王仁三郎の日誌も押収
大本教の捜査続く
【綾部電話】大本事件大検挙を第三日の十日朝来綾部警察署は永岡京都府保安課長、五十嵐綾部署長等総指揮の下に百五十名の警官が徹底包囲せる大本本部の警戒を愈固めて去る八日以来祥雲閣、一聖殿、新祭殿を始め大本幹部栗原白嶺(60)等の家宅捜査その他によつて押収したる文書、軸物、刀剣、書籍類等を数百個のビール箱に入れトラツク二台に積んで京都検事局に送り、一方亀岡天恩郷内における大本総統出口王仁三郎氏の居住せる月宮殿の一室から総統手許の現金二万円を日誌と共に押収した、総統の日誌は有力な証拠書類となる模様である
【亀岡電話】検索第三日目の天恩郷は引続き京都地方検事局鈴木上席、小野思想主任の両検事指揮の下に十日朝来捜査を進め大部分の証拠物件をトラツクで京都へ運搬したが一方安生館及び寄宿舎に禁足されてゐた男女奉仕者百数十名は一応の取調を受けた上帰郷を許され続々引揚げつつあり、百余名の警官が寒風吹きすさぶ星空の下に検挙以来三日間満足な休息さへとらず警戒に当つてゐる