王仁さんスタコラ
カメラの襲撃に取り乱す
けふ刑務所へ転居
【京都電話】前日起訴され京都五条、中立売両署預けとなつてゐた出口王仁三郎以下六名は十四日中京区刑務支所に収容された王仁三郎はまづ午前八時過ぎ武内五条署長から収容の旨を伝へられると署長を始め係員に「色々お世話になりました」と丁寧に頭を下げた、午前九時半特高課高橋警部が拘引状と六結社解散命令とを携へて留置場に入り、王仁三郎に対して解散命令を伝達した、この時分から五条署の前は非常な混雑を呈し午前十時護送の自動車が用意せられ衆人注視の裡に重々しく開かれた留置場からノソリと出て来た王仁三郎は普段着のままで鉄無地紬黒無地羽二重の羽織を引掛け、フエルト草履を穿き胡麻塩九の丸刈頭に黒ベロアのソフトを冠つてゐた、血色の好い顔も流石に興奮して堅く口を結び、ヂロリと辺りを見廻してゐたが一斉に向けられたカメラの放列に急に狼狽の色を見せてコソコソと小走りにうつむき乍ら自動車の中に駆込み面をふせた、護送自動車は黒山のやうに群つた市民の好奇の視線を浴び乍ら京都地方検事局に送られた、かくて検事局三階の小野主任検事の室で午前十一時拘留訊問が済んで拘留状を執行され検事局の裏からこつそり刑務所に収容された
一方中立売署に留置中の東尾、高木、岩田、桜井、井上、吉野も護送され午後一時全部の送局を完了拘置訊問を終り順次拘引状を執行され検事局から中京区刑務支所へ悉く収容された