霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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紅筆

インフォメーション
題名:紅筆 著者:出口王仁三郎
ページ:227
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-30 20:57:00 文字数:572 OBC :B119300c053
二十五歳の頃
大(おほ)ぞらの月に薄雲(うすぐも)かかるごと二人の仲になやみの湧(わ)きぬ
朝夕(あさゆふ)に彼女の面(おも)の悩ましさ見るわが胸は裂けなんとせり
悲しみの極みは恋と聞きぬれどかほど辛(つら)しとおもはざりしよ
咲き匂ふこころの花は夜嵐(よあらし)にうちたたかれて散らんとぞせし
そよと吹く風にも散らん桜木(さくらぎ)の花にひとしき恋となりぬる
春の夜(よ)の月に匂(にほ)へる桜花(さくらばな)を手折(たを)るとしのぶ浮かれ男(を)の腕(うで)
かにかくに独(ひと)り立つ身にあらざれば暫(しば)しさかりて時を待たなん
花匂(にほ)ふ月も朧(おぼろ)の夜(よ)なりけり暫(しば)しさかりて時待(ま)たんと誓ひぬ
○
君と今別(わか)れて住むはつらけれど末(すゑ)のためよと抱(だ)き合ひて泣く
抱(だ)き合ひて落(おと)す涙の雨の露(つゆ)に二人の真心かがやく月の夜(よ)
誓ひてし彼女を浪花(なには)に送りおきてわれ牧場(ぼくぢやう)に朝夕(あさゆふ)いそしむ
彼女よりきたる玉章(たまづさ)をひらき見て若きこころはときめきわたる
手紙などかならず送りたまひそと彼女より来(く)る紅筆(べにふで)の文(ふみ)
二ケ月の間(あひだ)隔日(かくじつ)に文(ふみ)おくる彼女のやさしき心根(こころね)に泣きぬ
○
青天の霹靂(へきれき)二ケ月半ののち彼女の手紙におこる低気圧
玉章(たまづさ)を披(ひら)きてみれば手も震(ふる)ひ色あをざめて歯の根もあはず
父と姉の言葉にそむけず結婚の日に入水(にふすゐ)すと震(ふる)へる手の跡(あと)
あたら世(よ)に命(いのち)捨(す)つるには及ばじとなだめすかして返し文(ぶみ)送りぬ
若者われもののあはれをさとりてゆ心の空(そら)に雲たち迷ふ
あきらめてみんと幾度(いくど)思へどもむらむらもえたつ胸のほのほよ
身も魂(たま)もやきつくされむおもひにて青息(あをいき)吐息(といき)月(つき)にかこてる
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