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随筆

インフォメーション
題名:随筆 著者:
ページ:751 目次メモ:
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-04-20 13:44:48 OBC :B195502c220417
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]『神聖』昭和10年2月号
随筆

      昭和神聖会統管 出口王仁三郎

 神意の発動に基く神聖運動は必ず成功するものとの信念を持つべし。如何なる妨害に逢ふも撓むな、如何なる難関に出会(しゆつかい)するも屈するな。勇往邁進は大業完成の原動力だ。難局に処して泰然自若、悠々として事に当るは大丈夫の本領だ。
 余は明治三十一年から皇道の宣布に専心努力を続けて来た。今日の神聖運動に比して何一つ異つた処はない。新たに発表した神聖会の主義や綱領や宣言は、余が三十七年間に渉つて大声叱呼しつつあつたものである。明治八、九年頃から我国に襲来せる個人主義の思想学説に魅せられた我国の知識階級の人々や、外国模倣の政治家輩が皇道の何たるかを知らずして、祭政一致を唱導しつつある皇道大本(治教)に対し重圧を加ヘ、遂には大本事件を製造し、忠君愛国の聖なる団体に大なる妨害を加へたのは、政友内閣の連中で原敬の部下であつた。其の時代の政党連には皇道の「皇」の一字をも解せざるもののみであつた。人民の分際として皇道大本と名告(なの)るは不敬だと謂つて所謂大本事件なるものを政党が自製したのである。大審院に於ける審理の結果は、「事実の誤認を認むるに足るべき顕著なる事由存するを以て、前判決を破棄すべきものとす云々」の判決書を与へられた。斯くして皇道大本は晴天白日と成つたのである。然るに満洲事変以来国民の多数が皇道に目醒めて来たために、皇道を口にせざる者無きに至つたのは実に天の時の来たものと観ずるより外はないのである。併し乍ら、人間といふものは一度心中に浸み込んだ誤解は容易に解け難く、皇道大本といへば何だか虫が好かないのである。故に新たに昭和神聖会なる名称の下に皇道の宣布を始めて見ると旭日昇天の勢を以て国民は賛同し、進んで入会するもの多数を得るに至つたのは、今日迄眠つて居た大本会員の奮起と時節の力である。
 無内容にして政治的施設に対し貧困化せる既成政党の力では、最早今日の行詰りを徹底的に打開する事は困難であり、且つ無理である。国家が一団となつて全能力を発揮し得る強力なる政治で無くては駄目である。強力なる国家の生れるには国民社会観の一変による正しき日本観の徹底である。新しき時代に適応したる皇道精神は国民の国体再認識に由らねばならぬ。この目的を達成せんとするにはどうしても国家の汚穢物を取除かなくてはならぬ。是れ吾人が昭和神聖会を創立して天下に獅子吼する所以である。
 既成政党では強力なる国家の建設なぞは思ひも由らぬ事である。先づ理解ある国民団結の力と軍部諸氏の思君思国思民の誠の力と神聖会員の至誠殉国の力で無ければ、此のほかに何ものもないのである。
 日本人たるものは日を逐ふて若くならねばならない。そして若き日本の為に全力を尽し、祖国をして世界の王者たらしむるのが神国日本に生れたる者の天賦の使命である。夢にも過ぎ去りし事を思ふな。そして又取越し苦労を止めて刹那の善を思ひ、善を言ひ、善を行へ。さすれば神国人たる吾々同胞は若やぎ、元気を日に増し、国家の為に活動し得らるるのだ。
 余が非常時日本の溜池に投じた一石は、次ぎ次ぎに波及して最早今日となつては侮り難き一大波紋を捲き拡げるに至つたのも、要するに至誠と熱心力と絶大なる努力の報酬であると思ふ時、いよいよますます奮励努力の偉大さを感得するものである。我神聖運動たるや全地の上に及ぼし、地上に天国を建設し終るまでは不断の活動を続けて倦まない覚悟である。
 人間は精神の持方次第に由つて何時までも若く雄々しく生活し得らるるものである。人間の誕生には遅速はあるが生命の点に至つては老幼何れも同年である。又人間は、五十、六十は鼻たれ小僧、男盛りは八、九十と云ふ意気を持つて居らねばならない。今の人間は既に五、六十歳にもなると、自ら老成気分に陥り、自ら心身を弱らせ、隠居気分になりたがるものである。実に天地の神明に対し奉り畏れ多き次第である。吾人は何処までも若やいで雄々しく勇ましく天下国家の為に活動すべき義務ある事を造次にも顛沛にも忘れてはならぬものである。
 余は神聖運動に就ては必ず独裁制を採用するのだ。併し乍ら立憲政治家は決して独裁であつてはならない。政治に対して独裁の権利を有せらるる方は上御一人に限るのである。神聖会の独裁制を政治の上に応用せむとするは、陛下の大命を奉ずる政治家と雖も断じて不可であると思ふ。
 「金持貧乏」と「怜悧馬鹿」の多い日本だ。行詰るのも不思議でない。現代の日本はどうしても「貧乏金持」と「馬鹿怜悧」の力に由つて更生せなくては駄目だ。子供を造ることにのみ器用な人間ばかりウヨウヨと神国日本を汚してしまふのだ。困つた世相である。
 釈迦が有難いと思つてる仏教信者はまだまだ大なる修行を要するのだ。キリストを無上の聖者と思つてるキリスト信者も同じく修行を要する。小学校の校長先生を無上の偉い先生と思つてゐる間は、まだ学問の高峰に達してゐない。小学生徒が大学を卒へて博士になつた時は、小学校の校長先生よりも遙かに識見と学力が出来てゐる如くである。孔子、釈迦、キリスト等の信者乃至空海、日蓮、親鸞等を無上の聖者と崇敬してゐる仏教信者は実に不徹底なる八衢人間である。併し精神異状者の心理状態は例外である。
 古から不世出の英雄といふ言葉がある。併し、真の不世出の英雄は国の古今を問はず、洋の東西をわかたず、まだ一度も出たことがない。釈迦、孔子、キリスト、ソクラテス、ナポレオン、ワシントン、豊臣、西郷、その他何れも大英雄であるが、決して不世出では無い。然るに天運循環、時到りて今日既に此の不世出の英雄がどこかの国の山奥に生れてゐる筈だ。是を確り探し求めたものが昭和維新の先覚者なのである。
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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