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真神

インフォメーション
題名:真神 著者:出口王仁三郎
ページ:203
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2016-11-28 01:12:44 OBC :B195301c34
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]写本(成瀬勝勇筆、大正14年3月、大本本部所蔵)
真神
 
 大本の真意義を根本的に理会せんが為には、是非とも宇宙の独一神天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)に就きて、判然した観念を有する事が必要である。これが信仰の真髄骨子となるのであって、この事の充分徹底せぬ信仰は、畢竟(ひっきょう)迷信に堕して(しま)う。(ただ)し神に就きての誤らざる観念を伝える事は、実に至難中の至難事である。(その)神徳が広大無辺であると同時に、其の神性は至精至妙で、いかに説いても、()う書いても、これで充分という事は、人間(わざ)では先ず望まれない。されば本邦の皇典「古事記」にも、単に造化の第一神として、劈頭(へきとう)に御名称を載せてあるに過ぎぬ。『古事記』の筆録者たる大朝臣安万侶(おおのあそみやすまろ)は、序文の(はじめ)に、「それ混元既に()り、気象未だ(あらわ)れず。無名無為(なもなくわざもなし)。誰か其形を知らむ」と書いてある。『日本書紀』の方では、本文に天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)の御名称さえ()せず、単に()の神の性質の一小部分を捕え、(いにしえに)天地いまだ(わか)れず、陰陽(めお)(わか)れず、渾沌雞子(まろかれたることとりのこ)の如し」などと書いてある。これも決して(わざ)書かぬのではなく、書き()くても、とても窮屈な漢文などで書きこなす事が出来なかったのであろう。
 天之御中主神という御名称は、本邦所伝のものであるが、無論此神は、日本専有の神ではなく、世界各国で種々雑多の名称を付して呼んで居る。太極、天、梵天、エホバ、ゴッド、ゼウス等を初め、他にも種々ある。そして(これ)に対する観念も、浅深大小、決して一様ではないようだが、畢竟(ひっきょう)(わが)皇典の天之御中主神を()すものである。(ただ)此神(このかみ)の徳性が余りに微妙、幽玄、広大無辺なるが為めに、大抵(たいてい)の経典は、辛うじて神性の一小片端を捕うるに止まり、世界中何処を捜しても、此神に就きて円満正鵠(せいこう)な観念を伝え得たものは(ひとつ)も無い。
 哲学者だの科学者だのは、多く神という事を嫌い、全然神と絶縁して仕舞(しま)った所思(つもり)で得意がって居るが、(あに)(はか)らんや、彼等畢生(ひっせい)の努力も研究も、実は天之御中主神の神業の一少部分を節孔(ふしあな)から(のぞ)いて居るようなものに過ぎない。
 今日、天之御中主神の真解が、曲りなりにも企及(ききゅう)()るように成ったのは、大本言霊学(げんれいがく)を以ての『古事記』の説明、及び『大本神諭』中に見出さるる此神(このかみ)の解釈等の賜物(たまもの)である。
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