霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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町屋の葛藤

インフォメーション
題名:町屋の葛藤 著者:
ページ:167
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 18:51:00 文字数:1362 OBC :B129900c35
生魂(いくたま)の神に詣でて浪速路(なにはぢ)のわが道宣布(せんぷ)の幸(さち)を祈りぬ
天津日(あまつひ)は早(は)や西空(にしぞら)に傾きて森吹く風の涼しき浪速(なには)
くろぐろと天をこがして煙突の煙は風にかたなびきつつ
水煙(すゐえん)の都の夏の夕暮(ゆふぐれ)をわれ生魂(いくたま)に神言(かみごと)宣(の)りぬ
浪速(なには)なる産土神(うぶすながみ)の生魂(いくたま)社(しや)に祈れば心清(すが)しくなりぬ
娘の祈願
大前(おほまへ)にひざまづき祈る女ありわれはしばしを佇(たたず)み見てをり
松本の家(いへ)はいづくと尋(たづ)ぬればわが隣(とな)りよといらへ言(ごと)宣(の)る
何事の祈願なるかとわが問へばたらちねの父は病めりとて泣く
汝(な)が父の病をわれは癒(なほ)さむとてもなく宣(の)れば女はうなづく
この女未(いま)だ二八(にはち)の若ざかり腕車(わんしや)をやとひてわか家(や)に導く
ブラツシ屋
谷町(たにまち)の九丁目の角(かど)のブラツシ屋に腕車(わんしや)のかぢは下(おろ)されにけり
この女少(すこ)しく腰をかがめながらここがわが家(や)と案内(あない)をなしけり
どことなく熱臭(くさ)きにほひ鼻をつき直ちに憑霊(ひようれい)のわざとさとりぬ
この方(かた)は生魂(いくたま)神社にて出会ひたる神様ですよと母に告(つ)げをり
ともかくも御祈願(ごきぐわん)たのむと母親は座蒲団(ざぶとん)布(し)きて坐(ざ)を乞ひにけり
神前(しんぜん)はいづくと問へば我が家(いへ)は真宗(しんしう)なれば神なしと答(こた)ふ
神様を祈るは雑行(ざふぎやう)雑修(ざつしゆ)なれば教へにそむけどやむを得ずといふ
憑霊
病床にわれ近づけば重態の男おどろき床(とこ)はね起きぬ
動かれぬ重病人が突然にはねおきたるに家人(かじん)はおどろく
病人をすわらせ神言(かみごと)奏上し審神(さには)をすれば泣き出しにけり
ひげ面(づら)の男が泣き出すあはれさをいたはり静かに問ひはじめたり
その方(はう)は何者なるかと詰(なじ)り問へば私は狐と泣きつつ答ふる
その奥にゐるは何者とまた問へば桑名(くはな)の弟憑(つ)いてゐるといふ
死霊
この親父血相(けつさう)変へてうなり出し佐吉(さきち)佐吉(さきち)と叫び出しけり
五年前この家(や)を飛び出し桑名(くはな)にて失敗したる佐吉(さきち)の霊(れい)といふ
佐吉『他郷(たきやう)にて重き病にかかりしを電報打てども来て呉れぬうらみ
 このうらみ晴らすは兄の生命(せいめい)を奪ふに如(し)かずと思ひて憑(つ)きたり』
女房は聞くより声を荒立(あらだ)てて佐吉(さきち)あんまりとねめつけてをり
お前さんに金(かね)を使はれこの家(いへ)はそのため貧乏したとて怒(いか)る
憑霊(ひようれい)は女房の顔をねめつけて後妻(ごさい)の身分でだまれとねめつく
後妻(ごさい)でもこの家(や)の女房かまふなと負けずおとらずいさかふ女房
家内(かない)中(ぢう)つき殺さねばおかぬぞと佐吉(さきち)の霊は雄たけび狂ふ
鎮魂
女房を納得させて憑霊(ひようれい)に数歌(かずうた)のればやはらぎにけり
茶臼山(ちやうすやま)一心寺(いつしんでら)の境内にわれをまつれば鎮まるといふ
佐吉『祀るのがいやなら祀つて貰ふまい家(いへ)を断絶させるばかりよ』
佐吉(さきち)さんそらあんまりと女房がすすり泣きする状(さま)のあはれさ
十六の娘のきく子は後(うしろ)べに団扇(うちわ)かざしてわれをあふぎをり
一心寺(いつしんでら)に祀る相談ととのへば佐吉(さきち)の霊は納まりにけり
狐の霊
まだ一つ野狐(のぎつね)の霊を追ひ出すと鎮魂すればとび上(あが)りたり
ぶくぶくと病人の体(からだ)を玉(たま)ごろのかけめぐるたび痛み苦しむ
玉ごろをわが霊(れい)もちて追ひ出せば右(みぎ)親指の爪より出(い)でたり
憑霊(ひようれい)はウイローのごとくやはらかく見るみる卵(たまご)のごとくなりたり
つかまむとすれば敏(さと)くも玉ごろは門口(かどぐち)さしてころげ出したり
僧形の霊
折りもあれ一人の若者門(かど)のべを通れるを見てとりつきにけり
若者は狐(きつね)の霊(れい)にとりつかれ心狂(くる)ひてかけ出しにけり
をりもあれ僧形(そうぎやう)二人現(あら)はれて眼(まなこ)怒(いか)らしわれにかみつく
真宗(しんしう)の坊主の霊魂(れいこん)怒(いか)り立ち悩ましくれむと左右(さいう)より迫る
神言(かみごと)を奏上すれば僧の霊(れい)は次第次第に消え失せにけり
親族の真宗(しんしう)信者つぎつぎに来(きた)りてわれを追ひ出さむといふ
病人を救ひ助けてあべこべに追ひ出されたる宣伝の一日(ひとひ)
一夜(ひとよ)さを死霊(しれい)と狐の霊魂(れいこん)にかかりて夏の夜(よ)あけわたりけり
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