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一六
算盤師
(
そろばんし
)
の占い
インフォメーション
題名:
16 算盤師の占い
著者:
愛善苑宣教部・編
ページ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B100600c16
001
あるとき、
002
吉美村
(
きみむら
)
の小呂というところに、
003
算盤
(
そろばん
)
で占って憑きものをよく封じるので有名な男があると聞かされ、
004
人の勧めるままに開祖様は小呂へお出かけになりました。
005
開祖様としては、
006
開祖様にかかられた神様はしきりに世界の立替えという事を申されるが、
007
そういう偉い神様が無学文盲な自分などにかかられるということからしておかしな話である。
008
かりに自分に宿っておられる神様がそういう偉い神様であるとしても、
009
その日の食物にも困りきって居る自分としては、
010
世界の立替どころの話ではないから、
011
いずれにしても、
012
そんな大それた神様は一日も早く自分の身体から立ちのいて貰いたいというお考えもあったのです。
013
小呂のそろばん師は開祖様の生年月日などを聞いて、
014
机の上にある小さなそろばんをコチコチはじいておりましたが、
015
やがて興奮した顔をして、
016
017
「お直さん、
018
これはドエライこっちゃ、
019
とてもドエライ神様じゃ。
020
しかしこんなドエライ神様のお宮をどうしてお前さんは建てるつもりか、
021
これは天朝様のお力でないと出来るものでない。
022
こんなドエライ神様に使われて、
023
しゃべって歩いておっては、
024
人から気狂いだといわれるから、
025
一つ封じてあげよう」
026
と早速何かクシャクシャやって居りましたが、
027
箸箱の半分ほどの小さな白木の箱を渡して、
028
029
「これを神棚へ上げて置くように」といいました。
030
開祖様は後生大事にその木箱を持ってお帰りになり、
031
神棚の上へ置こうとされますと手がけいれん的にはね返って、
032
木箱をバッと土間へ叩きつけてしまいました。
033
そして例の神様のお声が出ました。
034
「やれやれ御苦労じゃった。
035
しかしあれは確かに日本一の易者じゃワイ。
036
封じたくらいでこの神はこたえるようなそんな小さな神じゃない。
037
あの男は今はじめてこの方を封じたのではない。
038
大昔この神を艮へ封じ込めた
身魂
(
みたま
)
であるから、
039
大昔からの宿業だけのことはあるがいたしかたがない」
040
と言われるのでした。
041
開祖様はそろばん師の身の上が気がかりでしたから、
042
一週間ばかりしてわざわざ小呂まで行って見ますと、
043
そろばん師の家の門口に忌中の札がはってあって、
044
近所の人達が忙しそうに出入しておりますから、
045
怪しんでお聞きになりますと、
046
そろばん師は開祖様の神を封じた後で腹痛を起こし、
047
キリキリ舞いをして、
048
医者に見せても薬をのんでも更にその痛みが止まらず、
049
一週間わずらって昨夜十時ごろに死んでしまったということでした。
050
開祖様はこれを聞かれて、
051
目に一ぱい涙をためて太息を吐かれました。
052
その他あちこちの祈祷師や、
053
八木、
054
島原、
055
大阪、
056
福知山の
金光教
(
こんこうきょう
)
の教会へも行かれましたが、
057
どこへ行かれても開祖様の神の身上を見分ける者はいませんでした。
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