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蟷螂の斧

インフォメーション
題名:蟷螂の斧 著者:出口王仁三郎
ページ:336
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 18:51:00 OBC :B129900c59
迷信を晴らして彼等(かれら)を生かさむと思ふ心は水泡(みなわ)となりけり
日の出の神
日露戦争()つただ中に日の出の神(あら)はれ(きた)ると期待せるなり
日清(につしん)(えき)戦歿(せんぼつ)したる清吉(せいきち)氏が帰り(きた)ると思ひをるなり
清吉(せいきち)氏を日の出の神ととなへつつあてなき事を待てる役員
清吉(せいきち)氏帰り(きた)れば世界中(せかいぢう)改心するとぬかす役員
宣伝をせずとも清吉(せいきち)氏帰りなばひとり大本(ひろ)まるとほざく
清吉(せいきち)をもとにしてとの筆先をあてにしてゐる十二の役員
ぢつとしてぬれ手で(あは)をつかむよなぼろい事のみ思へる役員
排他無能
海潮(かいてう)は布教に出度(でた)いが病気ぞとぢつとしてゐて(ののし)り合へるも
手をつかね時節を待てばおのづから大望(たいまう)成就すると思へり
心身(しんしん)を苦しめずして光明を求めむとする暗き連中
利己(りこ)主義を立て通しつつ神愛(しんあい)()が皇道をさまたげにけり
自己愛(じこあい)を立て通しつつ天地(あめつち)(まこと)(まこと)とほざく(やく)(れん)
われこそは日本(やまと)(だましひ)とほこりつつ排他(はいた)主義のみ発揮してをり
其頃(そのころ)の大本役員連中は(はん)狂乱(きやうらん)(じや)巣窟(さうくつ)なりけり
無為(むゐ)無能(むのう)極度に発揮しながらも日本(やまと)(だましひ)(かがみ)とほこる
朝夕(あさゆふ)にわが為す(わざ)にさやりつつ神の御用と誤解してをり
海潮(かいてう)に反対すれば神国(しんこく)(ひか)りが出るとほざく盲役(まうやく)
蟷螂(たうらう)(をの)もて竜車(りうしや)(むか)ふごと及ばぬながらも()れにてきたふ
水行強圧
ざわざわと(あした)(ゆふ)べに(みづ)()びて彼等(かれら)日本(やまと)(だましひ)とほこらふ
絶対に水行(すゐぎやう)をせぬ海潮(かいてう)外国(ぐわいこく)(だま)とあらはにののしる
(みづ)浴びる(やう)なけがれし心身(しんしん)は持たぬと()れはからかひて見し
()のあかを(おと)さぬけがれた海潮(かいてう)あかの他人(した)出しあざける
()(あか)は水や白湯(さゆ)にて(おと)せども洗ひきれぬは(なれ)(みたま)
海潮(かいてう)水行(すゐぎやう)させねぱおかないと役員われが衣服をはぎとる
素裸(すはだか)にして役員は井戸端に()れを連れゆき水を浴びせる
頭からザブザブ水をかぶせられ腹はたてども刄向(はむか)(すべ)なし
役員はわが手と足にすがりつきバケツに水を入れてかぶせる
出綾
(かはづ)()()れは仲悶に()らないと言ひつつ遂に綾部を()ちたり
あと追ひて平蔵(へいざう)佑助(いうすけ)はるばると園部の寓居(ぐうきよ)にたづね(きた)れり
絶対に()れは綾部に帰らぬと言へば平蔵(へいざう)泣き顔になる
佑助(いうすけ)は歯をむき(いだ)何処(どこ)までも連れていなねばきかぬと雄猛(をたけ)
王仁『水かけて虐待するよな綾部へは死んでもいなぬ』と駄駄(だだ)こねて見し
その(じつ)は綾部に妻子(さいし)のある身なりいづれ帰らむ心は持ちをり
モウこれからは決して水は浴びせぬと四方(しかた)平蔵(へいざう)あやまりてをり
帰綾
大本へ帰りて教祖の御筆先(おふでさき)読むでくれよと二人は頼めり
王仁『筆先は(すみ)から(すみ)まで知つてゐる再び調(しら)ぶる(えう)なし』と(こた)へし
ともかくもお迎へに来たわれわれの顔に免じて帰れと頼みぬ
王仁『ともかくも帰つてやらふ()れ無くば綾部の(をしへ)は火が消えるから』
海潮(かいてう)さまあなたが綾部に居らずとも立派に法燈(てん)じますぞや
王仁『()らずとも火がとぼるなら海潮(かいてう)は綾部に帰る必要はない』
両人は()(こと)()に驚いて失言したと(また)もあやまる
王仁『気にくはぬ綾部なれども両人の頼みをきいていんでやろかい』
観音坂(くわんのんざか)枯木峠(かれきたうげ)須知山(すちやま)の峠を越えて綾部へ帰る
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