霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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(十六)

インフォメーション
題名:(十六) 著者:浅野和三郎
ページ:114
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2025-01-24 22:22:00 OBC :B142400c33
 日によりて奇蹟もかたまつて来るものと見え、(ひき)つづいて鎮魂をやると、又もや全然予想外なことが起つた。
 二度目の鎮魂には出口先生が、(みづか)ら進んで審神者(さには)の役を引受けられ、妻と、他に二三人が神主となり、自分は見物役といふことになつた。審神者(さには)となると(おのづか)気骨(きぼね)(をれ)て、肩が凝るやうに感ずるものだが、見物となると(はなは)だ気楽だ。幾分か手品でも見て居るやうに『何か()と珍らしい事でも起りさうなものだ』位の事を考へて居る。
『天之御中主大神様、高皇産霊神様、神皇産霊神様……』と式の如く低声(こごゑ)に神名を唱へ、やがて先生の癇高(かんだか)の声は、次第に加はる夜の静粛を破つて厳かに『()()()()──』と神歌を繰返す。助手の田中氏が(わき)の方で石笛を吹く。外には万籟(ばんらい)(みな)鳴りを鎮めて、只折ふし軍港の方で小蒸汽(こじようき)の汽笛が思ひ出したやうに響く位のもの。斯うなると鎮魂には大変具合が()い。矢張り鎮魂は夜中(やちう)に限るやうだ。
 神主は何れも静かで動くものも(しやべ)るものもなかつた。が、審神者の出口先生の模様が目立つて変調を呈して来た。いつの間にやら其両眼は閉ぢられて了ひ、(いささ)反気味(そりぎみ)になつて、軽く動揺するさまは決して尋常ではない。
『オヤオヤ先生はまさか仮睡(ゐねむり)を始めたのではあるまい』
と思ふ折しもあれ『うむ!』と底力のある、しかし低いうめきと同時に、その十九貫の肉体は、膝組みの姿勢を一分一厘崩しもせず、ゴム(まり)のやうに室中に約三尺(ばか)り飛び(あが)つた。同時に其双肩(さうけん)にかけられたる長髪は黒雲(くろくも)のやうにぱつと虚空に散り、(はかま)(すそ)も高く(ひるがへ)る。
『オヤツ!』と驚いて、眼を見張る間もなく、
『ドシン!』
 地響き打つて先生の肉体は元の位置に落着かれた。
 吃驚(びつくり)したのは自分をはじめ、他に居合わせた人々だつた。先生の眼は依然として元の如くとざされ、その動揺の状態も、その反身(そりみ)の姿勢も依然としてかはることなく、今し跳び(あが)つたことなどは、一切自身には気がつかぬ様子に見受けられた。
『こりや先生自身が神懸りになつて了つたナ』と自分は(おく)(ばせ)(やうや)く気がつく。
 其後(そのご)自分は先生が神懸り状態に於て跳び上つたのを三度許り拝見した。最も高かつたのは四尺位であつたらうと思ふ。先生の(ほか)にも霊がかかると跳び上る人は屢々(しばしば)ある。現在大本に居る篠原海軍大尉なども、修業の初期に於ては必ず一尺位は跳び上つたものだ。出口先生の修業の初期にありてはそれどころでなく、屢次(しばしば)頭で天井板を突き抜いたさうで、其(あと)は現在大本内の一室に幾箇か残つて居る。又時には対坐して居る人の頭の上を幾度も続け(さま)に跳び(こし)たものであるさうな。しかし何と言つても、高跳びのチヤンピオンは先生の実弟の中沢さんで、鎮魂すれば必ず家棟(やのむね)に飛んで行つて、片手で逆立ときまつて居たさうである。一度も実見せぬ人にはまるで嘘見たやうにしか思はれない。
 兎に角(うま)れて初めて、かかる意外の光景に接した自分は、(すくな)からず驚異の念に打たれて了つた。一体(これ)から()うなるのだらうと、多少心配にもなつて来た。すると此時先生の唇は(おもむろ)(ひら)いて、何等(よど)みない、極めてはつきりした調子で言葉が切れ出した。
小松林(こまつばやしの)(みこと)出口王仁(わに)に神憑りして神歌を詠む』
 自分は電光石火的に机の上の鉛筆を()い取り、在り合はせの紙を()べたと思ふ間もなく、可なり早い句調で神歌が唱へ出された。
大君(おほぎみ)のよはあぢさゐの(なな)がはりかはりし(のち)ぞしらうめの花』
 常に二度づつ繰り返されるので筆記するにさして困難はない。
『みよしのに()ざくらひめのかがやきておほうちやまにむらさきのくも』
 (ほか)にも三首ほどあつたが、今は思ひ出せない。機会があつたら何れ披露する事にもしよう。何れも世の立替立直しに関する暗示に充ちた歌ばかりであつた。兎に角何等(なんら)考へる余地も何もなく、一首又一首、すらすらと水の流るる如く、(くち)を突いて出るには、実に驚き()る。これも実況を知らぬものには到底(うそ)見たやうにしか思はれぬに相違ない。帰神(かみがかり)中の歌は作るのではなく、神の作つたものが只出る(だけ)だ、高級の神歌となると、咳唾(がいだ)(みな)(たま)を成すのだから実に驚く。出口先生が一晩に百首二百首の神歌を出されるのは決して珍らしくない。其様な場合の先生は言はば一の写字生(しやじせい)のやうなものである。
 先生の帰神(かんがかり)状態は約二十分間にして()んだ、やがて先生は自分が筆記した歌を見られながら、
『ははアこんなものが出ました。矢張り肉体で作るよりは幾らか(うま)い。しかし私は()うも霊がかかり易うてかなはん。鎮魂するのだか、されるのだが判りやせん』と言つて笑はれた。
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