皇道大本は明治二十五年から、水宣伝と松葉宣伝を盛んに唱導して来た。然るに凡ての文明人士の間に軽侮嘲笑の的となり、大本は迷信を流布する邪教として遇されて居たのである。然るに時節の到来とでも言ふべきものか、今年に到つて東洋の大新聞紙が盛んに水の宣伝や松葉の効能を主唱しだしたのは、神界経綸の第一歩を進めたものにして、吾々大本人は欣喜の情に堪へないのである。
次に大本は国家存立上の急務として、昨年蒙古行きを断行し、宗教的統一を計り、且つ食糧問題解決の為決死の活動を行つた結果、朝野の眼を醒し、今日では識者間に於て盛んに満蒙経営談が流行し出したのも、大本人に取つて欣喜すべき一事である。
次に世界共通語エスペラントの普及を企ててより、日本の各既成宗教団体に於て之が研究に着手するやうに成つたのも、大本人にとつて一の欣幸とする所である。
次に吾人が主唱の下に世界宗教連合会を北京に於て締結し、次に神戸道院に於て大本の主唱の下に万国信教愛善会を創立し、次に全世界に向つて人類愛善会を創開したのも、全く神の御示しに由つたものである。
以上の美挙に依つて内地の宗教家の間に覚醒を促したる結果、神道大連合会、仏教大会、東亜仏教何々会と云ふやうに、宗教の異同を問はず、相和合して、神仏の恩恵を世界一般に知らしめむとするの傾向に成つて来たのも、全く神界御経綸の一歩であつて、吾々大本人の欣喜雀躍する所である。
大本は何事も世界に先んじて其の範を示す聖団であるから、大本人たるものは層一層愛善の徳を養ひ、真信の光りに居らねばならぬ大責任をもつて居るのである。
アア惟神霊幸倍坐世。
(大正一四、七、一五号 神の国誌)