霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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負笈

インフォメーション
題名:負笈 著者:出口王仁三郎
ページ:453
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-30 20:57:00 OBC :B119300c103
二十八歳の春
(とき)をりは心の(こま)の狂ひたちて神うらめしくなりし(われ)かな
山に野に桜は春とにほへるにわれつれなくも花にわかるる
神様は春の()を吹く山風(やまかぜ)かものいふ花を散らしたまへり
この若き日をいたづらに天地(あめつち)の神にささぐとおもへば(をし)
果敢(はか)なきは()が身なるかな花の春をよそに眺めて(みそぎ)()るる
村人(むらびと)のそしり(あざけ)り雨のごと浴びつつ春は(むな)しく()れゆく
稗田野(ひえだの)大石(おほいし)(をう)を訪れてわが身のさまをつぶさに語りぬ
大石(おほいし)(をう)耳かたむけて聞き(をは)双手(もろて)()ちて()かしたといふ
四面楚歌に包まれし(われ)(こと)()(ただ)一言(ひとこと)にうべなひし(をう)
静岡の師匠の(もと)(もう)()よと旅費ととのへて渡したる(をう)
おもはざる大石(おほいし)(をう)の後援にわれいさみ立ち旅の用意す
(とき)はこれ明治は三十一年の四月十五のあさのたびだち
穴太(あなを)より三屋(みつや)喜右衛門(きうゑもん)ともなひて花の大枝(おほえ)の山を越えゆく
()の道を辿(たど)りたどりて朝六時京都駅にわれ着きにけり
山国(やまぐに)に育ちたる身は二十八の春はじめての汽車に乗りたり
(あし)おそき普通列車もはじめての旅にしあれば速きにおどろく
静岡の駅より汽車を乗換(のりか)へて江尻(えじり)の駅にあした下車せり
ぶらぶらとかばんかたげて下清水(しもしみづ)長沢(ながさは)(をう)(たち)()ひにけり
富士(ふじ)()雲表(うんぺう)高く(そび)ゑ立ちて()が修行をむかふる思ひす
(はなし)のみ聞きたる富士の高嶺(たかね)見てその崇高さに(あき)れたたずむ
松岡(まつをか)天狗使神(ししん)送りし山神(やまがみ)(かし)こさ胸にひしひしせまり()
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