世の人の知らぬ楽しき神の道 栄の花は常永に咲きぬる
空蝉の定め無き世の吾なれば 心も身をも神に任せん
日に月につもりし罪や汚れをば 瑞の霊によりて清めよ
万国の穏か祈れ道の人 生れし国の幸はなほさら
千早振神の踏まれし正道を つぶさに教へ諭すこのふみ
いくたびも繰返し見よ神の書 終には悟る道の大本
如何にせば神の御言葉悟り得ん 智慧も力もなき人の身は
世のわざにさかしき人は皇神の 真の道に愚なりけり
皇神のみのりを写すこの神書は 常世の暗を照す灯火
幾度も繰りかへし見て新らしく 悟るは神の恵みなりけり
◯ある人のみまかりけるを葬ひて詠める歌
風すさみ峰の吹雪ぞ吹き猛る 浮世を棄てて天津御国に
光り暗行き交う浮世あとにみて 夜なき国にのぼりましけり
朝日影に消ゆると見えし月星は 消えしにあらで隠れたるなり
空蝉の浮世を棄てて皇神の 御許に遊ぶ人ぞ恋しき
◯その父なる人の心を汲みて詠みておくりたりし歌
ふる涙一夜のうちに消え失せて 朝日輝く天津御空に
ふる涙漏れなく算へ大神は 報い給はん喜びの雨
大神は恵みの鞭を与へつつ 心の眠りさまし給へり
今しばし暴風雨吹けども軈てまた のどかなはるの花ぞ開かん