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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第20巻(未の巻)
序
凡例
総説歌
第1篇 宇都山郷
第1章 武志の宮
第2章 赤児の誤
第3章 山河不尽
第4章 六六六
第2篇 運命の綱
第5章 親不知
第6章 梅花の痣
第7章 再生の歓
第8章 心の鬼
第3篇 三国ケ嶽
第9章 童子教
第10章 山中の怪
第11章 鬼婆
第12章 如意宝珠
霊の礎(六)
霊の礎(七)
余白歌
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霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
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第20巻(未の巻)
> 第1篇 宇都山郷 > 第3章 山河不尽
<<< 赤児の誤
(B)
(N)
六六六 >>>
第三章
山河
(
さんが
)
不尽
(
ふじん
)
〔六六五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第20巻 如意宝珠 未の巻
篇:
第1篇 宇都山郷
よみ(新仮名遣い):
うづやまごう
章:
第3章 山河不尽
よみ(新仮名遣い):
さんがふじん
通し章番号:
665
口述日:
1922(大正11)年05月12日(旧04月16日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年3月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
留公は友彦の処置を怒りながら、畑の芋を踏み潰している。そこへ天の真浦がやってきて、留公を咎めた。
そこへ、先ほどの畑の主がやってきて、留公の仕業を見ると、さらに怒って鍬を留公に振り下ろした。留公がよけると、鍬は天の真浦の宣伝使の足の小指を切り落としてしまった。真浦はとっさに指をひろってくっつけたが、逆さまについてしまった。これが「真浦」という名の由来だという。
男は平伏して真浦に詫びるが、なおも留公がからかうので、怒ってまた留公に鍬を振りかざした。
留公とその男・田吾作は芋争いをしているが、天の真浦は、いずれにしても神様の御魂が宿っている万物一切を粗末にしてはならない、と二人を諭す。留公は翻然として今までの罪を田吾作に詫び、二人は和解した。
天の真浦はバラモン教を言向け和そうと村を目指すが、留公は、バラモン教の宣伝使・友彦が逗留しているのは自分の館であるが、深い溝が掘ってあるので注意するように、と宣伝使に伝える。
留公は、最初は立派な宣伝使だと思って村に留めたのだが、友彦の言行が一致しないこと甚だしく、まるで主人のように我が者顔に振舞っている、と窮状を真浦に訴えた。
留公と田吾作は、三五教に改心することなり、三人は友彦が逗留する留公の屋敷に乗り込んだ。留公と友彦は激しく言い争うが、友彦は最後は言霊によって留公らを撃退しようと、宣伝歌を歌いだした。
それに対抗して、留公も口から出任せの宣伝歌を歌って返す。しかしその様子のおかしさに、友彦も田吾作も笑い転げた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-04-20 18:41:22
OBC :
rm2003
愛善世界社版:
54頁
八幡書店版:
第4輯 168頁
修補版:
校定版:
56頁
普及版:
24頁
初版:
ページ備考:
001
留公
(
とめこう
)
はドンドンと
地響
(
ぢひび
)
きさせ
乍
(
なが
)
ら
性凝
(
しやうこ
)
りもなく
芋畑
(
いもばたけ
)
の
赤子
(
あかご
)
を
御
(
ご
)
丁寧
(
ていねい
)
に
再
(
ふたた
)
び
蹂躙
(
ふみにじ
)
り、
002
留公
『エイ、
003
此
(
この
)
芋
(
いも
)
の
野郎
(
やらう
)
、
004
俺
(
おれ
)
に
影響
(
えいきやう
)
を
及
(
およ
)
ぼしやがつた、
005
芋
(
いも
)
だつて
油断
(
ゆだん
)
のならぬものだ、
006
エヽもう
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
は
善
(
い
)
いも
、
007
悪
(
わる
)
いも
、
008
恐
(
こは
)
いも
、
009
可愛
(
かはい
)
いも
、
010
難
(
むつ
)
かし
いも
、
011
嬉
(
うれ
)
し
いも
、
012
悲
(
かな
)
し
いも
あつたものかい、
013
三度芋
(
さんどいも
)
の
野郎
(
やらう
)
、
014
何処
(
どこ
)
までも
六本
(
ろつぽん
)
の
指
(
ゆび
)
で
蹂躙
(
じうりん
)
してやらう。
015
アタ
いも
いもしい』
016
と
足
(
あし
)
に
力
(
ちから
)
を
入
(
い
)
れて
心
(
こころ
)
ゆく
許
(
ばか
)
り
踏
(
ふ
)
み
砕
(
くだ
)
いて
居
(
を
)
る。
017
そこへ
走
(
はし
)
つて
来
(
き
)
たのは
真浦
(
まうら
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
018
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
019
真浦
(
まうら
)
『
留
(
とめ
)
さん、
020
何
(
なに
)
をして
居
(
ゐ
)
なさる』
021
留公
(
とめこう
)
『
之
(
これ
)
はしたり、
022
大変
(
たいへん
)
な
所
(
とこ
)
を
発見
(
はつけん
)
されました。
023
然
(
しか
)
し
何卒
(
どうぞ
)
もう
宣伝歌
(
せんでんか
)
丈
(
だ
)
けは
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さい、
024
頭
(
あたま
)
の
数
(
かず
)
が
幾
(
いく
)
つにも
分家
(
ぶんけ
)
する
様
(
やう
)
な
心持
(
こころもち
)
がしますから……』
025
真浦
(
まうら
)
『よしよし
嫌
(
いや
)
とあれば
沈黙
(
ちんもく
)
しませう、
026
然
(
しか
)
し
今
(
いま
)
お
前
(
まへ
)
の
踏
(
ふ
)
んで
居
(
ゐ
)
るのは
芋
(
いも
)
ではないか』
027
留公
(
とめこう
)
『ハイ、
028
物価
(
ぶつか
)
騰貴
(
とうき
)
の
今日
(
こんにち
)
、
029
斯
(
か
)
う
沢山
(
たくさん
)
に
赤子
(
あかご
)
が
殖
(
ふ
)
えては、
030
第一
(
だいいち
)
国民
(
こくみん
)
が
食糧
(
しよくりやう
)
に
困
(
こま
)
ります。
031
三度芋
(
さんどいも
)
と
云
(
い
)
つて
年
(
ねん
)
に
三度
(
さんど
)
も
子
(
こ
)
を
生
(
う
)
む
奴
(
やつ
)
ぢや、
032
産児
(
さんじ
)
制限
(
せいげん
)
の
為
(
た
)
めにサンガー
夫人
(
ふじん
)
がやつて
来
(
き
)
て、
033
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
に
大活動
(
だいくわつどう
)
を
開始
(
かいし
)
した
所
(
とこ
)
ですよ。
034
何卒
(
どうぞ
)
大目
(
おほめ
)
に
見
(
み
)
て
上陸
(
じやうりく
)
を
拒否
(
きよひ
)
せない
様
(
やう
)
に
願
(
ねが
)
ひます、
035
アハヽヽヽ』
036
真浦
(
まうら
)
『そんな
事
(
こと
)
しては
困
(
こま
)
るぢやないか、
037
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
の
星
(
ほし
)
の
数
(
かず
)
程
(
ほど
)
人
(
ひと
)
を
殖
(
ふ
)
やし、
038
浜
(
はま
)
の
真砂
(
まさご
)
の
数
(
かず
)
程
(
ほど
)
赤子
(
あかご
)
を
生
(
う
)
まねばならぬ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
道
(
みち
)
ぢや、
039
生成
(
せいせい
)
化育
(
くわいく
)
の
大道
(
だいだう
)
を
無視
(
むし
)
してその
様
(
やう
)
な
乱暴
(
らんばう
)
な
事
(
こと
)
をして
良
(
よ
)
いものか』
040
留公
(
とめこう
)
『
私
(
わたくし
)
は
之
(
これ
)
が
国家
(
こくか
)
の
経済
(
けいざい
)
上
(
じやう
)
から
見
(
み
)
ても、
041
人類共存
(
じんるゐきようぞん
)
上
(
じやう
)
の
学理
(
がくり
)
から
考
(
かんが
)
へても
最
(
もつと
)
も
神
(
かみ
)
の
意志
(
いし
)
に
適
(
てき
)
した
良法
(
りやうはふ
)
だと
確信
(
かくしん
)
して
居
(
ゐ
)
ます。
042
何卒
(
なにとぞ
)
私
(
わたくし
)
の
演説
(
えんぜつ
)
を
一
(
ひと
)
つ
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
なさい、
043
能
(
よ
)
く
徹底
(
てつてい
)
して
居
(
ゐ
)
ますよ』
044
真浦
(
まうら
)
『
演説
(
えんぜつ
)
は
中止
(
ちゆうし
)
、
045
否
(
いな
)
絶対
(
ぜつたい
)
に
解散
(
かいさん
)
を
命
(
めい
)
じます』
046
斯
(
かか
)
る
処
(
ところ
)
へ
以前
(
いぜん
)
の
男
(
をとこ
)
、
047
鍬
(
くは
)
を
担
(
かた
)
げ
乍
(
なが
)
ら
怒髪
(
どはつ
)
天
(
てん
)
を
衝
(
つ
)
いて
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
048
男
(
をとこ
)
(田吾作)
『こらこら
又
(
また
)
しても
大切
(
だいじ
)
の
大切
(
だいじ
)
の
赤子
(
あかご
)
を
殺
(
ころ
)
すのか』
049
留公
(
とめこう
)
『オヽ、
050
バラモン
教
(
けう
)
と
取換
(
とつか
)
へこして
迄
(
まで
)
、
051
赤子
(
あかご
)
を
征伐
(
せいばつ
)
する
覚悟
(
かくご
)
をきめたのだから、
052
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
中止
(
ちうし
)
はせない。
053
マア
之
(
これ
)
も
前世
(
ぜんせ
)
の
因縁
(
いんねん
)
だと
諦
(
あきら
)
めて
鄭重
(
ていちよう
)
に
弔
(
とむら
)
ひでもしてやるが
良
(
よ
)
からう』
054
男
(
をとこ
)
は
怒
(
いか
)
り
心頭
(
しんとう
)
に
達
(
たつ
)
し
鍬
(
くは
)
を
真向
(
まつかう
)
に
翳
(
かざ
)
し
留公
(
とめこう
)
の
頭
(
あたま
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
打
(
う
)
ち
下
(
お
)
ろした。
055
留公
(
とめこう
)
はヒラリと
体
(
たい
)
を
躱
(
かは
)
した
機
(
はずみ
)
に、
056
鍬
(
くは
)
は
外
(
そ
)
れて
真浦
(
まうら
)
の
足
(
あし
)
の
小指
(
こゆび
)
を
斬
(
き
)
り
落
(
おと
)
した。
057
真浦
(
まうら
)
は
顔
(
かほ
)
を
顰
(
しか
)
め
落
(
お
)
ちた
指
(
ゆび
)
を
手早
(
てばや
)
く
拾
(
ひろ
)
つて
傷口
(
きずぐち
)
にあてた。
058
指
(
ゆび
)
は
其
(
その
)
儘
(
まま
)
に
密着
(
みつちやく
)
した。
059
余
(
あま
)
り
慌
(
あは
)
てたと
見
(
み
)
えて
小指
(
こゆび
)
の
先
(
さき
)
は
裏表
(
うらおもて
)
に
付
(
つ
)
けて
仕舞
(
しま
)
つた。
060
之
(
これ
)
迄
(
まで
)
は
真浦
(
まうら
)
に
対
(
たい
)
し
守彦
(
もりひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
が
付
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
たが
茲
(
ここ
)
に
初
(
はじ
)
めて
真浦
(
まうら
)
と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
が
出来
(
でき
)
たのである。
061
男
(
をとこ
)
(田吾作)
『
之
(
これ
)
は
之
(
これ
)
は
失礼
(
しつれい
)
な
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しました、
062
何卒
(
どうぞ
)
赦
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいませ。
063
勿体
(
もつたい
)
ない、
064
宣伝使
(
せんでんし
)
の
指
(
ゆび
)
を
斬
(
き
)
るなんて……
私
(
わたくし
)
は
如何
(
どう
)
して
此
(
この
)
罪
(
つみ
)
を
贖
(
あがな
)
うたら
宜
(
よろ
)
しいでせう、
065
神界
(
しんかい
)
に
対
(
たい
)
して
取返
(
とりかへ
)
しのならん
不調法
(
ぶてうはふ
)
を
致
(
いた
)
しました』
066
と
泣
(
な
)
き
沈
(
しづ
)
む。
067
留公
(
とめこう
)
『
世界
(
せかい
)
を
救
(
たす
)
ける
生神
(
いきがみ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
だ。
068
指
(
ゆび
)
の
一本
(
いつぽん
)
や
手
(
て
)
の
半本
(
はんぼん
)
位
(
くらゐ
)
取
(
と
)
れたとて、
069
そんな
事
(
こと
)
で
弱
(
こた
)
へる
様
(
やう
)
では
宣伝使
(
せんでんし
)
ぢやない。
070
それよりも
貴様
(
きさま
)
の
所
(
とこ
)
の
赤子
(
あかご
)
の
生命
(
いのち
)
、
071
随分
(
ずゐぶん
)
無残
(
むざん
)
な
事
(
こと
)
になつたものだのう』
072
男
(
をとこ
)
(田吾作)
『
之
(
これ
)
だけ
丹精
(
たんせい
)
を
凝
(
こ
)
らして
作
(
つく
)
つた
芋種
(
いもだね
)
を
台
(
だい
)
なしにして
置
(
お
)
き
乍
(
なが
)
ら、
073
まだ
業託
(
ごふたく
)
を
吐
(
ほざ
)
きやがるか。
074
エーもう
堪忍袋
(
かんにんぶくろ
)
の
緒
(
を
)
がきれた、
075
覚悟
(
かくご
)
をせよ』
076
と
又
(
また
)
もや
鍬
(
くは
)
を
振
(
ふ
)
り
翳
(
かざ
)
し
留公
(
とめこう
)
に
迫
(
せま
)
る。
077
宣伝使
(
せんでんし
)
は
此
(
この
)
鍬
(
くは
)
の
柄
(
え
)
を
確
(
しか
)
と
受止
(
うけと
)
め、
078
真浦
(
まうら
)
『マアマアお
待
(
ま
)
ちなさい、
079
短気
(
たんき
)
は
損気
(
そんき
)
だ。
080
芋
(
いも
)
も
大切
(
たいせつ
)
だが
人
(
ひと
)
の
生命
(
いのち
)
も
大切
(
たいせつ
)
だ』
081
男
(
をとこ
)
(田吾作)
『
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
自分
(
じぶん
)
の
産
(
う
)
んだ
子
(
こ
)
も
同然
(
どうぜん
)
に
肥料
(
こえ
)
を
掛
(
か
)
けたり、
082
草
(
くさ
)
を
引
(
ひ
)
いたり、
083
色々
(
いろいろ
)
と
世話
(
せわ
)
をして
来
(
き
)
た
可愛
(
かはい
)
い
芋
(
いも
)
の
子
(
こ
)
、
084
それをムザムザ
踏
(
ふ
)
み
潰
(
つぶ
)
されて……
育
(
そだ
)
ての
親
(
おや
)
が
如何
(
どう
)
して
黙
(
だま
)
つて
居
(
を
)
れませう。
085
芋
(
いも
)
は
芋
(
いも
)
だけの
精霊
(
せいれい
)
が
宿
(
やど
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
086
屹度
(
きつと
)
苦
(
くる
)
しんで
居
(
を
)
るでせう。
087
可哀相
(
かあいさう
)
に……
此
(
この
)
赤子
(
あかご
)
は
誰
(
たれ
)
に
此
(
この
)
無念
(
むねん
)
を
訴
(
うつた
)
へる
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ませう、
088
私
(
わたくし
)
が
怒
(
いか
)
つてやらねば
此
(
この
)
赤子
(
あかご
)
は
能
(
よ
)
う
浮
(
うか
)
びますまい……アヽ
芋
(
いも
)
の
子
(
こ
)
よ、
089
可憐相
(
かはいさう
)
な
者
(
もの
)
だが、
090
もう
斯
(
か
)
うなつては
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
い、
091
俺
(
おれ
)
が
之
(
これ
)
からお
前
(
まへ
)
の
冥福
(
めいふく
)
を
祈
(
いの
)
つてやるから
心
(
こころ
)
残
(
のこ
)
さずに
幽冥界
(
いうめいかい
)
に
旅立
(
たびだち
)
して
安楽
(
あんらく
)
に
暮
(
くら
)
してくれ、
092
アンアン』
093
と
態
(
わざ
)
と
男泣
(
をとこな
)
きに
泣
(
な
)
き
立
(
た
)
てる。
094
留公
(
とめこう
)
『アハヽヽヽ、
095
それだから
田吾作
(
たごさく
)
、
096
貴様
(
きさま
)
は
馬鹿
(
ばか
)
だと
云
(
い
)
ふのだよ、
097
それ
程
(
ほど
)
可愛
(
かはい
)
い
芋
(
いも
)
なら
大
(
おほ
)
きうなつた
奴
(
やつ
)
を
何故
(
なぜ
)
釜煎
(
かまいり
)
にしたり
庖丁
(
はうちやう
)
にかけて
喰
(
く
)
ふのだ。
098
そんな
矛盾
(
ほことん
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふからキ
印
(
じるし
)
だと
云
(
い
)
はれるのだ。
099
モシ
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
100
ちつと
理屈
(
りくつ
)
が
合
(
あ
)
はぬぢやありませぬか』
101
としたり
顔
(
がほ
)
に
云
(
い
)
ふ。
102
田吾作
(
たごさく
)
『それはそうだけれど……
何
(
なん
)
だか
可憐相
(
かはいさう
)
で
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
い
哩
(
わい
)
、
103
西
(
にし
)
も
東
(
ひがし
)
も
知
(
し
)
らぬ
弱
(
よわ
)
い
赤子
(
あかご
)
を
無残
(
むざん
)
にも
斯
(
こ
)
んなに
虐殺
(
ぎやくさつ
)
すると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるものか、
104
芋
(
いも
)
は
芋
(
いも
)
としての
寿命
(
じゆみやう
)
がある
筈
(
はず
)
だ。
105
秋
(
あき
)
が
来
(
き
)
て
蔓
(
つる
)
が
枯
(
か
)
れた
時
(
とき
)
は
寿命
(
じゆみやう
)
の
尽
(
つ
)
きた
時
(
とき
)
だ、
106
そこで
喰
(
く
)
ふのなら
芋
(
いも
)
も
得心
(
とくしん
)
するであらう、
107
折角
(
せつかく
)
お
前
(
まへ
)
も
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
て
不運
(
ふうん
)
な
奴
(
やつ
)
だのう』
108
と
又
(
また
)
も
涙
(
なみだ
)
含
(
ぐ
)
む。
109
留公
(
とめこう
)
『オイ
田吾作
(
たごさく
)
、
110
貴様
(
きさま
)
は
人
(
ひと
)
の
命
(
いのち
)
が
大切
(
たいせつ
)
か、
111
芋
(
いも
)
の
子
(
こ
)
が
大切
(
たいせつ
)
か、
112
何方
(
どちら
)
を
主
(
しゆ
)
とするのだ』
113
田吾作
(
たごさく
)
『きまつた
事
(
こと
)
よ、
114
貴様
(
きさま
)
は
芋
(
いも
)
で
譬
(
たとへ
)
たら
良
(
よ
)
い
喰
(
くら
)
ひ
頃
(
ごろ
)
だ。
115
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
最早
(
もはや
)
用
(
よう
)
の
無
(
な
)
い
代物
(
しろもの
)
だから
別
(
べつ
)
に
惜
(
を
)
しくも
無
(
な
)
ければ、
116
国家
(
こくか
)
の
損失
(
そんしつ
)
でも
無
(
な
)
い。
117
却
(
かへ
)
つて
社会
(
しやくわい
)
の
塵埃
(
ごもく
)
掃除
(
さうぢ
)
が
出来
(
でき
)
た
様
(
やう
)
なものだい』
118
真浦
(
まうら
)
『アハヽヽヽ、
119
随分
(
ずゐぶん
)
面白
(
おもしろ
)
い
芋論
(
いもろん
)
を
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひました、
120
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
万物
(
ばんぶつ
)
一切
(
いつさい
)
皆
(
みんな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
霊
(
れい
)
が
宿
(
やど
)
つてゐるのだから、
121
貴賤
(
きせん
)
老幼
(
らうえう
)
草木
(
さうもく
)
器具
(
きぐ
)
の
区別
(
くべつ
)
なくそれ
相当
(
さうたう
)
の
霊魂
(
みたま
)
がある。
122
万有
(
ばんいう
)
一切
(
いつさい
)
は
総
(
すべ
)
て
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
大切
(
たいせつ
)
なる
御
(
おん
)
霊
(
みたま
)
が
宿
(
やど
)
つてるから、
123
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
だつて
粗末
(
そまつ
)
にしてはなりませぬぞや』
124
田吾作
(
たごさく
)
『そら
見
(
み
)
たか、
125
留州
(
とめしう
)
、
126
キ
印
(
じるし
)
の
阿呆
(
あはう
)
の
云
(
い
)
つた
事
(
こと
)
でも
矢張
(
やつぱり
)
天地
(
てんち
)
の
真理
(
しんり
)
に
適
(
かな
)
つて
居
(
ゐ
)
るのが、
127
ちと
妙
(
めう
)
ではないか』
128
留公
(
とめこう
)
は
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
け
手
(
て
)
を
組
(
く
)
んで
青芝
(
あをしば
)
の
上
(
うへ
)
に
端坐
(
たんざ
)
し
何事
(
なにごと
)
か
頻
(
しき
)
りに
考
(
かんが
)
へて
居
(
を
)
る。
129
漸
(
やうや
)
くにして
顔
(
かほ
)
を
上
(
あ
)
げ、
130
留公
(
とめこう
)
『ヤ、
131
何事
(
なにごと
)
も
氷解
(
ひようかい
)
しました。
132
田吾作
(
たごさく
)
どの、
133
どうぞ
怺
(
こら
)
へて
呉
(
く
)
れ、
134
之
(
これ
)
からは
決
(
けつ
)
してもう
斯
(
こ
)
んな
事
(
こと
)
はせないから……』
135
田吾作
(
たごさく
)
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
斯
(
か
)
うなつた
以上
(
いじやう
)
は
仕方
(
しかた
)
は
無
(
な
)
い、
136
今後
(
こんご
)
は
気
(
き
)
をつけて
呉
(
く
)
れ。
137
芋
(
いも
)
ばつかりぢやないよ、
138
豆
(
まめ
)
だつて
麦
(
むぎ
)
だつて
皆
(
みな
)
其
(
その
)
通
(
とほ
)
りだからなア』
139
留公
(
とめこう
)
『ハイ
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました、
140
ちつと
心得
(
こころえ
)
ます』
141
と
以前
(
いぜん
)
に
変
(
かは
)
つて
丁寧
(
ていねい
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
する。
142
真浦
(
まうら
)
『アヽ
之
(
これ
)
で
凡
(
すべ
)
ての
解決
(
かいけつ
)
がついた、
143
芋
(
いも
)
の
死骸
(
しがい
)
で
最早
(
もはや
)
平和
(
へいわ
)
克復
(
こくふく
)
だ。
144
サア
之
(
これ
)
からバラモン
教
(
けう
)
の
友彦
(
ともひこ
)
さんにお
目
(
め
)
に
掛
(
かか
)
つてお
話
(
はなし
)
を
承
(
うけたま
)
はりませうか』
145
と
行
(
ゆ
)
かむとするを
留公
(
とめこう
)
は
引
(
ひ
)
き
留
(
とど
)
め、
146
留公
(
とめこう
)
『モシ、
147
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
148
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
149
貴方
(
あなた
)
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
でお
出
(
い
)
でになつては
大変
(
たいへん
)
です、
150
私
(
わたし
)
等
(
たち
)
は
勝手
(
かつて
)
を
能
(
よ
)
く
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
ますが、
151
私
(
わたし
)
の
離座敷
(
はなれざしき
)
に
宣伝使
(
せんでんし
)
が
置
(
お
)
いてある、
152
そこに
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
も
祀
(
まつ
)
つてあります。
153
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
家
(
いへ
)
の
周囲
(
まはり
)
に
広
(
ひろ
)
い
深
(
ふか
)
い
溝
(
みぞ
)
が
掘
(
ほ
)
つてあつて
迂濶
(
うつかり
)
跨
(
また
)
げようものなら……それこそ
大変
(
たいへん
)
……
生命
(
いのち
)
が
無
(
な
)
くなりますぜ』
154
真浦
(
まうら
)
『それは
本当
(
ほんたう
)
の
話
(
はなし
)
か』
155
留公
(
とめこう
)
『
本当
(
ほんたう
)
ですとも、
156
現在
(
げんざい
)
私
(
わたし
)
の
家
(
いへ
)
ですもの、
157
何
(
なに
)
間違
(
まちが
)
つた
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひませう。
158
軒下
(
のきした
)
を
貸
(
か
)
して
母屋
(
おもや
)
を
取
(
と
)
られると
云
(
い
)
ふ
譬
(
たとへ
)
の
通
(
とほ
)
り、
159
初
(
はじ
)
め
乞食
(
こじき
)
の
様
(
やう
)
な
態
(
ざま
)
をしてやつて
来
(
き
)
た
友彦
(
ともひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が、
160
今
(
いま
)
では
大変
(
たいへん
)
な
勢
(
いきほひ
)
で
私
(
わたし
)
の
座敷
(
ざしき
)
や
本宅
(
ほんたく
)
を
我物顔
(
わがものがほ
)
に
振舞
(
ふるま
)
ひ、
161
私
(
わたし
)
は
丁稚役
(
でつちやく
)
、
162
主客
(
しゆきやく
)
顛倒
(
てんたう
)
も
之
(
これ
)
位
(
くらゐ
)
甚
(
はなはだ
)
しい
事
(
こと
)
はありませぬ。
163
私
(
わたし
)
は
初
(
はじ
)
めの
頃
(
ころ
)
は
実
(
じつ
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
だと
思
(
おも
)
つて
現
(
うつつ
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
164
云
(
い
)
ふが
儘
(
まま
)
にして
居
(
を
)
りましたが、
165
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
言行
(
げんかう
)
の
一致
(
いつち
)
せない
事
(
こと
)
、
166
実
(
じつ
)
にお
話
(
はなし
)
になりませぬ。
167
けれども
私
(
わたし
)
が
率先
(
そつせん
)
して
村中
(
むらぢう
)
の
者
(
もの
)
に
勧
(
すす
)
め
廻
(
まは
)
つたと
云
(
い
)
ふ
廉
(
かど
)
があるので、
168
今更
(
いまさら
)
責任
(
せきにん
)
上
(
じやう
)
此
(
この
)
宣伝使
(
せんでんし
)
は
喰
(
く
)
はせ
者
(
もの
)
だつたと
云
(
い
)
つて
告白
(
こくはく
)
する
訳
(
わけ
)
にもゆかず、
169
本当
(
ほんたう
)
に
困
(
こま
)
り
抜
(
ぬ
)
いて
居
(
を
)
つた
所
(
ところ
)
ですが、
170
最前
(
さいぜん
)
松鷹彦
(
まつたかひこ
)
の
宅
(
うち
)
へ
使
(
つかひ
)
に
行
(
い
)
つた
時
(
とき
)
、
171
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
何百
(
なんびやく
)
人
(
にん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
人声
(
ひとごゑ
)
で
宣伝歌
(
せんでんか
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
172
その
声
(
こゑ
)
の
恐
(
おそ
)
ろしさ、
173
実
(
じつ
)
に
無限
(
むげん
)
の
威力
(
ゐりよく
)
が
備
(
そな
)
はつて
居
(
ゐ
)
ました。
174
私
(
わたくし
)
はバラモン
教
(
けう
)
は
愛想
(
あいさう
)
がつき
三五教
(
あななひけう
)
へ
入信
(
にふしん
)
したいので
御座
(
ござ
)
いますが、
175
あの
様
(
やう
)
な
頭
(
あたま
)
の
割
(
わ
)
れる
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謡
(
うた
)
はれては
困
(
こま
)
るなり、
176
如何
(
どう
)
したら
良
(
よ
)
いでせうかなア』
177
真浦
(
まうら
)
『
宣伝歌
(
せんでんか
)
は
聞
(
き
)
けば
聞
(
き
)
く
程
(
ほど
)
気分
(
きぶん
)
が
良
(
よ
)
くなつて
来
(
く
)
るものだ。
178
お
前
(
まへ
)
に
憑依
(
ひようい
)
して
居
(
を
)
る
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
が
嫌
(
きら
)
ふのだ、
179
それさへ
体内
(
たいない
)
より
放逐
(
はうちく
)
して
仕舞
(
しま
)
へば
何
(
なん
)
でも
無
(
な
)
いのだ。
180
さうしてあの
小
(
ちひ
)
さい
家
(
いへ
)
に
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
も
居
(
ゐ
)
る
筈
(
はず
)
がない、
181
其
(
その
)
実
(
じつ
)
は
私
(
わたし
)
一人
(
ひとり
)
より
居
(
を
)
らなかつたのだ』
182
留公
(
とめこう
)
『イエイエそれでも
沢山
(
たくさん
)
なお
声
(
こゑ
)
でした。
183
年寄
(
としより
)
の
声
(
こゑ
)
、
184
若
(
わか
)
い
者
(
もの
)
の
声
(
こゑ
)
、
185
鈴
(
すず
)
の
様
(
やう
)
な
綺麗
(
きれい
)
な
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
も
聞
(
きこ
)
えましたがなア』
186
真浦
(
まうら
)
『そら、
187
そうだらう、
188
沢山
(
たくさん
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
集
(
あつ
)
まつて
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
合唱
(
がつしやう
)
遊
(
あそ
)
ばす
事
(
こと
)
が
始終
(
しじう
)
あるからだ。
189
そりやお
前
(
まへ
)
の
神徳
(
しんとく
)
の
頂
(
いただ
)
け
口
(
ぐち
)
だ、
190
天耳通
(
てんじつう
)
の
開
(
ひら
)
けかけだから
安心
(
あんしん
)
して
吾々
(
われわれ
)
の
唱
(
とな
)
ふるお
道
(
みち
)
へ
這入
(
はい
)
るが
宜
(
よ
)
からう』
191
留公
(
とめこう
)
『そんなら
私
(
わたし
)
を
入信
(
にふしん
)
させて
下
(
くだ
)
さいますか』
192
真浦
(
まうら
)
『アヽ
宜
(
よろ
)
しい
宜
(
よろ
)
しい、
193
何卒
(
どうぞ
)
入信
(
にふしん
)
して
下
(
くだ
)
さい』
194
留公
(
とめこう
)
『
之
(
これ
)
は
有難
(
ありがた
)
い、
195
もう
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
は
百人力
(
ひやくにんりき
)
だ。
196
オイ
田吾作
(
たごさく
)
、
197
お
前
(
まへ
)
も
仲直
(
なかなほ
)
りをした
以上
(
いじやう
)
は、
198
俺
(
おれ
)
と
同様
(
どうやう
)
に
此
(
この
)
方
(
かた
)
に
従
(
したが
)
つて
三五教
(
あななひけう
)
を
信仰
(
しんかう
)
しようぢやないか』
199
田吾作
(
たごさく
)
『ウンそうだ、
200
さうなれば
此
(
この
)
村
(
むら
)
も
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
だ。
201
毎日
(
まいにち
)
日
(
ひ
)
にち
血
(
ち
)
を
見
(
み
)
る
残酷
(
ざんこく
)
な
行
(
ぎやう
)
を
強圧
(
きやうあつ
)
的
(
てき
)
にさせられる
心配
(
しんぱい
)
も
要
(
い
)
らず、
202
定
(
さだ
)
めて
女
(
をんな
)
子供
(
こども
)
が
喜
(
よろこ
)
ぶ
事
(
こと
)
だらう』
203
真浦
(
まうら
)
『
然
(
しか
)
し
私
(
わし
)
がお
前
(
まへ
)
の
宅
(
うち
)
へ
出張
(
しゆつちやう
)
すれば、
204
友彦
(
ともひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
随分
(
ずゐぶん
)
妙
(
めう
)
な
顔
(
かほ
)
をするだらうなア』
205
留公
(
とめこう
)
『そりや
致
(
いた
)
しませうとも、
206
今迄
(
いままで
)
は
無鳥郷
(
むてうきやう
)
の
蝙蝠
(
へんぷく
)
気取
(
きど
)
りで
随分
(
ずゐぶん
)
威張
(
ゐば
)
つて
居
(
ゐ
)
ましたが、
207
上
(
うへ
)
には
上
(
うへ
)
があるから
何時迄
(
いつまで
)
も
世
(
よ
)
は
持
(
も
)
ちきりにはなりますまい、
208
之
(
これ
)
が
良
(
よ
)
い
切
(
き
)
り
替
(
か
)
へ
時
(
どき
)
でせう。
209
サアサア
世
(
よ
)
の
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
しは
之
(
これ
)
からだ、
210
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
の
開
(
ひら
)
け
口
(
ぐち
)
だ』
211
と
雀躍
(
こをどり
)
し
乍
(
なが
)
ら
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち
二人
(
ふたり
)
を
伴
(
ともな
)
ひ
吾
(
わが
)
家
(
や
)
を
指
(
さ
)
して
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
212
留公
(
とめこう
)
は
矢庭
(
やには
)
に
友彦
(
ともひこ
)
の
割拠
(
かつきよ
)
せる
離座敷
(
はなれざしき
)
に
躍
(
をど
)
り
入
(
い
)
り、
213
留公
(
とめこう
)
『サア
友彦
(
ともひこ
)
、
214
今日
(
けふ
)
から
一寸
(
ちよつと
)
都合
(
つがふ
)
があるので
此
(
この
)
家
(
いへ
)
を
開
(
あ
)
けて
貰
(
もら
)
ひ
度
(
た
)
いのだ。
215
俺
(
わし
)
も
今迄
(
いままで
)
はバラモン
教
(
けう
)
のお
世話係
(
せわがかり
)
をやつて
来
(
き
)
たが、
216
お
前
(
まへ
)
さんから
除名
(
ぢよめい
)
されてからは
何時迄
(
いつまで
)
も
此
(
この
)
家
(
いへ
)
を
貸
(
か
)
す
訳
(
わけ
)
にはゆかない。
217
之
(
これ
)
から
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝
(
せんでん
)
をしようとするのだから、
218
未練
(
みれん
)
残
(
のこ
)
さずトツトと
帰
(
かへ
)
つてお
呉
(
く
)
れ』
219
友彦
(
ともひこ
)
は
怪訝
(
けげん
)
な
顔
(
かほ
)
して、
220
友彦
(
ともひこ
)
『オイ
留公
(
とめこう
)
、
221
そりや
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふのだ。
222
貴様
(
きさま
)
、
223
初
(
はじ
)
めに
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つた、
224
……
私
(
わたし
)
の
家
(
いへ
)
はお
粗末
(
そまつ
)
乍
(
なが
)
ら
一切
(
いつさい
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
供
(
そな
)
へします。
225
……と
大勢
(
おほぜい
)
の
前
(
まへ
)
に
立派
(
りつぱ
)
に
誓
(
ちか
)
つたぢやないか』
226
留公
(
とめこう
)
『そりや
誓
(
ちか
)
ひました、
227
否
(
いや
)
違
(
ちが
)
ひました。
228
然
(
しか
)
し
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
上
(
あ
)
げるも
上
(
あ
)
げぬもない、
229
世界中
(
せかいぢう
)
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のものだ。
230
仮令
(
たとへ
)
上
(
あ
)
げると
云
(
い
)
つた
所
(
ところ
)
でお
前
(
まへ
)
に
上
(
あ
)
げたのぢやない、
231
天地
(
てんち
)
の
元
(
もと
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
奉
(
たてまつ
)
つたものだから、
232
何卒
(
どうぞ
)
出
(
で
)
て
呉
(
く
)
れやがれ』
233
友彦
(
ともひこ
)
『
左様
(
さやう
)
な
不都合
(
ふつがふ
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すと
神罰
(
しんばつ
)
は
立所
(
たちどころ
)
に
当
(
あた
)
るぞ、
234
それでも
宜
(
よ
)
いか、
235
此
(
この
)
友彦
(
ともひこ
)
だつて
天地
(
てんち
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
236
殊
(
こと
)
に
大国別
(
おほくにわけ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
だ、
237
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
家
(
いへ
)
に
居
(
を
)
るのだ、
238
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
四足
(
よつあし
)
の
容器
(
いれもの
)
とは
違
(
ちが
)
ふぞ、
239
エヽ
穢
(
けが
)
らはしい、
240
トツト
出
(
で
)
てゆけ。
241
左様
(
さやう
)
な
無体
(
むたい
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
として
村中
(
むらぢう
)
の
信者
(
しんじや
)
が
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
すまいぞ』
242
と
信者
(
しんじや
)
をバツクに
落日
(
らくじつ
)
の
孤城
(
こじやう
)
を
固守
(
こしゆ
)
せむとする。
243
留公
(
とめこう
)
『
何
(
なん
)
といつても、
244
もう
駄目
(
だめ
)
だよ。
245
零落
(
おち
)
ぶれて
袖
(
そで
)
に
涙
(
なみだ
)
のかかる
時
(
とき
)
、
246
人
(
ひと
)
の
心
(
こころ
)
の
奥
(
おく
)
ぞ
知
(
し
)
らるると
云
(
い
)
つてな、
247
除名
(
ぢよめい
)
された
俺
(
おれ
)
は
村中
(
むらぢう
)
の
除外者
(
はねのけもの
)
になり、
248
何処
(
どこ
)
へ
頼
(
たよ
)
る
所
(
ところ
)
もなし、
249
自暴
(
じばう
)
自棄
(
じき
)
となつて
田吾作
(
たごさく
)
の
芋畑
(
いもばたけ
)
に
駆込
(
かけこ
)
み、
250
事
(
こと
)
の
起
(
おこ
)
りは
此奴
(
こいつ
)
ぢやと
芋
(
いも
)
の
赤子
(
あかご
)
を
片端
(
かたつぱし
)
から
踏
(
ふ
)
み
殺
(
ころ
)
す
最中
(
さいちう
)
に、
251
一人
(
ひとり
)
で
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
の
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
すと
云
(
い
)
ふ
立派
(
りつぱ
)
な
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
其処
(
そこ
)
に
忽然
(
こつぜん
)
として
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ひ、
252
此
(
この
)
留公
(
とめこう
)
の
頭
(
あたま
)
を、
253
膝
(
ひざ
)
に
上
(
のぼ
)
つた
猫
(
ねこ
)
でも
撫
(
な
)
でる
様
(
やう
)
な
調子
(
てうし
)
で
可愛
(
かはい
)
がり、
254
一
(
いち
)
の
乾児
(
こぶん
)
にして
下
(
くだ
)
さつたのだ。
255
サアサア
早
(
はや
)
く
出立
(
しゆつたつ
)
致
(
いた
)
さぬと
表
(
おもて
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
が
見張
(
みは
)
つて
御座
(
ござ
)
るぞ』
256
友彦
(
ともひこ
)
『
何
(
なに
)
、
257
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
見張
(
みは
)
つて
居
(
ゐ
)
るとな、
258
大方
(
おほかた
)
武志
(
たけし
)
の
宮
(
みや
)
の
神主
(
かむぬし
)
の
宅
(
うち
)
に
去年
(
きよねん
)
の
冬
(
ふゆ
)
から
潜伏
(
せんぷく
)
して
居
(
ゐ
)
た
守彦
(
もりひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
弱腰
(
よわごし
)
宣伝使
(
せんでんし
)
だらう。
259
バラモン
教
(
けう
)
の
友彦
(
ともひこ
)
が
威勢
(
ゐせい
)
に
恐
(
おそ
)
れて
今
(
いま
)
まで
蟄伏
(
ちつぷく
)
して
居
(
ゐ
)
た
蛙
(
かわづ
)
の
様
(
やう
)
な
代物
(
しろもの
)
だ、
260
そんな
者
(
もの
)
が
仮令
(
たとへ
)
千匹
(
せんびき
)
万匹
(
まんびき
)
やつて
来
(
き
)
たとて
驚
(
おどろ
)
くものかい。
261
万々一
(
まんまんいち
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
へ
進
(
すす
)
んで
来
(
こ
)
ようものなら、
262
それこそ
神界
(
しんかい
)
の
御
(
お
)
仕組
(
しぐみ
)
の
陥穽
(
おとしあな
)
に
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
顛倒
(
てんたう
)
し
生命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
つるは
目
(
ま
)
の
当
(
あた
)
りだ。
263
心配
(
しんぱい
)
致
(
いた
)
すな、
264
貴様
(
きさま
)
も
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
除名
(
ぢよめい
)
処分
(
しよぶん
)
を
取消
(
とりけ
)
すから
安心
(
あんしん
)
せい』
265
留公
(
とめこう
)
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ほざ
)
きやがるのだ、
266
取消
(
とりけし
)
も
何
(
なに
)
もあつたものかい、
267
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
俺
(
おれ
)
の
詳細
(
しやうさい
)
なる
報告
(
はうこく
)
に
依
(
よ
)
つて
陥穽
(
おとしあな
)
の
箇所
(
かしよ
)
は
全部
(
ぜんぶ
)
承知
(
しようち
)
して
御座
(
ござ
)
るのだ。
268
さうして
俺
(
おれ
)
は
案内役
(
あんないやく
)
だから
滅多
(
めつた
)
に
別条
(
べつでう
)
は
無
(
な
)
い、
269
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
が
迫
(
せま
)
つて
来
(
き
)
て
居
(
を
)
るのにお
前
(
まへ
)
、
270
人
(
ひと
)
の
疝気
(
せんき
)
を
頭痛
(
づつう
)
に
病
(
や
)
む
様
(
やう
)
な
馬鹿
(
ばか
)
な
真似
(
まね
)
はなさいますなや。
271
大
(
おほ
)
きに
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
……
有難
(
ありがた
)
う』
272
と
長
(
なが
)
い
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
し、
273
両手
(
りやうて
)
を
鳶
(
とんび
)
が
羽翼
(
はね
)
を
拡
(
ひろ
)
げた
様
(
やう
)
な
風
(
ふう
)
にして
二三遍
(
にさんぺん
)
虚空
(
こくう
)
を
掻
(
か
)
き、
274
尻
(
しり
)
をニユツと
突出
(
つきだ
)
して
舞
(
ま
)
うて
見
(
み
)
せる。
275
友彦
(
ともひこ
)
は
祭壇
(
さいだん
)
の
前
(
まへ
)
に
額
(
ぬかづ
)
き
祈願
(
きぐわん
)
の
詞
(
ことば
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
276
言霊戦
(
ことたません
)
を
以
(
もつ
)
て
真浦
(
まうら
)
の
宣伝
(
せんでん
)
を
撃退
(
げきたい
)
せむと、
277
声
(
こゑ
)
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
謡
(
うた
)
ひ
初
(
はじ
)
めたり。
278
友彦
『
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
を
守
(
まも
)
ります
279
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
280
珍
(
うづ
)
の
御裔
(
みすゑ
)
と
現
(
あ
)
れませる
281
大国別
(
おほくにわけ
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
282
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
救世主
(
すくひぬし
)
283
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
より
遥々
(
はるばる
)
と
284
イホの
国
(
くに
)
迄
(
まで
)
渡
(
わた
)
りまし
285
霊主
(
れいしゆ
)
体従
(
たいじう
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
286
開
(
ひら
)
かむ
為
(
ため
)
に
霊幸
(
たまちは
)
ふ
287
神
(
かみ
)
に
等
(
ひと
)
しき
鬼雲
(
おにくも
)
の
288
彦
(
ひこ
)
の
命
(
みこと
)
や
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
や
289
其
(
その
)
他
(
た
)
数多
(
あまた
)
の
神々
(
かみがみ
)
を
290
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
中津国
(
なかつくに
)
291
メソポタミヤの
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
292
果実
(
このみ
)
豊
(
ゆたか
)
な
楽園
(
らくゑん
)
に
293
本拠
(
ほんきよ
)
を
定
(
さだ
)
めフサの
国
(
くに
)
294
ツキの
国
(
くに
)
まで
教線
(
けうせん
)
を
295
拡
(
ひろ
)
め
給
(
たま
)
ひて
自転倒
(
おのころ
)
の
296
島
(
しま
)
に
又
(
また
)
もや
下
(
くだ
)
りまし
297
大江
(
おほえ
)
の
山
(
やま
)
を
中心
(
ちうしん
)
に
298
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
を
三岳山
(
みたけやま
)
299
鬼
(
おに
)
をも
拉
(
ひし
)
ぐ
鬼
(
おに
)
ケ
城
(
じやう
)
300
伊吹
(
いぶき
)
の
山
(
やま
)
まで
開
(
ひら
)
きまし
301
世人
(
よびと
)
を
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けむと
302
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
魂
(
たま
)
を
錬
(
ね
)
り
303
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
乱
(
みだ
)
す
悪神
(
あくがみ
)
の
304
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
枉津見
(
まがつみ
)
が
305
下
(
した
)
に
仕
(
つか
)
ふる
悦子姫
(
よしこひめ
)
306
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
や
高倉
(
たかくら
)
や
307
旭
(
あさひ
)
、
月日
(
つきひ
)
の
白狐
(
びやくこ
)
等
(
ら
)
が
308
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
に
309
時
(
とき
)
を
得
(
え
)
ずして
本国
(
ほんごく
)
へ
310
一先
(
ひとま
)
づ
退却
(
たいきやく
)
し
給
(
たま
)
へど
311
必
(
かなら
)
ず
捲土
(
けんど
)
重来
(
ぢうらい
)
の
312
時
(
とき
)
こそ
今
(
いま
)
に
近
(
ちか
)
づきて
313
コーカス
山
(
さん
)
やウブスナの
314
山
(
やま
)
に
建
(
た
)
つたる
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
315
黄金山
(
わうごんざん
)
はまだ
愚
(
おろか
)
316
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
317
世継王
(
よつわう
)
の
山
(
やま
)
の
辺傍
(
かたほとり
)
318
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
を
忽
(
たちま
)
ちに
319
手
(
て
)
の
掌
(
ひら
)
翻
(
かへ
)
す
其
(
その
)
如
(
ごと
)
く
320
土崩
(
どほう
)
瓦解
(
ぐわかい
)
は
目
(
ま
)
の
当
(
あた
)
り
321
先
(
さき
)
の
見
(
み
)
えたる
三五
(
あななひ
)
の
322
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
は
風前
(
ふうぜん
)
の
323
灯火
(
とうくわ
)
の
如
(
ごと
)
く
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
324
危険
(
きけん
)
益々
(
ますます
)
迫
(
せま
)
り
行
(
ゆ
)
く
325
実
(
じつ
)
に
憐
(
あは
)
れな
其
(
その
)
教義
(
をしへ
)
326
それをも
知
(
し
)
らぬ
守彦
(
もりひこ
)
が
327
天
(
あめ
)
の
使
(
つかひ
)
と
名乗
(
なの
)
りつつ
328
図々
(
づうづう
)
しくもバラモンの
329
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
の
友彦
(
ともひこ
)
が
330
館
(
やかた
)
を
指
(
さ
)
して
来
(
きた
)
るとは
331
飛
(
と
)
んで
火
(
ひ
)
に
入
(
い
)
る
夏
(
なつ
)
の
虫
(
むし
)
332
それに
従
(
したが
)
ふ
留公
(
とめこう
)
や
333
田吾作
(
たごさく
)
野郎
(
やらう
)
の
蚯蚓
(
みみず
)
きり
334
蛙
(
かはづ
)
もきれぬ
分際
(
ぶんざい
)
で
335
神徳
(
しんとく
)
高
(
たか
)
き
友彦
(
ともひこ
)
に
336
刃向
(
はむか
)
ひ
来
(
く
)
るとは
何事
(
なにごと
)
ぞ
337
身
(
み
)
の
程
(
ほど
)
知
(
し
)
らぬも
程
(
ほど
)
がある
338
天
(
てん
)
が
地
(
ち
)
となり
地
(
ち
)
が
天
(
てん
)
と
339
変
(
かは
)
る
此
(
こ
)
の
世
(
よ
)
が
来
(
く
)
るとても
340
三五教
(
あななひけう
)
に
迷
(
まよ
)
ふなよ
341
霊主
(
れいしゆ
)
体従
(
たいじう
)
の
此
(
この
)
教義
(
をしへ
)
342
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
神界
(
しんかい
)
の
343
深
(
ふか
)
き
経綸
(
しぐみ
)
は
三五
(
あななひ
)
の
344
浅
(
あさ
)
き
教
(
をしへ
)
ぢや
分
(
わか
)
らない
345
飯守彦
(
めしもりひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
346
留公
(
とめこう
)
田吾作
(
たごさく
)
諸共
(
もろとも
)
に
347
今
(
いま
)
から
心
(
こころ
)
を
立直
(
たてなほ
)
し
348
バラモン
教
(
けう
)
の
神徳
(
しんとく
)
を
349
受
(
う
)
けて
身魂
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
き
上
(
あ
)
げ
350
神世
(
かみよ
)
を
来
(
きた
)
す
神業
(
しんげふ
)
に
351
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
352
天地
(
てんち
)
に
代
(
かは
)
る
功績
(
いさをし
)
を
353
千代
(
ちよ
)
万代
(
よろづよ
)
に
樹
(
た
)
てよかし
354
これ
友彦
(
ともひこ
)
が
詐
(
いつは
)
らぬ
355
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
言葉
(
ことば
)
ぞや
356
言霊
(
ことたま
)
幸
(
さち
)
はふ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
357
善
(
ぜん
)
ぢや
悪
(
あく
)
ぢやと
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
358
朝日
(
あさひ
)
が
照
(
て
)
るとか
曇
(
くも
)
るとか
359
月
(
つき
)
が
盈
(
み
)
つとか
虧
(
か
)
くるとか
360
大地
(
だいち
)
が
泥
(
どろ
)
に
沈
(
しづ
)
むとか
361
世人
(
よびと
)
欺
(
あざむ
)
くコケ
嚇
(
おど
)
し
362
そんな
馬鹿
(
ばか
)
げた
言霊
(
ことたま
)
を
363
之
(
これ
)
だけ
開
(
ひら
)
けた
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
364
人
(
ひと
)
が
如何
(
どう
)
して
聞
(
き
)
くものか
365
馬鹿
(
ばか
)
を
尽
(
つく
)
すも
程
(
ほど
)
がある
366
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
目
(
め
)
を
覚
(
さま
)
せ
367
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
は
皆
(
みな
)
一
(
ひと
)
つ
368
世界
(
せかい
)
の
氏子
(
うぢこ
)
を
助
(
たす
)
けむと
369
大国別
(
おほくにわけ
)
の
御言
(
みこと
)
もて
370
憂瀬
(
うきせ
)
に
沈
(
しづ
)
む
民草
(
たみくさ
)
を
371
救
(
すく
)
はせ
給
(
たま
)
ふ
有難
(
ありがた
)
さ
372
一度
(
いちど
)
は
喰
(
く
)
つて
味
(
あぢ
)
はへよ
373
喰
(
く
)
はず
嫌
(
ぎら
)
ひは
仕様
(
しやう
)
がない
374
苦
(
にが
)
けりや
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
せ
甘
(
うま
)
ければ
375
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
要
(
い
)
らぬドシドシと
376
心
(
こころ
)
ゆく
迄
(
まで
)
喰
(
く
)
ふがよい
377
善
(
ぜん
)
の
中
(
なか
)
にも
悪
(
あく
)
がある
378
悪
(
あく
)
の
中
(
なか
)
にも
善
(
ぜん
)
がある
379
三五教
(
あななひけう
)
は
表向
(
おもてむき
)
380
善
(
ぜん
)
と
雖
(
いへど
)
も
内実
(
ないじつ
)
は
381
悪鬼
(
あくき
)
悪魔
(
あくま
)
の
囈言
(
たはごと
)
ぞ
382
バラモン
教
(
けう
)
は
表
(
おもて
)
から
383
眺
(
なが
)
めて
見
(
み
)
ても
善
(
ぜん
)
である
384
裏
(
うら
)
から
見
(
み
)
ても
亦
(
また
)
善
(
ぜん
)
ぢや
385
其
(
その
)
内実
(
ないじつ
)
は
殊更
(
ことさら
)
に
386
善一筋
(
ぜんひとすぢ
)
で
固
(
かた
)
めたる
387
昔
(
むかし
)
の
元
(
もと
)
の
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
388
斯
(
こ
)
んな
結構
(
けつこう
)
な
御教
(
みをしへ
)
を
389
調
(
しら
)
べもせずに
一口
(
ひとくち
)
に
390
悪
(
あく
)
の
雅号
(
ががう
)
で
葬
(
はうむ
)
りて
391
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
潰
(
つぶ
)
さうと
企
(
たく
)
む
奴
(
やつ
)
392
憎
(
にく
)
さも
憎
(
にく
)
い
三五教
(
あななひけう
)
393
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
留公
(
とめこう
)
よ
394
飯守彦
(
めしもりひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
の
395
甘
(
うま
)
い
言葉
(
ことば
)
にのせられて
396
お
尻
(
しり
)
の
毛
(
け
)
迄
(
まで
)
抜
(
ぬ
)
かれなよ
397
憐
(
あは
)
れみ
深
(
ぶか
)
い
友彦
(
ともひこ
)
が
398
真心
(
まごころ
)
籠
(
こ
)
めて
気
(
き
)
をつける
399
大国別
(
おほくにわけ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
よ
400
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
が
心
(
こころ
)
に
生命
(
せいめい
)
を
401
与
(
あた
)
えて
再
(
ふたた
)
びバラモンの
402
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
救
(
すく
)
ひませ
403
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
404
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひ
坐
(
まし
)
ませよ
405
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
406
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひ
坐
(
まし
)
ませよ』
407
と
口
(
くち
)
から
出任
(
でまか
)
せに
汗
(
あせ
)
をブルブル
流
(
なが
)
し
乍
(
なが
)
ら
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てて
居
(
を
)
る。
408
留公
(
とめこう
)
は
此
(
この
)
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
いて
躍起
(
やくき
)
となり、
409
留公
『オイ、
410
バラモン
教
(
けう
)
の
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
、
411
随分
(
ずゐぶん
)
立派
(
りつぱ
)
な
言霊
(
ことたま
)
だのう。
412
雲烟
(
うんえん
)
模糊
(
もこ
)
として
捕捉
(
ほそく
)
すべからず、
413
支離
(
しり
)
滅裂
(
めつれつ
)
、
414
聞
(
き
)
くに
堪
(
た
)
へざる
亡国
(
ばうこく
)
の
悲歌
(
ひか
)
、
415
そんな
事
(
こと
)
を
囀
(
さへづ
)
ると
天地
(
てんち
)
が
暗
(
くら
)
くなつて
仕舞
(
しま
)
ふ
哩
(
わい
)
。
416
サア
之
(
これ
)
から
此
(
この
)
留公
(
とめこう
)
が
十一七
(
じふいちしち
)
番
(
ばん
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謡
(
うた
)
つてやらう、
417
耳
(
みみ
)
を
浚
(
さら
)
へて
謹聴
(
きんちやう
)
せい』
418
と
長々
(
ながなが
)
と
前置
(
まへおき
)
してエヘンと
一
(
ひと
)
つ
咳払
(
せきばら
)
ひ、
419
鷹
(
たか
)
が
翼
(
つばさ
)
を
拡
(
ひろ
)
げた
様
(
やう
)
な
手付
(
てつき
)
で
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
め
足
(
あし
)
を
踏
(
ふ
)
ん
張
(
ば
)
り、
420
右
(
みぎ
)
や
左
(
ひだり
)
へ
身体
(
からだ
)
を
揺
(
ゆす
)
ぶり
乍
(
なが
)
ら
奇声
(
きせい
)
怪音
(
くわいおん
)
を
放
(
はな
)
つて
揺
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
421
留公
『
此処
(
ここ
)
は
名
(
な
)
に
負
(
お
)
ふ
秘密郷
(
ひみつきやう
)
422
四面
(
しめん
)
深山
(
みやま
)
に
包
(
つつ
)
まれて
423
中
(
なか
)
を
流
(
なが
)
るる
宇都
(
うづ
)
の
川
(
かは
)
424
流
(
なが
)
れも
清
(
きよ
)
く
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
る
425
武志
(
たけし
)
の
宮
(
みや
)
の
御
(
おん
)
住家
(
すみか
)
426
大江
(
おほえ
)
の
山
(
やま
)
を
破壊
(
ばら
)
されて
427
逃
(
に
)
げて
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たバラモンの
428
言霊
(
ことたま
)
濁
(
にご
)
る
ども
彦
(
ひこ
)
が
429
鳥
(
とり
)
なき
里
(
さと
)
の
蝙蝠
(
かうもり
)
か
430
蛇
(
へび
)
なき
里
(
さと
)
の
青蛙
(
あをかはづ
)
431
威張
(
ゐばり
)
散
(
ち
)
らして
村人
(
むらびと
)
を
432
何
(
なん
)
ぢやかんぢやとチヨロまかし
433
霊主
(
れいしゆ
)
体従
(
たいじう
)
を
標榜
(
へうぼう
)
し
434
利己
(
りこ
)
一片
(
いつぺん
)
の
強欲心
(
がうよくしん
)
435
最極端
(
さいきよくたん
)
に
発揮
(
はつき
)
して
436
宇都山
(
うづやま
)
村
(
むら
)
の
婆
(
ばば
)
、
嬶
(
かか
)
を
437
有難涙
(
ありがたなみだ
)
に
咽
(
むせ
)
ばせつ
438
遂
(
つひ
)
に
進
(
すす
)
んで
吾々
(
われわれ
)
も
439
慣用
(
くわんよう
)
手段
(
しゆだん
)
の
口
(
くち
)
の
先
(
さき
)
440
一寸
(
ちよつと
)
うまうま
乗
(
の
)
つて
見
(
み
)
た
441
さはさり
乍
(
なが
)
らつくづくと
442
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
て
真夜中
(
まよなか
)
に
443
臥
(
ふ
)
せりもやらず
窺
(
うかが
)
へば
444
表面
(
うはべ
)
を
包
(
つつ
)
む
金鍍金
(
きんメツキ
)
445
愈
(
いよいよ
)
色
(
いろ
)
は
剥
(
は
)
げかけた
446
時
(
とき
)
しもあれや
三五
(
あななひ
)
の
447
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
宣伝使
(
せんでんし
)
448
天
(
あめ
)
の
使
(
つかひ
)
の
守彦
(
もりひこ
)
が
449
雲路
(
くもぢ
)
を
分
(
わ
)
けて
下
(
くだ
)
りまし
450
武志
(
たけし
)
の
宮
(
みや
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
451
現
(
あら
)
はれました
雪
(
ゆき
)
の
道
(
みち
)
452
雪
(
ゆき
)
より
清
(
きよ
)
い
神心
(
かみごころ
)
453
松鷹彦
(
まつたかひこ
)
の
住
(
す
)
む
家
(
いへ
)
に
454
去年
(
きよねん
)
の
冬
(
ふゆ
)
から
出
(
い
)
でまして
455
世界
(
せかい
)
の
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
し
456
天地
(
あめつち
)
百
(
もも
)
の
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
を
457
宇都
(
うづ
)
の
川辺
(
かはべ
)
に
呼
(
よ
)
び
集
(
あつ
)
め
458
神徳
(
しんとく
)
茲
(
ここ
)
に
備
(
そな
)
はつて
459
バラモン
教
(
けう
)
の
枉神
(
まがかみ
)
を
460
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
し
如何
(
どう
)
しても
461
往生
(
わうじやう
)
致
(
いた
)
さな
是非
(
ぜひ
)
はない
462
神
(
かみ
)
の
定
(
さだ
)
めの
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
や
463
も
一
(
ひと
)
つ
違
(
ちが
)
うたら
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
464
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
上
(
あが
)
れない
465
根底
(
ねそこ
)
の
底
(
そこ
)
のまだ
底
(
そこ
)
の
466
真黒暗
(
まつくらやみ
)
のドン
底
(
ぞこ
)
へ
467
落
(
おと
)
してやらうかこりや
如何
(
どう
)
ぢや
468
此
(
この
)
世
(
よ
)
でさへも
限
(
き
)
りがある
469
早
(
はや
)
く
心
(
こころ
)
をきり
替
(
か
)
へて
470
瓦落多
(
ぐわらくた
)
教
(
けう
)
に
暇
(
ひま
)
呉
(
く
)
れて
471
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
開
(
ひら
)
きたる
472
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
せよ
473
俺
(
おれ
)
も
長
(
なが
)
らく
友彦
(
ともひこ
)
を
474
師匠
(
ししやう
)
と
仰
(
あふ
)
いで
来
(
き
)
た
誼
(
よしみ
)
475
別
(
わか
)
れに
際
(
さい
)
して
親切
(
しんせつ
)
に
476
誠心
(
まことごころ
)
で
気
(
き
)
をつける
477
気
(
き
)
をつけられた
其
(
その
)
中
(
うち
)
に
478
聞
(
き
)
かねば
後
(
あと
)
は
知
(
し
)
らぬぞよ
479
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
を
取
(
と
)
り
違
(
ちが
)
へ
480
留公
(
とめこう
)
さまの
真心
(
まごころ
)
を
481
無
(
む
)
にするならばするがよい
482
皆
(
みんな
)
お
前
(
まへ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
に
483
かかつて
来
(
きた
)
ること
許
(
ばか
)
り
484
俺
(
おれ
)
はもう
早
(
は
)
や
三五
(
あななひ
)
の
485
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
帰順
(
きじゆん
)
した
486
バラモン
教
(
けう
)
に
用
(
よう
)
は
無
(
な
)
い
487
とは
言
(
い
)
ふものの
人
(
ひと
)
は
皆
(
みな
)
488
同
(
おな
)
じ
御神
(
みかみ
)
の
分霊
(
わけみたま
)
489
世界
(
せかい
)
同胞
(
どうはう
)
の
誼
(
よしみ
)
もて
490
一度
(
いちど
)
は
忠告
(
ちうこく
)
仕
(
つかまつ
)
る
491
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
して
呉
(
く
)
れよ
492
決
(
けつ
)
して
俺
(
おれ
)
に
損得
(
そんとく
)
の
493
一
(
ひと
)
つも
関
(
かか
)
はる
事
(
こと
)
ぢやない
494
みんなお
前
(
まへ
)
が
可愛
(
かはい
)
から
495
お
前
(
まへ
)
が
改心
(
かいしん
)
するなれば
496
宇都山
(
うづやま
)
村
(
むら
)
の
神村
(
かみむら
)
も
497
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
無事
(
ぶじ
)
安穏
(
あんをん
)
498
五穀
(
ごこく
)
成就
(
じやうじゆ
)
目
(
ま
)
のあたり
499
改心
(
かいしん
)
せなけりや
是非
(
ぜひ
)
も
無
(
な
)
い
500
留
(
とめ
)
の
腕
(
うで
)
には
骨
(
ほね
)
がある
501
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
になり
代
(
かは
)
り
502
貴様
(
きさま
)
の
雁首
(
がんくび
)
引
(
ひ
)
き
抜
(
ぬ
)
こか
503
眼玉
(
めだま
)
を
抜
(
ぬ
)
こか
舌
(
した
)
抜
(
ぬ
)
こか
504
地獄
(
ぢごく
)
の
鬼
(
おに
)
ぢやなけれども
505
止
(
や
)
むに
止
(
や
)
まれぬ
大和魂
(
やまとだま
)
506
とめてとまらぬ
留公
(
とめこう
)
が
507
思
(
おも
)
ひ
詰
(
つ
)
めたる
善
(
ぜん
)
の
道
(
みち
)
508
道
(
みち
)
に
迷
(
まよ
)
うた
里人
(
さとびと
)
を
509
助
(
たす
)
けにやならぬ
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
510
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
友彦
(
ともひこ
)
が
511
改心
(
かいしん
)
すれば
三五
(
あななひ
)
の
512
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
と
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いて
513
元
(
もと
)
は
一
(
ひと
)
つの
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
514
腹
(
はら
)
を
合
(
あは
)
して
仲好
(
なかよ
)
くし
515
お
道
(
みち
)
を
開
(
ひら
)
く
気
(
き
)
はないか
516
早
(
はや
)
く
薫
(
かんば
)
しい
返事
(
へんじ
)
せよ
517
返事
(
へんじ
)
がなければ
是非
(
ぜひ
)
が
無
(
な
)
い
518
芋
(
いも
)
の
赤子
(
あかご
)
を
潰
(
つぶ
)
す
様
(
やう
)
に
519
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
踏
(
ふ
)
みにじり
520
鬼
(
おに
)
の
餌食
(
ゑじき
)
にしてやろか
521
サアサア
早
(
はや
)
うサア
早
(
はや
)
う
522
お
返事
(
へんじ
)
なされよ
三五
(
あななひ
)
の
523
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
宣伝使
(
せんでんし
)
524
言霊戦
(
ことたません
)
を
開
(
ひら
)
いたら
525
とても
敵
(
かな
)
はぬ
尻
(
しり
)
に
帆
(
ほ
)
を
526
掛
(
か
)
けて
走
(
はし
)
らにやなるまいぞ
527
そんな
見
(
み
)
つとも
無
(
な
)
い
事
(
こと
)
を
528
するより
早
(
はや
)
く
我
(
が
)
を
折
(
を
)
つて
529
改心
(
かいしん
)
なされ
改心
(
かいしん
)
を
530
すれば
忽
(
たちま
)
ち
其
(
その
)
日
(
ひ
)
から
531
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んで
神界
(
しんかい
)
の
532
御用
(
ごよう
)
が
屹度
(
きつと
)
出来
(
でき
)
ますぞ
533
三五教
(
あななひけう
)
が
善
(
ぜん
)
なるか
534
又
(
また
)
悪
(
あく
)
なるか
俺
(
おれ
)
や
知
(
し
)
らぬ
535
俺
(
おれ
)
の
感
(
かん
)
じた
動機
(
どうき
)
こそ
536
不言
(
ふげん
)
実行
(
じつかう
)
の
誠
(
まこと
)
のみ
537
バラモン
教
(
けう
)
は
善
(
ぜん
)
の
道
(
みち
)
538
善
(
ぜん
)
ぢや
善
(
ぜん
)
ぢやと
謡
(
うた
)
へども
539
言心行
(
げんしんかう
)
が
一致
(
いつち
)
せぬ
540
一致
(
いつち
)
を
欠
(
か
)
いだ
御教
(
みをしへ
)
は
541
半善
(
はんぜん
)
半悪
(
はんあく
)
雑種教
(
ざつしゆけう
)
542
斯
(
こ
)
んな
教
(
をしへ
)
が
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
543
若
(
も
)
しも
拡
(
ひろ
)
まるものならば
544
世界
(
せかい
)
の
人
(
ひと
)
は
悉
(
ことごと
)
く
545
みんな
不具者
(
かたわ
)
になつて
仕舞
(
しま
)
ふ
546
生血
(
いきち
)
に
飢
(
う
)
ゑたる
枉神
(
まがかみ
)
の
547
醜
(
しこ
)
の
企
(
たく
)
みと
知
(
し
)
らないか
548
お
前
(
まへ
)
も
天地
(
てんち
)
の
御徳
(
みとく
)
にて
549
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
550
悪魔
(
あくま
)
の
巣
(
すく
)
ふ
破
(
やぶ
)
れ
屋
(
や
)
と
551
なつて
天地
(
てんち
)
の
神々
(
かみがみ
)
に
552
如何
(
どう
)
して
言訳
(
いひわけ
)
立
(
た
)
つものか
553
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
してお
呉
(
く
)
れ
554
留公
(
とめこう
)
さまが
一生
(
いつしやう
)
の
555
誠
(
まこと
)
尽
(
つく
)
しのお
願
(
ねがひ
)
ぢや
556
之
(
これ
)
程
(
ほど
)
誠
(
まこと
)
で
頼
(
たの
)
むのに
557
首
(
くび
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
るならば
558
もう
是非
(
ぜひ
)
なしと
諦
(
あきら
)
めて
559
直接
(
ちよくせつ
)
行動
(
かうどう
)
にとりかかる
560
返答
(
へんたふ
)
聞
(
き
)
かせ
友彦
(
ともひこ
)
よ
561
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
562
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
563
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
564
お
前
(
まへ
)
一人
(
ひとり
)
は
如何
(
どう
)
しても
565
改心
(
かいしん
)
させねば
措
(
お
)
かないぞ
566
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
567
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひ
坐
(
ま
)
しまして
568
頑固
(
ぐわんこ
)
一途
(
いちづ
)
の
友彦
(
ともひこ
)
が
569
心
(
こころ
)
を
照
(
てら
)
させ
給
(
たま
)
へかし
570
身魂
(
みたま
)
を
光
(
ひか
)
らせ
給
(
たま
)
へかし』
571
と
敵
(
てき
)
やら
味方
(
みかた
)
やら
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
歌
(
うた
)
を
謡
(
うた
)
ひ
首
(
くび
)
をすくめ、
572
糞垂
(
ばばた
)
れ
腰
(
ごし
)
になつて、
573
左右
(
さいう
)
の
手
(
て
)
を
胸
(
むね
)
の
四辺
(
あたり
)
に
かまきり
がすくんだ
様
(
やう
)
な
手付
(
てつき
)
し、
574
ピリピリ
慄
(
ふる
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
左右
(
さいう
)
の
足
(
あし
)
を
一所
(
いつしよ
)
にキチンと
合
(
あは
)
せ
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
る。
575
その
可笑
(
をか
)
しさに
友彦
(
ともひこ
)
も、
576
跟
(
つ
)
いて
来
(
き
)
た
田吾作
(
たごさく
)
も、
577
思
(
おも
)
はず
声
(
こゑ
)
を
上
(
あ
)
げて
笑
(
わら
)
ひ
転
(
こ
)
けたり。
578
(
大正一一・五・一二
旧四・一六
北村隆光
録)
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【第3章 山河不尽|第20巻|如意宝珠|霊界物語|/rm2003】
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