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第二回世界連邦アジア会議

インフォメーション
題名:第二回世界連邦アジア会議 著者:大本七十年史編纂会・編集
ページ:1122 目次メモ:
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :B195402c8314
 一九五四(昭和二九)年五月二日から三日間、東京の国会図書館(旧赤坂離宮)で、世界連邦団体の主催による国連未加盟国会議が、第二回世界連邦アジア会議の一環としてひらかれた。
 海外からの参加代表はカンボジア、セイロン、中国、フィンランド、ポーランド、西ドイツ、ハンガリー、インドネシア、韓国、ニュージーランド、ユーゴスラビア、アメリカ、インドの一三ヵ国からなる二五人で、日本側の参加代表は、準備委員長の下中弥三郎をはじめ、杉山元治郎・賀川豊彦・片山晢・平塚らいてう・北村徳太郎・上代たの・谷川徹三ら一〇〇余人であった。人類愛善会からは出口会長・大国事務局長・出口栄二ほか七人が代表として出席した。
 この会議の目的は、当時三四ヵ国・八億の民衆が国連の外におかれており、また国連が成立以・来約二〇ヵ国の加盟申請を拒否していることは国連憲章に反するものであり、全世界を包容しえない現在の国連は世界平和機構と称することはできないので、国連憲章の改正を翌年にひかえて、国連を改組して世界連邦機構に発展させるよう呼びかけることにあった。会議の宣言と決議では、未加盟国の国連加盟・軍備全廃・原水爆禁止・植民地解放・世界連邦政府の創設・ベトナムの完全独立支持・朝鮮の統一独立支持等がうたわれた。この宣言・決議文の起草委員には人類愛善会から大国事務局長が参加した。会議の第一日に出口伊佐男会長はつぎのような挨拶をおこなっている。
全人類は等しく神の子であり、地域、人種その他の条件によって、権利とか差別とかがつけえられるものではない。全地球の管理は神が全人類に託されたものであって、一部の国とか、一つの民族によって壟断されるようなことでは断じてならない。神の所有したもうもの、神から人類に託されたものをわが所有とし、それにとらわれている精神こそが、世界の平和をさまたげているものであると信ずる。このとらわれ、このこだわりの気持から解脱して神の心にかえり、すべてを神にかえしたてまつるというところから、再出発すべきものである。原子力の管理にしても、政治的、軍事的な管理にとどまらず、いっさいを神のもとに、良心的な管理におかれなくてはならない。全地球は全人類が管理すべきものであることを重ねて強調する。
 この会議についで、第二回世界連邦アジア会議が、昭和二九年一一月一日から五日間、東京でひらかれた。それは「新しい世界創造の英知と良心の結集」をテーマとし、「国連から世界連邦へ」の世論の高揚を眼目とした。
 インド、インドネシア、フィリピン、タイ、パキスタン、台湾、韓国、アメリカ、フランス、ニュージーランド、カナダ、スイス、イギリス、イスラエルなど一四ヵ国の外人代表四〇数人と、日本側からは堤衆院議長・片山哲・北村徳太郎・賀川豊彦・下中弥三郎・牧野虎次・出口伊佐男ら全国代表が参加し、オブザーバーをくわえて約一〇〇〇人にのぼる大集会となった。参会者のうち約四〇%は大本・人類愛善会員とみられ、東京の大本婦人会・青年会・白梅会員ら五〇余人が会場で奉仕をした。第一日目には出口直日教主も出席し、参会者の注目をあびた。
 この会議の宣言文と決議文を発表したのも、人類愛善会を代表した出口会長であった。第二回世界連邦アジア会議は、水爆実験がはじめてビキニ島でおこなわれた年であっただけに、各国代表の発言にもそれがつよく反映していた。焼津市婦人会長中野しづは、水爆の悲惨さをうったえ、また原爆都市広島が、会議開催の前々日に世界連邦都市を宣言したと報告されるや、嵐のような拍手がまきおこった。宣言では、「原水爆の製造および実験の即時禁止を第一歩とする軍備撤廃の具体的努力を通じて、世界連邦運動を強く前進させる」ことがうたわれ、決議では、「世界の軍備撤廃と平和への脅威除去。無防備、不可侵のアジア平和圈をつくる。国連憲章再審議会議の開催。日本国憲法の平和精神を各国にも規定せしめる。アジア、アフリカの植民地従属国人民の独立解放。経済的従属民族の解放。排他的な防衛同盟結成にたいする反対の強化」等の力づよいよびかけがおこなわれている。
〈世界連邦亀岡会議〉 世界連邦第二回アジア会議の海外代表一行は東京での本会議のあと、長崎・広島での世界連邦大会をへて一一月一三日、会議の最後の会場である亀岡の大本本部をおとずれた。
 午後四時、一行のバスが亀岡にはいると歓迎の花火がうちあげられ、沿道の家々は戸ごとに日の丸の旗をかかげた。一行は手をふって町民の熱意にこたえた。歓迎会場は天恩郷の旧透明殿跡(現在の万祥殿)の野外に設けられ、会場には本部関係者をはじめ各連邦都市の住民約五〇〇人が参集して、盛大な歓迎がなされた。
 海外代表一五人を先頭に一行八〇余人は会場にはいり、大本本部代表の挨拶をうけた。つづいて亀岡・綾部・旭村の各市町村長が連邦都市市民を代表して歓迎の言葉をのべ、海外側では、V・B・シエス(インド)、R・ロウ(アメリカ)、C・G・ファンティ(スイス)、モヨ(インドネシア)の各代表があいさつした。一行は翌日午前、世界連邦亀岡会議の会場大本東光館にのぞんだ。
 出口会長が開会を宣言し、その当初に出口直日三代教主からこの会議に寄せられた祝歌、〝もろもろの国境(くにがき)のぞき天が下一家の春はきざし初めけり〟が発表されて、満場の拍手をあびた。議長団にはアメリカのF・コールベック、インドのL・M・チャクラディオ、牧野虎次、出口伊佐男の四人がえらばれ、人類愛善会から提出した議案を中心に討議がかわされて、つぎの決議がなされた。
 人類は今や興亡の岐路に立っている。われらは世界連邦の基礎たる人類同胞愛の精神と社会正義に鑑み、世界連邦建設のための諸方策を推進することを再確認するとともに左のごとく決議する。
一、全人類に共通する基本的人権の確立を期し、一切の地域において人種、民族の差別なく、すべての福祉が普遍平等に実現することを望む。
一、各国における戦犯ならびに俘虜の速やかなる釈放を促進する。
一、世界宗教の提携協力を促進し、一切の宗教的偏見を排除して、ひろく全人類愛の涵養に努力する。
 最後に牧野虎次議長は、「出口聖師は永年のあいだ、人類愛と世界平和のために鋭意活動して来られたが、そのために幾度となく無法な弾圧と圧迫をうけた。その意味でこの土地こそ世界平和を叫ぶのに最もふさわしい土地である。平和の先覚者であった聖師は陶物(すえもの)を好んで作られたが、今日でもここで盛んに作られている。聖書にも陶物という言葉があるが、私たち一人々々が、世界平和という陶物造りの職工であることを誓いたい」との閉会の言葉を述べているのが印象的である。
 なお亀岡会議の実況を16ミリ映画フィルムにおさめて地方を巡回させ、アジア会議の趣旨と世界連邦思想の普及がはかられた。
〔写真〕
○第二回世界連邦アジア会議に出席の三代教主 東京 p1123
○世界連邦亀岡会議 亀岡天恩郷 東光館 p1125
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