霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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二四 ねぐら

インフォメーション
題名:24 ねぐら 著者:出口澄子
ページ:
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :B124900c26
001 十六になって私にも帰ってゆく家が出来ました。002教祖さまにお蔭をいただいた人達の手で倉を手入れした、003ささやかなお住まいが出来ていました。
004 家がなくなったのは確か九ツの時でありますから、005七年もの間、006私達母子が一緒に暮らすことはなかったわけです。007私は教祖さまと、008このままズッと一緒に暮らせたら、009どんなに幸せだろうと、010どれほど念じたかわかりません。011しかし私の私市(きさいち)での(わずら)いもあっけなく(なお)り、012再び奉公先に帰って行きました。
013 すると、014今度はへンナイという病気をわずらい、015また綾部に帰って来ました。016そしてこの時は西町の鹿造のところで治療しました。017病がいえて、018もう一度私市(きさいち)で働きました、019その(あいだ)020私市(きさいち)でこんなことがありました。
021 私は昼間の労働につかれ果て、022()のない真っ暗な部屋で、023グッスリ寝込んでいました。024ふと、025人の気配を感じて眼をさましますと、026驚いたことには、027枕元にうずくまってる人がいます。028何か私を、029うかがっている様子です。030私は大声で怒鳴りつけ、031その男をひどい勢いで、032なぐり倒してやりました。033男はぎょう天して、034腰でも抜かしたのか、035足が立たなくなったのか、036ごそごそと這いながら逃げてゆきました。037これは、038一緒に働いている、039男衆(おとこしゅう)のリキさんという人でした。040リキさんは平素は()く真面目な働きものでありまして、041とてもそんなことをするような人柄には思われませんので意外に思っていましたが、042当時、043丹波には夜這(よば)いという悪習があたりまえのことのように行われたらしいです。
044 山へ草刈りに行っておりますと、045村の若い者が、046やって来て、047
048「ワシが草を刈ってやるからワシのいうことを聞いてくれ」というのですが「何いうとるのやろ」と思っていただけでした。
049 夜になりますと、050村の若い者が五、051六人毎晩のように、052私の家の前にやって来て、053何だか唄ったりオカシナ声を出して、054おそくまで騒いでいました。055それもなんのことか分からずにおりましたが。
056 私市(きさいち)からすっかり暇をもらい帰って来たのは、057たしか十七の時でした。058それからの私は頼まれるままに、059西町で髪結いをしていた、060おしもさんの手伝いや、061綾部から二里程ある大原(おおはら)でお茶よりの仕事というように、062あちらの家、063こちらの家へ、064四、065五日のちょっとした手伝いから、066二、067三カ月から半年ぐらいずつ、068年期奉公でなく、069割りに気軽く手伝いに廻っておりました。
070 その頃、071教祖さまは裏町(うらまち)の倉の家におられました。072私が手伝いに行ってる先から時々帰って来たおりなど、073教祖さまはよく、074金神様を祀られた御神前に向かい、075
076「神様、077あなた様は、078私に“その(ほう)の力になる者は、079神が用意している”と、080おっしゃります故、081そのかたがみえる時まで、082あなた様と二人で此処(ここ)に、083こうしておりましょう」
084といって、085神様と問答されていたり、086あるいはせっせと、087お筆先を書いたりしておられました。088そうしておられるうちに、089この裏町(うらまち)の倉にお(まつ)りしてある金神様にお参りに来る人が、090ボツボツと出来て来たようです。091私のおぼえている人達でも、092位田(いでん)からは、093おすみさんに、094田中善一郎(ぜんいちろう)095村上清次郎(せいじろう)096西原(にしばら)からは、097文衛門(ぶんえもん)西原(にしはら)正太郎(しょうたろう)098(たか)()からは、099四方(しかた)平蔵(へいぞう)100祐助(ゆうすけ)101与平次(よへいじ)102上谷(うえたに)からは四方(しかた)春一(はるいち)103喜久衛門(きくえもん)104おくまさん、105村の名は忘れましたが弥仙山(みせんざん)に参る道筋に当る方角から木下(きのした)慶太郎(けいたろう)106地元の綾部の人では中村竹蔵(たけぞう)107塩見(しおみ)じゅん、108という人達がお参りに来ていました。
109 中でも木下慶太郎という人は、110教祖さまが(こと)(ほか)お気に入りで、111後におりょうさんのお婿(むこ)さんになり、112出口姓を名乗りました。
113 一方新宮(しんぐう)の金光教の大広間は、114信者が寄らなくなり、115とうとう一人もなくなって、116足立さんは暮らしにも困りだし、117弱々しげにときどき教祖さまのところに無心に来ていました。118そのたびに教祖さまは(こころ)よくお米とか小遣いをあげておられたものでした。119神様のお気に入らず別れられた人でありますが、120教祖さまが世話をしてあげられねば、121誰もしてくれる人とてなかったものですから、122可哀想に思われたのであります。
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