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年玉配り

インフォメーション
題名：年玉配り 著者：出口王仁三郎
ページ：304
概要： 備考： タグ： データ凡例： データ最終更新日：2024-10-31 06:24:00 OBC ：B120900c55
各宗の寺院は町町(まちまち)村村(むらむら)を僧侶の巡(め)ぐる慣例なりけり
一月二十日雪(ゆき)積む街路(みち)を踏み分けて二(に)ケ寺(じ)の住職年玉(としだま)送り来(く)
わが養父(やうふ)豊助(とよすけ)［※出口直の夫・豊助のこと。「政五郎」を襲名。］の墓は正暦寺(しやうれきじ)位牌(ゐはい)は西福院(さいふくゐん)にまつれり
正暦寺(しやうれきじ)西福院(さいふくゐん)は所管をば争ひつづけて年(とし)を経(へ)たりき
今は世に亡き人までもうばひ合ふ末世(まつせ)寺院のきたなき僧侶よ
年玉(としだま)は杉箸(すぎばし)十対(じゆつつゐ)硫黄(いわう)一把(いつぱ)米(こめ)一升とかへて行くなり
空(そら)冷えて卍(まんじ)巴(ともゑ)と降(ふ)る雪をいとはず僧侶は収穫につとむる
金襴(きんらん)の衣(ころも)をつけし住職が雪の新年(にひとし)に米をあつむる
一人(いちにん)の死人(しにん)に関し寺と寺あらそひ絶えぬ末世相(まつせさう)かな
正暦寺(しやうれきじ)に詣(まゐ)れ西福院(さいふくゐん)に来(こ)よとしきりにすすむる坊主うるさき
神道復祭
うるさきに寺院の所属ことわりて神道式もて祖父をまつれり
雪深き貧しき田舎の綾部町(あやべちやう)餌(えさ)あさる雀の声はかなしき
積雪は二尺にあまり綾部町(あやべちやう)風(かぜ)さむざむと往来(ゆきき)さびしき
積む雪に訪(と)ひ来(く)る人さへ無き儘(まま)に吾(われ)は古典に眼(め)をさらし居(ゐ)る
一月もなかばを過ぎて雪消(ぎ)えの朝を参(ま)ゐ来(く)る信徒(まめひと)罕(まれ)なる
朝夕(あさゆふ)に吾(われ)はいそしみ大本の教典精(くは)しく筆に誌(し)るせり
吾(われ)書きし大本教典を冷眼視(れいがんし)し四方(しかた)平蔵(へいざう)覗(のぞ)くともせず
竹村は吾(わが)教典を見るよりも大本の経綸(しぐみ)奪(と)るとて破(やぶ)りぬ
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