御開祖の実兄桐村清兵衛氏は福知山より来たりて遊べり
清兵衛氏の長男桐村源三は破産のために家売りて来たる
そのために居所がなく清兵衛氏は吾が大本に寄食してをり
源三は役員たちの迷信に愛想尽かして神を信ぜず
源三も吾が大本に寄食して役員たちを罵りをるなり
わが説はうべなひをれど源三は信者たらむとは為さざりにけり
清兵衛帰幽
清兵衛氏突然中風をわづらひて言語不明の状態となりぬ
半年を病の床に臥しにつつわが居宅にて清兵衛氏は帰幽せり
御開祖の実兄なれば吾もまた一入心用ゐてなぐさめぬ
清兵衛氏は吾が親切に涙して顔見るごとに合掌したりき
品格の良き翁にて世間学によく通じたる人なりにけり
御開祖は兄清兵衛に打ち向ひ神の教を説き給ひけり
世間学に通じたれども信仰の道にはうとき老爺なりけり
勧むれど諭せど縁なき衆生には済度し難きものと吾思へり
御開祖も遂にあきらめ給ひしか清兵衛氏には道説き給はず
奥都城
親族や役員たちが集りて天王平にはうむりにけり
一の瀬の天王平に大本の墓を造れる初めなりける
その後は天王平を信徒の奥津城どころと定めたりける
大本の奥津城どころは御開祖のみうちなりしも神慮なるらむ
伊猛る役員
菖蒲咲く頃なりにけり又しても盲信連は吾を苦しむ
わが床の瓶にさしたる菖蒲見て醜しとて投げ捨て行けり
海潮は花の心よ外国の魂といひつつ罵り合へり
筆先を声高高と読みたててわが病む枕のもとに呶鳴れり
風邪引きて頭を痛め臥してをれば改心せよと伊猛る役盲
筆先を読まぬが故に天罰の当りしものと吾に迫り来
筆先を読むで聞かしてこの病直して上げると枕辺に囁く
銅羅声無性矢鱈にふりたてて病になやむ吾を困らす
筆先を読めば読むほど吾が頭痛みはげしく堪へられずをり
筆先を聞いて頭が痛むとは正しく悪魔の所為と笑へり
素尊排斥
小松林変性女子の肉体を早く去れよとわめくをかしさ
をかしさにわれ吹き出せば役盲は狸が憑いて笑うたといふ
役盲に怒れば悪魔が居るといひ笑へば狸と誤解するなり
おこられず又笑はれず黙しをれば小松林が逃げたとほざくも
素盞嗚尊と聞けば驚きて力限りに排斥するなり
大本は善悪鏡の出る所といひつつ吾を悪に擬しをり