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第一章

インフォメーション
題名:第一章 著者:
ページ:1 目次メモ:
概要: 備考:2023/10/15校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-10-15 20:17:10 OBC :B115005c03
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]神霊界 > 大正8年10月1日号(第95号) > 綱領
 皇道大本は、神政開祖出口直子刀自(とじ)神随(かんながら)に神勅を奉じて、世界一切の事柄を、筆と言葉にて御示諭(ごしゆ)下されました。真正の教旨に基づき皇典古事記の明文を奉釈する神庭でありますから、現今の十三派の神道宗教の説く所とは、元より天壌(てんじやう)の差があるのであります。皇道大本の綱領は、(せい)(けう)(くわん)(ざう)四大(しだい)項目に(わか)ちて解釈を下すのが便宜であるから、()(その)大綱を挙げて、略解を試みやうと思ひます。
一、  万世一系
一、  天授之真理
一、  天人道(てんじんだう)(つね)
一、  適宜(てきぎ)事務(じむ)
 以上の四大(しだい)綱領は、大本に(おい)神懸(かんがかり)修業の際、神界より直示(ちよくじ)されたもので、是が皇道大本の(をしへ)()つて()づる源泉であります。決して本田(をう)本田親徳のこと。の所説を採録したといふ(やう)な訳ではないのであります。
 
 ──政は万世一系也。天照大神の神勅を奉じて、天上より下土(かど)に降臨し給ひ、(しゆ)()(しん)三徳(さんとく)を具備して、全世界を(たひら)けく安らけく知召(しろしめ)し給ふ、天津(あまつ)日嗣(ひつぎ)天皇の御天職であります。由来(ゆらい)天上の厳正なる御政治を、地上に移させ給ひし神聖の国土は、豊葦原の水穂(みづほ)中国(なかつくに)なる、(わが)日本国(にほんこく)であります。天上に(おい)ては、(きみ)大臣(おほみ)(おみ)(たみ)の四階級歴然として区別され、各自霊性の位に応じて、完全無欠の神政が、永遠無窮に樹立されて在るのであります。(その)天上の神聖なる政治を地上に移して、天上と地上との真釣(まつり)に真釣り合せて神政を布き施し玉ふは我天津日嗣天皇の惟神に定まれる御天職であつて、決して臣民の夢にだも、窺ひ(まつ)()き事柄では無いのである。中世(たひらの)将門(まさかど)や、弓削(ゆげ)道鏡(だうきやう)(はい)が、(かしこ)くも天位(てんゐ)を窺ひ奉つた事がありましても、(たちま)天譴(てんけん)降下遊ばされて、遂に滅亡したのも、皇国天位の尊厳無比にして、神聖霊聖(れいせい)犯すべからざる証拠であります。今(わたくし)(あま)照り(さちは)ひ助け玉ふ言霊の妙用に由りて、マツリゴトの略解を試みやうと思ひます。
 
 一の(くらゐ)(あた)る也次の五ヶ所「一の位に当る也」「一が此世に出たる也」「一の位也とは」「一は日也」「(二)一が(この)()(いで)たる也」の「一」は、全てフリガナは付いていない。これは漢数字の「一」ではなく水茎文字の「ア」だと思われる。。一が(この)()(いで)たる也前の脚注を参照。(まつた)(そなは)る也。
    (つよ)(つづ)く也。大造化(だいざうくわ)極力(きよくりよく)也。霊々(れいれい)神々(しんしん)赫々(かくかく)也。(だい)金剛力(こんがうりき)也。
    (ほふ)(ちから)也。億兆(おくてう)(きはま)り也。(さだま)(きはま)る也。(つらぬ)(きはま)る也。
    父母(ちちはは)精神(せいしん)也。極精髄(きよくせいずい)脳髄(のうずい)也。(なか)(かたま)る也。
    (みな)(おさま)る也。(ゆき)(とどく)也。()産出(さんしゆつ)也。一切(いつさい)()(むす)(をさま)る也。
 
)(一)一の(くらゐ)也とは前の脚注を参照。、一は()前の脚注を参照。()也。(ちち)也。(てん)也。(れい)也。(かみ)御一人(ごいちにん)也。(すなは)政治は一天万乗の天立君主が一天一地一君の神政を司どり玉ふ可き言霊である万世(ばんせい)一系(いつけい)天壌(てんじやう)無窮(むきう)天下(てんか)統一(とういつ)し、光華(くわうくわ)明彩(めいさい)八紘(はつくわう)光被(くわうひ)(たま)ふ、(しゆ)()(しん)大徳(だいとく)具有(ぐいう)(たま)ふ、天皇(てんわう)御位(みくらゐ)()すと言ふ言霊であります。
(二)一が(この)()(いで)たる也前の脚注を参照。。皇祖天照大神の神勅を奉じて、皇孫二々岐(ににぎの)(みこと)が、(あめ)の八重雲を伊都(いづ)千別(ちわ)き千別きて天降りまし、(げん)大地上の統治権を授けられ、中国(なかつくに)に君臨し玉ひし言霊であります。
(三)全く(そなは)る也とは、信実(しんじつ)にして円満具足、穏和なる言霊の妙用である。即ち深厚(しんこう)なる徳を()て、以て天下万民を撫育(ぶいく)し、安住せしめ玉ふてふ言霊であります。
 
)(一)強く続く也。間断なく続く国の義にして、実相真如(しんによ)の言霊である。如何なる強敵、()た反逆者(あら)はれ来るとも、一朝事ある際は民の中より一大真人現らはれて万妖を拝し皇基を守護し奉るてふ言霊であります。
(二)大造化(あまつ)極力(ちから)也。宇宙の全象(ぜんしやう)(たも)ちて、日月(ひつき)と共に無窮(むきう)天地(てんち)経綸(けいりん)し、司宰(しさい)(たま)天立(てんりつ)君主(くんしゆ)の絶対無限の権能(けんのう)であります。
(三)霊々(れいれい)神々(しんしん)赫々(かくかく)也とは、至神(ししん)、至聖、至尊、至貴、至真、至美、至善、至愛の天孫、現人神(あらひとがみ)の無限の霊威神徳洪恩(こうをん)を、万世不朽に顕彰し玉ふてふ言霊であります。
(四)(だい)金剛力(こんがうりき)也とは、皇運隆々(りゆうりゆう)として、日月(じつげつ)()の光を争ふ如く、過去と、現在と、未来の別なく、明暗、遠近、大小、広狭、尊卑、親疎(しんそ)の別なく、平等に王化(わうくわ)光沢を(ほど)こし、至仁至愛の大神の御心(みこころ)奉答(ほうたふ)し玉ふ、天津日嗣天皇の神権発揚の絶対的御神力(ごしんりき)であります。
 
)(一)(はふ)(ちから)也とは、宇宙の権威、神界の大法(たいはふ)にして人民の(あひ)(あつま)り、(あひ)(はか)りて作製したる、現今(げんこん)(おこ)なはるるが如き不完全なる法律の力に非ず、(すべ)て政治は天上より()づるものなれば、人為の法律の力にては、(しん)の太平を(きた)す事は出来ぬのである。惟神の憲法の力でなければ、人民の安寧(あんねい)を保持すると云ふことは不可能である。皇祖皇宗の御遺訓に基いた政治でなくば、如何(いか)なる完全な法律でも、体主霊従の人為の法の力ではいかぬのであります。
(二)億兆の(きよく)也とは、億兆(こころ)を一にして、天津日嗣天皇の(まつりごと)(たす)(まつ)り、天国浄土の神政を謳歌(おうか)すてふ言霊であります。
(三)(さだま)(きはま)る也とは、天下を平定し、極徳を以て、極治(きよくぢ)極楽(ごくらく)の神政を行ひ玉ふ言霊であります。
(四)(つらぬ)(きはま)る也とは、天地開闢(かいびやく)大初(だいしよ)より定まれる神則(しんそく)に由りて、神授(しんじゆ)の政法を万代(よろづよ)に貫き(とほ)し、神慮(しんりよ)(こた)へ玉ふてふ言霊の活用であります。
 
)(一)父母(ふぼ)精神(せいしん)也とは、国父(こくふ)国母(こくぼ)両陛下が、神政を(あまね)く全地に、親の徳を()(ほど)こして、万民を赤子(せきし)の如く愛撫し玉ふてふ言霊の活用であります。
(二)極精体(きよくせいたい)脳髄(のうずゐ)也とは、一身上に取りては、臍下(さいか)丹田(たんでん)高天原(たかあまはら)と称し、脳髄を政所(まんどころ)と曰ふ。天照大神(たかあまはら)の神勅を奉じて、祭政一致の治平を進め玉ふは、国の頭脳に()します、日嗣天皇の御天職であります。
(三)(なか)(かたま)る也とは、総て世界を統治し玉ふ神政の中府(ちうふ)は、宇宙の中心にして、地上の中心なる、日本国でなければならぬ。日本国と(いへど)も、偏僻(へんぺき)の地では不適当である。故に政治の中心地点は、日本国の中心に(くらゐ)する、神霊所定の霊地に於て行なはるる時は、世界の人民残らず(その)中枢に(あつま)(きた)りて、天下は茲に修理固成さるるに至るてふ言霊であります。
 
)(一)(みな)(おさま)る也とは、皇運発展して、国体の精華を発揚し給ふ時は、国に戦争無く、天変地異無く、凶歳(けうさい)なく、疾病(しつぺい)無く、盗賊無く、至治(しぢ)至安(しあん)神国(しんこく)を成就し玉ふてふ言霊であります。
(二)()(うみ)()す也とは、生成化育の道行はれて、国産豊かに、人民蕃殖(はんしよく)し、(あめ)益人(ますひと)天下に充ち、皇沢(くわうたく)(うるほ)はぬ土地人民も、一も無してふ言霊の活用であります。
(三)一切(いつさい)()(むす)(さだ)むる也とは、宗教、教育、実業、芸術、(その)()一切のものを結合して進展せしむるは、神国(しんこく)政治の根本義(こんぽんぎ)にして、日本国が世界各国に対し、統治(とうぢ)大権(だいけん)を天賦的に具有し、(これ)を実行するてふ言霊(ことたま)であります。
 
 以上のまつりごと言霊(ことたま)の活用を(はい)()つれば、世界の治平は何うしても神選の地上唯一の君主政治でなければ、(しん)の平和と、万民の幸福とを招来(せうらい)することは、絶対に不可能なることが(あき)らかである。()の代議政体や、共和政治や、合衆制度や、専制政治の、到底(もの)に成らぬ事は、当然の事であります。故に皇道大本にては、綱領として、政は万世一系天津日嗣天皇の御天職なりと、強唱(きやうしよう)する所以であります。
 
 ──教とは天理の真理也。総て(けう)なるものは、今日の人智を以て測り知る事の出来ぬもので、智徳円満豊備(ほうび)なる神の直々の(をしへ)でなければ、(けう)と云ふ資格は無いのであります。()の仏教の十戒と曰ひ、キリストの十戒と曰ひ、()()神仏開教者の、今迄に(たて)たる戒律なるものは、悉皆(しつかい)倫理上の学説を(いづ)る事は出来ぬのである。例之(たとへば)猟犬が猟師と共に山に()り、猪なり、兎なり、(きじ)なりを捕獲した時は、(その)猟犬は主人たる猟師の為に、忠勤を励むだ事を知り、尾を振りつつ主人の前に持来(もちきた)るのである。()れ畜生と(いへど)も、主人の為に善を為したる事を自覚して()るのである。之に反して(その)猟犬が、主人の眼の届かぬのを幸ひに、主人の大切に飼養(しやう)して()家禽(にはとり)を、殺して食はむとする時は、必ず床の下とか、藪の中とか、人の眼に(かか)らぬ所で喰つて(しま)ふものである。猫が家内(いへのうち)の什器を毀損したり、衣類を噛んだり、所在(あらゆる)悪戯(いたずら)を為す所の鼠を(とら)へた時は、(その)猫は必らず主人の前に持つて来て、嬉しさうに玩弄(ぐわんろう)しつつ、主人の()め言葉を聞いた上、ポツポツとその鼠を喰つて(しま)ふ。()れ主人の為に善き事を為したるを、畜生と(いへど)も自覚して()るからである。()(その)猫が主人の眼を盗んで、戸棚の中の松魚節(かつをぶし)を盗んだ時は、必ず姿を隠して之を喰ふのである。()れ猫と(いへど)も、盗むと云ふ事は悪い事じやと自覚して()るからであります。(いは)んや万物の霊長たる人間に()いておやである。人は省る恥る悔る畏る覚るの五情の戒律を霊魂中に天賦的に付与されて()るに(おい)ておや。盗む(なか)れ、殺す勿れ、姦婬(かんいん)する勿れ、等の(いましめ)は、人類自然に知悉(ちしつ)して()る筈であります。之を言霊の上より解釈する時は、
 
 (あめ)浮橋(うきはし)也。高遠(かうゑん)也。
    ()る也。(もとい)也。(たい)也。
    (あい)也。(こころ)結晶点(けつせうてん)也。
 
)(一)(あめ)浮橋(うきはし)也とは、幽遠(ゆうゑん)微妙の神理と、神界の経綸(けいりん)を、一大真人(しんじん)を通じて、人界(じんかい)へ顕示し給ふ(その)機関を曰ふのであります。
(二)高遠(かうゑん)也とは、(さを)は如何に長くとも天空の星には達せず、飛行機は如何に高昇(かうしよう)するとも月界(げつかい)に到る(あた)はず、青き天空は、如何なる測量術も其の端を(きは)むる能はざる如く、神界の経綸は、人心(じんしん)小智(せうち)窮知(きうち)し得る所では在りませぬ。
 
)(一)知る也とは、宇宙一切を支配して、余す所なきの意なり。
(二)(もとい)也とは、一切の(をしへ)の根本は神より()づる也。神より()でざる人為の説は、真の実力無く、権威なきものなり。
(三)(だい)也とは、知るは総ての事の土台にして、土台の上に建てる家屋は転倒する事なし、神界より伝へらるる(をしへ)(また)(かく)の如くであります。
 
)(一)(あい)也とは、神の(をしへ)真仁(しんじん)真愛の至情より()づ。故に、天下万民、(これ)()つて安神(あんしん)し立命し、化育(くわいく)するなり、生成するなりであります。
(二)(こころ)結晶点(けつせうてん)也。心とは(ゆう)()(あい)(しん)四魂(しこん)の合同也。日本(やまと)(だましひ)是より発生し、天功(てんこう)(かは)大業(たいげふ)を成就するのであります。
 
 要するに(をしへ)なるものは、過去、現在、未来に通じ、()つ実地に神明、人に(かか)りて、善悪邪正の模範を示し、世界の現状を(つぶ)さに顕示し玉ふが故に、一として(たが)ふことなし。神諭に誠の神の教は毛筋の横巾ほども違はぬぞよと、(あらは)れ在る所以(ゆえん)であります。二十七年間の神諭と、変性(へんじやう)男子(なんし)女子(によし)の神務と対照すれば、神界の深遠なる御経綸の一分(いちぶ)了知(れいち)する事が出来るのであります。
 
 ──慣は天人道(てんじんだう)(つね)。山野に樹木の発生し、()(その)(みき)の丸く成長するは、()天道である。是を人あり、伐截(ばつさい)して(あるひ)は四角の柱と造り替へ、或は(ひら)たき板となし、或は諸道具を作製するは、是れ即ち人道である。人に五倫五情の心得あるは人類自然の慣性にして、神又は人の教導を待つて知る()きものではありませぬ。
 
 ──造は適宜(てきぎ)事務(じむ)。世の中には、神聖な神様を信仰する以上は今迄の様な(いや)しき商法は()めねばならぬとか、下駄屋をして居て、神様に奉仕しては勿体ないとか、不敬だとか言つて()める人が間々あるが、是は誤解である。人は天地経綸の司宰たる以上、(いやし)くも利用厚生の道の為なら、何の事業も神界、現世の為に結構な事である。神様にも天神、地祇、八百万の神様が御在(おあ)り遊ばして、(かみ)は神界統御の神役(おやく)を遊ばす、掛巻(かけまく)(かしこ)き天照大御神様もあれば、一家の守神(しゆしん)もあり、雪隠(せついん)の神様もありますが、其御役目に高下は有つても天地守護の職掌には貴賤尊卑の別は無いのと同様に、如何なる事務に従事するも、社会の為になる事なら、決して尊卑の区別はありませぬ。(この)大本へ、今迄の結構な役目を棒に振つて、誠心、誠意、神界と国家社界の為に尽さるるのは、実に結構な事業であり、直接に神の御用が勤まつて幸福でありますなれど、日本国中の人が、神様の深浅に由つて、()()れの神界の御用が仰せ付けられてあるといふ事を知らねばなりませぬ。(また)綾部の大本へ来て、御用を為さる人士もあれば、地方の重鎮として、神界の御用をなさる方々(かたがた)もあり、()た大本へ反対の御用をなさる(かた)もあります。(しか)し大本を()ぶさうとして、大々的活動をする人も、()れも(また)御苦労な御役である。身魂の因縁相応の御用が申し付けてあると出て()りますから、之も適宜(てきぎ)の事務に、惟神(かんながら)に従事して居れるのであります。(わたくし)が今迄変性(へんじやう)女子(によし)緯役(よこやく)の体主霊従的行動も、矢張り身魂(みたま)の因縁だけの御用を()せられて居つたのでありませう。
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