霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 六六六(みろく)〔六六六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第20巻 如意宝珠 未の巻 篇:第1篇 宇都山郷 よみ(新仮名遣い):うづやまごう
章:第4章 六六六 よみ(新仮名遣い):みろく 通し章番号:666
口述日:1922(大正11)年05月12日(旧04月16日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年3月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
田吾作も鍬を杖につきながら留公の傍らに来て、友彦征服の宣伝歌を歌い始めた。
次いで天の真浦が宣伝歌を歌った。三五教の神の由来から、自分の出自、そしてこの宇都山村の里にやってくるまでの経緯を歌いこみ、留公・田吾作との邂逅を述べ、お互いに元は天地の分霊であり、神はひとつである、と友彦に改心を呼びかけた。
友彦は宣伝歌の言霊に驚いて一目散に逃げてしまった。
これより、天の真浦は里人に歓迎され、松鷹彦の茅屋に逗留することになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-04-18 03:30:20 文字数:5129 OBC :rm2004
愛善世界社版:78頁 八幡書店版:第4輯 177頁 修補版: 校定版:81頁 普及版:34頁 初版: ページ備考:
001 鬼(おに)も十八(じふはち)、002番茶(ばんちや)も出花(でばな)、003蛇(じや)も廿(はたち)なる巻物語(まきものがたり)、004六六六(みろく)の節(せつ)に当(あた)つて少(すこ)しく季節(きせつ)は早(はや)けれど、005蚊蜻蛉(かとんぼ)然(ぜん)たる細長(ほそなが)き、006加藤(かとう)如来(によらい)に筆(ふで)執(と)らせ、007横(よこ)に臥(ふ)しつつ瑞月(ずゐげつ)が、008古今(ここん)を混同(こんどう)したる夢物語(ゆめものがたり)、009ハートに浪(なみ)もウツ山(やま)の、010里(さと)に割拠(かつきよ)せし、011バラモン教(けう)の宣伝使(せんでんし)、012言霊(ことたま)濁(にご)るども彦(ひこ)が、013天(あめ)の真浦(まうら)の言霊(ことたま)に、014当(あた)りて逃出(にげだ)す一条(ひとくだり)、015天井(てんじやう)の棧(さん)を読(よ)みながら、016布団(ふとん)を尻(しり)に敷島(しきしま)の煙(けぶり)と共(とも)に雲煙(うんえん)朦朧(もうろう)、017捉(つか)まへ所(どころ)のなき泣(な)き述(の)ぶるドモ彦(ひこ)物語(ものがたり)、018嗚呼(ああ)惟神(かむながら)々々(かむながら)、019辷(すべ)る言霊(ことたま)口車(くちぐるま)、020いやいやながら乗(の)つて行(ゆ)く。
021 田吾作(たごさく)は鍬(くは)を杖(つゑ)につき、022煮染(にし)めたやうな垢(あか)ついた手拭(てぬぐひ)で頬被(ほほかぶ)りをし乍(なが)ら、023留公(とめこう)の側(そば)にツと寄(よ)り添(そ)ひ、024石原(いしはら)を石油(せきゆ)の空缶(あきくわん)でも引(ひき)ずり廻(まは)したやうなガラガラ声(ごゑ)を振(ふ)り上(あ)げて、025お交際(つきあひ)的(てき)に支離(しり)滅裂(めつれつ)なる友彦(ともひこ)征服歌(せいふくか)を謡(うた)ひ始(はじ)めたり。
026田吾作『朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
027月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
028宇都山(うづやま)村(むら)の里人(さとびと)は
029朝(あさ)な夕(ゆふ)なに鍬(くは)担(かた)げ
030婆(ばば)も娘(むすめ)も野良(のら)仕事(しごと)
031いそしみ励(はげ)む其(その)中(なか)へ
032どこから降(ふ)つて出(で)て来(き)たか
033規律(きりつ)を乱(みだ)すバラモンの
034偽善(ぎぜん)一途(いちづ)の神柱(かむばしら)
035おん友彦(ともひこ)がやつて来(き)て
036イの一番(いちばん)に留公(とめこう)を
037言向(ことむ)け和(やは)し次(つ)ぎにお春(はる)の若後家(わかごけ)が
038現(うつつ)を抜(ぬ)かした其(その)日(ひ)より
039二十(にじふ)余(よ)軒(けん)の里人(さとびと)は
040野良(のら)の仕事(しごと)も打忘(うちわす)れ
041朝(あさ)から晩(ばん)までバラモンの
042訳(わけ)も分(わか)らぬ経(きやう)を読(よ)み
043随喜(ずゐき)の涙(なみだ)流(なが)しつつ
044今年(ことし)で恰度(ちやうど)満三年(まるみとせ)
045田畑(たはた)は毎年(まいねん)荒(あ)れて行(ゆ)く
046こんな事(こと)ではどうなろと
047道(みち)に迷(まよ)うた里人(さとびと)に
048ド偏屈(へんくつ)よと笑(わら)はれつ
049麦(むぎ)を蒔(まき)つけ豆(まめ)を植(う)ゑ
050芋(いも)の赤子(あかご)を朝夕(あさゆふ)に
051肥料(こえ)を与(あた)へて育(はぐく)みつ
052其(その)成人(せいじん)を楽(たのし)みに
053朝(あさ)から晩(ばん)まで汗(あせ)をかき
054作(つく)る畑(はたけ)へ留公(とめこう)が
055三五教(あななひけう)の守彦(もりひこ)の
056生言霊(いくことたま)に怖(お)ぢ恐(おそ)れ
057野路(のぢ)を外(はづ)して我(わが)畑(はた)に
058踏(ふ)み込(こ)み赤子(あかご)を無残(むざん)にも
059躙(にじ)り殺(ころ)してしもた故(ゆゑ)
060俺(おれ)もチツとは腹(はら)が立(た)ち
061留公(とめこう)が宅(うち)へやつて来(き)て
062強談判(こわだんぱん)と出(で)て見(み)れば
063留公(とめこう)の奴(やつ)の言(い)ひ草(ぐさ)が
064どしても俺(おれ)の腑(ふ)に落(お)ちぬ
065女(をんな)国有(こくいう)の説(せつ)もある
066此(この)世(よ)の中(なか)に芋(いも)にせよ
067赤子(あかご)を踏(ふ)まれて堪(たま)らうか
068旧(もと)の通(とほ)りにしてかやせ
069バラモン教(けう)の御教(みをしへ)は
070天(てん)の恵(めぐみ)を無残(むざん)にも
071損(そこな)ひ破(やぶ)つて良(よ)いものか
072返答(へんたふ)聞(き)かむと詰(つ)め寄(よ)れば
073此(この)留公(とめこう)は面(おも)をあげ
074頻(しき)りに冷笑(れいせう)浮(う)かべつつ
075サンガー夫人(ふじん)がやつて来(き)て
076産児(さんじ)の制限(せいげん)までもする
077八釜(やかま)し説(せつ)を吐(は)く時(とき)に
078芋(いも)の赤子(あかご)の二十(にじふ)三十(さんじふ)
079潰(つぶ)してやるのは国(くに)の為(ため)
080世人(よびと)の為(ため)ぢやと逆理屈(さかりくつ)
081流石(さすが)の俺(おれ)も堪(たま)り兼(か)ね
082携(たづさ)へ持(も)つた鍬(くは)の先(さき)
083留公(とめこう)の頭(あたま)を的(まと)として
084骨(ほね)も砕(くだ)けと打下(うちお)ろす
085忽(たちま)ち留公(とめこう)身(み)をかはし
086逃(に)げる機(はず)みに三五(あななひ)の
087神(かみ)の教(をしへ)の宣伝使(せんでんし)
088守彦(もりひこ)さまが足(あし)の指(ゆび)
089思(おも)ひがけなく切(き)り落(おと)し
090ビツクリ仰天(ぎやうてん)地(ち)に這(は)うて
091無礼(ぶれい)を謝(しや)すれば守彦(もりひこ)の
092仁慈(じんじ)無限(むげん)の真人(しんじん)は
093顔(かほ)に笑(ゑみ)をば湛(たた)へつつ
094罪(つみ)を赦(ゆる)して下(くだ)さつた
095あゝ有難(ありがた)し有難(ありがた)し
096バラモン教(けう)の友彦(ともひこ)が
097指(ゆび)であつたら何(なん)とせう
098摺(す)つた揉(も)んだと苛(いぢ)められ
099忽(たちま)ち衣(ころも)を剥(は)ぎ取(と)られ
100鳥(とり)もとまらぬ茨畔(いばらぐろ)
101剣(つるぎ)の橋(はし)や火渡(ひわた)りや
102水底(みなそこ)潜(くぐ)り荒行(あらぎやう)を
103五日(いつか)十日(とをか)と強(し)ひられて
104生命(いのち)の程(ほど)も計(はか)られぬ
105之(これ)を思(おも)へば三五(あななひ)の
106神(かみ)の教(をしへ)の尊(たふと)さが
107心(こころ)の底(そこ)に浸(し)み込(こ)んで
108喜(よろこ)び勇(いさ)んで入信(にふしん)の
109手続(てつづ)き終(を)へた田吾作(たごさく)は
110最早(もはや)バラモン教(けう)でない
111サア友彦(ともひこ)よ友彦(ともひこ)よ
112最早(もはや)汝(なんぢ)が運(うん)の尽(つ)き
113一日(ひとひ)も早(はや)く改心(かいしん)の
114実(じつ)を示(しめ)すかさもなくば
115大江(おほえ)の山(やま)の鬼雲彦(おにくもひこ)が
116館(やかた)を指(さ)して帰(かへ)り行(ゆ)け
117お前(まへ)の様(やう)な悪神(あくがみ)が
118鳥(とり)なき里(さと)の蝙蝠(かうもり)と
119羽振(はぶ)りを利(き)かしたシーズンは
120昔(むかし)の夢(ゆめ)となつたぞよ
121田吾作(たごさく)ぢやとて馬鹿(ばか)にすな
122俺(おれ)も天地(てんち)の分霊(わけみたま)
123仮令(たとへ)養子(やうし)の身(み)なりとて
124家(いへ)を嗣(つ)いだら主人(しゆじん)ぢやぞ
125貴様(おまへ)は口(くち)に蜜(みつ)含(ふく)み
126尻(しり)に剣(けん)持(も)つ土蜂(つちばち)の
127女房(にようぼ)子供(こども)に至(いた)るまで
128うまく騙(だま)してくれた故(ゆゑ)
129村中(むらぢう)の内輪(うちわ)ゴテゴテと
130宗旨(しうし)争(あらそ)ひ絶間(たえま)なく
131イカイ迷惑(めいわく)かけよつた
132さはさり乍(なが)ら今(いま)となり
133理屈(りくつ)を言(い)ふは野暮(やぼ)なれど
134腹(はら)の虫(むし)奴(め)がをさまらぬ
135一日(ひとひ)も早(はや)く兜(かぶと)脱(ぬ)ぎ
136鉾逆(ほこさか)様(さま)に旗(はた)捲(ま)いて
137降参(かうさん)するなら田吾作(たごさく)が
138日頃(ひごろ)の恨(うら)み解(と)けようが
139何時(いつ)まで渋(しぶ)とう威張(ゐば)るなら
140堪忍袋(かんにんぶくろ)の緒(を)を切(き)つて
141蛙(かはづ)飛(と)ばしの蚯蚓(みみづ)切(き)り
142どん百姓(びやくしやう)と云(い)はれたる
143此(この)田吾作(たごさく)が承知(しようち)せぬ
144返答(へんたふ)聞(き)かせ早(はや)聞(き)かせ
145此(この)世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
146心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
147唯(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は
148直日(なほひ)に見直(みなほ)せ聞(き)き直(なほ)せ
149宣(の)り直(なほ)せよと皇神(すめかみ)の
150尊(たふと)き教(をしへ)は聞(き)きつれど
151何(ど)うしてこれが忘(わす)られよか
152俺(おい)等(ら)一人(ひとり)の難儀(なんぎ)でない
153宇都山(うづやま)村(むら)は云(い)ふも更(さら)
154ひいて世界(せかい)の大難儀(だいなんぎ)
155今(いま)の間(あひだ)に悪神(あくがみ)の
156根(ね)を断(た)ち切(き)つて葉(は)を枯(か)らし
157昔(むかし)の元(もと)の秘密(ひみつ)郷(きやう)
158宇都山(うづやま)村(むら)を立直(たてなほ)し
159武志(たけし)の宮(みや)の御(おん)前(まへ)に
160お礼(れい)参(まゐ)りをせにやならぬ
161さあ友彦(ともひこ)よ友彦(ともひこ)よ
162早(はや)く改心(かいしん)致(いた)さぬか
163朝(あさ)な夕(ゆふ)なに清新(せいしん)の
164同(おな)じ空気(くうき)を吸(す)うた俺(おれ)
165お前(まへ)の難儀(なんぎ)を目(ま)のあたり
166見逃(みのが)す訳(わけ)にも行(ゆ)きませぬ
167三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
168天(あめ)の真浦(まうら)が言霊(ことたま)を
169発射(はつしや)なさらぬ其(その)間(うち)に
170早(はや)く去就(きよしう)を決(けつ)せよや
171お前(まへ)の行末(ゆくすゑ)案(あん)じての
172我(わが)忠告(ちうこく)を馬鹿(ばか)にして
173聞(き)いてくれねば止(や)むを得(え)ず
174神(かみ)の御心(みむね)に任(まか)すより
175もはや仕方(しかた)がない程(ほど)に
176あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
177御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましまして
178道(みち)に迷(まよ)ひし友彦(ともひこ)が
179心(こころ)を照(て)らさせ給(たま)へかし
180御魂(みたま)を研(みが)かせ給(たま)へかし
181あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
182御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ』
183と揺(うた)ひ終(をは)つて、184頬被(ほほかむり)をはづし、185顔(かほ)の汗(あせ)を拭(ぬぐ)ひ鍬(くは)を担(かた)げて表(おもて)へ飛(と)び出(だ)した。186友彦(ともひこ)は閻魔(えんま)大王(だいわう)が年末(ねんまつ)の会計(くわいけい)検査(けんさ)をするやうな面構(つらがま)へで、187口(くち)をへの字(じ)に結(むす)び、188ビリビリと地震(ぢしん)の神(かみ)の神憑(かんがか)りをやつて居(を)る。
189真浦(まうら)『天地(てんち)を造(つく)り固(かた)めたる
190国治立(くにはるたち)の大神(おほかみ)の
191大御神(おほみ)命(みこと)を畏(かしこ)みて
192豊国姫(とよくにひめ)の分霊(わけみたま)
193ミロクの御代(みよ)に大八洲(おほやしま)彦(ひこ)
194神(かみ)の命(みこと)や大足彦(おほだるひこ)の
195教(をしへ)を開(ひら)く宣伝使(せんでんし)
196開(ひら)くる御代(みよ)も弘子彦(ひろやすひこ)の
197神(かみ)の命(みこと)の生御霊(いくみたま)
198宇宙(うちう)万有(ばんいう)統(す)べ守(まも)る
199七十五(しちじふご)声(せい)の神(かみ)の教(のり)
200言霊別(ことたまわけ)の伊都能売(いづのめ)の
201神(かみ)は尊(たふと)き神界(しんかい)の
202大経綸(だいけいりん)を果(はた)さむと
203天教山(てんけうざん)に現(あ)れませる
204木花姫(このはなひめ)や烏羽玉(うばたま)の
205闇世(やみよ)を晴(は)らす日(ひ)の神(かみ)の
206霊(たま)より現(あ)れし日(ひ)の出神(でかみ)
207神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
208瑞(みづ)の御霊(みたま)と諸共(もろとも)に
209珍(うづ)の聖地(せいち)のヱルサレム
210コーカス山(ざん)やウブスナの
211御山(みやま)続(つづ)きの斎苑(いそ)の山(やま)
212エデンの園(その)を始(はじ)めとし
213自転倒(おのころ)島(じま)の中心地(ちうしんち)
214桶伏山(をけふせやま)の山麓(さんろく)に
215大宮柱(おほみやばしら)太(ふと)しりて
216仕(つか)へ奉(まつ)りし神(かみ)の宮(みや)
217伊都(いづ)の仕組(しぐみ)も三千歳(みちとせ)の
218花(はな)咲(さ)く春(はる)に相生(あひおひ)の
219玉照彦(たまてるひこ)や玉照姫(たまてるひめ)の
220珍(うづ)の命(みこと)と現(あら)はれて
221埴安彦(はにやすひこ)の開(ひら)きたる
222三五教(あななひけう)を立直(たてなほ)し
223瑞(みづ)の御霊(みたま)に反抗(はむか)ひし
224ウラナイ教(けう)の神司(かむづかさ)
225高姫(たかひめ)黒姫(くろひめ)松姫(まつひめ)が
226心(こころ)の底(そこ)より悔悟(くわいご)して
227神(かみ)の御伴(みとも)に馳参(はせさん)じ
228教(をしへ)を四方(よも)に伝(つた)へ行(ゆ)く
229言霊(ことたま)天地(てんち)に鳴(な)り渡(わた)り
230太平洋(たいへいやう)を控(ひか)へたる
231大台(おほだい)ケ原(はら)の山麓(さんろく)に
232産声(うぶごゑ)揚(あ)げし守彦(もりひこ)が
233霊夢(れいむ)に感(かん)じて杣人(そまびと)の
234業務(なりはひ)棄(す)てて照妙(てるたへ)の
235綾(あや)の高天(たかま)に馳登(はせのぼ)り
236百日(ももか)百夜(ももよ)の行(ぎやう)を終(を)へ
237言依別(ことよりわけ)の大神(おほかみ)に
238差許(さしゆる)されし宣伝使(せんでんし)
239雪(ゆき)踏(ふ)み分(わ)けて人(ひと)の尾(を)の
240山(やま)の麓(ふもと)に来(き)て見(み)れば
241忽(たちま)ち雪(ゆき)の槍(やり)ぶすま
242進(すす)みもならず退(しりぞ)くも
243心(こころ)に任(まか)せぬ雪(ゆき)の宵(よひ)
244忽(たちま)ち聞(きこ)ゆる足音(あしおと)に
245何物(なにもの)ならむと佇(たたず)めば
246限(かぎ)り知(し)られぬ黒影(くろかげ)は
247人(ひと)か獣(けもの)か曲神(まがかみ)か
248但(ただ)しは敵(てき)の襲来(しふらい)かと
249雪(ゆき)に埋(うづ)もり窺(うかが)へば
250幽(かす)かに瞬(またた)く火(ひ)の光(ひかり)
251力(ちから)の綱(つな)と近寄(ちかよ)れば
252半(なか)ば破(やぶ)れし門(かど)の戸(と)を
253サツと開(ひら)いて出来(いできた)る
254雲(くも)突(つ)く許(ばか)りの荒男(あらをとこ)
255お這入(はい)りなされと親切(しんせつ)に
256顔(かほ)に似気(にげ)なき御(ご)挨拶(あいさつ)
257薄(うす)き氷(こほり)を踏(ふ)む心地(ここち)
258進退(しんたい)ここに谷(きは)まりて
259神(かみ)のまにまに入(い)り見(み)れば
260又(また)もや一人(ひとり)の荒男(あらをとこ)
261囲炉裏(ゐろり)の側(そば)に安坐(あぐら)かき
262厭(いや)らし眼付(めつき)で睨(ね)めまはす
263あゝ山賊(さんぞく)の棲(す)み家(か)かと
264怪(あや)しむ折(をり)しも向(むか)ふより
265名乗(なの)り出(い)でたる三五(あななひ)の
266神(かみ)の教(をしへ)の宣伝使(せんでんし)
267秋彦(あきひこ)駒彦(こまひこ)両人(りやうにん)と
268判(わか)つた時(とき)の嬉(うれ)しさは
269常世(とこよ)の春(はる)に会(あ)ふ心地(ここち)
270明(あ)くるを待(ま)ちて三(さん)人(にん)は
271人(ひと)の尾(を)峠(たうげ)の雪(ゆき)をふみ
272こけつ転(まろ)びつ浮木(うけ)の里(さと)
273武志(たけし)の宮(みや)の御(おん)前(まへ)に
274到(いた)りて祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し
275暫(しば)し休(やす)らふ時(とき)もあれ
276杖(つゑ)を力(ちから)に登(のぼ)り来(く)る
277白髪(はくはつ)異様(いやう)の老人(らうじん)は
278武志(たけし)の宮(みや)の神司(かむづかさ)
279松鷹彦(まつたかひこ)の神参詣(かみまうで)
280翁(おきな)の後(あと)に従(したが)ひて
281五(ご)尺(しやく)有余(いうよ)も積(つも)りたる
282雪(ゆき)に半身(はんしん)没(ぼつ)しつつ
283見上(みあ)ぐる許(ばか)りの断崖(だんがい)に
284かかる折(をり)しも秋彦(あきひこ)や
285心(こころ)のはやる駒彦(こまひこ)が
286油断(ゆだん)を見(み)すまし我(わが)体(からだ)
287力(ちから)限(かぎ)りに突(つ)きつれば
288空中(くうちう)滑走(くわつそう)の離(はな)れ業(わざ)
289雪(ゆき)積(つ)む崖下(がいか)に着陸(ちやくりく)し
290神(かみ)の試錬(しれん)と喜(よろこ)びて
291感謝(かんしや)祈願(きぐわん)をこらす折(をり)
292秋彦(あきひこ)駒彦(こまひこ)両人(りやうにん)は
293口(くち)を揃(そろ)へて語(かた)るやう
294人(ひと)の尾(を)峠(たうげ)の山麓(さんろく)で
295六十五(ろくじふご)点(てん)与(あた)へたり
296又(また)もや此処(ここ)に我々(われわれ)が
297検定(けんてい)委員(ゐゐん)と現(あら)はれて
298汝(なんぢ)が身魂(みたま)試験(しけん)せり
299いよいよ立派(りつぱ)な宣伝使(せんでんし)
300三十五(さんじふご)点(てん)を与(あた)ふれば
301天下(てんか)晴(は)れての神使(かんづかひ)
302御(お)祝(いは)ひ申(まを)すと言(い)ひ乍(なが)ら
303姿(すがた)は消(き)えて白雪(しらゆき)の
304足音(あしおと)さへもかくれ行(ゆ)く
305鵞毛(がまう)と降(ふ)り来(く)る白雪(しらゆき)を
306冒(をか)して川辺(かはべ)の一(ひと)つ家(や)に
307辿(たど)りて見(み)ればこは如何(いか)に
308松鷹彦(まつたかひこ)の老夫婦(らうふうふ)
309囲炉裏(ゐろり)の前(まへ)に端坐(たんざ)して
310渋茶(しぶちや)を啜(すす)る真最中(まつさいちう)
311居(を)ること此処(ここ)に三四日(さんよつか)
312翁(おきな)は川(かは)に網(あみ)を持(も)ち
313小魚(こうを)を掬(すく)ひ守彦(もりひこ)に
314饗応(きやうおう)せむと出(い)でて行(ゆ)く
315忽(たちま)ちバサンと水煙(みづけむ)り
316驚(おどろ)き駆(か)け付(つ)け救(すく)はむと
317到(いた)りて見(み)れば老人(らうじん)は
318川辺(かはべ)の柳(やなぎ)に取(と)り付(つ)いて
319ニコニコ笑(わら)ひ上(のぼ)り来(く)る
320我(わ)れは忽(たちま)ち駆(は)せ帰(かへ)り
321不言(ふげん)実行(じつかう)の着替(きが)へ持(も)ち
322再(ふたた)び川辺(かはべ)に駆(は)せ付(つ)けて
323翁(おきな)に渡(わた)し濡(ぬ)れ衣(ごろも)
324絞(しぼ)りて伏屋(ふせや)に立帰(たちかへ)る
325老人(らうじん)夫婦(ふうふ)は喜(よろこ)びて
326朝(あさ)な夕(ゆふ)なに神(かみ)の教(のり)
327問(と)ひつ問(と)はれつ語(かた)り合(あ)ひ
328雪(ゆき)積(つ)む春(はる)を明(あ)けの春(はる)
329梅(うめ)さへ散(ち)りて麦(むぎ)の穂(ほ)の
330筆(ふで)を含(ふく)みし弥生空(やよひぞら)
331バラモン教(けう)の友彦(ともひこ)が
332使(つかひ)と称(しよう)して入(い)り来(きた)る
333留公(とめこう)始(はじ)め五人(ごにん)連(づ)れ
334門(かど)の戸口(とぐち)に顔(かほ)を出(だ)し
335爺(ぢい)さん婆(ば)さんに打(う)ち向(むか)ひ
336何(なに)かヒソビソ語(かた)り合(あ)ふ
337様子(やうす)怪(あや)しと戸(と)の破(やぶ)れ
338垣間(かいま)見(み)れば五人(ごにん)連(づれ)
339形勢(けいせい)不穏(ふおん)と見(み)えしより
340始(はじ)めて開(ひら)く言霊(ことたま)の
341車(くるま)を押(お)せば忽(たちま)ちに
342踵(きびす)を返(かへ)して逃(に)げて行(ゆ)く
343あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
344御霊(みたま)の幸(さち)を目(ま)のあたり
345眺(なが)めて神(かみ)の大御(おほみ)稜威(いづ)
346うまらに委曲(つばら)に讃(たた)へつつ
347そつと此(この)家(や)を脱(ぬ)け出(い)でて
348豆麦(まめむぎ)茂(しげ)る田圃路(たんぼみち)
349進(すす)み来(きた)れる折柄(をりから)に
350先(さき)に来(きた)りし留公(とめこう)が
351一人(ひとり)の男(をとこ)と何事(なにごと)か
352芋(いも)の畑(はたけ)にいがみ合(あ)ふ
353おつとり鍬(くは)を振(ふり)あげて
354芋(いも)の畑(はたけ)の赤(あか)ん坊(ぼ)を
355踏(ふ)んだ踏(ふ)まぬと心(こころ)まで
356捩鉢巻(ねぢはちまき)の大喧嘩(おほげんくわ)
357仲裁(ちうさい)せむと立(た)ち寄(よ)りて
358折(をり)を伺(うかが)ふ一刹那(いちせつな)
359力(ちから)限(かぎ)りに田吾作(たごさく)が
360打下(うちおろ)したる鍬(くは)の尖(さき)
361留公(とめこう)ヒラリと身(み)をかはし
362勢(いきほひ)余(あま)つて吾(わが)足(あし)に
363力(ちから)限(かぎ)りにかぶりつき
364小指(こゆび)を一本(いつぽん)喰(く)ひちぎる
365周章(あわて)ふためき手(て)を延(の)ばし
366親(おや)と頼(たの)みし小指(こゆび)をば
367ついで直(なほ)せば裏表(うらおもて)
368それより忽(たちま)ち田吾作(たごさく)は
369留公(とめこう)さんと手(て)を握(にぎ)り
370平和(へいわ)談判(だんぱん)締結(ていけつ)し
371目出度(めでた)く進(すす)み来(き)て見(み)れば
372神(かみ)の教(をしへ)の友彦(ともひこ)が
373悠々然(いういうぜん)と構(かま)へつつ
374天地(てんち)に響(ひび)く宣伝歌(せんでんか)
375耳(みみ)をすまして聞(き)くからに
376どことはなしに善悪(ぜんあく)の
377差別(けじめ)も分(わ)かぬ言霊戦(ことたません)
378善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)の判断(はんだん)に
379苦(くるし)み佇(たたず)む時(とき)もあれ
380留公(とめこう)さんが進(すす)み出(い)で
381俺(おれ)の腕(うで)には骨(ほね)がある
382早(はや)返答(へんたふ)と詰(つ)めかくる
383其(その)スタイルの可笑(をか)しさに
384済(す)まぬ事(こと)とは知(し)り乍(なが)ら
385思(おも)はず知(し)らず噴(ふ)き出(い)だす
386続(つづ)いて進(すす)む田吾作(たごさく)が
387心(こころ)をこめた宣伝歌(せんでんか)
388何(いづ)れ劣(おと)らぬ花紅葉(はなもみぢ)
389実(みの)りはせねど紅葉(もみぢば)の
390上(うへ)に閃(ひらめ)くプロペラの
391右(みぎ)と左(ひだり)に別(わか)れたる
392支離(しり)滅裂(めつれつ)の大虚空(だいこくう)
393空(そら)翔(た)つ様(やう)な宣(の)り言(ごと)に
394バラモン教(けう)の宣伝使(せんでんし)
395神(かみ)の教(をしへ)の友彦(ともひこ)が
396不意(ふい)を喰(くら)つた怪訝顔(けげんがほ)
397館(やかた)をめぐる陥穽(おとしあな)
398これぞ金城(きんじやう)鉄壁(てつぺき)と
399頼(たの)みし甲斐(かひ)も荒男(あらを)の子(こ)
400二人(ふたり)の男(をとこ)と友彦(ともひこ)の
401仲(なか)には深(ふか)い陥穽(かんせい)の
402近寄(ちかよ)り難(がた)い深溝(ふかみぞ)が
403忽(たちま)ち茲(ここ)に穿(うが)たれた
404あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
405御霊(みたま)幸(さち)はひましまして
406皇(すめ)大神(おほかみ)の御恵(みめぐ)みの
407深(ふか)き尊(たふと)き事(こと)の由(よし)
408友彦司(ともひこつかさ)の胸(むね)の奥(おく)
409早(はや)く照(て)らさせ玉(たま)へかし
410月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
411仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
412天(あめ)の真浦(まうら)が真心(まごころ)は
413救(すく)ひまつらにや置(お)くべきか
414元(もと)は天地(てんち)の分霊(わけみたま)
415三五教(あななひけう)もバラモンも
416仕(つか)ふる人(ひと)は神(かみ)の御子(みこ)
417一日(ひとひ)も早(はや)く御心(みこころ)を
418直(なほ)させ玉(たま)へ神司(かむづかさ)
419天(あめ)の真浦(まうら)が真心(まごころ)を
420茲(ここ)に披陳(ひちん)し奉(たてまつ)る
421あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
422御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
423と歌(うた)ひ終(をは)るや友彦(ともひこ)は此(この)声(こゑ)に驚(おどろ)いてか、424忽(たちま)ち裏門(うらもん)より韋駄天(ゐだてん)走(ばし)りに駆出(かけいだ)し、425川(かは)にザンブと飛(と)び込(こ)み、426対岸(むかうぎし)指(さ)して流(なが)れ渡(わた)りに打渡(うちわた)り老木(らうぼく)の茂(しげ)みに姿(すがた)を没(ぼつ)したり。427桜(さくら)を散(ち)らす山嵐(やまあらし)、428川(かは)の面(おもて)を撫(な)でて、429魚鱗(ぎよりん)の波(なみ)を描(ゑが)いて居(ゐ)る。430茲(ここ)に真浦(まうら)は留公(とめこう)、431田吾作(たごさく)を始(はじ)め、432数多(あまた)の里人(さとびと)に歓迎(くわんげい)され、433武志(たけし)の宮(みや)に寄(よ)り集(つど)ひて、434一同(いちどう)感謝(かんしや)祈願(きぐわん)を奏上(そうじやう)し、435次(つ)いで暫(しばら)く松鷹彦(まつたかひこ)が茅屋(ばうをく)に足(あし)を留(とど)むる事(こと)となりける。
436○
437四方(よも)の山辺(やまべ)は新緑(しんりよく)の
438衣(ころも)着飾(きかざ)る初夏(しよか)の風(かぜ)
439釈迦(しやか)の生(うま)れた卯(う)の月(つき)の
440空(そら)晴(は)れ渡(わた)る後(のち)の夜(よ)の
441寒(さむ)さに震(ふる)ふ月(つき)の下(した)
442窓(まど)引(ひき)あけて眺(なが)むれば
443新井(あらい)すました如衣(によい)宝珠(ほつしゆ)
444頂(いただ)き照(て)らす山(やま)の上(うへ) 新井如衣
445郁太(いくた)の山(やま)の高(たか)し郎(らう)に
446光(ひかり)も強(つよ)く照(て)り渡(わた)る 山上郁太郎
447和知(わち)の流(なが)れは淙々(そうそう)と
448波音(なみおと)高(たか)く自(おのづ)から
449天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し
450山川(やまかは)草木(くさき)一時(いちどき)に
451天地(てんち)自然(しぜん)のダンスをば
452春(はる)の名残(なごり)と舞(ま)ひ暮(くら)す
453山(やま)と山(やま)との谷村(たにむら)に
454真(まこと)の友(とも)の寄(よ)り合(あ)ひて 谷村真友
455二十(はたち)の巻(まき)の物語(ものがたり)
456六六六(みろく)の節(ふし)までやうやうに
457述(の)べつ記(しる)して北村(きたむら)の
458筆(ふで)の剣(つるぎ)も隆光(たかひか)る 北村隆光
459出口(でぐち)の王仁(おに)が口車(くちぐるま)
460横(よこ)に押(お)すのを松村(まつむら)氏(し) 出口王仁三郎
461心(こころ)も真澄(ますみ)の大御空(おほみそら)
462外山(とやま)の頂(いただ)き晴(は)れ渡(わた)る 松村真澄
463豊(ゆた)かな春二(はるに)教子(をしへご)が
464六六(ろくろく)夜(よる)も寝(い)ねもせで 外山豊二
465六六六(ろくろくろく)の物語(ものがたり)
466加藤(かとう)結(むす)んだ松(まつ)の心(しん) 加藤明子
467一度(いちど)に開(ひら)く梅(うめ)が香(か)の
468香(かを)りゆかしく説(と)き明(あ)かす
469時(とき)しもあれや汽車(きしや)の音(おと)
470本宮山(ほんぐうやま)の麓(ふもと)をば
471矢(や)を射(い)る如(ごと)く辷(すべ)り行(ゆ)く
472一潟(いつしや)千里(せんり)の勢(いきほひ)に
473火車(くわしや)の車(くるま)は走(はし)れども
474余(あま)り日永(ひなが)に草臥(くたび)れて
475辷(すべ)りあぐみし口車(くちぐるま)
476いよいよここに留(とど)めおく
477あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
478御霊(みたま)幸(さち)はひ玉(たま)へかし。
479(大正一一・五・一二 旧四・一六 加藤明子録)
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