霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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丑刻

インフォメーション
題名:丑刻 著者:出口王仁三郎
ページ:474
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2025-03-12 03:06:43 文字数:693 OBC :B119300c107
二十八歳の春
大空(おほぞら)の雲晴れゆきてかうかうと月光池(いけ)の面(おも)をてらしぬ
月光を幸ひ彼女の後(あと)を追ひ稲荷の社ある算木山(さうきやま)にのぼる[※「算木山」は磐榮稲荷宮が鎮座する安行山の別名。西山とも呼ぶ。]
算木山(さうきやま)の松の木蔭(こかげ)に身をひそめ彼女の様子うかがひ居(ゐ)たりき
彼(か)のをんな稲荷の社(やしろ)の前にたち嗄(しはが)れごゑにて心経(しんきやう)を読む
頭髪を振りみだしつつ三本の蝋燭(らふそく)頭に照らすすごさよ
頭には蝋燭(らふそく)胸に鏡かけ鋏(はさみ)をもつてかがみ打ちならす
打ち鳴らす鏡の音のものすごさ身の毛もよだつばかりなりけり
彼(か)のをんな汗だくだくに絞りつつ半時(はんどき)ばかり心経(しんきやう)を読む
心経(しんきやう)を終(をは)ればかたへの笠松(かさまつ)の幹(みき)にむかつて釘(くぎ)を打ちこむ
わが男(をとこ)うばひし未(ひつじ)の年(とし)の奴(やつ)悩めたまへといのりつ釘(くぎ)打つ
未年(ひつじどし)と聞いて吾(わ)が胸とどろきぬ吾(わ)れも未(ひつじ)の年なればなり
右(みぎ)の手に金槌(かなづち)をもち左手(ゆんで)には五寸釘もちほほゑむ凄さよ
青白き女の面(おも)のいやらしさこの世のものとは思へざりけり
これこそはまさしく丑(うし)の刻(こく)詣(まゐ)りと思へば肌(はだ)に粟(あは)の生(しやう)ずる
形相のそのすさまじさ見るに堪(た)へず吾(わ)が髪の毛は逆立ちにけり
○
この女辺(あたり)きよろきよろ見回して人(ひと)臭(くさ)きかなと口走(くちばし)りけり
水さへも眠れる丑(うし)の刻(とき)詣(まゐ)り見つけたるもの無きかと狂ふ
残念やああ口惜(くちを)しや百日の修行も水の泡(あわ)といひて狂ふ
ちくちくと吾(わ)がかたはらに迫り来(く)る女の姿たまらず逃げ出す
逃げてゆく吾(わ)が後姿(うしろで)を追ひきたる女の足は速(はや)かりにけり
追つつきてかぶりつかんとする刹那(せつな)身を躍(をど)らして池に飛び込む
さすがにも女なりけり青青(あをあを)と水湛(たた)へたる池には追はず
榛(はん)の木の根株(ねかぶ)に片手をかけながら首だけ出してふるひ居(ゐ)たりき
キヤーキヤーキヤーコンコンクワイクワイいやらしき声をしぼりて怪女(くわいぢよ)かけゆく
修行する身ながら夜半(よは)に独り見る怪女(くわいぢよ)の姿は恐ろしかりける
大池(おほいけ)の水は浪(なみ)立ち冷(ひ)えびえとわれに迫りて物凄(ものす)ごき夜(よ)なり
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