四月三日神示によりて御開祖はいよいよ水行を廃されにけり
御開祖の水行廃止と相次いで大本蛙は水をきらへり
御開祖が水行廃し給ひしは瑞の御霊を用ひぬためといふ
何事にも理窟をつける盲役の迷信ぶりは話にならずも
古谷に誑惑されたる盲役は猫撫声を信じ居たりき
その野心さまたげられし古谷は極力吾れをうらみゐたりき
古谷は女の如くしとやかに甘き言葉に人をあやつる
盲役は甘き言葉を信じつつ吾が言の葉のあしきを恐れし
大いなる声を出せば盲役は又雷と逃げ出してゆく
居留守
四月五日京都に上りはげ蛸の館を訪へば善助来てをり
家族等を二階に集めて善助は禿蛸に留守をつかはせてをり
禿蛸の家族は二階と知りながら吾れは京都を南に下れり
伏見街道勧進橋の袂まで進めば善助帰り来れり
善助は矢丸の如くかけめぐり吾が行く先をさまたげをるなり
走狗
後より西田元次は追ひ来り川辺に停み休らひにけり
南方よりチヨコチヨコ走りに善助は顔赤らめて北に逃げゆく
コラ待てと呼ばはる声に善助は狐のごとく後ふり向けり
馬鹿者と一喝したる折りもあれ北行電車は走り来りぬ
善助は北行電車に飛び乗りて京都をさして逃げ帰りたり
伏見宇治
元教をば伴なひ伏見の本多家に到れば箒で掃き出す母親
海潮をとめてはならぬと中田さんに叱られましたと母親ふくれる
この家も鬼門といひつつ両人は宇治町さして夕べを急げり
宇治町に到りて見れば善助は来らぬらしく吾れ待ちてをり
宇治町の南郷国松方に入りこの方面の宣伝につとむる
四五日を宇治方面に布教して一人テクテク丹波に帰れり
吾があとに西田は一人居残りて布教に従事して居たりけり
無理解者たち
帰り路を福島方に立ち寄ればあとを尋ねて村上来りぬ
福島は塩を振りまき竹箒持ちて吾れをば掃き出しにけり
掃き出されむかつくままにくらがりを村上ともにかけ出しにける
掃き出され三年先を見て居れと捨てぜりふして夜道を走る
木崎なる浅井の支部に立ち寄れば綾部ゆ古谷等四五人来てをり
どうしても小松林をいなさねば神業成らじとわからぬ事をいふ
懇懇ととけどさとせど古谷等の聾の耳には入らざりにけり
灸
古谷と文助祐助三人が吾れを矢庭に押へつけたり
小松林変性女子の肉体を去らねば灸をすゑるとほざけり
小松林なぞとは俺は知らないと言へばますます怒る文助
三人は矢庭に吾れの衣をはがし背中に大なる灸をすゑたり
うろうろと海潮さまを歩かせて小松林の悪神奴がと怒る
熱ければ一時も早く立ち去れと文助古谷声ふるはせり
浅井花は見るに見かねて線香ともぐさをさらへ逃げ去りにけり
サアこれで変性女子の瑞霊水晶霊と彼等は喜ぶ
をかしさに吾れふき出せば三人は小松林はまだ居るといふ
三人に前後を守られトボトボと山坂越えて綾部に帰れり