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八木の秋祭り

インフォメーション
題名：八木の秋祭り 著者：出口王仁三郎
ページ：403
概要： 備考： タグ： データ凡例： データ最終更新日：2024-10-31 18:51:00 OBC ：B129900c68
やうやくに四方(よも)の山々紅葉(もみぢ)して風の涼しき秋は来(き)にけり
役員の目をしのびつつ北桑田(きたくはだ)宇治(うぢ)方面に宣伝なしたり
北桑田(きたくはだ)宇治(うぢ)方面の信徒(まめひと)に招かれ行かむと思へど果(はた)さず
浅井はなは北桑(ほくさう)を巡(めぐ)り西田(にしだ)元次(げんじ)は宇治方面の巡教為(な)しをり
龍子仮病
八木(やぎ)町(まち)の福島方(かた)の秋祭(あきまつり)出張頼むとかけ合ひ来(きた)る
脱出によき機会ぞと役員と龍子(りようこ)を伴ひ吾(わ)れは出(い)でゆく
須知山(すちやま)や枯木(かれき)峠(たうげ)を打ちわたり保野田(ほのだ)を越えて檜山(ひのきやま)に入(い)る
檜山(ひのきやま)少し手前に来たるをり龍子(りようこ)は仮病の腹痛起(おこ)せり
四方(しかた)文助(ぶんすけ)古谷(ふるたに)両人驚きて龍子(りようこ)の介抱に余念なかりき
紅井村
その隙(すき)を覗(うかが)ひ吾(わ)れは一散(いつさん)に紅井(くれなゐ)村(むら)の鍛冶屋(かぢや)に飛び入(い)る
この家(いへ)に西田(にしだ)元次(げんじ)が待ち居たり桑宇(さうう)巡教の打合(うちあは)せせむとて
吾(わ)が後(あと)を尋ねて四方(しかた)文助(ぶんすけ)は旧道を越え須知(すち)町(まち)に出(い)づ
吾(わ)れ一人鍛冶屋(かぢや)の表に立ち居(を)ればお梅(うめ)と龍子(りようこ)はその前通(とほ)りぬ
古谷(ふるたに)と四方(しかた)は何(いづ)れに到りしかと吾(わ)が呼ぶ声に驚く両人
腹痛(はらいた)はどうかと問へばほほゑみてもうなほりしと龍子(りようこ)は答ふる
先生の行衛(ゆくゑ)さがすと古谷(ふるたに)と四方(しかた)は旧道たどれりといふ
四方山(よもやま)の話(はなし)しながら蒲生野(がまふの)越え新旧道(しんきうだう)の出合ひにつきたり
須知園部
須知(すち)町(まち)の出合ひに到れば古谷(ふるたに)等(ら)つまらぬ顔してもどり来(きた)れり
海潮(かいてう)さま心配しましたお前さま何処(どこ)に居たかと文助がいふ
神様の経綸(しぐみ)で一寸(ちよつと)したとこに寄つて居(ゐ)たよとからかひて見し
須知(すち)よりは二男(になん)三女(さんぢよ)を従へて観音(くわんのん)峠(たうげ)の頂上に着く
漸(やうや)くに秋も更(ふ)けしか吹き渡る風に散り来(く)る紅葉(もみぢ)は淋し
急坂(きふはん)を漸(やうや)く下(くだ)り園部(そのべ)町(まち)の奥村方(かた)に立ち寄りにけり
吾(わ)れ一人(ひとり)奥村方(かた)に立ち入(い)れど彼等(かれら)は門(かど)に立ちて動かず
門口(かどぐち)に彼等(かれら)は立ちて奥村の親爺(おやぢ)に吾(わ)が身の悪口(あくこう)してをり
奥村の家を立ち出(い)でトボトボと黄昏前(たそがれまへ)に八木(やぎ)に着きたり
八木脱出
賑(にぎ)はしく八木(やぎ)の大祭(たいさい)相(あひ)済みて信徒(しんと)おのおの家路に帰る
狭き家(いへ)に一行五人逗留し真夜中過ぎて寝(しん)につきたり
今夜こそ彼等(かれら)が眼(まなこ)を逃(のが)れむと夜(よ)の目(め)も寝(い)ねず時(とき)待ちにけり
一同の鼾声(かんせい)雷(らい)とひびきたれば吾(わ)れ足(あし)装朿(しやうぞく)にとりかかりたり
かねてより諜示(しめ)し合(あは)せし姉龍子(りようこ)は吾(わ)が手荷物を戸外(こぐわい)に運(はこ)べり
書置(かきおき)を蒲団(ふとん)の下(した)にかくし置き夜中(よなか)ひそかにしのび出(い)でたり
おもてには西田元次(げんじ)が待ち居(ゐ)たり幸先(さいさき)よしと二人はかけ出しぬ
八木(やぎ)広瀬鳥羽(とば)室河原(むろかはら)小山(こやま)越え園部の旅館に朝着きにけり［※「室河原」は現在の南丹市八木町（やぎちょう）室河原（むろがわら）］
本町(ほんまち)の港屋(みなとや)旅館に立ち寄れば片山(かたやま)浅井は吾(われ)を待ちてをり
片山はわが命令に従ひて北桑(ほくさう)方面の布教しゐたりき
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