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一九、聖師と筆先

インフォメーション
題名:19 聖師と筆先 著者:大本教学院・編
ページ:
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :B100800c19
001 話は元にもどりますが、002聖師は二度目に大本に来られてから、003本町の西村庄兵衛氏の離れ座敷で、004筆先をしらべておられましたところ、005どことなく不可解な箇所が日々に発見されてくるようで、006筆先を絶対に信ずることが出来ませんでした。007当時の煩悶を聖師は次のように書いておられます。
008 「私は非常な煩悶をおぼえ、009ついには神諭を見るのがいやになり、010到底我々の信仰に適しないものと断定して、011綾部の地を立ち去る考えをおこしておりますと、012出口開祖様から、013お筆先が出たから上田さんに一読を願いたいと、014使いの人に持たせて送られましたから、015また例のくだらぬ神諭じゃなと、016心中いささか軽侮の念で拝読すると、017上田は神界の経綸(しぐみ)で神がひきよせたのじゃ、018出口直の末子の澄子と神約がむすばれてあるから、019出口家の世つぎとなって、020大本の教えを開くべきものじゃ、021との神諭であります。
022 私はこれは全く開祖の神経で、023こんなことを書かれるのであろう、024と一笑に附しておりました。025……おまけに、026私が高熊山の修業中に、027なんじ今後十年の間は修業の時機なり、028大なる悪魔と戦い神の試験に合うべしと、029神人(しんじん)より教えられたる先入思想が時々勃発して、030開祖はいよいよ神人より教誡されたる悪魔に相違あるまい。031万々一あやまって悪魔の捕虜となって開祖を信じ、032かつ不可解至極の神諭を天下に流布して、033多数人の霊魂を汚読し、034迷妄に落すようなことがあっては、035それこそ天地いれざる大重罪悪ではあると思われてならぬ。036放火や殺人や強盗などは重罪ではあるが、037その罪悪にはかぎりがあるが、038思想上の犯罪は山野を焼く火のごとく無限である。039折角結構な日本国に、040しかも聖明の御世に生をうけたる幸福なる身魂(みたま)でありながら、041邪神の捕虜となり、042大切なる大神様の御子まで邪道にみちびくようなことになっては、043永遠無窮の大犯罪を重ねるので、044この上の恐ろしきものはないと考えました。045……」
046 大本の歴史の上で、047誰しもはじめ不可解に思うのは、048筆先に「男子(なんし)女子(にょし)との戦いで、049世界にあることを大本の中で見せてある」という事実にぶつかった時でありましょう。
050 この男子というのは、051筆先に変性(へんじょう)男子(なんし)(女体男霊)とあって開祖を指したものであり、052女子とは変性(へんじょう)女子(にょし)(男体女霊)とあって、053聖師を指されたものであります。054聖師の書かれた文章から見れば、055開祖を疑い、056筆先を疑って非常に煩悶されたことは明かでありますが、057内心ひとり煩悶しておられたのではなく、058開祖との間に神がかり状態で、059はげしい争いとなってあらわれたのであります。
060 神がかり状態が鎮まりますと、061開祖と聖師とは実に仲がよく、062開祖は聖師を頼りにされますし、063聖師は開祖を大切にされました。
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