神界の目的成就するまでは妻帯せぬと頑張る若者
日露戦争始まりたれど立替が始まらぬとてこぼす役員
ジツとして拝むでをれば牡丹餅が棚から落ちると思ひゐるらし
龍子の夫
第一に出口龍子の結婚に夫を選べと教祖の下知なり
妻の姉の龍子の夫の選択を四方文助に開祖は命ぜり
文助氏は古谷松原木下の若者三人を候補者とせり
古谷は虎島とひそかにしめし合ひ龍子の夫とならむと企めり
古谷を龍子の夫となすなればわれは綾部に居らじと思へり
朝夕に妨げなせる古谷を姉の夫になすはいやなり
古谷が龍子の夫となるなれば大本内部をかきまはすべし
古谷はおもてに蔭に立ち廻り龍子の関心買はむとつとむる
木下慶太郎。
ともかくも龍子に選抜させむとて四方文助説きつけてをり
木下も松原も妾は好まねば古谷もらふと龍子はいひけり
古谷をもらつてくれねばどうしても夫は持たぬと龍子の難題
道のため吾れは木下慶太郎を夫に持てとしきりにすすむる
御開祖は海潮の命に従へと龍子に懇々さとし給へり
やうやくに龍子の夫は木下と相定まりて結婚をなす
木下は案に相違と喜びて出口龍子の夫となりたり
古谷異状
失望の淵に沈みし古谷は朝夕べを吐息もらせり
古谷にお梅といへる出もどりを女房となして結婚させたり
古谷は吾が前に来て海潮さま私は駄目よと面ふくらせり
古谷『本心は海潮さまを追出して澄子の夫たる考へなりしよ
澄子さまをあなたにとられ止むを得ず龍子をもらふと思ひゐたりし』
かく話す古谷こそは精神にこのごろ異状を呈し居たりき
古谷はお梅を妻にとりしより日々の行動怪しくなりけり
女房持ち
松原の妻におくまといふ女船井郡よりもらはせにけり
この女道楽にして夜されば寝床の上に小便ひるといふ
浦上も若き役員三人の妻帯を見て怒り出したり
女見れば目がけがれると主張せし三人のざまは何ぢやとつぶやく
三人が妻を持つなら俺もまた世話してくれとねだる浦上
止むを得ず四方文助仲立ちにて森津の娘をもらうてやりたり
女房を持ちし四人の役員は心機一転慾ばかりいふ
女房はきたないものかと吾問へば頭かきつつ四人はほほゑむ
人間は妻を持たねば世の中の事はわからぬと得々たりけり