神は遠の昔に英国へ帰化し居るが故に、知らず知らずの間に自白せしものなり。大本教祖の御神諭に「外国魂に化り切りた守護神が我と我手に白状致す時節が参るぞよ」と示されて在る神示の実現である。今後も追々と外国魂の守護神が神界の審判に依つて化けの皮を露はさるるに至る可し。アア尊き哉、教祖の神諭。
 普選問題の裏面には最も険悪なる計画の伏在し、国家の制度を根底より破壊すべき恐れある事を看破したる原敬氏以下の現内閣員の処置は、実に神示の上より見るも神慮に叶ひ奉る大手柄である。忌いましい今井嘉幸やどうの河野のヒヨロ中や、外国魂の犬飼の親玉や、尾さき真暗の憂危雄や、鬼竹の奸一などが、マツソン結社の不知不知の先導者と成つて天下の愚民を煽動し、恐れ多くも御膝元で騒ぎ廻り、天下の大政治家を以て自任しつつある危険人物である、否天地容れざる国賊である。
 野心満々度し難きの厄介物、蛆虫の徒輩である。アア彼等の頭上に天譴忽ち降下ある可し。
(「神霊界」大正九年三月十一日号)
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