霊界物語.ネット
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> [09]紙屑買い
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(N)
[10]身だしなみ >>>
九 紙屑買い
インフォメーション
題名:
9 紙屑買い
著者:
愛善苑宣教部・編
ページ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B100600c09
001
開祖様はこれまでのようなやり方では、
002
到底一家の
糊口
(
ここう
)
をしのいでゆくことはむずかしいので、
003
比較的資本が要らずに利益の多い商売をお考えになった。
004
それが紙屑買いボロ買いという商売です。
005
紙屑ボロ買いという商売は、
006
御承知の通り外へ出て働かねばならぬ商売ですから、
007
病人と子供を内に残してお出掛けにならねばならなかった。
008
開祖様は、
009
いつも必ず病床にある夫に向かって、
010
011
「何なとお好きな物は御遠慮なくおっしゃって下さい、
012
何でも買って参りますから」
013
と云われて、
014
夫の望まれる品はどんな無理をしてでもきっと買って来ておあげになりました。
015
ですから、
016
ついにはさすがの無頓着な政五郎さんも、
017
開祖様の情けがしみじみと身にこたえたと見え、
018
019
「私はたしかに罰が当たったのじゃ。
020
これまで、
021
余り仕放題、
022
気随気儘ばかりして居った報いで神罰が当たったのじゃ。
023
それを恨みもせずに大切にしてくれるお前の親切を考えると、
024
勿体のうて涙がこぼれる」
025
と云って、
026
いつも商売に出て行かれる開祖様の後ろ姿を、
027
病床から伏し拝まれたそうです。
028
あるとき看病しておりました三女・
久子
(
ひさこ
)
さんが、
029
開祖様の御苦労を察して、
030
031
「お父さんもあんなに生きとってよりは、
032
いっそのこと死んじゃった方がええのになあ」
033
とつぶやかれますと、
034
開祖様は日頃の温顔にも似ず、
035
襟を正し恐ろしい顔をされて、
036
037
「お前は何という勿体ないことを云うのじゃ。
038
世界中鉄のわらじで捜し回っても、
039
お前のお父さんという方は、
040
この病床に寝てござるお父さんより外にはない。
041
病人は看護が第一である。
042
看病する者がそんな気でおっては直る病気も直りはしない。
043
お前は看病に飽いたかも知らないが、
044
私はまだまだお世話には飽いて居ない。
045
いやそれどころか、
046
どうしたらお世話がし足るかということばかり心配して居るのだ」と云ってきびしくおしかりになりました。
047
久子さんはそれほどでもありませんが、
048
頑是
(
がんぜ
)
無い竜子さんと澄子さんは、
049
開祖様が商売に行かれたお留守中は、
050
淋しくて一日がそれはそれは長かったことを今もって覚えていると申されています。
051
開祖様がお帰りになられませんと夕飯の支度が出来ないので、
052
お帰りが遅い時は、
053
夜になっても御飯も食べず、
054
二人が抱き合って寝床へもぐり込み、
055
空腹のまま泣寝入りに寝入られることも少なくなかったようです。
056
明治二十年、
057
開祖様五十二才のお正月の如きは、
058
他所
(
よそ
)
の家では皆お雑煮を食べて居るから、
059
うちもお雑煮が食べたいと云って、
060
無心な子供からせがまれましたが、
061
そのお正月のお餅さえ、
062
買って愛児に食べさせることができませんでしたので握飯を拵えて、
063
お雑煮の代わりにされたということです。
064
毎朝久子さんが草粥のようなお弁当をこしらえて開祖様に渡されますと、
065
066
「私は要らないから、
067
お前達おあがり」
068
と云っていつも置いて行かれました。
069
置いて行かれないときは、
070
外で遊んでいる当時六才のお竜さんと、
071
四才の澄子さんにソッと与えられました。
072
御自分では何も食べずに商売に出て行かれるものですから、
073
普甲峠という急坂にさしかかった時、
074
雪は降るし腹は減って来るし、
075
峠は大きいし往くことも戻ることも出来なくなり、
076
ついに谷底へ落込んで飢と寒さで死にかけられたところをやっと通りがかりの人に助けられたこともあります。
077
夜は子供達を寝させてから、
078
買って来られた紙屑やボロの整理をされて、
079
夜の目もロクロク寝ずに一心不乱の御活動をなされました。
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