ただー人内藤正照はわれとともに大阪市中の宣伝をなす
大阪市の稲荷下しをことごとく内藤伴ひしらべ廻れり
三百余の稲荷下しを審神してまことの取次無きにあきれし
六ケ月大阪市中の稲荷下げをしらべて廻るをかしさ楽しさ
山口ふじ
大阪北区紅梅町の稲荷下げ山口ふじの教会に行く
無学なる山口ふじの神憑いと面白く狸の目をむく
山口は狸に憑依されてをりされど宣り言百発百中
内藤と山口両家に止宿して大阪市中の宣伝につとむる
侠客入信
島の内の夷重兵衛松本嘉兵衛両人ともに侠客なりけり
炭本の親戚にあたる両人はわが説く教に帰順なしたり
炭本の住家は大阪島の内諏訪町二十四番地なりけり
炭本の家に頼まれ数十日とまりて布教宣伝をなす
炭本の館にあれば侠客の山田嘉兵衛氏入信なしたり
山田氏は八十余名の乾分らを引つれ来り入信を乞ふ
大阪市に侠名はせたる夷重兵衛信仰せむと朝夕通ふ
炭本の館に霊学会仮本部を設けて諸人に道を説きたり
山田氏の紹介によりて侠客の団熊親分入信なしたり
つぎつぎに侠客連の入信ありて竹島竹五郎まで加はれり
伏見町の信者の安田種次郎は小林佐兵衛を伴ひ来る
つぎつぎにあらくれ男入信し侠客連にて本部をひらけり
野心家の妨害
折もあれ野崎宗長御牧治三郎肩臂怒らし入り来りたり
宗長や御牧は互ひに吾がためによからぬことを信者にとけり
大本は誠の教上田氏は曲津の教とののしり散らす
御開祖にそむきて綾部を飛び出せし上田の教を聞くなといきまく
宗長も御牧も野心満満たり有力信者を私有せむとして
綾部にて妨害せられ園部にて又邪魔せられ此処でもつぶさる
質朴な侠客連は一人減り二人三人日に日にへりゆく
大本を追ひ出されたる人の教聞くなと野崎はさまたげまわれり
やむを得ず内藤方に出でゆけば四五の信徒喜び迎ふる
内藤の館にしばし休らひて浪速の町に道ときにけり