霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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(十五)

インフォメーション
題名:(十五) 著者:浅野和三郎
ページ:181
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2025-01-24 22:22:00 OBC :B142400c50
 自分は自暴自棄的勇気を奮ひ起した。
『これほど理義を尽しても、(あく)まで暴力に訴へるといふなら致し方がない。拙者も暴力で応戦する!』
 眼を(つぶ)つて、自分の方から機先を制して全身衝突を試みた。
 意外々々! 到底頭に(こぶ)の一つ二つは免れぬものと覚悟を決めたに反し、宮沢君の肉体が、すつと一間(いつけん)ばかり後方(うしろ)に跳び退()いたではないか。
『オヤツ!』
 自分は思はず先方(むかう)(はや)いのと、弱いのとに驚いた。
()うなればモウ占めたものだ。今迄散々油を絞られたから、今度は反対(あべこべ)に油を絞つてやらう』
 自分は勇気百倍し、それから約一時間に亘りて質問に次ぐに質問を以てし、追窮の上に追窮を試み、存分に先方(むかう)をやりこめた。そして武甕槌命とは(いつは)りで、実はこれから神界に奉仕せんとする天狗であること、予言の如きも()むを得ず出鱈目を述べた丈けのもので、決して悪意あつて()たのではないこと。その他いろいろのことを自白させた。自分は天狗さんに(むか)つて次ぎのやうなことを言つたやうに記憶する。『あなたは私に取りて大恩人である。お蔭で幽界の事情やら、神と人との関係やら、神力の不可思議なことやら、其他いろいろの事が判りました。その恩義は何物にもかへられない。しかし乍ら恩義の為めに其罪過を黙視する訳にはまゐりませぬ、就中(なかんづく)人間が幽界の事情の暗きに乗じ、嘘を教ふることが最も悪い。今後は決して左様の過誤に陥らぬやう希望する。』
 又こんなことも述べたやうだ。
『宮沢氏の両親其他はまだ機縁が熟せず、皇道大本の信仰に()るには時節が早過ぎる。それをあなたがいかに無理にあせつても駄目だ。時節が到来するまで固く隠忍自重し、今後は断じて言葉(くち)を切るやうな事のないのを希望する。』
 最初の権幕のいかにも(おそ)ろしかつたのに反して、天狗さんは段々悄気(しよげ)て了ひ、自分の言ふなり次第に、黙々として謹慎の態度を執るのを見ては、いささか気の毒の感を(もよほ)さぬでもなかつた。いよいよ鎮魂を終つた時に、宮沢君の全身は汗でびしよびしよになり、それがセルの夏洋服の上まで盛んに浸み出して居た。
 此時を境として宮沢君は強烈なる意志を振ひ起して、天狗の霊の発動を抑へつけて了ひ、五年後の今日でも(なほ)依然として海軍機関学校の教官を勤めて居る。しかし其活きたる実験体得から入つた信仰は、一分一厘も(ゆる)ぐことなく、時々恋しくなると綾部へ来て、三日四日位自分の所に泊つて行く。何れ時節の到来と共に、家族を率ゐて真信仰に入るのは、余り遠い将来ではなからうと確信する。
 兎に角宮沢君及び同君に憑依せる天狗さんのお蔭で、自分は審神者(さには)として貴重なる経験修業を積むことが出来、就中(なかんづく)最後の一幕(ひとまく)は、自分に何よりも深き感動を与へた。之によりて自分が悟り得た要点を、掻いつまんで述ぶれば、大要()ぎのやうなことだと思ふ。即ち
一、神憑者(かみがかり)(げん)は決して軽々しく信用してはならぬ事。
一、大概の守護神の予言は幽界の風説に過ぎざるもの多く、決して之に盲従し又世間に吹聴すべからざる事、
一、審神者(さには)の役目は神聖にして貴重、いかなる神々をも審判すべき特権を保有する事。
一、審神者の権能を執行する上に於ては、何等の危害を顧慮するの(えう)なく、断々乎(だんだんこ)として之に当るべき事。
一、審神者としては最も健全なる常識を養ひ、正邪善悪の判断を誤りてはならぬ事。
一、信仰の道は他人に対して常に最も寛容なるべく、決して自己を以て他を律し、他を()ふることあるべからざる事。
 他にも数へ立つればまだ沢山あると思ふが、今はしばらく略して置く。何れにしても自分に取りて、此五十余日は実に有意義な期間であつて、審神者として、いささか自得する所があつたやうに思ふ。(すくな)くも其後は大概の事に遭遇しても、余り吃驚(びつくり)だけはしなくなつた。
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