あくる日は植村長谷川早朝より来りて神殿の飾りたてせり
十数日布教に従事してあれば宇治人九分以上入信なしける
巡査の妨害
大久保の警察署員入り来り神を祀るは不穏当となじる
日本人が日本の神を祀るのが何悪いかとわれはなじりぬ
警官は言葉につまり腹を立て信者に退散命じゐたりき
信徒は巡査の言葉に驚きて蜘蛛の子散らす如く逃げ行く
巡査ではわからぬ署長を呼び来れと言へば警官ますます怒る
警官を伴ひ大久保警察へ言訳せむとわれは出で行く
元教はわれに従ひ大久保の警察署へと入り来りけり
署長不明
第一に吾は署長に面会し巡査の不法をいたくなじりぬ
国体の真相知らぬ署長等はわが言の葉も耳に入らざり
ともかくも官許を受けて布教せよと署長の様子いたけ高なり
信教の自由を説けど署長等は憲法不明耳にも入れず
しばしの間署員とわれと掛け合ひつ秋の夕日は山に落ちたり
あくる日は警官数名布教所に立ち番なして信者を散らせり
教勢拡大
われもまた詮方なければ郷の口の酒造家安田氏方に転ぜり
安田氏の妹つる子の癲癇をわが鎮魂によりて癒せり
郷の口に会合所をば設置して数多の信者を集めゐたりき
大久保の警察署員はそれ限りただ一ことの抗議もなさず
宇治町の茨木方に会合所ふたたび開き宣伝をなす
郷の口会合所には小竹をば所長となして守らしめたり
信徒はまたつぎつぎに訪ひ来り教勢とみにふるひたちたり
感謝祈願詞
感謝祈願の祝詞はこの時初めての出版にして朝夕唱へし
羨望
かかるをり御牧治三郎京都より訪ね来りて教勢に驚く
御牧等はわが教勢を羨みて会合所をば占領せむとす
時もあれ除隊となりて帰り来し南郷国松とひそかに語らふ
両人はひそかに幹部を呼びあつめわれを排斥の謀議をこらせり
御牧等は家具一切を運び来り永住せむと奔走してをり
大晦日
十二月三十一日と相なれば幹部役員入り来りけり
幹部等は南郷御牧にそそのかされ退却せよと無法のみ言ふ
宇治ばかりに日は照らざればこれよりはわれは去らむと言ひ放ちけり
役員は短気を出すなといひながらわれの退去を望みゐるらし
南郷と御牧はこの場に入り来り早く大本へ帰れとすすむる
折角にわが開きたる根拠地も邪神のためにこはたれにけり