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第四篇 記紀真解
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第六篇 玉の礎
第七篇 記紀真釈
第八篇 八面鋒
第九篇 道の大本
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第三篇 瑞能神歌
> いろは歌(その一)
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いろは歌(その一)
インフォメーション
題名:
いろは歌(その一)
著者:
ページ:
9
目次メモ:
概要:
備考:
タグ:
そしもり(ソシモリ)
データ凡例:
2017/9/15校正。
データ最終更新日:
2024-06-01 17:06:27
OBC :
B115003c04
初出
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大正6年12月1日号(第54号)
>
いろは神歌
神霊界
>
大正7年1月1日号(第55号)
>
いろは神歌(つづき)
001
い
鹿
(
かるが
)
の
郡
(
こほり
)
綾部の
本宮
(
ほんぐう
)
の、
002
拾里四方は宮の内、
003
下津
(
したつ
)
岩根
(
いはね
)
の
珍
(
うづ
)
の国、
004
高天原
(
たかあまはら
)
と
称
(
たた
)
えつつ、
005
天
(
あめ
)
に
坐
(
ま
)
す
神
(
かみ
)
八百万
(
やほろろづ
)
、
006
地
(
つち
)
に
坐
(
ま
)
す
神
(
かみ
)
八百万、
007
集
(
あつま
)
りまして
幽世
(
かくりよ
)
と、
008
現
(
うつ
)
つの世をば
知
(
し
)
ろしめす、
009
其
(
その
)
神業
(
かみわざ
)
を
神議
(
かむはか
)
り、
010
議
(
はか
)
り玉ひて
常夜
(
とこよ
)
往
(
ゆく
)
、
011
烏羽玉
(
うばたま
)
の世を
照
(
てら
)
さむと、
012
伊都
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
と
現
(
あ
)
れまして、
013
天津
(
あまつ
)
日嗣
(
ひつぎ
)
の動ぎなく、
014
目出度
(
めでたき
)
御代
(
みよ
)
を松の世の、
015
常磐
(
ときは
)
堅磐
(
かきは
)
の
礎
(
いしずえ
)
を、
016
搗固
(
つきかた
)
めます
霊
(
たま
)
の地を、
017
知らずに
暮
(
くら
)
す世の人の、
018
心の空の
仇
(
あだ
)
曇り、
019
晴
(
は
)
るる
由
(
よし
)
なき憐れさよ。
020
ろ
んどんのカラの都に預けたる、
021
金山姫
(
かなやまひめ
)
の
御宝
(
みたから
)
は、
022
何時
(
いつ
)
還
(
かへ
)
り
坐
(
ま
)
す
術
(
すべ
)
を
無
(
な
)
み、
023
御姿
(
みすがた
)
さえも
瑞穂国
(
みづほくに
)
、
024
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
中国
(
なかくに
)
の、
025
力
(
ちから
)
を削る
曲津霊
(
まがつひ
)
は、
026
英米西
(
えべす
)
大国
(
だいこく
)
西の海、
027
底の
藻屑
(
もくず
)
と鳴る神に、
028
臍
(
ほぞ
)
を
奪
(
と
)
られし姿なり。
029
は
に
安
(
やす
)
の彦の
神言
(
みこと
)
の
現
(
あら
)
はれて、
030
雲井
(
くもゐ
)
に
懸
(
かか
)
る
群雲
(
むらくも
)
を、
031
伊吹
(
いぶ
)
き
放
(
はな
)
ちて
春日
(
かすが
)
なる、
032
天津
(
あまつ
)
日蔭
(
ひかげ
)
の
隈
(
くま
)
も無く、
033
輝き渡る日の本の、
034
国の
稜威
(
みいづ
)
は
弥高
(
いやたか
)
く、
035
鳴戸の海の
弥深
(
いやふか
)
き、
036
神の
恵
(
めぐみ
)
の鳴り鳴りて、
037
鳴りも合はさる
仇波
(
あだなみ
)
を、
038
大海原
(
おほうなばら
)
に
加々
(
かが
)
呑
(
のみ
)
て、
039
世の大本の
一筋
(
ひとすじ
)
の、
040
誠の神の
統
(
す
)
べ玉ふ、
041
国常立
(
くにとこたち
)
の神の
代
(
よ
)
を、
042
来
(
きた
)
さん為に
三千歳
(
みちとせ
)
の、
043
道
有
(
あ
)
る
御代
(
みよ
)
を松の大本神の出口の
畏
(
かし
)
こけれ。
044
に
し
東
(
ひがし
)
南
(
みなみ
)
と北の
荒海
(
あらうみ
)
に、
045
艦
(
ふね
)
充ち続け寄せ
来
(
きた
)
る、
046
醜
(
しこ
)
の
荒
(
すさ
)
びの
猛
(
たけ
)
く
共
(
とも
)
、
047
御空
(
みそら
)
に
震
(
ふる
)
ふ
鳥船
(
とりふね
)
の、
048
羽音
(
はおと
)
は
如何
(
いか
)
に高くとも、
049
空より降らす
迦具槌
(
かぐづち
)
の、
050
三
(
み
)
ツの
都
(
みやこ
)
を
夜芸男
(
やぎはやを
)
、
051
如何
(
いか
)
なる神の
猛
(
たけ
)
びにも、
052
少しも
怖
(
お
)
ぢぬ日の本の国に
幸
(
さちは
)
ふ
言霊
(
ことたま
)
の、
053
ウ
と
ア
の
水火
(
いき
)
にカラ
鳥
(
とり
)
の、
054
胆
(
きも
)
を抜かれて落ち
此方
(
こち
)
に、
055
神の
稜威
(
みいづ
)
の
著
(
いち
)
じるく、
056
頭
(
かしら
)
を
地
(
つち
)
に
逆様
(
さかしま
)
に、
057
神の
御国
(
みくに
)
に
何時
(
いつ
)
までも、
058
仇波
(
あだなみ
)
立たぬ松の代と、
059
駿河
(
するが
)
の国の
不二
(
ふじ
)
の山、
060
気高
(
けだか
)
き姿を
其儘
(
そのまま
)
に、
061
世界の上に
聳
(
そび
)
ゆなり。
062
ほ
日
(
ひ
)
の
命
(
みこと
)
の現はれて、
063
海の
内外
(
うちと
)
の嫌ひなく、
064
降らす
血雨
(
ちあめ
)
の河と成り、
065
屍
(
かばね
)
は積みて山を為す、
066
カラ
クレナイの敷島の、
067
赤き心は
日本魂
(
やまとだま
)
、
068
火にさへ焼けぬ
国魂
(
くにたま
)
の、
069
光り輝く時となり、
070
体主霊従
(
から
)
の
身魂
(
みたま
)
を焼き尽し、
071
水火
(
みづほ
)
の国の
中津国
(
なかつくに
)
、
072
下津
(
したつ
)
岩根
(
いはね
)
に現はれし、
073
厳
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
勲功
(
いさほし
)
の、
074
天照
(
あまて
)
る
御代
(
みよ
)
の
楽
(
たの
)
もしさ。
075
へ
だて無き、
076
神の恵みは
弥高
(
いやたか
)
き、
077
高天原
(
たかあまはら
)
に
現
(
あ
)
れまして、
078
乱れ果てたる
現
(
うつし
)
し世の、
079
諸々
(
もも
)
の
人草
(
ひとぐさ
)
救
(
すく
)
はむと、
080
誠の道をたてよこの、
081
二柱神
(
ふたつのかみ
)
の
勲功
(
いさほし
)
は、
082
天之岩戸を開くなる、
083
奇磐間戸
(
くしいはまど
)
の
手力男
(
たぢからを
)
、
084
日本
(
やまと
)
の人も
外国人
(
からびと
)
も、
085
神の
教
(
をしへ
)
に
手撫槌
(
てなづち
)
や、
086
足撫
(
あしな
)
の道に迷ひたる、
087
身魂
(
みたま
)
を
善
(
よ
)
きに導びきて、
088
ミロクの神の守ります、
089
常磐
(
ときは
)
の松の神の世に、
090
覆
(
かへ
)
して
統
(
す
)
ぶる世の
本
(
もと
)
の、
091
国常立の神ぞ
尊
(
たふ
)
とき。
092
と
つ
国
(
くに
)
の
醜
(
しこ
)
の
仇浪
(
あだなみ
)
いや
猛
(
たけ
)
く、
093
秋津島根に
打寄
(
うちよ
)
せて、
094
国の
半分
(
なかは
)
を洗ひ去り、
095
浪花
(
なには
)
の土を
汚
(
けが
)
しつつ、
096
五十鈴川
(
いそすずがは
)
に襲ひ来て、
097
清き
宮川
(
みやかは
)
泥
(
どろ
)
と為し、
098
御国
(
みくに
)
の
魂
(
たま
)
を盗まむと、
099
深き
奸計
(
たくみ
)
は
三重県
(
みえあがた
)
、
100
尾張
(
をはり
)
半田
(
はんだ
)
に押寄せて、
101
手配
(
てくば
)
り為せる
其
(
その
)
刹那
(
ひま
)
に、
102
伊勢の
神風
(
かみかぜ
)
吹起
(
ふきおこ
)
り、
103
怒
(
いか
)
れる
浪
(
なみ
)
の物凄く、
104
心の黒き黒船の、
105
浮瀬
(
うきせ
)
に沈む
神罰
(
いましめ
)
の、
106
忽
(
たちま
)
ち来ると
白人
(
しらひと
)
の、
107
国の
末
(
すゑ
)
こそ憐れなりけれ。
108
ち
早振
(
はやふる
)
神代
(
かみよ
)
ながらの
神国
(
かみくに
)
の、
109
千代も八千代も
動
(
ゆる
)
ぎなき、
110
天津
(
あまつ
)
日嗣
(
ひつぎ
)
の
大君
(
おほきみ
)
は、
111
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
中津国
(
なかつくに
)
、
112
瑞穂の国の
主師親
(
おほもと
)
と、
113
現はれまして
天
(
あめ
)
の
下
(
した
)
、
114
四方
(
よも
)
の国々
隈
(
くま
)
もなく、
115
言向平
(
ことむけやは
)
し
御恵
(
みめぐみ
)
の、
116
露
(
つゆ
)
の
御玉
(
みたま
)
に
潤
(
うるほ
)
ひし、
117
日本
(
やまと
)
御国
(
みくに
)
の
民草
(
たみくさ
)
は、
118
我
(
あが
)
大君
(
おほぎみ
)
の
知食
(
しろしめ
)
す、
119
大御
(
おほみ
)
神業
(
みわざ
)
にあななひて、
120
内外
(
うちと
)
の国を
助
(
たす
)
く
可
(
べ
)
き、
121
神の
依
(
よさ
)
しの
天職
(
かんわざ
)
を、
122
身も
棚知
(
たなし
)
らに
弥広
(
いやひろ
)
に、
123
尽
(
つく
)
せ
日本
(
やまと
)
の神の子
等
(
ら
)
。
124
り
う
球
(
きう
)
につづく台湾
澎湖島
(
ぼうこたう
)
、
125
御国
(
みくに
)
に遠きこの島に、
126
心を配れ
日本人
(
やまとびと
)
、
127
外国魂
(
とつくにたま
)
のここかしこ、
128
国売る
曲
(
まが
)
の多くして、
129
主人
(
あるじ
)
の留守の
間
(
ま
)
鍋
(
なべ
)
たき、
130
柱を崩すカミ
斗
(
ばか
)
り、
131
ヤンキーモンキー騒ぐとも、
132
降る
雨
(
あめ
)
リカを妨ぐ
由
(
よし
)
なし。
133
ぬ
さ採りて
和知
(
わち
)
の川辺に祈りつつ、
134
この世の泥を
滌
(
すす
)
がむと、
135
明治の二十五年より、
136
直
(
すぐ
)
なる針に
餌
(
え
)
も附けず、
137
川王
(
かはわう
)
の
鯉
(
こひ
)
のツレ無くも、
138
鮒
(
ふな
)
や
諸魚
(
もろを
)
の
屑
(
くず
)
のみぞ、
139
神の
恵
(
めぐみ
)
の
糸
(
いと
)
長く、
140
釣下
(
つりおろ
)
ろしたる
一筋
(
ひとすぢ
)
の、
141
誠の
瑞
(
みづ
)
の
魂
(
たましひ
)
が、
142
かかり玉ひし
益良夫
(
ますらを
)
の、
143
釣り合ふ
御魂
(
みたま
)
男子
(
なんし
)
女子
(
によし
)
、
144
太公望
(
たいこうばう
)
の
大望
(
たいまう
)
も、
145
西伯文王
(
せいはくぶんのう
)
に
見出
(
みいだ
)
され、
146
国を治めし
古事
(
ふるごと
)
の、
147
今
目
(
ま
)
の
前
(
あた
)
り北の空、
148
光り輝き渡るなる、
149
神の大橋いや太く、
150
掛けし祈りの
尊
(
たふ
)
とけれ。
151
る
い
卵
(
らん
)
の
危
(
あや
)
ふき国と成り成りて、
152
成り合はざりし
異国
(
ことくに
)
の、
153
国王
(
こくしゆ
)
は
位
(
くら
)
を
降
(
おろ
)
されて、
154
夏なほ寒き
西伯利亜
(
しべりあ
)
の、
155
荒野
(
あれの
)
の
果
(
はて
)
に
退
(
や
)
らはれし、
156
スラブ
王家
(
わうけ
)
の憐れさは、
157
聞くも涙の
種
(
たね
)
なれど、
158
我
(
わが
)
神国
(
かみくに
)
に
刃向
(
はむか
)
ひし、
159
支那もスラブも天命の、
160
免
(
のが
)
れぬ道と覚悟せよ。
161
続いて
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つカラの国、
162
神の
御国
(
みくに
)
に
仇
(
あだ
)
を為す、
163
報いは今に火の車、
164
乗りて奈落ヘ
落
(
おち
)
ぶれの、
165
悪魔の
頭
(
かみ
)
ぞ憐れなる。
166
を
に
大蛇
(
おろち
)
狼
(
おほかみ
)
よりも恐ろしき、
167
異国魂
(
ことくにたま
)
の
奸計
(
まがわざ
)
は、
168
口に
蜜
(
みつ
)
をば含み
宛
(
つつ
)
、
169
尻に
剣
(
けん
)
持つ蜂の
如
(
ごと
)
、
170
大砲
(
おほつつ
)
小砲
(
こづつ
)
の
兵器
(
つはもの
)
を、
171
残らず
反古
(
ほご
)
の紙と為し、
172
尻の穴まで
見済
(
みすま
)
して、
173
時
(
とき
)
待つ時の
火車
(
ひぐるま
)
を、
174
御国
(
みくに
)
の空に轟かし、
175
掠
(
かす
)
め取らんと
曲津神
(
まがつかみ
)
、
176
企みは
実
(
げ
)
にも良けれども、
177
日本
(
やまと
)
の国は昔より、
178
神の
御幸
(
みさち
)
ちの強き国、
179
人は
三分
(
さんぶ
)
に減るとても、
180
神の
身魂
(
みたま
)
は
永遠
(
とこしへ
)
に、
181
続く
常磐
(
ときは
)
の
神国
(
かみくに
)
ぞ、
182
異国魂
(
ことくにたま
)
の世の末と、
183
成り
定
(
さだ
)
まりし
幽世
(
かくりよ
)
の、
184
神の
経綸
(
しぐみ
)
も
白人
(
しらひと
)
の、
185
世の
終
(
をは
)
りこそ憐れなりけれ。
186
わ
た
津見
(
つみ
)
の神の
宮居
(
みやゐ
)
に鎮まりし、
187
玉依姫
(
たまよりひめ
)
の現はれて、
188
綾
(
あや
)
の
高天
(
たかま
)
に
上
(
のぼ
)
り
坐
(
ま
)
し、
189
御供
(
みとも
)
の神も
数多
(
かずおほ
)
く、
190
集
(
つど
)
い来まして
斯度
(
このたび
)
の、
191
神世
(
かみよ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
助けむと、
192
金竜界
(
きんりうかい
)
の島々に、
193
今は潜みて
時津風
(
ときつかぜ
)
、
194
松の
神代
(
かみよ
)
と成る迄は、
195
水分
(
みくまり
)
の神
志那津彦
(
しなづひこ
)
、
196
巌
(
いはお
)
の神や
地震
(
ないふる
)
の、
197
荒々
(
あらあら
)
しくも荒れの神、
198
一度に
開
(
ひら
)
く
竜神
(
たつかみ
)
の、
199
伊都
(
いづ
)
の
雄猛
(
をたけ
)
び
弥猛
(
いやたけ
)
く、
200
天地
(
あめつち
)
四方
(
よも
)
の国々も、
201
海山
(
うみやま
)
河野
(
かはぬ
)
の
生物
(
いきもの
)
も、
202
震
(
ふる
)
ひ
慄
(
おのの
)
き地に附きて、
203
眼
(
まなこ
)
も鼻も
耳
(
みみ
)
口
(
くち
)
も、
204
何と
詮方
(
せんかた
)
泣声
(
なくこゑ
)
も、
205
轟
(
とどろ
)
き渡る
皇神
(
すめがみ
)
の、
206
言葉の
霊
(
たま
)
の限り無く、
207
鳴り渡る時
選
(
えら
)
まれし、
208
日本心
(
やまとごころ
)
の
身魂
(
みたま
)
のみ、
209
次の
神代
(
かみよ
)
の
御柱
(
みはしら
)
と、
210
栄誉
(
ほまれ
)
と共に残るなり。
211
か
くり
世
(
よ
)
も
現
(
うつ
)
つの世をも
押並
(
おしな
)
べて、
212
天津
(
あまつ
)
御祖
(
みおや
)
の
大神
(
おほかみ
)
の、
213
依
(
よ
)
さし玉ひし
其儘
(
そのまま
)
の、
214
清き
神代
(
かみよ
)
の
御政
(
みまつり
)
に、
215
曳
(
ひ
)
き
還
(
かへ
)
さむと
梓弓
(
あづさゆみ
)
、
216
巌
(
いはほ
)
も
徹
(
と
)
ほす
敏心
(
とごころ
)
の、
217
日本心
(
やまとごころ
)
の
弥固
(
いやかた
)
き、
218
矢竹心
(
やたけごころ
)
の
畏
(
かしこ
)
くも、
219
世をうしとらの
皇神
(
すめかみ
)
が、
220
下津岩根
(
したついはね
)
に現はれて、
221
乱れたる世を
正
(
ただ
)
さむと、
222
月日
(
つきひ
)
さまねく
一筋
(
ひとすじ
)
に、
223
誠の道を
証
(
あか
)
しつつ、
224
勤
(
いそ
)
しみ玉ふ
惟神
(
かむながら
)
、
225
神の出口の勇ましき。
226
よ
に
出
(
い
)
でし
守護神
(
まもりがみ
)
等
(
ら
)
の鼻高く、
227
雲井
(
くもゐ
)
の空に
蔓
(
はびこ
)
こりて、
228
天津
日蔭
(
ひかげ
)
の
御光
(
みひか
)
りを、
229
包みかくして
葦原
(
あしはら
)
の、
230
中津
御国
(
みくに
)
を曇らせつ、
231
下
(
しも
)
国民
(
くにたみ
)
の苦しみを、
232
余所
(
よそ
)
に眺めて
吾
(
わ
)
れの身の、
233
しがく
斗
(
ばか
)
りに日も足らず、
234
月日を送る
曲津日
(
まがつひ
)
は、
235
落ちて散り行く
秋
(
あき
)
の野の、
236
木の葉の
果
(
はて
)
ぞ憐れにも、
237
踏み付けおきし
民草
(
たみくさ
)
の、
238
足に
踏
(
ふま
)
れて泥まぶれ、
239
泥海
(
どろうみ
)
の世を固めたる、
240
国の
御祖
(
みおや
)
の
大神
(
おほかみ
)
の、
241
御袖
(
みそで
)
に
縋
(
すが
)
り
歎
(
なげ
)
くとも、
242
神の
審判
(
さばき
)
の
明
(
あきら
)
けく、
243
罪の
隠
(
かく
)
るるスキも泣き、
244
人の
果
(
はて
)
こそ憐れなれ。
245
た
よりなき、
246
世の人々に
便
(
たよ
)
るより、
247
神の
御教
(
みのり
)
にたよりなば、
248
斯
(
この
)
世の中に恐るべき、
249
物は一つも
荒魂
(
あらみたま
)
、
250
神の力に勇ましく、
251
楽しく渡る和田の原、
252
隔
(
へだて
)
て遠き
外国
(
とつくに
)
の、
253
果
(
はて
)
しも知らに行くとても、
254
天津
日蔭
(
ひかげ
)
の照る限り、
255
安く守らせ玉ひつつ、
256
恩頼
(
みたまのふゆ
)
の
幸
(
さちは
)
ひて、
257
国の
誉
(
ほま
)
れと
諸共
(
もろとも
)
に、
258
遺
(
のこ
)
る
勲功
(
いさほし
)
千代八千代、
259
万代
(
よろづよ
)
迄も
日本
(
ひのもと
)
の、
260
御魂
(
みたま
)
を照らせ
日本
(
やまと
)
益良雄
(
ますらを
)
。
261
れ
ん
合
(
がふ
)
の国の
軍
(
いくさ
)
は強くとも、
262
心は割れて
四
(
よ
)
ツ五ツ
(
いつ
)
、
263
いつか勝負の
果
(
はて
)
も無く、
264
力は既にイングリス、
265
艮
(
とどめ
)
に
以太利
(
いたり
)
て
雨
(
あめ
)
リカの、
266
フランス
跡
(
あと
)
に
地固
(
じかた
)
めの、
267
望みもつきてカイゼルの、
268
甲斐なき
終
(
をは
)
り世の終り、
269
金
(
かね
)
も
兵糧
(
ひやうろう
)
も尽き果てて、
270
互
(
かたみ
)
に
臍
(
ほぞ
)
を噛みながら、
271
猶
(
な
)
ほ
懲
(
こ
)
りづまに向きを替ヘ、
272
良き
支那物
(
しなもの
)
を
奪
(
うば
)
はんと、
273
命
(
いのち
)
限りに寄せ
来
(
きた
)
る、
274
其時
(
そのとき
)
こそは面白き、
275
茲
(
ここ
)
に仁義の神の国、
276
豊葦原
(
とよあしはら
)
の足に掛け、
277
蹴
(
く
)
え
放
(
は
)
ららかし息の根を、
278
絶ちて悪魔を
絶滅
(
うちたを
)
し、
279
世界一つに
統
(
す
)
べ守り、
280
祭政一致
(
かみよながら
)
の
神政
(
みまつり
)
を、
281
天地
(
てんち
)
と共に
楽
(
たの
)
しまむ。
282
そ
しもりの山に
天降
(
あも
)
りし
素盞嗚男
(
すさのを
)
の、
283
神の
命
(
みこと
)
は
恐
(
かし
)
こくも、
284
綾
(
あや
)
の
高天
(
たかま
)
に昇りまし、
285
国に
仇
(
あだ
)
為す鬼
大蛇
(
をろち
)
、
286
天津
醜女
(
しこめ
)
や
曲津霊
(
まがつひ
)
を、
287
十握
(
とつか
)
の
劍
(
つるぎ
)
抜き持ちて、
288
切り
立
(
たて
)
薙
(
な
)
ぎ立て
遠近
(
をちこち
)
の、
289
山の尾
毎
(
ごと
)
に斬り
靡
(
なび
)
け、
290
河の瀬
毎
(
ごと
)
に追い払ひ、
291
はらひ清めて
四方
(
よも
)
の国、
292
草の
片葉
(
かきは
)
に至る迄、
293
救ひ助けて
艮
(
うしとら
)
の、
294
皇大神
(
すめおほかみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に、
295
二度目の天の岩戸をば、
296
開
(
あ
)
けて
目出度
(
めでたき
)
午
(
うま
)
の春、
297
天
(
あま
)
の
斑駒
(
ふちこま
)
逆剥
(
さかは
)
ぎの、
298
世の
醜魂
(
しこたま
)
を
遺
(
お
)
ちも無く、
299
退
(
やら
)
ひに
退
(
やら
)
ひて
草薙
(
くさなぎ
)
の、
300
心の
劒
(
つるぎ
)
皇神
(
すめかみ
)
に、
301
供え
奉
(
まつ
)
りて
瑞穂国
(
みづほくに
)
、
302
瑞
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
美
(
うる
)
はしき、
303
勲功
(
いさほ
)
辰巳
(
たつみ
)
や
午
(
うま
)
の年、
304
未申
(
ひつじさる
)
なる
皇神
(
すめかみ
)
の、
305
称
(
たた
)
へを
酉
(
とり
)
の秋の空、
306
錦
(
にしき
)
織りなす
紅葉
(
もみぢば
)
の、
307
赤き心の現はれて、
308
鬼さえ
戌
(
いぬ
)
の
天
(
あめ
)
の
下
(
した
)
、
309
治まる
御代
(
みよ
)
は
斯
(
この
)
神の、
310
亥
(
い
)
にしへよりの
勲功
(
いさほ
)
ぞと、
311
青人草
(
あをひとぐさ
)
の仰ぐ世を、
312
松と梅との花の
大本
(
おほもと
)
。
313
つ
きも日も隠れて見えぬ
叢雲
(
むらくも
)
の、
314
中にも神の
恵
(
めぐみ
)
あり、
315
人を
奪
(
と
)
り
喰
(
く
)
ふ鬼
大蛇
(
をろち
)
、
316
地震
雷鳴
(
かみなり
)
火の雨も、
317
少しも
怖
(
お
)
ぢぬ
正人
(
まさびと
)
は、
318
男女
(
をのこをみな
)
の
別
(
わか
)
ち無く、
319
神の守りし人ぞかし。
320
マサカの時の
杖
(
つゑ
)
と
為
(
な
)
り、
321
力
(
ちから
)
と
為
(
な
)
るは
信仰
(
うべない
)
の、
322
徳より
外
(
ほか
)
に何も無し。
323
神の
御子
(
みこ
)
なる人の身は、
324
神を誠の親と為し、
325
心の限り身の限り、
326
仕へ
奉
(
まつ
)
りて
天地
(
あめつち
)
の、
327
諸
(
もも
)
の
猛
(
たけ
)
びも
心安
(
うらやす
)
く、
328
凌
(
しの
)
ぎ
凌
(
しの
)
ぎて松の代の、
329
人の鏡と
鳴
(
なる
)
神の、
330
轟
(
とど
)
ろき渡る高き名を、
331
千代に伝へて
神国
(
かみくに
)
の、
332
国の
真柱
(
みはしら
)
搗
(
つ
)
き固め、
333
勲功
(
いさほ
)
を
立
(
たて
)
よ
万代
(
よろづよ
)
に。
334
ね
の国に
落行
(
おちゆ
)
く
霊魂
(
みたま
)
を救はむと、
335
厳
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
、
336
瑞
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
と
諸共
(
もろとも
)
に、
337
綾
(
あや
)
の
高天
(
たかま
)
に現はれて、
338
竜宮館
(
りうぐうやかた
)
の渡し場に、
339
救世
(
ぐせい
)
の船を
浮
(
うか
)
べつつ、
340
待たせ給へど
烏羽玉
(
うばたま
)
の、
341
暗
(
やみ
)
に迷ヘる
人草
(
ひとぐさ
)
は、
342
取り
付
(
つく
)
島も
荒塩
(
あらしほ
)
の、
343
塩
(
しほ
)
の
八百路
(
やほじ
)
の
八塩路
(
やしほじ
)
の、
344
浪
(
なみ
)
に漂よひ迷ひつつ、
345
沖の
彼方
(
あなた
)
ヘ
走
(
は
)
せ行くを、
346
救ひの船に
掉
(
さを
)
さして、
347
呼ベど叫ベど
不知火
(
しらぬひ
)
の、
348
浪
(
なみ
)
のまにまに隠れつつ、
349
海の
藻屑
(
もくず
)
と
鳴戸灘
(
なるとなだ
)
、
350
危
(
あや
)
ふき
渦
(
うづ
)
に近寄りて、
351
行衛
(
ゆくゑ
)
も波の底の国、
352
流れ行くこそ悲しけれ。
353
な
に
波津
(
はづ
)
に咲くや
兄
(
こ
)
の
花
(
はな
)
冬籠
(
ふゆごも
)
り、
354
今を
春辺
(
はるべ
)
と
咲匂
(
さきにほ
)
ふ、
355
我
(
あが
)
大神の言霊の、
356
鳴り渡ります
竜
(
たつ
)
の春、
357
御稜威もたかき大和路の、
358
畝火
(
うねび
)
の山に
参上
(
まいのぼ
)
り、
359
四方
(
よも
)
の国々見はるかし、
360
蜻蛉
(
あきつ
)
の
臀呫
(
となめ
)
せるかもと、
361
詔
(
の
)
らせ給ひし
神倭
(
かんやまと
)
、
362
磐余
(
いはれ
)
の
君
(
きみ
)
の
斎
(
いつ
)
きたる、
363
最
(
いと
)
も
畏
(
かし
)
こき
橿原
(
かしはら
)
の、
364
珍
(
うづ
)
の
御宮殿
(
みあらか
)
伏し拝み、
365
皇御国
(
すめらみくに
)
の
幸
(
さちは
)
ひを、
366
赤心
(
まごころ
)
籠めて祈りけり。
367
ら
うそくの
我身
(
わがみ
)
焦
(
こが
)
して
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
を、
368
照
(
てら
)
すは神の
御心
(
みこころ
)
ぞ。
369
神に仕へしともがらは、
370
世の
為
(
ため
)
人の為ならば、
371
家をも身をも省みず、
372
人の
譏
(
そし
)
りも
斑駒
(
ふちこま
)
の、
373
耳に
東風
(
こち
)
吹く
心地
(
ここち
)
して、
374
世人
(
よびと
)
の為に
尽
(
つく
)
さむと、
375
朝な夕なに
命毛
(
いのちげ
)
の、
376
筆
(
ふで
)
採
(
と
)
り
坐
(
ま
)
して
千早振
(
ちはやふる
)
、
377
神の
御教
(
みのり
)
を説き給ふ、
378
教御祖
(
をしへみおや
)
の
勲功
(
いさほし
)
は、
379
高天原
(
たかあまはら
)
と現はれて、
380
四方
(
よも
)
の
民草
(
たみくさ
)
靡
(
なび
)
けつつ、
381
神の
出口
(
でぐち
)
の
道開
(
みちびら
)
き、
382
広き
斯世
(
このよ
)
の宝ぞと、
383
天
(
あめ
)
に
坐
(
ま
)
す神
地
(
くに
)
の神、
384
歓
(
よろ
)
こび勇み
賞
(
め
)
で玉ふ、
385
錦
(
にしき
)
の
機
(
はた
)
の
目出度
(
めでた
)
けれ。
386
む
かしより花に名高き
吉野山
(
よしのやま
)
、
387
八幡
(
やはた
)
の山の奥深く、
388
ミロクの世まで隠されし、
389
音姫
(
おとひめ
)
どのの
御宝
(
みたから
)
の、
390
在所
(
ありか
)
尋ねて千代八千代、
391
動かぬ
御代
(
みよ
)
の大本の、
392
千歳
(
ちとせ
)
の松の神の子が、
393
鶴殿君
(
つるどのきみ
)
に従ひて、
394
未だ散り終へぬ
八重桜
(
やへざくら
)
、
395
日本心
(
やまとごころ
)
の
大丈夫
(
ますらを
)
が、
396
高天原
(
たかあまはら
)
を
立出
(
たちいで
)
て、
397
折
(
をり
)
も吉野の
上市
(
かみいち
)
に、
398
一夜
(
いちや
)
を明かし
妹背山
(
いもせやま
)
、
399
吉野の川に
隔
(
へだ
)
つれど、
400
誠心
(
まことごころ
)
の隔てなき、
401
浅野、
豊本
(
とよもと
)
、
牧
(
まき
)
、村野、
402
梅田、秋岡、出口
王仁
(
わに
)
、
403
星田、
多慶子
(
たけこ
)
や
金谷
(
かなだに
)
の、
404
清き
身魂
(
みたま
)
は吉野川、
405
流れに添ひて
上
(
のぼ
)
り
行
(
ゆく
)
、
406
十里の道も山吹の、
407
一重の花に引かされて、
408
神の教へのかしこくも、
409
早
(
はや
)
柏原
(
かしはら
)
に
着
(
つき
)
にけり。
410
雲井
(
くもゐ
)
の空の
神人
(
かみびと
)
と、
411
ひなに育ちし
賤
(
しづ
)
の
男
(
を
)
が、
412
深山
(
みやま
)
の奥に手を曳きて、
413
峻
(
けは
)
しき山を辿りつつ、
414
御国
(
みくに
)
の為に
赤心
(
まごころ
)
を、
415
尽すも神の引き
合
(
あは
)
せ、
416
黄金
(
こがね
)
の山の奥深き、
417
神の
経綸
(
しぐみ
)
は
白雲
(
しらくも
)
の、
418
花の吉野の水
清
(
きよ
)
く、
419
治まる
御代
(
みよ
)
の
礎
(
いしずえ
)
を、
420
踏み固めたる千代の鶴、
421
八千代の亀の末長く、
422
開
(
ひら
)
け行く世を楽しみに、
423
松
(
まつ
)
まの長き
真鶴
(
まなづる
)
の
首
(
くび
)
。
424
う
しとらの神の
御言
(
みこと
)
を
畏
(
かし
)
こみて、
425
下津岩根
(
したついはね
)
の
本宮
(
もとみや
)
の、
426
神に
仕
(
つか
)
ふる
教子
(
をしへご
)
が、
427
教御祖
(
をしへみおや
)
に従ひて、
428
巳年
(
みとし
)
五月
(
さつき
)
の
八
(
や
)
ツの日に、
429
息長姫
(
をきながひめ
)
の祭りたる、
430
木村の里の
庵我
(
あが
)
の宮、
431
車軸
(
しやぢく
)
を流す
雨空
(
あまそら
)
を、
432
厭
(
いと
)
ひ給はず
出坐
(
いでま
)
しの、
433
御供
(
みとも
)
の人は
四百人
(
しひやくにん
)
、
434
風も
福知
(
ふくち
)
の
町
(
まち
)
過ぎて、
435
車
(
くるま
)
の音も
静々
(
しづしづ
)
と、
436
神の
御前
(
みまへ
)
に着き給ひ、
437
唱
(
とな
)
ふる祝詞の声
清
(
きよ
)
く、
438
御国
(
みくに
)
の為に
皇神
(
すめかみ
)
の、
439
東
(
あづま
)
の国ヘ
神幸
(
いでまし
)
を、
440
祈り給ひし
赤心
(
まごころ
)
を、
441
神も
諾
(
うべな
)
ひ玉ひけむ、
442
三日
(
みつか
)
を
経
(
へ
)
たる
夕空
(
ゆうぞら
)
に、
443
神の
証
(
あか
)
しは
丹頂
(
たんちやう
)
の、
444
鶴
(
つる
)
飛び
来
(
きた
)
り
高杉
(
たかすぎ
)
の、
445
上
(
うへ
)
に宿りて
只
(
ただ
)
三声
(
みこゑ
)
、
446
鳴き渡りつつ
産土
(
うぶすな
)
の、
447
一宮
(
いつきう
)
神社
(
やしろ
)
の神の森、
448
さして飛び行く
吉瑞
(
みあかし
)
は、
449
千代の栄えの松の代を、
450
祝
(
ほ
)
ぎ給ひたる
惟神
(
かむながら
)
、
451
神の
稜威
(
みいづ
)
のいや高き、
452
事
(
こと
)
の
証明
(
あかし
)
を
水茎
(
みづくき
)
の、
453
文字
(
もじ
)
に写して
皇神
(
すめかみ
)
に、
454
日々
(
ひび
)
に
仕
(
つか
)
ふる
神職
(
かんつかさ
)
、
455
田中の
大人
(
うし
)
の送られし、
456
御文
(
みふみ
)
は神の
御宝
(
みたから
)
と、
457
世の
大本
(
おほもと
)
に
留
(
とど
)
めけり。
458
ゐ
すくわし神の光に
照
(
てら
)
されて、
459
曇り
果
(
はて
)
たる
村肝
(
むらきも
)
の、
460
心の空も晴れ渡り、
461
月日
(
つきひ
)
輝き
幽世
(
かくりよ
)
も、
462
現
(
うつ
)
つの世をも
明
(
あき
)
らけく、
463
覚
(
さと
)
り
開
(
ひら
)
きし
神心
(
かみごころ
)
、
464
瑞
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
と現はれて、
465
御国
(
みくに
)
を守る神と成り、
466
斯世
(
このよ
)
の母と
成々
(
なりなり
)
て、
467
恵
(
めぐみ
)
を
四方
(
よも
)
にたらちねの、
468
心も
熱田
(
あつた
)
の神の宮、
469
つるぎの
稜威
(
みいづ
)
いやちこに、
470
日本建
(
やまとたける
)
と
生
(
あ
)
れましぬ、
471
是
(
これ
)
須佐之男
(
すさのを
)
の
身魂
(
みたま
)
なり。
472
の
あ
の
言霊
(
ことたま
)
な
と
反
(
かへ
)
り、
473
なお
の
言霊
(
ことたま
)
の
と
反
(
かへ
)
る。
474
のあ
と
なお
との
方舟
(
はこぶね
)
の、
475
真中
(
まなか
)
に
住
(
す
)
みきる
す
の
御霊
(
みたま
)
、
476
す
めら
御国
(
みくに
)
の
す
がた
也
(
なり
)
。
477
の
の言霊を調ぶれば、
478
地
(
つち
)
に
泥水
(
どろみづ
)
充
(
み
)
ち
溢
(
あふ
)
れ、
479
渦巻
(
うづまき
)
廻
(
めぐ
)
る
御霊
(
みたま
)
なり。
480
あ
の言霊を調ぶれば、
481
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
に昇り行き、
482
成
(
な
)
り
合
(
あひ
)
まさぬ
御霊
(
みたま
)
なり。
483
のあ
の
御霊
(
みたま
)
は
泥水
(
どろみづ
)
の、
484
世界を
浸
(
ひた
)
し山を越え、
485
賤
(
いや
)
しき
身魂
(
みたま
)
の雲の
辺
(
べ
)
に、
486
上
(
のぼ
)
りて
天
(
あめ
)
を
汚
(
けが
)
すなり。
487
さ
は
去
(
さ
)
り
乍
(
なが
)
ら世の人よ、
488
昔の事と思ふなよ。
489
のあ
の
御霊
(
みたま
)
の
災
(
わざはひ
)
は、
490
今
眼
(
ま
)
の
当
(
あた
)
り
現
(
あ
)
れにけり。
491
な
の言霊を調ぶれば、
492
火水
(
かみ
)
の結びの
御魂
(
みたま
)
にて、
493
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
に
二柱
(
ふたはしら
)
、
494
鎮
(
しづ
)
まり
坐
(
いま
)
す姿也。
495
お
の言霊を調ぶれば、
496
汚
(
けが
)
れし
地
(
つち
)
を清めつつ、
497
六合
(
くに
)
を
治
(
をさ
)
むる
御霊
(
みたま
)
なり。
498
地
(
つち
)
より
生
(
あ
)
れし
埴安
(
はにやす
)
の、
499
神の
御霊
(
みたま
)
も
お
声
(
こゑ
)
なり。
500
五大州
(
いつつのくに
)
の
中心
(
まんなか
)
に、
501
皇御国
(
すめらみくに
)
の
天皇
(
すめらぎ
)
の、
502
四方
(
よも
)
の国々
統
(
す
)
べ給ふ。
503
此
(
こ
)
の言霊を
省
(
かへり
)
みて、
504
皇御国
(
すめらみくに
)
の
天職
(
かんわざ
)
を、
505
覚
(
さと
)
りて
なお
の
方舟
(
はこぶね
)
の、
506
さとしの舟に乗り移り、
507
瑞
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
に
神習
(
かむなら
)
ひ、
508
泥
(
どろ
)
に
漂
(
ただよ
)
ふ世の人を、
509
なお
霊
(
ひ
)
に見
なお
し
詔
(
の
)
り
なお
す。
510
神の
大道
(
おほぢ
)
に導きて、
511
世人
(
よびと
)
救
(
すく
)
ひてヒマラヤの、
512
山より高く名を上げて、
513
二度目の
神代
(
かみよ
)
の
種
(
たね
)
と成り、
514
万代
(
よろづよ
)
までも世の人の、
515
救ひの神と鳴り渡る、
516
言霊の道
尊
(
たふと
)
とけれ。
517
[#図 ノアとナオの方舟]
518
お
ちこちの寺の
金仏
(
かなぶつ
)
、
金道具
(
かなだうぐ
)
、
519
釣鐘
(
つりがね
)
までも
鋳潰
(
いつぶ
)
して、
520
御国
(
みくに
)
を守る
海陸
(
うみくが
)
の、
521
軍
(
いくさ
)
の備へに
充
(
あ
)
つる世は、
522
今
眼
(
ま
)
のあたり迫り来て、
523
多具理
(
たぐり
)
に成ります
金山
(
かなやま
)
の、
524
彦の
命
(
みこと
)
の
御代
(
みよ
)
と
化
(
な
)
り、
525
下
(
しも
)
国民
(
くにたみ
)
の
持物
(
もちもの
)
も、
526
金気
(
かなけ
)
の物は
金火鉢
(
かなひばち
)
、
527
西洋釘
(
せいやうくぎ
)
の
折
(
を
)
れまでも、
528
御国
(
みくに
)
を守る物の
具
(
ぐ
)
と、
529
造り代えても
足
(
た
)
らぬまで、
530
迫り来るこそ
歎
(
うた
)
てけれ。
531
く
に
挙
(
こぞ
)
り
上
(
うへ
)
は
五十路
(
いそぢ
)
の
老人
(
をひと
)
より、
532
下
(
しも
)
は三五の若者が、
533
男
(
をのこ
)
、
534
女
(
をみな
)
の
別
(
わか
)
ち無く、
535
坊主も
耶蘇
(
やそ
)
も
囚人
(
めしうど
)
も、
536
戦争
(
いくさ
)
の
庭
(
には
)
に立つ時の、
537
巡
(
めぐ
)
りくるまの遠からず、
538
遠津
(
とほつ
)
御神
(
みかみ
)
の造らしし、
539
御国
(
みくに
)
を守る
兵
(
つは
)
ものと、
540
日本心
(
やまとごころ
)
を
振起
(
ふりおこ
)
し、
541
伊都
(
いづ
)
の
雄猛
(
をたけ
)
び踏み
健
(
たけ
)
び、
542
厳
(
いづ
)
のころびを
起
(
おこ
)
しつつ、
543
海
往
(
ゆ
)
かば水
潜
(
く
)
しかばね山
往
(
ゆ
)
かば、
544
草
生
(
む
)
す
屍
(
かばね
)
大君
(
おほぎみ
)
の、
545
御為
(
みため
)
に死なむ
徒
(
いたず
)
らに、
546
閑
(
のど
)
には死なじ
一足
(
ひとあし
)
も、
547
顧
(
かへり
)
みせじと
弥進
(
いやすす
)
み、
548
いや
迫
(
せま
)
りつつ山の尾に、
549
追伏
(
おひふ
)
せ散らし川の瀬に、
550
追払
(
おひはら
)
ひつつ
仇軍
(
あだいくさ
)
、
551
服従
(
まつろ
)
え
和
(
やは
)
して浦安の、
552
御国
(
みくに
)
を守れ
秋津人
(
あきつびと
)
、
553
現津御神
(
あきつみかみ
)
と
大八洲
(
おほやしま
)
、
554
国
(
くに
)
知食
(
しろしめ
)
す
天皇
(
すめらぎ
)
の、
555
高き恵みに
酬
(
むく
)
へかし、
556
日本
(
やまと
)
島根
(
しまね
)
の神の
御子
(
みこ
)
。
557
や
すみしし
吾
(
あが
)
大君
(
おほきみ
)
の
高光
(
たかひか
)
る、
558
天津日嗣
(
あまつひつぎ
)
の日の
御子
(
みこ
)
の、
559
聖
(
ひじり
)
の
御代
(
みよ
)
の明らけく、
560
大
(
ひろ
)
く
正
(
ただ
)
しぎ
大御代
(
おほみよ
)
は、
561
都
(
みやこ
)
もひなも
押並
(
おしな
)
べて、
562
恵みの
露
(
つゆ
)
の
隈
(
くま
)
も無く、
563
草の
片葉
(
かきは
)
に至るまで、
564
高き
稜威
(
みいづ
)
を仰ぐ世の、
565
六年
(
むとせ
)
の秋の
末
(
すゑ
)
つ頃、
566
四尾
(
よつを
)
の山の
佐保姫
(
さほひめ
)
も、
567
錦
(
にしき
)
の
機
(
はた
)
を織りなして、
568
四方
(
よも
)
の景色の
麗
(
うらら
)
かに、
569
牡鹿
(
をしか
)
妻
(
つま
)
呼ぶ時もあれ、
570
御国
(
みくに
)
の光り
照妙
(
てるたへ
)
の、
571
綾
(
あや
)
の
錦
(
にしき
)
の
山里
(
やまざと
)
に、
572
御国
(
みくに
)
の母とあを雲の、
573
雲路
遙
(
はるか
)
に
掻別
(
かきわ
)
けて、
574
民
(
たみ
)
の
蚕飼
(
こかひ
)
の
事業
(
なりはひ
)
を、
575
嘉
(
よみ
)
し給ひて
天降
(
あも
)
り
坐
(
ま
)
す、
576
大御恵
(
おほみめぐみ
)
を嬉しみて、
577
遠き国より近きより、
578
老
(
おい
)
も若きも
押並
(
おしな
)
ベて、
579
御影
(
みかげ
)
を拝む
国民
(
くにたみ
)
の、
580
道も
狭
(
せ
)
きまで
群集
(
うごなは
)
り、
581
伊迎
(
いむか
)
い
奉
(
まつ
)
る
真心
(
まごころ
)
は、
582
嬉し涙に
紅
(
くれなゐ
)
の、
583
赤きもみぢの
柏手
(
かしはで
)
の、
584
高き
稜威
(
みいづ
)
を仰ぐなり。
585
千早振
(
ちはやふる
)
神代
(
かみよ
)
も聞かず
丹波路
(
たにはぢ
)
に、
586
斯
(
かか
)
るためしもあら
尊
(
たふ
)
と、
587
君
(
きみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
のあなかしこ、
588
賢
(
かし
)
こき
御代
(
みよ
)
に
生
(
お
)
ひ
出
(
いで
)
し、
589
此上
(
こよ
)
なき
幸
(
さち
)
に
大本
(
おほもと
)
の、
590
神に仕ふる
王仁
(
ひろちか
)
が、
591
御空
(
みそら
)
を仰ぎ
地
(
つち
)
に伏し、
592
身の
賤
(
しづ
)
けきも
打忘
(
うちわす
)
れ、
593
心の限り身の限り、
594
今日の
行啓
(
みゆき
)
を
祝
(
ほ
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る。
595
ま
が
津霊
(
つひ
)
の
猛
(
たけ
)
き
荒
(
すさ
)
びに奥山の、
596
紅葉
(
もみぢ
)
の色も光り
浅
(
あ
)
せ、
597
鳴く鹿の
声
(
こゑ
)
悲しくて、
598
錦
(
にしき
)
織り成す
佐保姫
(
さほひめ
)
の、
599
頭
(
かみ
)
も
真白
(
ましろ
)
に
成相
(
なりあひ
)
の、
600
山に連なる
大江山
(
おほえやま
)
、
601
鬼の鼻より
吹降
(
ふきお
)
ろす、
602
冷たき風に
遠近
(
をちこち
)
の、
603
木々の
稍
(
こずえ
)
も
皆
(
みな
)
散りて、
604
行衛
(
ゆくゑ
)
も知らず
真木
(
まき
)
の葉の、
605
東
(
ひがし
)
の空に舞ひ狂ひ、
606
狂ひ
還
(
かへ
)
りて四ツ尾の、
607
山に
黒雲
(
くろくも
)
天
(
そら
)
を
蔽
(
お
)
ひ、
608
世の大本を
見下
(
みおろ
)
せど、
609
古き
神代
(
かみよ
)
の昔より、
610
隠れ
坐
(
ま
)
したる
艮
(
うしとら
)
の、
611
神の
稜威
(
みいづ
)
に
退
(
やら
)
はれて、
612
あと
白雲
(
しらくも
)
となりにけり。
613
け
がれたる
斯
(
この
)
世の中を
如何
(
いか
)
にせむ、
614
誠の神の
御教
(
みをし
)
へを、
615
家をも身をも
打忘
(
うちわす
)
れ、
616
朝な夕なに
一筋
(
ひとすじ
)
に、
617
心を尽し身を尽し、
618
筑紫の
果
(
はて
)
も
東路
(
あづまぢ
)
も、
619
至らぬ
隈
(
くま
)
も無き迄に、
620
教へ
諭
(
さと
)
せど食う物と、
621
衣
(
き
)
るより
外
(
ほか
)
に
心
(
こころ
)
無き、
622
心
(
こころ
)
卑
(
いや
)
しきけだものの、
623
角
(
つの
)
振つ立て
反対
(
さかしま
)
に、
624
力限りに攻め
来
(
きた
)
り、
625
救ひの
綱
(
つな
)
も
切
(
き
)
れ
切
(
ぎ
)
れに、
626
何と
詮方
(
せんかた
)
なく
斗
(
ばか
)
りなり。
627
ふ
る
里
(
さと
)
に老ひたる母を振り残し、
628
御国
(
みくに
)
に尽す
益良夫
(
ますらを
)
の、
629
心の空は
五月暗
(
さつきやみ
)
、
630
暗き
斯世
(
このよ
)
を
照
(
てら
)
さむと、
631
千々
(
ちぢ
)
に思ひを砕きつつ、
632
二十年
(
はたとせ
)
余りて
惟神
(
かんながら
)
、
633
神の
御教
(
みのり
)
を伝へつつ、
634
治まる
御代
(
みよ
)
を
待乳山
(
まつちやま
)
、
635
山郭公
(
やまほととぎす
)
血も
涸
(
か
)
れて、
636
呼ぶ声さへも
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
の、
637
人の心の
鞍馬山
(
くらまやま
)
、
638
深山
(
みやま
)
に
猛
(
たけ
)
き
狼
(
おほかみ
)
の、
639
古巣
(
ふるす
)
を
潜
(
くぐ
)
り
蛇
(
へみ
)
むかで、
640
蜂
(
はち
)
の
室屋
(
むろや
)
に
幾度
(
いくたび
)
か、
641
投げ入れられて
猶
(
なほ
)
も又、
642
針の
蓆
(
むしろ
)
に
居
(
すは
)
りつつ、
643
袖
(
そで
)
は涙の
三瀬川
(
みつせがは
)
、
644
渡りあぐみし丸木橋、
645
生命
(
いのち
)
を掛けて
渡会
(
わたらえ
)
の、
646
宮に
坐
(
まし
)
ます
皇神
(
すめかみ
)
の、
647
稜威
(
いづ
)
に
開
(
ひら
)
けし大本は、
648
斯世
(
このよ
)
の中の
大橋
(
おほはし
)
と、
649
遠き近きの
別
(
わか
)
ち無く、
650
問ひ
来
(
く
)
る迄に進みしは、
651
清
(
きよ
)
き
和泉
(
いづみ
)
の
住
(
すみ
)
の
江
(
え
)
の、
652
神に仕へし
生神
(
いきがみ
)
の、
653
小松林
(
こまつばやし
)
の
勲功
(
いさを
)
なり。
654
こ
きうすき色は
変
(
かは
)
れど
紅葉
(
もみぢば
)
の、
655
聞
(
きこ
)
えも高き
高尾山
(
たかをやま
)
、
656
峰の
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
に
照妙
(
てるたへ
)
の、
657
綾
(
あや
)
と
錦
(
にしき
)
を織り成して、
658
世人
(
よびと
)
の為に歌はれし、
659
其
(
その
)
装
(
よそほ
)
ひも夢の
間
(
ま
)
に、
660
寒き木枯し吹き
荒
(
すさ
)
び、
661
元の姿もあらし山、
662
嵐の跡の淋しさは、
663
この世の
遷
(
うつ
)
り
変
(
かは
)
り行く、
664
神の誠の
黙示
(
しらせ
)
なり。
665
省
(
かへり
)
み
覚
(
さと
)
れ
浮世人
(
うきよびと
)
、
666
世の行末も
眼
(
ま
)
のあたり、
667
花咲く春の
来
(
きた
)
る迄、
668
神の恵みに
冬小森
(
ふゆこもり
)
、
669
心を尽し身を尽し、
670
常磐
(
ときは
)
の春の
長閑
(
のどか
)
なる、
671
御代
(
みよ
)
松
(
まつ
)
ごころ持てよ世の人。
672
え
らまれし人のみ住める神の世は、
673
戦ひも無く
暗
(
やみ
)
も無く、
674
苦しみ迷ふ人も無く、
675
饑
(
う
)
え
凍
(
こご
)
えたる人も無き、
676
天
(
あめ
)
明
(
あきら
)
けく
地
(
ち
)
豊
(
ゆた
)
に、
677
見る人
毎
(
ごと
)
に
神心
(
かみごころ
)
、
678
曲津
(
まがつ
)
の潜む
蔭
(
かげ
)
も無し。
679
齢
(
よはひ
)
も長く
病
(
やまひ
)
無く、
680
眼
(
まなこ
)
涼しく
顔
(
かほ
)
清く、
681
現世
(
うつつ
)
幽界
(
かくりよ
)
隔
(
へだ
)
て無く、
682
澄み渡りたる世の中に、
683
残る
身魂
(
みたま
)
の楽しけれ。
684
て
る
妙
(
たへ
)
の綾部の
里
(
さと
)
の
鬼村
(
おにむら
)
は、
685
人が
倒
(
こ
)
けよが
斃
(
たを
)
れうが、
686
我
(
わ
)
れさえ良けりや
宵
(
よひ
)
の
口
(
くち
)
、
687
酒呑
(
してん
)
童子
(
どうじ
)
のさかさまに、
688
神の
教
(
をしへ
)
も聞かばこそ、
689
弱いと見れば人
呑
(
の
)
みに、
690
因縁
(
いんねん
)
付けて
酒
(
さけ
)
買はし、
691
貧しき家をば呑み
潰
(
つぶ
)
す、
692
鬼と
大蛇
(
だいじや
)
の極悪の、
693
本宮村
(
ほんぐうむら
)
ぞ
憐
(
あは
)
れなる。
694
あ
らたうと神の
御教
(
みのり
)
の深くして、
695
計
(
はか
)
り知られぬ
味
(
あじは
)
ひは、
696
この世
開
(
ひら
)
けし初めより、
697
今に至りて
変
(
かは
)
り無く、
698
千々
(
ちぢ
)
に心を砕きつつ、
699
青人草
(
あをひとぐさ
)
を
愛
(
いつ
)
くしみ、
700
陰
(
かげ
)
に
陽
(
おもて
)
に守らいて、
701
罪に
穢
(
けが
)
れし
空蝉
(
うつせみ
)
の、
702
からの
身魂
(
みたま
)
を救ひ上げ、
703
神代
(
かみよ
)
乍
(
なが
)
らの
霊主肉従
(
ひのもと
)
の、
704
神の
御国
(
みくに
)
を
立
(
たて
)
よこの、
705
二柱神
(
ふたつのかみ
)
が現はれて、
706
二度目の天の岩戸をば、
707
開
(
ひら
)
く日本の梅の花、
708
四方
(
よも
)
に薫りて
鶯
(
うぐひす
)
の、
709
谷の戸
開
(
あ
)
けて
初春
(
はつはる
)
の、
710
鳴く
音
(
ね
)
に
優
(
まさ
)
るあはれさを、
711
只
(
ただ
)
白雪
(
しらゆき
)
の世の人の、
712
解
(
と
)
けぬ
霊魂
(
みたま
)
を
眼
(
ま
)
のあたり、
713
眺
(
なが
)
めて忍び玉の井の、
714
底
(
そこ
)
ひも知らぬ
皇神
(
すめかみ
)
の、
715
深き
御心
(
みこころ
)
汲み取りて、
716
清
(
きよ
)
まり澄むを松の
代
(
よ
)
の、
717
楽しき時ぞ待ち玉ふ、
718
いづの
御魂
(
みたま
)
の
畏
(
かし
)
こけれ。
719
さ
か
孔子
(
くじ
)
も悟り得ざりし
真理
(
まさこと
)
を、
720
覚
(
さと
)
す
高天
(
たかま
)
の大本に、
721
参来
(
まゐき
)
集
(
つど
)
ひて
類
(
たぐひ
)
無き、
722
神の
御教
(
みのり
)
を
聞人
(
きくひと
)
の、
723
身の
幸
(
さち
)
こそは
芽出度
(
めでた
)
けれ。
724
曲津
(
まがつ
)
の
猛
(
たけ
)
き世の中に、
725
心
(
こころ
)
平らに安らかに、
726
勇みて
暮
(
くら
)
す
信徒
(
まさびと
)
の、
727
心の奥は
真寸鏡
(
ますかがみ
)
、
728
光り輝き
天地
(
あめつち
)
に、
729
貫
(
つらぬ
)
き
徹
(
とほ
)
す
赤心
(
まごころ
)
の、
730
苔
(
つぼみ
)
の花の
開
(
ひら
)
く世は、
731
千年
(
ちとせ
)
の松の末長く、
732
朽
(
くち
)
ぬ宝は
万代
(
よろづよ
)
に、
733
生き
死
(
しに
)
生
(
うま
)
れ死に
生
(
うま
)
れ、
734
限り無き身も
魂線
(
たましひ
)
も、
735
栄え栄えて
皇神
(
すめかみ
)
の、
736
恩頼
(
みたまのふゆ
)
を
蒙
(
かかぶ
)
りて、
737
誠の栄えと
歓
(
よろこび
)
は、
738
月日
(
つきひ
)
と共に続くなり。
739
き
みの為
御国
(
みくに
)
の為に身を忘れ、
740
家をも
捨
(
すて
)
て尽す身は、
741
俸給
(
てあて
)
も
位階
(
くら
)
も何も無く、
742
世人
(
よびと
)
の足に
踏
(
ふま
)
れつつ、
743
臣
(
をみ
)
たる道に
勤
(
いそし
)
みて、
744
心の限り身の限り、
745
筑紫の
端
(
はて
)
も
東路
(
あづまぢ
)
も、
746
南も北も
厭
(
いと
)
ひ無く、
747
神の
教
(
をしへ
)
を敷島の、
748
底津岩根
(
そこついはね
)
に
搗固
(
つきかた
)
め、
749
上津岩根
(
うはついはね
)
に
突凝
(
つきこら
)
し、
750
千代
(
ちよ
)
万世
(
よろづよ
)
の
礎
(
いしずえ
)
を、
751
科戸
(
しなど
)
の風の
福知山
(
ふくちやま
)
、
752
一宮
(
いつきう
)
神社
(
やしろ
)
の
氏
(
うぢ
)
の子の、
753
桐村氏
(
きりむらうじ
)
の
珍
(
うづ
)
の
娘
(
こ
)
と、
754
生
(
うま
)
れ給ひし
我
(
わが
)
開祖
(
みおや
)
、
755
綾部
神宮
(
しんぐう
)
の
坪
(
つぼ
)
の
内
(
うち
)
、
756
神の
出口
(
でぐち
)
の家に
嫁
(
い
)
り、
757
世の
艮
(
うしとら
)
に
隠身
(
すみきり
)
し、
758
国常立
(
くにとこたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
に、
759
久しき
間
(
あひだ
)
撓
(
たゆ
)
み無く、
760
仕へ給ひし
勲功
(
いさほし
)
の、
761
花咲き実る
御代
(
みよ
)
と成り、
762
世人
(
よびと
)
の為に
竭
(
つく
)
さるる、
763
教御祖
(
をしへみおや
)
ぞ
畏
(
かし
)
こけれ。
764
ゆ
み
張
(
はり
)
の月の光はやましろの、
765
鞍馬
(
くらま
)
の山に輝やけど、
766
教御祖
(
をしへみおや
)
の
御心
(
みこころ
)
は、
767
乱れたる世を治めんと、
768
千々
(
ちぢ
)
の
思
(
おもひ
)
に
村肝
(
むらきも
)
の、
769
心の空も
懸曇
(
かけくも
)
り、
770
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
の星の
遠近
(
をちこち
)
と、
771
深山
(
みやま
)
の奥に
杖
(
つえ
)
を
曳
(
ひ
)
き、
772
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
うち
)
に
差籠
(
さしこも
)
り、
773
斯世
(
このよ
)
を乱す
鼻高
(
たかがみ
)
を、
774
言向和
(
ことむけやは
)
し治めんと、
775
柴
(
しば
)
の
褥
(
しとね
)
に雲の
笠
(
かさ
)
、
776
石の枕も
厭
(
いと
)
ひ無く、
777
四人
(
よたり
)
の
伴
(
とも
)
を
引連
(
ひきつれ
)
て、
778
善言美詞
(
みやびことば
)
の
神嘉言
(
かむよごと
)
、
779
心を
籠
(
こめ
)
て
宣給
(
のりたま
)
ふ、
780
其
(
その
)
勲功
(
いさほし
)
に
八衢
(
やちまた
)
の、
781
醜
(
しこ
)
の
曲霊
(
まがひ
)
も
服従
(
まつろ
)
ひて、
782
十五の月の有明に、
783
鞍馬の山を
立出
(
たちいで
)
て、
784
綾
(
あや
)
の
高天
(
たかま
)
へ
復命
(
かへりごと
)
、
785
申
(
まを
)
し
奉
(
まつ
)
りし
大僧正
(
たかつかみ
)
、
786
数多
(
あまた
)
の
下神
(
しもがみ
)
引き
連
(
つれ
)
て、
787
本宮山
(
ほんぐうやま
)
に
鎮
(
しづま
)
りつ、
788
神の
御国
(
みくに
)
に尽さむと、
789
誓ひを
立
(
たて
)
し
高神
(
たかがみ
)
の、
790
言葉を
栞
(
しほ
)
に帰り
坐
(
ま
)
し、
791
百
(
もも
)
と
十日
(
とうか
)
の
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
、
792
一間
(
ひとま
)
を閉ぢて
入
(
い
)
り給ひ、
793
世の神々に
神言
(
かんごと
)
を、
794
宣
(
の
)
らせ給ひし
畏
(
かし
)
こさよ。
795
め
しま
男島
(
をしま
)
の
荒海原
(
あらうなばら
)
を、
796
神の
御言
(
みこと
)
を
畏
(
かし
)
こみて、
797
明治は三十三年の、
798
六月
(
むつき
)
八日
(
やうか
)
の
未明
(
あさまだき
)
、
799
上田
(
うへだ
)
海潮
(
かいちやう
)
出口
(
でぐち
)
寿美
(
すみ
)
、
800
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいざう
)
木下
(
きのした
)
の、
801
慶太郎
(
けいたらう
)
四人
(
よたり
)
を
引連
(
ひきつれ
)
て、
802
雨風
(
あめかぜ
)
強く
浪
(
なみ
)
猛
(
たけ
)
き、
803
底さへ知れぬ
海原
(
うなばら
)
を、
804
小さき舟に身を任せ、
805
勇み進んで
出給
(
いでたま
)
ふ、
806
教御祖
(
をしへみおや
)
の雄々しさに、
807
波路
(
なみぢ
)
半ばを渡る頃、
808
海の
御神
(
みかみ
)
も驚きて、
809
御空
(
みそら
)
を
晴
(
はら
)
し風を
和
(
な
)
ぎ、
810
波を静めて
心
(
うら
)
安
(
やす
)
く、
811
送り給ひし尊とさよ。
812
神代
(
かみよ
)
の遠き昔より、
813
竜宮島
(
りうぐうじま
)
と
聞
(
きこ
)
えたる、
814
大海原
(
おほうなばら
)
の
無人島
(
ひとつじま
)
、
815
波打
(
なみうち
)
寄
(
よす
)
る磯の
辺
(
べ
)
に、
816
小舟
(
こぶね
)
を
繋
(
つな
)
ぎ
静々
(
しづしづ
)
と、
817
上
(
のぼ
)
り給へば
百鳥
(
ももとり
)
の、
818
声を限りに
鳴叶
(
なきさけ
)
び、
819
迎え
奉
(
まつ
)
りし時も
在
(
あ
)
れ、
820
若狭の海の波の
上
(
うへ
)
に、
821
漂
(
ただよ
)
ひ
上
(
のぼ
)
る
天津日
(
あまつひ
)
の、
822
御蔭
(
みかげ
)
も
最
(
いと
)
と
麗
(
うらら
)
かに、
823
日の出の神の
御姿
(
みすがた
)
を、
824
天地
(
あめつち
)
四方
(
よも
)
に
光
(
てら
)
しつつ、
825
神の出口の
出修
(
いでまし
)
を、
826
諾
(
うべな
)
ひ給ふ心地して、
827
神の
御告
(
みつげ
)
の
業
(
わざ
)
も
了
(
を
)
へ、
828
翌
(
あく
)
る十日の夕暮に、
829
月を
頭
(
かしら
)
に星を踏み、
830
世継王
(
よつわう
)
の山の麓なる、
831
大本指して帰り
坐
(
ま
)
す、
832
出口
御祖
(
みおや
)
の勇ましさ。
833
み
づ清き
金竜海
(
きんりうかい
)
の島々は、
834
日
出
(
いづ
)
る国の
雛形
(
ひながた
)
と、
835
祝ひ
定
(
さだ
)
めて築きたり。
836
日
出
(
いづ
)
る国の日の本は、
837
全く世界の雛形ぞ。
838
神倭磐余
(
かむやまといはれ
)
の
君
(
きみ
)
が大和なる、
839
火々真
(
ほほま
)
の岡に登り
坐
(
まし
)
。
840
蜻蛉
(
あきつ
)
の
臀甞
(
となめ
)
せる国と、
841
詔
(
のら
)
せ給ふも
理
(
ことはり
)
や。
842
我
(
わが
)
九州は
亜弗利加
(
あふりか
)
に、
843
北海道は北米に、
844
台湾島は南米に、
845
四国の島は濠州に、
846
我
(
わが
)
本州は広くして、
847
欧亜大陸
其儘
(
そのまま
)
の、
848
地形を
止
(
と
)
むるも
千早振
(
ちはやふる
)
、
849
神代
(
かみよ
)
の古き昔より、
850
深き
神誓
(
ちかひ
)
の
在
(
いま
)
すなり。
851
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
中津国
(
なかつくに
)
、
852
秋津根別
(
あきつねわけ
)
の
神国
(
かみくに
)
は、
853
世界を
統
(
す
)
ぶる
天職
(
かむわざ
)
を、
854
神代
(
かみよ
)
乍
(
なが
)
らに
具
(
そな
)
へたる、
855
珍
(
うづ
)
の
御国
(
みくに
)
ぞ
美
(
うま
)
し国、
856
国の
真秀良場
(
まほらば
)
畳並
(
たたなは
)
る、
857
青垣山
(
あをがきやま
)
に囲まれし、
858
綾
(
あや
)
の
錦
(
にしき
)
の
本宮
(
もとみや
)
に、
859
斯世
(
このよ
)
を
統
(
す
)
ぶる
皇神
(
すめかみ
)
の、
860
御稜威
(
みいづ
)
も高く
四方
(
よも
)
の国、
861
輝き渡る
兄
(
こ
)
の花の、
862
咲耶
(
さくや
)
この
時
(
とき
)
言霊の、
863
照
(
て
)
るや
斯時
(
このとき
)
畏
(
かし
)
こくも、
864
皇大神
(
すめおほかみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を、
865
顕
(
あら
)
はし
奉
(
まつ
)
れ大本の、
866
下津岩根
(
したついはね
)
に集まれる、
867
心
(
こころ
)
優しき神の
御子
(
みこ
)
。
868
し
き
島
(
しま
)
の大和島根の
礎
(
いしずえ
)
と、
869
神の
選
(
えら
)
みし
益良夫
(
ますらを
)
の、
870
清き
身魂
(
みたま
)
と
駿河
(
するが
)
なる、
871
不二の
御山
(
みやま
)
に
宮柱
(
みやはしら
)
、
872
太知
(
ふとしり
)
立
(
たて
)
て
鎮
(
しづま
)
りし、
873
木花咲哉
(
このはなさくや
)
姫神
(
ひめがみ
)
の、
874
御言
(
みこと
)
の
随
(
まま
)
に
丹波路
(
たにはぢ
)
に、
875
天駆
(
あまかけ
)
り
来
(
こ
)
し
芙蓉坊
(
ふえうぼう
)
、
876
瑞
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
神代
(
かみしろ
)
を、
877
明治は三十一年の、
878
雪まだ残る
如月
(
きさらぎ
)
の、
879
十日の
夜半
(
よは
)
に奥深き、
880
高熊山に連れ
行
(
ゆき
)
て、
881
神の
御詔
(
みのり
)
を宣べ伝へ、
882
神の柱と
経緯
(
たてよこ
)
の、
883
錦の
機
(
はた
)
を織らさむと、
884
心
(
こころ
)
づくしの
兄
(
こ
)
の神の、
885
教
(
をしへ
)
の
甲斐
(
かひ
)
や
有明
(
ありあけ
)
の、
886
月を合図に
穴太
(
あなう
)
なる、
887
宮の
傍
(
かたへ
)
の
宮垣内
(
みやかいち
)
、
888
賤
(
しづ
)
が
伏屋
(
ふせや
)
に帰り行く、
889
神の
経綸
(
しぐみ
)
の
奇
(
くし
)
びなれ。
890
ゑ
らまれし神の柱の甲斐も無し、
891
早
(
はや
)
二十年
(
はたとせ
)
を
過
(
すぎ
)
ぬれと、
892
神の
依
(
よさ
)
しの
神業
(
かんわざ
)
の、
893
万
(
よろづ
)
の中の一つさへ、
894
為し遂げ得ざる
苦
(
くる
)
しさに、
895
千々
(
ちぢ
)
に
砕
(
くだ
)
くる
村肝
(
むらきも
)
の、
896
心の空は
五月暗
(
さつきやみ
)
、
897
袖
(
そで
)
に涙の
晴間
(
はれま
)
なく、
898
御国
(
みくに
)
に尽す
赤心
(
まごころ
)
を、
899
雲井
(
くもゐ
)
に
告
(
つげ
)
よ
時鳥
(
ほととぎす
)
、
900
玉の
御声
(
みこゑ
)
を
待乳山
(
まつちやま
)
、
901
姿隠して泣き渡るなり。
902
ひ
さ
方
(
かた
)
の
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
に照る月は、
903
昔も今も
変
(
かは
)
らねど、
904
変り果たる
現世
(
うつしよ
)
の、
905
人の心を悲しみて、
906
夜
(
よ
)
は
寝
(
ね
)
もやらず
只
(
ただ
)
一人、
907
加茂の川辺に
彷徨
(
さまよひ
)
つ、
908
月に誓ひを
掛巻
(
かけまく
)
も、
909
恐
(
かしこ
)
き神の
御国
(
みくに
)
をば、
910
元の
神代
(
かみよ
)
に
還
(
かへ
)
さんと、
911
乙女心
(
をとめごころ
)
の
一筋
(
ひとすぢ
)
に、
912
思ひ
浮
(
うか
)
ベて
行水
(
ゆくみづ
)
の、
913
流れに沈む
月影
(
つきかげ
)
は、
914
波に
砕
(
くだ
)
けて
果敢
(
はか
)
なくも、
915
年
(
とし
)
も十五の
朝野子
(
あさのこ
)
が、
916
御国
(
みくに
)
を思ふ
赤心
(
まごころ
)
の、
917
行
(
や
)
る
瀬
(
せ
)
無きこそ
憐
(
あは
)
れなり。
918
も
とと
末
(
すゑ
)
内外
(
うちと
)
の
法
(
のり
)
を
過
(
あやま
)
たず、
919
御国
(
みくに
)
の為に身を忘れ、
920
家を忘れて
惟神
(
かむながら
)
、
921
神の
大道
(
おほぢ
)
を
辿
(
たど
)
りつつ、
922
審神者
(
さには
)
の道に
勤
(
いそ
)
しみて、
923
諸々
(
もも
)
の
身魂
(
みたま
)
を
夫
(
そ
)
れ
夫
(
ぞ
)
れに、
924
立別
(
たてわ
)
け調べ
神国
(
かみくに
)
の、
925
柱を造る
益良雄
(
ますらを
)
の、
926
道の
審神者
(
さには
)
は
経
(
たて
)
と
緯
(
よこ
)
、
927
相
(
あひ
)
並ばして
葦原
(
あしはら
)
の、
928
醜
(
しこ
)
の
仇草
(
あだくさ
)
薙払
(
なぎはら
)
ひ、
929
祓ひ清めて国
造
(
つく
)
り、
930
吾
(
あが
)
大君
(
おほきみ
)
に
奉
(
たてまつ
)
る、
931
厳
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
神勅
(
かみごと
)
を、
932
謹
(
つつし
)
み
恐
(
かしこ
)
み
弥遠
(
いやとほ
)
に、
933
弥広
(
いやひろ
)
らかに伝へ行く、
934
心は清き
和知川
(
わちがは
)
の、
935
瑞
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
と現はれて、
936
世人
(
よびと
)
を救ふ
神柱
(
みはしら
)
の、
937
誉
(
ほま
)
れは
世々
(
よよ
)
に
流
(
なが
)
る也。
938
せ
まり
来
(
く
)
る国の乱れを治めむと、
939
御国
(
みくに
)
を思ふ
大丈夫
(
ますらを
)
が、
940
活動
(
はたら
)
く
時機
(
とき
)
を松の世の、
941
国の
鎮
(
しづ
)
めと
木花
(
このはな
)
の、
942
咲耶
(
さくや
)
の姫の
活動
(
はたらき
)
は、
943
千代に八千代に動きなき、
944
深き
経綸
(
しぐみ
)
を
駿河湾
(
するがわん
)
、
945
富士より高き
久方
(
ひさかた
)
の、
946
天津御祖
(
あまつみおや
)
の日の
御子
(
みこ
)
の、
947
御稜威
(
みいづ
)
を
四方
(
よも
)
に輝かし、
948
神の
御徳
(
みとり
)
を
刈碁母
(
かりごも
)
の、
949
乱れ
果
(
はて
)
たる武蔵野に、
950
布
(
しき
)
て迷へる
百姓
(
みたから
)
を、
951
彼方
(
かなた
)
の岸に渡さむと、
952
一つ心に
大元
(
おほもと
)
の、
953
教
(
をしへ
)
に尽す
赤心
(
まごころ
)
は、
954
天
(
あめ
)
の
児屋根
(
こやね
)
や
太玉
(
ふとたま
)
の、
955
神の
御魂
(
みたま
)
の
御幸
(
みさち
)
なり。
956
長田
(
ながた
)
に植えし
種物
(
たなもの
)
は、
957
大宜都姫
(
おほげつひめ
)
の
御幸
(
みさち
)
はひ、
958
世人
(
よびと
)
の
生命
(
いのち
)
弥長
(
いやなが
)
に、
959
守らせ給ふ
豊受
(
とようけ
)
の、
960
深き
恵
(
めぐみ
)
は伊勢の海、
961
山田の宮の奥深き、
962
神の
経綸
(
しぐみ
)
の
一柱
(
ひとはしら
)
、
963
五伴緒
(
いつとものを
)
の
厳御魂
(
いつみたま
)
、
964
瑞能御魂
(
みづのみたま
)
の清くして、
965
雲井
(
くもゐ
)
に
上
(
のぼ
)
る
十四夜
(
いざよひ
)
[
※
一般には「十六夜」を「いざよい」と読むが霊界物語を始め王仁三郎の文献には「十四夜」を「いざよい」と読ませている場合がある。
]
の、
966
月も
隈
(
くま
)
無く照り渡り、
967
曙
(
あけ
)
の
烏
(
からす
)
の勇ましく、
968
天津御空
(
あまつみそら
)
に日の神の、
969
輝き渡り日の
御子
(
みこ
)
の、
970
鎮
(
しづま
)
り
坐
(
いま
)
す
高御座
(
たかみくら
)
、
971
千代に八千代に限り無く、
972
射照
(
ゐてり
)
徹
(
とほ
)
らす
天
(
あめ
)
の
下
(
した
)
、
973
四方
(
よも
)
の国々
平
(
たひ
)
らけく、
974
治
(
をさま
)
る
御代
(
みよ
)
の
豊栄
(
とよさか
)
の、
975
瑞穂の国ぞ尊とけれ。
976
す
みきりし
国常立
(
くにとこたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
の、
9761
神勅
(
みこと
)
畏
(
かし
)
こみ
謹
(
つつ
)
しみて、
9762
明治の廿五年より、
9763
一つ心に仕へたる、
9764
教御祖
(
をしへみおや
)
の
神教
(
みをしへ
)
に、
9765
服
(
まつ
)
ろひ
尽
(
つく
)
す
真人
(
まなひと
)
が、
9766
幽
(
かげ
)
より
顕
(
おも
)
に
懸巻
(
かけまく
)
も、
9767
恐
(
かし
)
こき神の造らしし、
9768
御国
(
みくに
)
の
汚
(
けがれ
)
清
(
きよ
)
めむと、
9769
二十年
(
はたとせ
)
余りて言霊の、
977
学びに
心
(
こころ
)
砕
(
くだ
)
きつつ、
9771
息艮放両火脹与
(
いろはにほへと
)
血濁緯濁縦
(
ちりぬるを
)
、
9772
輪搦与玉濁水火
(
わかよたれそ
)
続根凝濁水渦巻
(
つねならむ
)
、
9773
浮水火清水起降文向
(
うゐのおくやま
)
差別吹凝胞衣発
(
けふこえて
)
、
9774
空水割別和回月始
(
あさきゆめみし
)
搦回日諸瀬洲
(
ゑひもせす
)
、
9775
京の
都
(
みやこ
)
の
九重
(
ここのへ
)
の、
9776
花咲く春を松の
代
(
よ
)
に、
9777
四十余
(
よそまり
)
八文字
(
やもじ
)
の
生御魂
(
いくみたま
)
、
9778
揃へて
四方
(
よも
)
の国々を、
9779
ミロクの
御代
(
みよ
)
に進めむと、
978
尽す
日本
(
やまと
)
の
雄心
(
をごころ
)
は、
9781
一つに
成
(
なり
)
て
金竜
(
きんりう
)
の、
9782
生島々
(
いくしまじま
)
の
神社
(
かむやしろ
)
、
9783
中にも
別
(
わ
)
けて
大八洲
(
おほやしま
)
、
9784
天の岩戸の頂きに、
9785
真木
(
まき
)
の柱の
弥高
(
いやたか
)
く、
9786
梅の
薫
(
かほ
)
り
芳
(
かむ
)
ばしく、
9787
小松林
(
こまつばやし
)
の
弥繁
(
いやしげ
)
く、
9788
秋の
紅葉
(
もみぢ
)
の
錦
(
にしき
)
織
(
お
)
り、
9789
澄渡
(
すみわた
)
りたる
十四夜
(
いざよひ
)
の、
979
月に心を
照
(
てら
)
しつつ、
9791
神霊鎮座
(
みたましづめ
)
の
大祭典
(
まつりごと
)
、
9792
秋の田の
面
(
も
)
に
稔
(
みの
)
りたる、
9793
千五百
(
ちいほ
)
の秋の
八束穂
(
やつかほ
)
や、
9794
山海
(
やまうみ
)
河野
(
かはぬ
)
種々
(
くさぐさ
)
の、
9795
御饌
(
みけ
)
献
(
たてまつ
)
り
一向
(
ひたすら
)
に、
9796
今日の
生日
(
いくひ
)
を祝ひつつ、
9797
八雲
(
やくも
)
の琴の
音
(
ね
)
も清く、
9798
天
(
あめ
)
に
座
(
ます
)
神
(
かみ
)
国つ神、
9799
千五百万
(
ちいほよろづ
)
の
神等
(
かみたち
)
も、
980
集
(
あつま
)
まり
坐
(
ま
)
して
賑敷
(
にぎはしく
)
、
9801
御祭
(
みまつ
)
り
終
(
を
)
へし
勲功
(
いさほし
)
は、
9802
世の大本に
信従
(
まつろひ
)
し、
9803
清
(
きよ
)
き
身魂
(
みたま
)
の
撓
(
たゆ
)
み無く、
9804
道に尽せし報ひぞと、
9805
代々
(
よよ
)
に伝へて
芳
(
かん
)
ばしく、
9806
咲哉
(
さくや
)
木
(
こ
)
の
花
(
はな
)
春の空、
9807
時代
(
みよ
)
の栄へも
弥広
(
いやひろ
)
く、
9808
誉
(
ほまれ
)
も
竜
(
たつ
)
の宮の
棟
(
むね
)
、
9809
十曜
(
とよう
)
の紋のキラキラと、
981
月日
(
つきひ
)
に照りて
照妙
(
てるたへ
)
の、
9811
綾部に
錦
(
にしき
)
飾
(
かざ
)
る世を、
9812
松間
(
まつま
)
の長き鶴の首、
9813
亀の
齢
(
よはひ
)
の
万世
(
よろづよ
)
の、
9814
固めの
基
(
もと
)
と
素盞嗚
(
すさのう
)
の、
9815
須賀の
新宮
(
にいみや
)
八雲立
(
やくもたつ
)
、
9816
出雲
八重垣
(
やへがき
)
妻
(
つま
)
ごみに、
9817
八重垣
(
やへがき
)
造る八重垣を、
9818
瑞穂の国の
中国
(
なかくに
)
の、
9819
天皇
(
すめらみこと
)
の
大稜威
(
おほみいづ
)
、
982
四方
(
よも
)
に
轟
(
とどろ
)
く
八雲琴
(
やくもごと
)
、
9821
其
(
その
)
音
(
ね
)
も清く
澄渡
(
すみわた
)
り、
9822
天地
(
あめつち
)
四方
(
よも
)
に響きけり。
983
京
浪花
(
なには
)
東京
駿河
(
するが
)
大和路
(
やまとぢ
)
に、
9831
神の柱を
配置
(
まくばり
)
て、
9832
二度目の天の岩屋戸を、
9833
開
(
ひら
)
く
常磐
(
ときは
)
の松の代の、
9834
国常立之
皇神
(
すめがみ
)
は、
9835
古き
神代
(
かみよ
)
の
初発
(
はじめ
)
より、
9836
隠身
(
すみきり
)
坐
(
ま
)
して
幽世
(
かくりよ
)
と、
9837
現
(
うつ
)
つの国の
身魂
(
みたま
)
をば、
9838
最
(
い
)
と
詳細
(
つばらか
)
に
取調
(
とりしら
)
ベ、
9839
天津
御祖
(
みおや
)
の大神に、
984
奏
(
まを
)
し給ひて
畏
(
かし
)
こくも、
985
ミロクの神代に造らむと、
986
思
(
おもひ
)
は胸に
三千年
(
みちとせ
)
の、
987
溢
(
あふ
)
れて
茲
(
ここ
)
に
神柱
(
かみはしら
)
、
988
出口
開祖
(
みおや
)
の
身体
(
からたま
)
に、
989
鎮
(
しづま
)
り
坐
(
まし
)
て
万世
(
よろづよ
)
の、
990
国の固めの
神勅
(
かみこと
)
を、
991
或
(
あるひ
)
は
口
(
くち
)
に
或
(
ある
)
は手に、
992
写して
世人
(
よひと
)
導
(
みちび
)
きつ、
993
曲
(
まが
)
の
集
(
つど
)
へる
大江山
(
おほえやま
)
、
994
鬼も
大蛇
(
をろち
)
も
言向
(
ことむ
)
けて、
995
三段
(
みみた
)
に
分
(
わか
)
てる
身魂
(
みたま
)
をば、
996
目鼻
(
めはな
)
を附けて安らけき、
997
常磐
(
ときは
)
の
御代
(
みよ
)
を
待乳山
(
まつちやま
)
、
998
鳴く
郭公
(
ほととぎす
)
血も
涸
(
かれ
)
て、
999
叫び給ふぞ尊とけれ。
9991
(大正六年十一月三日)
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