君ケ代は千代万代に栄えませと新春の朝を産土にいのる
御開祖の植ゑおかれたる白藤は熊野神社の左右に茂れり
御開祖の二男出口清吉氏の山よりとり来し藤なりにけり
須知山の野生としては珍らしき紫ならず白き花なり
この藤の栄えとともに綾部町神都になれと開祖祈らす
白藤が栄えば綾部はよくなりて末は都と皇神の神勅
綾部町は藁ぶきばかり街道に大根などを干し並べあり
秋されば綾部の町は稲のもみ街路の上に干しならべをり
荷車と人力車のみ馬車もなくさびれきりたる綾部町なりし
郡是製糸いまだ小さく二棟の製糸工場悄然とたてり
綾部町目ぬきの場所の一坪がわづか五円で売買されをり
羽室氏が主幹なしたる一万円の明瞭銀行あるばかりなり
その頃は田舎町にて四百余戸のさびれ果てたる綾部なりけり
大本と郡是製糸の発展にともなひ二千余戸となりたり
現今の綾部の町にくらぶれば天地霄壌の相違なりけり
かかる田舎に神の都が出来るかと疑ふばかり寂しかりけり
御開祖の神示のごとく現今の綾部はほとんど都会となりけり
小雲川かかれる橋も低うして出水のたびに流れたりけり
見わたせば右もひだりも桑園の肥料くさき町小さき町なり
綾部にてもつとも大なる建物は馬場の天理教会なりけり
天理教会建物敷地ことごとく今は大本用地となれり
天理教会われ訪ひゆけば教会長は金神さんかと鼻であしらふ
山も田も畑地も家も売り払ひひろい教会建ててゐるなり
綾部町の出口栄造われをみて教会一つ無いかとあざける
狂乱の婆婆に従ふやうな奴が教会たたぬは当然と笑ふ栄造
栄造は綾部丹陽教会に出入なせる基教の信者なり
大本を馬鹿にしてゐる基教徒は貧乏人とわれをあざける
キリストの牧師は綾部大本を迷信よばはりしつつ侮る
白波瀬弥平金助伝平口ぐちに山子婆さんと悪言をはく
本宮には気狂屋敷が出来たりと梅原その他の嘲り強し
製紙には欠損をする田地売る相手にならぬが良いと云ふ村
豊助の夫に死なれて直さんがヒスに成つたと金助笑ふ
金助は日蓮宗の信者なり朝夕太鼓を打ちて祈れり