霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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穴太へ帰る

インフォメーション
題名:穴太へ帰る 著者:出口王仁三郎
ページ:321
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 06:24:00 OBC :B120900c58
(たま)(ちは)ふ神の(めぐみ)(いだ)かれて道に仕ふる(われ)を見つむる
今年(こんねん)で八十七の春に逢ひし祖母が危篤の(でん)におどろく
御開祖に電信しめし許し得ていそぎ帰郷の()(のぼ)りたり
随行は四方(しかた)平蔵(へいざう)木下(きのした)慶太郎(けいたらう)三人いそぎ綾部を立ち()
須知山(すちやま)(たうげ)にかかれば雪ふかみ春の山路(やまぢ)を行き悩みたり
須知山(すちやま)枯木峠(かれきたうげ)榎木坂(かのきざか)雪ふみ()けて穴太(あなを)にいそげり
観音峠(くわんのんたうげ)頂上に立ちて園部町(そのべまち)見れば雪なく山野(さんや)はあをし
園部町(そのべまち)内藤(ないとう)(てい)立寄(たちよ)りて茶菓(さくわ)饗応(きやうおう)(かたじけ)なみけり
早春の()は山の()にかたむきて黄昏(たそがれ)(かぜ)冷えびえ迫り()
ずつぷりと春日(はるひ)暮れにつ山麓の八木(やぎ)の福島(かた)に立ちよる
福島はこの小夜(さよ)()けに何事と()を丸くして尋ね出したり
わが祖母の急病のため帰郷すと()(こと)()に福島おどろく
われもまた(おん)祖母(そぼ)の病気見舞(みま)はむと誠心(まごころ)(おもて)(あら)はして語る
八木村(やぎむら)より一行四人千代川(ちよがは)(あざ)(あざ)越えて吉川(よしかは)()
半円の月は山の()()りにつつ四辺(しへん)小暗(をぐら)野路(のぢ)の旅なり
やうやくに吾家(わがや)(のき)に辿りつけば家内(やぬち)にざわめく人人(ひとびと)の声
なんとなく胸騒(むなさわ)ぎつつ脚元(あしもと)もワナワナ震へて歩みなづみつ
(やぶ)()(かど)(くぐ)れば株内(かぶうち)治郎松(ぢらうまつ)おまさ()詰めかけて()
弟の由松(よしまつ)吾顔(わがかほ)見るよりもばゝゝゝゝ(ばあ)さんが()ししぬとどもる
こゝゝこら兄貴(ばあ)(ばあ)(ばあ)さんが死ぬのに今頃に帰つて(なに)になるかとかみ付く
人人(ひとびと)日夜(にちや)の介抱の礼を述べ寝所(しんじよ)()れば知死期(ちしご)の祖母なり
耳もとに(わが)(くち)を寄せ(よば)はれば祖母は細き目(ひら)きて()ませり
喜三郎よく帰りしと(ちから)無き祖母の言葉に涙くづるる
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