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随筆『神霊界』大正9年1月21日号掲載

インフォメーション
題名:随筆『神霊界』大正9年1月21日号掲載 著者:
ページ:82 目次メモ:
概要: 備考:史料集成には出典が1月20日号とあるが1月21日号の間違い。 タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :B195502c110711
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]神霊界 > 大正9年1月21日号(第103号)【臨時号】 > 随筆
 何人の作にや。此頃綾部の月見新地を始め近村に至るまで左記大本に関する俗歌が流行つて居る事を耳にしましたから茲に不取敢、紹介して置ます。
  日本で綾部が中心で  名所も数々ある内に  近頃はやる大本教
  その名も高い三重の塔  五月の鯉の吹き流し  涙で這入つて来い
  笑ふて出よ  バイのバイのバイ
 右俗歌には綾部が日本の中心地点であつて、三重の高閣黄金閣の立派な事を謳つて居る。そして世間一般の人々が煩悶苦悩も大本教に入信して一拭され、天賦の使命を各人が自覚し欣喜雀躍して帰ると曰ふ真実が現はれて居る。
 只少し気に喰はないのは「五月の鯉の吹き流し」と云へる一節であるが、是は江戸ツ児の気性を謳つたものとすればやや首肯される点もある。宵越の金を持たぬ昔の江戸ッ児の様に真に皇道大本は少しも貯金などは為ない。信者の喜捨金は右から左へ諸般の工事や費用に宛てられ、一夜もお金さんの宿泊された事は無いのである。併し乍ら惟神の御摂理と云ふものは不思議なもので今日まで二十有余年の間に渉り、金が余つた事も無ければ又た余り債鬼に責められた事も無くして神界の御経編は遅滞なく進防して来たのは、全く神々の洪大無辺なる御稜威と忠実熱心なる役員信者諸氏の注意周到なる後援に由る事と深く感謝する次第であります。近時綾部地方に流行の俗歌を聞くに付け所感を述べたに過ぎませぬバイのバイのバイ。
 現代の混乱腐敗を根底より改革せむとするには、到底現今行はるる宗教の権力では駄目と曰ふ事は平素吾人の主張する所であるが、去りとて現今の教育の権力でも到底駄目である。第一に今日の教育なるものは根底から方針を誤まつて居る。畏くも明治天皇が我々国民に降し給へる教育大勅語と陸海軍人に給はつた御勅諭と戊申の詔書とを国民教育の基礎として国民を指導しなければ到底外来の悪思潮を防衛する事は不可能である。上は大中学より下は尋常小学校に至るまで右三箇の御詔勅の真義を頭の中に浸み込ませ無ければ何時まで教育に努力しても毫末も効能は現はれない。
 三種の神器にも相当すべきは右三箇の御詔勅であると拝察し奉る。本年の流行性感冒は余程猛烈を極めて居る。就ては其伝染を防ぐ為にマスクを使用せぬ者は電車に乗る事を禁ずると云ふ府県令が出たり、全国に防疫官が派遣されると曰ふ大騒ぎで在るが、マスクの使用も結構かも知れぬが、夫れよりも日本国民は精神をマスクに持ち変ヘてマスクな惟神の大道を歩めば決してそんな猛悪な風邪神に征服される気遣ひは無いのである。マツソンの流感に罹つた連中が敬神尊皇の大義を忘れて了つて、不健実な害国思想に心酔して居ると終には神を軽んじ、大君の大恩を忘れ、悪神に乗ぜられて大切な生命までも抹損せなければ成らぬやうになるので在る。一月十五日の大朝の報ずる処に依ると、大阪中央電信局で日々殺到する沢山の電報の中から京都神戸奈良地方に送信した五千四百通を抜いて其用件の統計を取つて見た所が、驚く可し一割八分は流感で「危篤だ」「死んだ」と云ふ通知、殊に不思議なのは今年は女の感染が多く、右一割八分の大部分は女の危篤や死亡の通知であつたと云ふ。「東海姫氏国、風の神様までが女を慕はつしやると見へる新らしい婦人方に一つ排斥運動でも行つて貰はにや堪らむ」云々と出てあつた。吾人は大本神諭を反覆熟読して倍々神の力依らねば成らぬ事を深く感ぜざるを得ないのである。又た大阪では十五万人の小学生徒が一時に学校を休んで、マスクを面部に当て居る。全然六道の辻をさまよう亡者の精神に成つて悪神を撃退するが目下の最大急務である。又たマスクは国音「魔好く」に通ずるものである。
(「神霊界」大正九年一月二十一日号)
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