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(六)鎮魂について。霊学に凝らざること。

インフォメーション
題名:(六)鎮魂について。霊学に凝らざること。 著者:井上留五郎
ページ:191 目次メモ:
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :B116500c116
 鎮魂の神法はご承知の如く現時大本では、必要を除くのほかは主に修業場たる亀岡大道場(大祥殿)においてのみ許されております。
 大体霊学(心霊研究、交霊術、神がかり等)は霊魂の実在を認め、さらに上って神霊世界の存在を知らしむる掛橋であって、従って改心の手曳きとなるのは実際であります。これ大本でも最初盛んに鎮魂が行われたる所以であって、ことに科学の本家本元たる欧米各国においてはその科学のため、神も無く霊も無く天地はただ一つの絶大精妙なる器械的組織なりとまで思惟し、一時は科学の力は自然を征服するといったくらいであるから、これを覚醒せしむるには、彼らの唯一の頼みであるところの科学によるにあらずんば他に方法がないのであるから、ついに科学の進歩は物質ならざる電子の発見となり、霊魂の実在を認め最近には第四体としての研究とまで進んできたのであって、当然の成り行きとは云いながら誠に喜ぶべきことであります。
 しかし霊学と信仰とは、一方別物であることに深く注意せねばなりませぬ。霊学の真の目的は前にも述べた如く、霊魂界一名精霊界即ち中有界の一部を会得し(いわゆる霊学をもって霊魂界の全部を知らんとするはとうてい不可能である。いわんや神界においてをやであります)これによって神界の組織、階級、活動等を推測し、神と人との関係を窺知して、もって自己霊魂の働きを完全ならしむる掛橋であるのであります。しかし霊魂の真の働きは、ただ正しき信仰(前述個人としての合わせ鏡参照)によってのみ出来得るのであるから、正しき信仰者ならざる霊的技術はいかに驚くべきものがあっても、大局には何の益するところがないのであります。大本ではかくの如きを外道のやり方として戒めてあります。ことに、かの霊媒鎮魂の如きをまた精霊と問答する如きは、大本では現今禁止してあります。霊界物語舎身活躍四十七巻、戌の巻天界行第47巻第12章「天界行」の章下に
「凡て人間の身には善と悪と二種の精霊が潜在している事は前に述べた通りである。しかして人間は善霊即ち本守護神または正守護神によって高天原の諸団体と和合し、悪霊即ち副守護神によって地獄の団体と相応の理によって和合するものである。これらの精霊は高天原と地獄界の中間に位する中有界即ち精霊界に籍を置いている。この精霊が人間に(きた)る時には、まずその記憶中に()り、次にその想念中に侵入するものである。しかして副守護神は記憶及び想念中にある悪しき事物の間に潜入し、正守護神はその記憶や想念中にある最も善き事物の(うち)に侵入し(きた)るものである。されど精霊自身においてはその人間の体中に()り、相共に居る事は少しも知らないものである。しかも精霊が人間と共なる時は凡てその人間の記憶と想念とをもって、精霊自身の所有物と信じている。また彼ら精霊なるものは、人間を見ることはない。何故なれば、現実の太陽界に在るところの者は、彼ら精霊が視覚の対境とならないからである。大神はこれらの精霊をして、その人間と相伴える事を知らざらしめんが為に大御心を用い給う事すこぶる甚深である。何故なれば彼ら精霊がもしこの事を知る時には、即ち人間と相語ることあるべく、しかして副守護神たる悪霊は人間を亡ぼさん事を考えるからである。副守護神即ち悪霊は根底の国の諸々の悪と虚偽とに和合せるものなるが故に、ただ一途に人間を亡ぼし地獄界へ導き、自分の手柄にしようと希求するのほか、他事(たじ)ないからである。しかして副守護神はただに人間の心霊即ちその信と愛とのみならず、その肉体をも挙げて亡ぼさんことを希求するものである。故に彼らの悪霊が人間と相語らうことがなければ、自分は人間の体内にあることを知らないのだから、決して害を加えないのである。彼ら悪霊はその思うところ、その相互に語るところの事物が、果して人間より出で来るものなりや否やを知らないのである。何となれば彼ら精霊の相互に物言うは、その実は人間より(きた)るところのものなれども、彼らはこれをもって自分の(うち)よりするものなりと信じ切っている。しかして何れの人も自分に属するところを極めて尊重し、かつ、これを熱愛するが故に、精霊は(おのずか)らこれを知らないけれども、自然的に人間を愛し、かつ尊重せなくてはならないようになるのである。これ全く瑞の御霊大神の御仁慈の御心をもって、かく精霊に人間と共なることを知らしめざるよう取り計らい給うたのである。云々」
 また明治三十五年十月六日の御神諭に
「この方の筆先を腹に入れさして、霊学も腹に入れるは良いなれど、霊学を五分使うと、不調法が出来ると申して、あれほど知らしてやりても、霊学にあまり凝ると、親の申すこと、女房の申すことも、役員の気をつけることも、慢神が出ておれば、われほどのものは無きように思うてのほりてしまうて、肝腎のことの間に合わんようになりて、気の毒な可哀相なことが出来るから、くどうおこられもって気をつけたのざぞよ」(索引参照)
と説示してありますから、すでに霊魂の実在を認め神様の()しますことの判ったお互いとしては、なおさら霊学に凝ってはならぬ時期であることに注意せねばなりませぬ。ただし正しき信仰の下に一つの参考資料としてこれを研究するのは随意でありますが、手許に古今未説の霊界の消息が五味の調度よろしく開示してあるところの霊界物語を所有しているのみならず、聖師様によって現実に説示を受くることが出来るのであるから、その必要も無いわけであります。
 禁止されている場合あるいは正しき信仰状態にあらざる人が鎮魂を他人に行いましても、それに対しての神格の内流が無いわけであるから、ただ自分の霊を注ぎ入るることとなり、弊害を来すのであります。ことに現時の人々は、概して発動性(霊魂が表に立ち肉体を使役する状態)を帯びているから、なおさら()らない方が安全であります。

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