第一に綾部の様子さぐらむと高谷理太郎氏聖地にむかふ
高谷氏の消息いかにと待ちをれば三日目の夕べ帰り来れり
溝口は高谷の姿見るよりも様子いかにとあせり問ひたり
意外の報告
高谷氏は顔をしかめておもむろに綾部役員の言を語れり
高『上田氏は四ツ足魂綾部をば投り出されしと聞いて来ました
そのやうな人を相手になすなれば神罰覿面成就せぬと聞く
ともかくも本部に信用無き人は相手にできぬやめたらどうです
大本といつても小さい破ら家に婆さんが拝んでゐるばかりです
気狂ひのやうな信者が二三人わけのわからぬ事ばかりいふ
綾部では気狂屋敷の化物と一人も相手にするものは無し
気狂ひに愛想つかされ逃げて来る様なお方は信用できぬ』
色々と綾部役員の罵りをそのまま移し語る高谷氏
分裂
一同は事の意外の報告にあきれてわが顔見つむるのみなり
弁解をするも詮なし惟神とわれは黙して笑ひゐたりき
溝口は大いに怒り軍人の家には置かぬとわれを追出す
溝口と高谷をのぞきし三人は内藤方にわれを連れ行く
溝口と高谷の言を憤慨し内藤は一人で道ひらくと叫ぶ
天王寺愛染坂の内藤が館に四人協議をはじむる
黒葛原は中立となり池田氏は腰定まらず不離不即の態