霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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時間と空間

インフォメーション
題名:時間と空間 著者:出口王仁三郎
ページ:207
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2016-11-28 01:14:35 OBC :B195301c37
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]写本(成瀬勝勇筆、大正14年3月、大本本部所蔵)
時間と空間
 
 吾々が宇宙全一大祖神に()きて正しき観念を得た暁には、かの学者の頭脳を悩ます時間、空間の問題の如きも、容易に解決し得るのである。此神(このかみ)が万有一切を捲き収めて、(これ)を帰一し、未だ活動を起さざる時、(すなわ)ち其静的状態にありては、無論、時間空間を超越して居る。時間、空間が無いのではなく、さればとて又有るのでもない。(その)観念が起るべき因由(いんゆう)が無いのだ。
 時間、空間の観念が(おこ)って来るのは、少くとも此神の本体から、霊と体との相対的二元が顕われてからの事である。神典で云えば、高皇産霊神(たかみむすびのかみ)神皇産霊神(かみむすびのかみ)の二神が顕現して、活動を起されてからの事である。即ち此神(このかみ)の活動を(たて)に考察する時に、時間という観念が起り、(また)(これ)を横に考察する時に、空間という観念が起る。活動がなければ、時間もなく、空間もない。縦令(たとえ)あっても、之を(はか)るべき標準もなく、又これを量るべき材料もない。無論、無限絶対なる此神の属性があるから、時間、空間共に無限であり、無始無終であらねばならぬ。外に向って無限であると同時に、内に向っても、(また)無限である。至大外無く、至小内無しである。
 以上説く所に()って、()天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)に就きて正しい概念は得られる事と思う。即ち(その)静的状態から考察すれば、此神は霊力体を帰一せる所の宇宙の大元霊である。一元の虚無というてもよろしく、又絶対的実在というてもよい。次に、其動的状態から考察すれば、此神は、随時随所に霊力体の微妙神秘なる配分を(おこな)い、無限の時間空間に(わた)りて、天地、日月、星辰、神人、其他万有一切の創造に任ぜらるる全一大祖神である。
 此神の静的状態、帰一状態は、()と通り正しい観念を得れば、それで充分とすべきである。何となくれば、此神は既に(すで)に無限の時間、空間に(わた)りて活動を開始されて()り、(ふたた)び太初の静的状態に逆行さるる心配は絶無だからである。よし万々一、逆行さるる事がありとしても、其場合には万有一切は全滅し、(したが)って吾々人類も混沌(こんとん)の裡に痕跡(こんせき)さえ(うしな)って(しま)い、心配するにも心配すべき手懸(てがかり)が無いことになって来る。(まこと)(つま)らない。実際問題としては、此神の動的状態の理会体得が何よりも肝要である。人間は天地経綸(けいりん)(しょう)(あた)るべき使命があるから、此神が過去に於いて、いかなる活動を()されたか、(また)将来に於て、いかなる目標に行進せらるるか、少くとも其大綱に通暁(つうぎょう)せねば本当でない。が、就中(なかんずく)肝要なる事は、現在此神が、いかなる経綸の実行実施中であるかの問題で、これを理会体得して、御神業の助成に努力するにあらずんば、人間の人間たる価値は無い。
 天之御中主神の御神業は、大体に於て二方面に分れて居る。一は理想世界たる神霊界の大成、一は現実世界たる人間界の大成である。
 従来は、宇宙の未製品時代で、理想世界が真に理想世界の域に達せず、屡々(しばしば)変調に陥って居た。人間界の乱雑乖離(かいり)に至りては、(ほと)んど言語道断で、同胞の殺し合い、国の()り合いを演じて、(あえ)て怪むを知らぬどころか、自分達の全一大祖神の存在まで打忘れて居た。いや忘れるというよりも、此神を認める(だけ)の能力に欠けて居た。そして其の粗末な頭脳で、(ゆが)んだ不備な宗教だの、哲学だの、理屈だのを勝手に考え出して、互に(あい)排斥し合って、(むし)ろ得意がって居たが、現在に及びて、天之御中主神は大々的整理を施して、神人両界の大成を期せらるる事に成り、明治二十五年を以て、此神の御神勅は先ず国祖国常立尊(くにとこたちのみこと)に降った。爾来(じらい)今に至りて三十有余年、祖神(そしん)御経綸の歩武は、神人両界に(またが)りて、寸毫(すんごう)齟齬(そご)なく、遅滞なく、粛々として進行し(きた)り、大正七年十一月、其大準備の完成と同時に、国祖は大本教祖の肉の宮から神去(かんさ)りまして、残る後半の大神業を豊雲野尊(とよくもぬのみこと)に譲られた。五年越しの欧州戦乱の如き、開闢(かいびゃく)以来の大事変の(よう)だが、実は、真の大変動は今後に起る。それが()めば宇宙の間が始めて全部整理される。独り現世界ばかりでなく、神界の奥の奥まで、天地、日月、星辰の状態まで一変する。それが、大本で教ゆる処の大正の維新、二度目の世の立替(たてかえ)立直(たてなおし)の真意義である。之に()すれば、従来の所謂(いわゆる)維新だの革命だのは、何れも姑息(こそく)で、不徹底で、児戯に近いものである。
 「大正維新」「世の立替立直し」、文字はいかにも有り()れた月並(つきなみ)至極(しごく)のものであるが、其内容は大きい。天地の根本から、悠久長大なる歳月に(わた)りて待ちに待たれた大転換期、大完成時代に到着したのである。天之御中主神の大神業に、漸く目鼻が付く時なのである。言わば大地、太陽、太陰、列星を始め、あらゆる神も人も、何も()も、この大神業を完成せんが為めに準備し置かれたのである。
 吾々は、従来愚昧(ぐまい)鈍劣(どんれつ)にして、けち臭い目前の小利小害に没頭して、勝手気儘な各個運動、眼先の見えぬ盲目行動を続けて来たものだ。こんな事では、人間はもう小天之御中主神たる資格はない。此世に存在の意義のない、出来(そこ)ねの廃物である。霊力体をばらばらにして、造り替え練り直さるるより(ほか)に仕方がない。が、それは決して至仁至愛なる天之御先祖様の御旨意ではないので、反省改悟の準備として、幾何(いくばく)かの猶予を与えられ、国祖の一万巻の『神諭』とも成り、懇切周到なる警告と教戒とを与えられたが、大本教祖の帰幽昇天と同時に、警告準備の時代は既に経過し、いよいよ最後の実現実行の時代に突入する事となった。
 時期が時期であるから、此際(このさい)大至急覚醒して、下らぬ迷信や振り棄てて(しま)い、そして一刻も早く真信仰に入らねばならぬ。真信仰の第一歩は、宇宙独一真神天之御中主神を(みと)める事である。
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