霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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墓地

インフォメーション
題名: 著者:
ページ:
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: 文字数: OBC :B119300c108
二十八歳の春
彼(か)の女(をんな)遠く去れるを見すまして濡(ぬ)れ鼠(ねづみ)の吾(わ)れ池はひ上(あが)る
青(あを)くさの萌(も)ゆる堤(つつみ)に濡衣(ぬれぎぬ)を圧搾しつつこころさびしも
何者かあとを追ひ来る心地して静(しづ)ごころなき池の辺(べ)の夜半(よは)
ひやひやと肌ざはり悪(わる)き濡衣(ぬれぎぬ)を身にまとひつつしばし佇(たたず)む
右やせん左やせんとしばしの間(ま)池の堤(つつみ)に腕組みてたつ
○
彼(か)の女(をんな)逃げゆきし道の何となく心わるさに左にすすむ
大池(おほいけ)の南の土堤(どて)を東(ひがし)して進めど吾(わ)が足おぼつかなきも
ゆけどゆけど谷(たに)あひの道九十九折(つくもをり)松吹く風にも心おののく
こんなことで神の修行がなるものかと心の駒(こま)をたてなほす夜更(よふ)け
○
薄暗き杉むらの蔭にちよろちよろと白き行燈(あんど)に灯(ひ)のともりをり
この道をゆかねばならず是非なくも灯(ひ)のある方(かた)に近づきにけり
もそろもそろ近づき見れば旅籠町(はたごまち)神道(しんだう)教師の新墓(にひはか)なりけり
一(ひと)つ灯(び)にてらせば白木(しらき)の霊牌(れいはい)に某訓導(くんだう)の墓としるせり
道をゆく裳裾(もすそ)にさはる近き辺(べ)に墓のあるこそいまはしかりけり
春の夜(よ)は明けやすけれど何故(なにゆゑ)か今宵(こよひ)の夜半(よは)の長きに苦しむ
草萌(も)ゆる細き一筋道(ひとすぢみち)ゆきて吾(わ)れ幾(いく)たびかつまづき倒れぬ
何時(いつ)の間にか肌(はだ)暖(あたた)かになりにけりわがころもでは乾き果てねど
谷道の月は尾の上(へ)にかたむきてあたりをおそふ闇の薄幕(うすまく)
黎明(れいめい)の空を眺めて天津日の尊きことをしみじみ思へり
地獄より天国さして昇りたる心地したりぬ黎明(れいめい)の空に
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