明治三十二年二月十日筆
園部より
綾部出口なお宛
真の神の僕上田茂穎は、丹波国船井郡園部村黒田に在りて、神の御柱なる最も敬愛する処の、出口の開祖に心の文を書き送り奉る。
神の国の、地の上に建てらる可き時は来たれり。一日片時も躊躇し玉う時にあらず。仰ぎ願わくは尊き開祖よ、幾多の障害を排除して、只管大神の御心に従ろい玉え。
神の生命は永遠無窮なり、去れど人の生命には限りあり。大神は斯の限りある人の体によりて、天の下に美わしき神の御国を建てさせんと為し玉う。
開祖刀自は大神の御宮居にして、また神の力と頼み玉う御柱なり。茂穎もまた神に仕え奉る者なり。故に御身と我とは互いに大神より、直接の御言葉を聞けり。何を苦しみ玉いて乎、罪に汚れし人々の言葉に躊い玉うや。時は来たれり、為すは今なり。
織機は経糸と緯糸とに由りて初めて織り上がるなり。車は両つの輪ありて進み行くなり。如何に強く太く美わしく共、一つ柱の何事をか能く為す事を得んや。大神の御神諭に由りて伺い奉るに、刀自は百日の水行を以て人々の身魂を清め、神国成就の神業に仕え賜う。茂穎は鎮魂を以て人々の身魂を清むる事を仕え奉る。仰ぎ願わくは開祖刀自よ、大神より受け玉える汝が身の内の、最と清く美わしき直日の霊魂に由りて省み玉わん事を。
いと小さき事の為に、最大なる神の御業を誤ち玉う事勿れ。人の為に万民を救う神の大道を、忽諸になし玉う事なかれ。
彼の大道に障れる人々等も救う可き道あり。彼等も共に嬉びて、手を携うるに至る可し。兎角刀自が平素主唱せらるる敬神尊皇愛国の至誠には、如何なる邪神と雖も妨ぐる事を得ざるべし。
茲に上田の茂穎、天津神の御言以て、布刀麻邇に占えて、瑞能御魂と現われて、厳能御魂の宿らせ玉える開祖刀自の御許に、赤心を書き送り侍べる。厳の雄猛び弥猛び玉いて、神国成就之首途に急がせ玉わん事を祈り奉る。
(「神霊界」大正六年十一月号)