霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
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二二 聖師綾部へ
インフォメーション
題名:
22 聖師綾部へ
著者:
愛善苑宣教部・編
ページ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B100600c22
001
丹波路の緑もあせて、
002
名物の栗がそろそろイガから弾き出す──明治三十一年の旧八月二十三日
[
※
新暦1898年10月8日
]
、
003
開祖様の許を訪れた色白い
眉目
(
びもく
)
清秀
(
せいしゅう
)
な青年がありました。
004
「
八木
(
やぎ
)
の
虎天堰
(
とらてんいね
)
で福島久子さんから頼まれて来ましたが、
005
艮
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
と称する神がかかられるというお婆さんがおられるのはここですか」
006
と、
007
その青年は無造作に案内をこい、
008
開祖様と対座されました。
009
この青年こそ誰あろう……出口
王仁
(
おに
)
三郎
(
さぶろう
)
聖師の前身、
010
上田
喜三郎
(
きさぶろう
)
さんでした。
011
この時開祖様は六十三才、
012
聖師様は二十八才でした。
013
ところが、
014
その折は聖師様は時機まだいたらずとして、
015
二泊されたのち開祖様のものを辞し、
016
園部
(
そのべ
)
へ帰られました。
017
話はさかのぼりますが、
018
かねて開祖様のお筆先に、
019
この神を見分けて世に出すお方は東から来る、
020
と七年前から示されてありましたので、
021
綾部の東方に当る八木の福島に縁づかれた久子さんが、
022
母の身の上を見分ける人を捜すため、
023
わざわざ八木の町はずれの
虎天堰
(
とらてんいね
)
という灌漑用の
堰
(
せき
)
がある所の枝振りのよい松の木陰に、
024
茶店を開いて待っておられました。
025
そこへ手に大きな鞄をさげ、
026
陣羽織
(
じんばおり
)
のようなものを着、
027
鉄漿
(
おはぐろ
)
をつけた異様な
扮装
(
いでたち
)
の青年が一服しました。
028
この白面の青年こそ明治三十一年旧二月九日、
029
神使
(
しんし
)
に伴われて亀岡の町はずれ、
030
穴太
(
あなお
)
の霊山・
高熊山
(
たかくまやま
)
の岩窟に一週間の修行をされ、
031
神人感合の域に達してより、
032
身命を賭して救世の大神業に尽すことを決意され、
033
034
「一日も早く西北の方をさして行け、
035
神界の
仕組
(
しぐみ
)
がしてある。
036
お前の来るのを待っている人がある。
037
何事にも頓着なく、
038
速かにここを立って園部の方へ向かって行け!」
039
との神示を受けて、
040
決然故郷を出発された上田喜三郎さんでありました。
041
久子さんはこの人こそ神示の人物に相違ないと思って、
042
開祖様を御紹介されたのです。
043
開祖様と聖師様の最初の邂逅は至極簡単でしたが、
044
神業の進展にとっては、
045
重大な意義を有するのであります。
046
その後世話人の
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいぞう
)
氏が開祖様の命を受けて園部に聖師様をお迎えに参りました。
047
聖師様は今度綾部へ行くことはあたかも敵の中へ飛び込むようなもので、
048
よほどの覚悟をせねばならぬと考えられ、
049
平蔵氏を園部に待たせて置いて、
050
往復八里の夜道を郷里穴太に帰り、
051
老祖母や母上にその旨を伝えられ、
052
産土の神に前途を祈願して、
053
夜の明ける前ようやく園部へ帰って来られ、
054
平蔵氏と共に再び夜道を綾部へ急がれました。
055
そして約一年振りに開祖様と対面されることになりました。
056
開祖様の宿望である「何処の下にもならないで艮の金神を表面に出すこと」が出来るという聖師の確答に、
057
開祖様は思わず膝を乗り出され、
058
その
磊落
(
らいらく
)
な、
059
そして容貌なごやかに、
060
威あって猛からず、
061
万物を包含して余さずといった非凡な風采を、
062
非常に頼もしく思われました。
063
翌三十三年新一月一日、
064
現在の二代苑主
[
※
出口澄子
]
のお婿さんとして神前に結婚式を挙げられ、
065
ここに本格的に開祖様の御神業を補佐されることになりました。
066
聖師様参加後の大本は舞台も次第に大きくなり、
067
従って大きな波が打ち寄せて来て、
068
開祖様の御苦心もますます大きくなりました。
069
しかし以前に比し肉体的、
070
物質的の御苦痛は減じ、
071
安んじて神命のまにまにお筆先をお書きになり、
072
また神示のまにまに御活動されることができるようになりました。
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