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六十歳以上の人の為に

インフォメーション
題名:31 六十歳以上の人の為に 著者:出口王仁三郎
ページ: 目次メモ:
概要: 備考: タグ: データ凡例:『神の国』昭和10年(1935年)11月号 データ最終更新日: OBC :B182000c31
 世の中の多くの人は六十一歳の還暦を迎へると自分でも老人(としより)のやうな感じがすると同時に他人からも老人(としより)扱ひされるものであつて、娘や孫からは盛んに御祖父(おじい)様と呼ばれ周囲からも(また)老人(としより)にせられてしまふものである。故に何時(いつ)の間にか自分も老人(としより)気分になつて得意がつて()るやうである、そして若い時からいろいろ苦労して来たのであるから、これからは家の事は(せがれ)に任せて置いて、ちと楽をさして貰はにやならぬと言うて、兎角(とかく)世の中から遠ざかつて行かうとする傾向がある。それで私は六十一歳の還暦を更生(かうせい)と称へていよいよこれから世界の為めに緊褌(きんこん)一番せにやならぬからとて
  七十ははなたれ小僧百歳になりていよいよ男盛りよ
と歌を詠んで娘や孫には決して御祖父(おぢい)様とは呼ばさないのである。孫を呼ぶにも子の子と言うて()るのじや、孫といふと何だか老人(としより)くさくて(わし)や嫌ひじや、そこで六十以上の人の為に、保健と長寿の一方法として
一、老人(としより)であるといふ観念を去ること、
一、年齢を忘れて(しま)うて思はぬこと、
一、気分を若く持つこと、
一、環境を若くすること、
一、青年男女と交際すること、
一、衣類持物(もちもの)など普通より派手なものを身に着けること、
一、婦人の如きは薄化粧でもして身嗜(みだしな)みを怠らざること、
一、老人(としより)冷水(ひやみづ)というて嫌はれてもかまはぬ、若いものに劣らぬやう身の廻りを綺麗にすること、
一、顔面に(ひげ)一切を貯えぬこと、
一、早寝して朝起(あさおき)すること、
一、入浴は約二十分間(くらゐ)を適当と思ふ、温度の高き湯に浴せざること、
一、湯茶を沢山に呑んで新陳代謝を盛んならしむること、但し上等の茶は(よろ)しからず、番茶を良しとす。
一、酒や煙草の習慣があれば(それ)()めてはいけない、
一、食物(しよくもつ)可成(かなり)淡白な菜食を摂るやうにして油濃き肉食はせぬ方が良い、
一、血液の循環を()くするよう注意すること、食物の関係で血液がねばる事がある、血圧が高くなつたり中風(いうぷ)(かか)つたり肩が凝つたりするのは多く同一原因から来るものである。
一、足部(そくぶ)を冷やさぬやう注意せねばならぬ。
一、大腸に悪質の菌が発生し、それ()(わざはひ)されて老衰するものであるから、大小便の通じに注意して、毎日快通するやうにせねばならぬ。
一、心臓を強くせねばいけない、使なないで置くと自然と弱くなるから、毎日適当な運動をして心臓を働かさねばならぬ。
一、心配はするとも心痛をせぬやうにせねばいけない。
一、投機事業などには絶対に手を出さぬやうにせねば、(つひ)には生命と財産を失ふ事が多いのである。
一、常に新進気鋭の精神を自得し仮にも退嬰心を(おこ)さぬこと、
一、天地の殊恩を感謝すること、
一、心身の清潔を守ること、
一、何事によらず悲観せざること、
等々(とうとう)を勧めたい。(これ)は長寿の秘訣である。
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