霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第43巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 狂風怪猿
01 烈風
〔1152〕
02 懐谷
〔1153〕
03 失明
〔1154〕
04 玉眼開
〔1155〕
05 感謝歌
〔1156〕
第2篇 月下の古祠
06 祠前
〔1157〕
07 森議
〔1158〕
08 噴飯
〔1159〕
09 輸入品
〔1160〕
第3篇 河鹿の霊嵐
10 夜の昼
〔1161〕
11 帰馬
〔1162〕
12 双遇
〔1163〕
第4篇 愛縁義情
13 軍談
〔1164〕
14 忍び涙
〔1165〕
15 温愛
〔1166〕
第5篇 清松懐春
16 鰌鍋
〔1167〕
17 反歌
〔1168〕
18 石室
〔1169〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
霊界物語
>
第43巻
> 第1篇 狂風怪猿 > 第4章 玉眼開
<<< 失明
(B)
(N)
感謝歌 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第四章
玉眼開
(
ぎよくがんびらき
)
〔一一五五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻
篇:
第1篇 狂風怪猿
よみ(新仮名遣い):
きょうふうかいえん
章:
第4章 玉眼開
よみ(新仮名遣い):
ぎょくがんびらき
通し章番号:
1155
口述日:
1922(大正11)年11月26日(旧10月8日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年7月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
伊太公は二人に玉国別の介抱をたのみ、谷川に下って谷水を汲みに降りて行った。玉国別は両眼から血を流して痛さをこらえ、うつむいている。
谷から上がってきた伊太公はしかし、汲んだ水筒をどこかに落としてしまっていた。伊太公と純公は、水筒を探しに戻った。水筒は口を下に落ちており、水はこぼれて一滴も残っていない。
二人は谷底に降り立ち、水を汲んで坂をよじのぼり、ようやく玉国別に水を持ってきて目を洗った。玉国別の痛みはこれでかなり軽減したが、目は依然として見えないままであった。
玉国別の右の目はすっかりつぶれてしまっていた。玉国別は我が身第一で烈風を恐れ、神様への御祈願さえ怠った報いだと自らを省みている。
下の谷道から宣伝歌が聞こえてきた。これはケーリス、タークス、ポーロの一行が照国別の信書を携えて斎苑館に修業に行く途中であった。
三五教の宣伝歌に、道公は助けを求めようとするが、玉国別は宣伝使の身を持って他人に助けてもらうなどは恥ずかしい、何事も神様にお任せするしかないと押しとどめた。玉国別は天に向かって合掌し、天津祝詞を奏上し国治立大神の神名を唱えて罪を謝した。
祝詞を唱え終わると、玉国別の左目が見えだした。玉国別は合掌した。従者の三人は喜び、一斉に合掌して天津祝詞を奏上し始めた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2017-12-06 00:31:31
OBC :
rm4304
愛善世界社版:
46頁
八幡書店版:
第8輯 45頁
修補版:
校定版:
49頁
普及版:
19頁
初版:
ページ備考:
001
伊太公
(
いたこう
)
『
思
(
おも
)
ひきや きや きや きやと
泣
(
な
)
く
猿
(
さる
)
に
002
キヤツといふ
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はされるとは』
003
道公
(
みちこう
)
『コリヤコリヤ
伊太公
(
いたこう
)
、
004
気楽相
(
きらくさう
)
に
狂歌
(
きやうか
)
所
(
どころ
)
かい。
005
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
が
今日
(
けふ
)
か
明日
(
あす
)
か
知
(
し
)
らぬよな
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はされて
苦
(
くるし
)
んで
厶
(
ござ
)
るのに、
006
何
(
なに
)
を
呆
(
とぼ
)
けてゐるのだ。
007
サ、
008
早
(
はや
)
く
谷川
(
たにがは
)
へでも
下
(
お
)
りて
清水
(
しみづ
)
を
汲
(
く
)
んで
来
(
こ
)
い。
009
俺
(
おれ
)
は
御介抱
(
ごかいはう
)
を
申上
(
まをしあ
)
げるから……』
010
伊太公
(
いたこう
)
『そんならお
前達
(
まへたち
)
両人
(
りやうにん
)
に、
011
先生
(
せんせい
)
の
御介抱
(
ごかいはう
)
を
頼
(
たの
)
む
事
(
こと
)
にしよう。
012
俺
(
おれ
)
はこれから
谷水
(
たにみづ
)
を
汲
(
く
)
んで
来
(
く
)
るワ』
013
といひ
乍
(
なが
)
ら、
014
水筒
(
すゐとう
)
をブラブラブラ
下
(
さ
)
げ、
015
谷川
(
たにがは
)
さしておりて
行
(
ゆ
)
く。
016
伊太公
(
いたこう
)
『ヤア
此所
(
ここ
)
に
綺麗
(
きれい
)
な
水
(
みづ
)
が
流
(
なが
)
れてゐる。
017
之
(
これ
)
を
汲
(
く
)
んで
洗
(
あら
)
つて
上
(
あ
)
げたらキツと
癒
(
なほ
)
るだろ。
018
山猿
(
やまざる
)
に
掻
(
か
)
きむしられて
何
(
なに
)
もかも
019
水
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
救
(
すく
)
ひ
求
(
もと
)
むる。
020
この
水
(
みづ
)
は
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
なれば
021
今日
(
けふ
)
は
見
(
み
)
えると
言
(
い
)
ひたくぞある。
022
谷川
(
たにがは
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
み
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
みに
来
(
き
)
た
023
深
(
ふか
)
き
心
(
こころ
)
を
汲
(
く
)
ませ
玉
(
たま
)
へよ。
024
此
(
この
)
みづ
は
眼
(
まなこ
)
ばかりか
命
(
いのち
)
まで
025
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
くる
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
ぞ。
026
惟神
(
かむながら
)
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
の
現
(
あら
)
はれて
027
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
眼
(
まなこ
)
照
(
て
)
らせよ。
028
みず
知
(
し
)
らず
懐谷
(
ふところだに
)
の
山猿
(
やまざる
)
に
029
掻
(
か
)
きむしられし
事
(
こと
)
の
悔
(
くや
)
しさ。
030
さり
乍
(
なが
)
ら
神
(
かみ
)
の
使命
(
しめい
)
をおろそかに
031
いたせし
罪
(
つみ
)
の
報
(
むく
)
い
来
(
き
)
しにや。
032
時置師
(
ときおかし
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
が
現
(
あら
)
はれて
033
心
(
こころ
)
の
眼
(
まなこ
)
開
(
ひら
)
き
玉
(
たま
)
へり。
034
待
(
ま
)
てしばしぐづぐづしてるとこぢやない
035
早
(
はや
)
く
眼
(
まなこ
)
をあらはにやならぬ。
036
伊太公
(
いたこう
)
の
目
(
め
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
さり
乍
(
なが
)
ら
037
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
見
(
み
)
る
目
(
め
)
いたいたしく
思
(
おも
)
ふ』
038
と
口
(
くち
)
ずさみ
乍
(
なが
)
ら、
039
清冽
(
せいれつ
)
なる
秋
(
あき
)
の
谷水
(
たにみづ
)
を
水筒
(
すゐとう
)
に
盛
(
も
)
り、
040
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く
玉国別
(
たまくにわけ
)
を
助
(
たす
)
けむと、
041
小柴
(
こしば
)
や
茨
(
いばら
)
を
掻
(
か
)
きわけ、
042
息
(
いき
)
をはづませ
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
043
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
両眼
(
りやうがん
)
より
血
(
ち
)
を
垂
(
た
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
044
布
(
ぬの
)
にて
血糊
(
ちのり
)
を
拭
(
ふ
)
き
取
(
と
)
り、
045
手
(
て
)
の
掌
(
ひら
)
を
両眼
(
りやうがん
)
にあてて
痛
(
いた
)
さをこらへて
俯
(
うつむ
)
いてゐる。
046
道公
(
みちこう
)
、
047
純公
(
すみこう
)
は、
048
『サア
大変
(
たいへん
)
々々
(
たいへん
)
』
049
と
慌
(
あわ
)
てふためき、
050
うろたへ
廻
(
まは
)
つて、
051
チツとも
間
(
ま
)
しやくに
合
(
あ
)
はない。
052
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
道公
(
みちこう
)
、
053
水
(
みづ
)
はまだか。
054
伊太公
(
いたこう
)
はまだ
帰
(
かへ
)
らぬか』
055
道公
(
みちこう
)
『ハイ
山路
(
やまみち
)
をタツタツタと
下
(
くだ
)
つて
行
(
い
)
たきり、
056
今
(
いま
)
に
至
(
いた
)
り
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
せませぬ。
057
先生
(
せんせい
)
が
是
(
これ
)
程
(
ほど
)
傷
(
きず
)
で
困
(
こま
)
つて
厶
(
ござ
)
るのに……エヽ
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ
奴
(
やつ
)
ですワイ。
058
オイ
純公
(
すみこう
)
、
059
貴様
(
きさま
)
何
(
なに
)
をウロウロしてゐるのだ。
060
早
(
はや
)
く
伊太公
(
いたこう
)
の
水
(
みづ
)
の
催促
(
さいそく
)
に
伊太
(
いた
)
々々
(
いた
)
』
061
純公
(
すみこう
)
『エヽ
洒落
(
しやれ
)
どころかい。
062
大変
(
たいへん
)
な
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
うて
吾々
(
われわれ
)
は
進路
(
しんろ
)
に
迷
(
まよ
)
うてゐるのだ。
063
一寸先
(
いつすんさき
)
は
真暗
(
まつくら
)
やみだ。
064
そんな
気楽
(
きらく
)
なことどこかいやい』
065
かかる
所
(
ところ
)
へ
伊太公
(
いたこう
)
はフースーフースーと
鼻息
(
はないき
)
荒
(
あら
)
く
登
(
のぼ
)
り
来
(
きた
)
り、
066
伊太公
(
いたこう
)
『アヽ
大変
(
たいへん
)
遅
(
おそ
)
くなつてすみませぬ。
067
一刻
(
いつこく
)
の
間
(
ま
)
も
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
りたいと
思
(
おも
)
ひ、
068
気
(
き
)
をあせればあせる
程
(
ほど
)
、
069
キツい
坂
(
さか
)
で
足
(
あし
)
がずり、
070
漸
(
やうや
)
くここ
迄
(
まで
)
到着
(
たうちやく
)
致
(
いた
)
しました』
071
道公
(
みちこう
)
『オイ
早
(
はや
)
く
水筒
(
すゐとう
)
を
出
(
だ
)
さぬかい。
072
根
(
ね
)
つから
持
(
も
)
つてゐないぢやないか』
073
伊太公
(
いたこう
)
は
腰
(
こし
)
のあたりを
探
(
さぐ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
074
『アツ』と
一声
(
いつせい
)
打驚
(
うちおどろ
)
き、
075
伊太公
(
いたこう
)
『ヤア
大変
(
たいへん
)
だ。
076
余
(
あま
)
り
慌
(
あわ
)
てて、
077
谷底
(
たにそこ
)
へ
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んだなり
忘
(
わす
)
れて
来
(
き
)
たのだ。
078
オイ
道公
(
みちこう
)
、
079
貴様
(
きさま
)
早
(
はや
)
く
取
(
と
)
つて
来
(
き
)
てくれぬかい。
080
先生
(
せんせい
)
の
痛
(
いた
)
みが
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だから、
081
早
(
はや
)
く
目
(
め
)
を
冷
(
ひや
)
さぬと
段々
(
だんだん
)
腫
(
は
)
れて
来
(
き
)
ちや
大変
(
たいへん
)
だ』
082
道公
(
みちこう
)
『エヽ
慌者
(
あわてもの
)
だなア、
083
どこらに
置
(
お
)
いておいたのだ。
084
それをスツカリ
言
(
い
)
はぬかい』
085
伊太公
(
いたこう
)
『
谷川
(
たにがは
)
と
云
(
い
)
つたら、
086
山
(
やま
)
の
谷
(
たに
)
を
流
(
なが
)
れる
川
(
かは
)
だ。
087
其
(
その
)
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んでチヤンと
砂
(
すな
)
の
上
(
うへ
)
においてあるのだ。
088
サア
早
(
はや
)
く
行
(
ゆ
)
かぬかい。
089
一分間
(
いつぷんかん
)
でも
先生
(
せんせい
)
の
苦痛
(
くつう
)
を
助
(
たす
)
けにやなるまいぞ』
090
純公
(
すみこう
)
『オイ
伊太公
(
いたこう
)
、
091
貴様
(
きさま
)
が
置
(
お
)
いといたのだから、
092
貴様
(
きさま
)
が
行
(
ゆ
)
かなグヅグヅ
捜
(
さが
)
してゐる
間
(
ま
)
がないぢやないか。
093
本当
(
ほんたう
)
に
困
(
こま
)
つた
奴
(
やつ
)
だな。
094
丸
(
まる
)
で
雉子
(
きぎす
)
の
直使
(
ひたづかひ
)
だ。
095
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
みに
行
(
い
)
つたつて、
096
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
らにや
何
(
なに
)
になるものか』
097
伊太公
(
いたこう
)
『
貴様
(
きさま
)
、
098
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んで
来
(
こ
)
いとぬかしたぢやないか。
099
別
(
べつ
)
に
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
れと
迄
(
まで
)
は
言
(
い
)
はぬものだから
忘
(
わす
)
れたつて
仕方
(
しかた
)
がないワイ。
100
オイ
純公
(
すみこう
)
、
101
貴様
(
きさま
)
も
来
(
き
)
てくれぬかい。
102
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
はどこで
落
(
おと
)
したか
分
(
わか
)
らぬのだ。
103
二人
(
ふたり
)
よつて
鵜
(
う
)
の
目
(
め
)
鷹
(
たか
)
の
目
(
め
)
で、
104
小柴
(
こしば
)
の
中
(
なか
)
や
枯草
(
かれくさ
)
の
間
(
あひだ
)
を
捜
(
さが
)
し
求
(
もと
)
めて
見
(
み
)
つけて
来
(
こ
)
うぢやないか、
105
……モシモシ
先生様
(
せんせいさま
)
、
106
モウ
暫
(
しばら
)
くの
御苦痛
(
ごくつう
)
、
107
どうぞ
御辛抱
(
ごしんばう
)
下
(
くだ
)
さいませ。
108
誠
(
まこと
)
に
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ
男
(
をとこ
)
で
厶
(
ござ
)
いまして、
109
御心中
(
ごしんちう
)
お
察
(
さつ
)
し
申
(
まを
)
します。
110
コラ、
111
道公
(
みちこう
)
、
112
何
(
なに
)
を
呆
(
とぼ
)
けてゐるのだ、
113
早
(
はや
)
く
御介抱
(
ごかいはう
)
を
申
(
まを
)
さぬかい』
114
道公
(
みちこう
)
『
介抱
(
かいほう
)
せいと
云
(
い
)
つたつて、
115
仕方
(
しかた
)
がないぢやないか。
116
俺
(
おれ
)
やここで
猿
(
さる
)
の
再襲来
(
さいしふらい
)
を
防禦
(
ばうぎよ
)
してゐるから、
117
貴様
(
きさま
)
等
(
たち
)
両人
(
りやうにん
)
、
118
水筒
(
すゐとう
)
捜
(
さが
)
しに
行
(
い
)
つて
来
(
こ
)
い』
119
伊太公
(
いたこう
)
、
120
純公
(
すみこう
)
両人
(
りやうにん
)
はブツブツ
呟
(
つぶや
)
き
乍
(
なが
)
ら、
121
小柴
(
こしば
)
を
分
(
わ
)
けて
水筒
(
すゐとう
)
の
落
(
お
)
ちた
場所
(
ばしよ
)
を
探
(
さが
)
しに
行
(
ゆ
)
く。
122
漸
(
やうや
)
くにして
一丁
(
いつちやう
)
ばかり
下
(
くだ
)
つた
所
(
ところ
)
に、
123
水筒
(
すゐとう
)
は
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
た。
124
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
入口
(
いりぐち
)
を
下
(
した
)
に
尻
(
しり
)
を
上
(
うへ
)
に
落
(
おと
)
したのだから、
125
一滴
(
いつてき
)
も
残
(
のこ
)
らず
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
して
了
(
しま
)
ひ、
126
空水筒
(
からすゐとう
)
となつて、
127
天下
(
てんか
)
太平
(
たいへい
)
気分
(
きぶん
)
で
横
(
よこた
)
はつてゐる。
128
伊太公
(
いたこう
)
『エヽ
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かない
水筒
(
すゐとう
)
だな、
129
落
(
お
)
ちるのなら
何故
(
なぜ
)
上向
(
うへむ
)
けに
落
(
お
)
ちないのだ。
130
折角
(
せつかく
)
俺
(
おれ
)
が
呑
(
の
)
ましてやつた
水
(
みづ
)
を、
131
皆
(
みな
)
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
して……
何
(
なん
)
と
都合
(
つがふ
)
の
悪
(
わる
)
い
時
(
とき
)
にや、
132
都合
(
つがふ
)
の
悪
(
わる
)
いものだなア。
133
オイ
純公
(
すみこう
)
、
134
仕方
(
しかた
)
がない。
135
マ
一度
(
いちど
)
谷底
(
たにそこ
)
まで
一走
(
ひとはし
)
り
行
(
い
)
つて
来
(
こ
)
うかい』
136
純公
(
すみこう
)
『さうだなア。
137
水筒
(
すゐとう
)
が
見
(
み
)
つかつた
以上
(
いじやう
)
は
貴様
(
きさま
)
一人
(
ひとり
)
でいいのぢやけれど、
138
元来
(
ぐわんらい
)
が
慌者
(
あわてもの
)
だから、
139
又
(
また
)
道
(
みち
)
で
落
(
おと
)
しよると
何
(
なん
)
にもならぬ。
140
俺
(
おれ
)
が
監視役
(
かんしやく
)
として
従
(
つ
)
いて
行
(
い
)
てやらう』
141
純公
(
すみこう
)
は
水筒
(
すゐとう
)
を
懐
(
ふところ
)
にねぢ
込
(
こ
)
み、
142
急坂
(
きふはん
)
を
小柴
(
こしば
)
を
分
(
わ
)
け、
143
草
(
くさ
)
に
辷
(
すべ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
144
伊太公
(
いたこう
)
と
共
(
とも
)
に
深
(
ふか
)
き
谷底
(
たにそこ
)
に
下
(
お
)
り
立
(
た
)
ち、
145
清泉
(
せいせん
)
をドブドブドブと
丸
(
まる
)
い
泡
(
あわ
)
を
立
(
た
)
てさせ、
146
口
(
くち
)
まで
満
(
み
)
たした。
147
純公
(
すみこう
)
『
すみ
切
(
き
)
りし
此
(
この
)
谷水
(
たにみづ
)
を
水筒
(
すゐとう
)
に
148
呑
(
の
)
ませて
帰
(
かへ
)
る
身
(
み
)
こそ
嬉
(
うれ
)
しき。
149
伊太公
(
いたこう
)
が
折角
(
せつかく
)
汲
(
く
)
んだ
谷水
(
たにみづ
)
は
150
水泡
(
みなわ
)
となりて
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにける』
151
伊太公
(
いたこう
)
『
俺
(
おれ
)
だとて
落
(
おと
)
す
心
(
こころ
)
はなけれ
共
(
ども
)
152
目
(
め
)
に
見
(
み
)
ぬ
智慧
(
ちゑ
)
を
落
(
おと
)
したるらむ。
153
落
(
おと
)
したる
瓶
(
かめ
)
を
拾
(
ひろ
)
うて
音彦
(
おとひこ
)
の
154
眼
(
まなこ
)
を
洗
(
あら
)
ふわれ
おと
ましき』
155
純公
(
すみこう
)
『さア
早
(
はや
)
う
伊太公
(
いたこう
)
の
奴
(
やつ
)
よついて
来
(
こ
)
い
156
眼
(
まなこ
)
伊太公
(
いたこう
)
と
待
(
ま
)
つて
厶
(
ござ
)
るぞ』
157
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
158
又
(
また
)
もや
急坂
(
きふはん
)
を
攀
(
よ
)
ぢ
登
(
のぼ
)
り、
159
漸
(
やうや
)
くにして
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
傍
(
そば
)
に
着
(
つ
)
き、
160
水筒
(
すゐとう
)
の
水
(
みづ
)
を
手
(
て
)
にすくひ、
161
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
両眼
(
りやうがん
)
を
念入
(
ねんい
)
りに
洗滌
(
せんでき
)
した。
162
玉国別
(
たまくにわけ
)
『アヽ
有難
(
ありがた
)
い、
163
これでスツカリ
目
(
め
)
の
痛
(
いた
)
みが
止
(
と
)
まつたやうだ』
164
伊太公
(
いたこう
)
『
先生
(
せんせい
)
、
165
痛
(
いた
)
みが
止
(
と
)
まりましたか、
166
それは
何
(
なに
)
より
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
167
併
(
しか
)
し
明
(
あか
)
りは
見
(
み
)
えますかな』
168
玉国別
(
たまくにわけ
)
『イヤ
痛
(
いた
)
みは
余程
(
よほど
)
軽減
(
けいげん
)
したやうだが、
169
チツとも
見
(
み
)
えないワ』
170
道公
(
みちこう
)
『エヽ
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
います、
171
お
目
(
め
)
が
見
(
み
)
えませぬか、
172
コリヤ
大変
(
たいへん
)
だ。
173
大西洋
(
たいせいやう
)
の
真中
(
まんなか
)
で
蒸気船
(
じやうきせん
)
の
機関
(
きくわん
)
が
破裂
(
はれつ
)
したよなものだ、
174
これから
俺達
(
おれたち
)
は
如何
(
どう
)
したら
良
(
よ
)
からうかなア』
175
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
心配
(
しんぱい
)
してくれな。
176
物
(
もの
)
の
あいろ
は
分
(
わか
)
らぬが、
177
ボンヤリとそこら
中
(
ぢう
)
が
明
(
あか
)
く
見
(
み
)
えるやうだ。
178
何
(
いづ
)
れ
熱
(
ねつ
)
が
下
(
さが
)
つたら、
179
元
(
もと
)
の
通
(
とほ
)
りになるだらう。
180
これといふのも
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
安全
(
あんぜん
)
を
第一
(
だいいち
)
として
烈風
(
れつぷう
)
に
恐
(
おそ
)
れ、
181
肝腎
(
かんじん
)
の
神様
(
かみさま
)
に
祈願
(
きぐわん
)
することや
言霊
(
ことたま
)
を
以
(
もつ
)
て
風神
(
かぜのかみ
)
を
駆逐
(
くちく
)
することを
忘
(
わす
)
れてゐた
其
(
その
)
罪
(
つみ
)
が
報
(
むく
)
うて
来
(
き
)
たのだ。
182
実
(
じつ
)
によい
教訓
(
けうくん
)
を
受
(
う
)
けたものだ。
183
せめて
北光神
(
きたてるのかみ
)
様
(
さま
)
のやうに
一眼
(
いちがん
)
なりと
開
(
ひら
)
かして
下
(
くだ
)
されば、
184
結構
(
けつこう
)
だがなア』
185
道公
(
みちこう
)
はつくづくと
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
両眼
(
りやうがん
)
を
打
(
う
)
ち
眺
(
なが
)
め、
186
『ヨウこれは
思
(
おも
)
つたよりも
大疵
(
おほきず
)
だ。
187
モシ
先生
(
せんせい
)
、
188
右
(
みぎ
)
の
目
(
め
)
はサツパリ
潰
(
つぶ
)
れて
了
(
しま
)
つてゐますよ。
189
まだも
見込
(
みこみ
)
のあるのは
左
(
ひだり
)
の
目
(
め
)
ですよ』
190
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
左
(
ひだり
)
の
目
(
め
)
は
日
(
ひ
)
の
大神様
(
おほかみさま
)
、
191
右
(
みぎ
)
の
目
(
め
)
は
月
(
つき
)
の
大神様
(
おほかみさま
)
だ。
192
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
へ
魔神
(
まがみ
)
の
征服
(
せいふく
)
に
出陣
(
しゆつぢん
)
の
途中
(
とちう
)
、
193
月
(
つき
)
の
大神
(
おほかみ
)
に
配
(
はい
)
すべき
右
(
みぎ
)
の
目
(
め
)
を
猿
(
さる
)
に
取
(
と
)
られたのは、
194
全
(
まつた
)
く
神罰
(
しんばつ
)
に
違
(
ちがひ
)
ない。
195
まさしく
坤
(
ひつじさる
)
の
大神様
(
おほかみさま
)
が、
196
吾
(
わが
)
目
(
め
)
をお
取上
(
とりあ
)
げになつたのだらう、
197
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
198
道公
(
みちこう
)
『オイ
伊太公
(
いたこう
)
、
199
純公
(
すみこう
)
、
200
コリヤ
斯
(
か
)
うしては
居
(
を
)
られまい、
201
これから
三人
(
さんにん
)
は
谷底
(
たにそこ
)
へ
下
(
くだ
)
つて
一生懸命
(
いつしやうけんめい
)
に
水垢離
(
みづごり
)
を
取
(
と
)
り、
202
先生
(
せんせい
)
の
目
(
め
)
の
祈願
(
きぐわん
)
をさして
頂
(
いただ
)
かうぢやないか』
203
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しも、
204
下
(
した
)
の
谷道
(
たにみち
)
を
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひつつ
東北
(
とうほく
)
指
(
さ
)
して
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く
一隊
(
いつたい
)
があつた。
205
これはケーリス、
206
タークス、
207
ポーロの
一行
(
いつかう
)
が
照国別
(
てるくにわけ
)
の
信書
(
しんしよ
)
を
携
(
たづさ
)
へ、
208
斎苑館
(
いそやかた
)
に
修行
(
しうぎやう
)
に
向
(
むか
)
ふのであつた。
209
道公
(
みちこう
)
『ヤアあの
声
(
こゑ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
ぢやないか。
210
モシ
先生
(
せんせい
)
、
211
キツとあれは
吾々
(
われわれ
)
の
味方
(
みかた
)
に
違
(
ちがひ
)
ありませぬ。
212
一
(
ひと
)
つ
後
(
あと
)
追
(
お
)
つかけて、
213
貴方
(
あなた
)
の
眼病
(
がんびやう
)
を
鎮魂
(
ちんこん
)
して
貰
(
もら
)
ひませうか』
214
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
苟
(
いやし
)
くも
宣伝使
(
せんでんし
)
の
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て、
215
山猿
(
やまざる
)
に
眼
(
め
)
を
掻
(
か
)
きむしられ、
216
どうしてそんな
事
(
こと
)
が、
217
恥
(
はづか
)
しうて
頼
(
たの
)
めるものか。
218
何事
(
なにごと
)
も
神様
(
かみさま
)
にお
任
(
まか
)
せするより
道
(
みち
)
はないのだから、
219
御親切
(
ごしんせつ
)
は
有難
(
ありがた
)
いが、
220
それ
丈
(
だけ
)
はどうぞ
止
(
や
)
めてくれ』
221
道公
(
みちこう
)
『それだと
申
(
まを
)
して、
222
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
223
そんな
事
(
こと
)
が
言
(
い
)
うてゐられますか。
224
今
(
いま
)
となつては
恥
(
はぢ
)
も
外聞
(
ぐわいぶん
)
もいつたものぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ。
225
何程
(
なにほど
)
神徳
(
しんとく
)
高
(
たか
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
でも、
226
怪我
(
けが
)
は
廻
(
まは
)
りものですからそれが
恥
(
はぢ
)
になると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
はありますまい。
227
オイ
伊太公
(
いたこう
)
、
228
純公
(
すみこう
)
、
229
何
(
なに
)
をグヅグヅしてるのだ。
230
千危一機
(
せんきいつき
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
に
泣
(
な
)
く
奴
(
やつ
)
があるかい。
231
早
(
はや
)
く
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
頼
(
たの
)
んで
来
(
こ
)
ぬか』
232
伊太公
(
いたこう
)
『それもさうだ。
233
オイ
純公
(
すみこう
)
、
234
お
前
(
まへ
)
も
御苦労
(
ごくらう
)
だが、
235
俺
(
おれ
)
に
従
(
つ
)
いて
来
(
き
)
てくれ』
236
純公
(
すみこう
)
『ヨーシ、
237
合点
(
がつてん
)
だ。
238
急
(
せ
)
かねばならぬ、
239
急
(
せ
)
いては
事
(
こと
)
を
仕損
(
しそん
)
ずる。
240
気
(
き
)
をおちつけて、
241
ゆるゆる
急
(
いそ
)
いで
行
(
ゆ
)
かう』
242
道公
(
みちこう
)
『
何卒
(
どうぞ
)
さうしてくれ。
243
サアサア
早
(
はや
)
う
早
(
はや
)
う、
244
手
(
て
)
を
合
(
あ
)
はして、
245
今日
(
けふ
)
は
俺
(
おれ
)
が
頼
(
たの
)
むから』
246
玉国別
(
たまくにわけ
)
『コリヤ
三人
(
さんにん
)
、
247
どうしても
俺
(
おれ
)
のいふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
かぬのか、
248
俺
(
おれ
)
に
恥
(
はぢ
)
をかかす
積
(
つも
)
りか』
249
道公
(
みちこう
)
は
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
き
乍
(
なが
)
ら、
250
道公
(
みちこう
)
『ダツて
貴方
(
あなた
)
、
251
これが
如何
(
どう
)
して
安閑
(
あんかん
)
として
居
(
を
)
られませうか』
252
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
神様
(
かみさま
)
の
教
(
をしへ
)
に、
253
人
(
ひと
)
を
杖
(
つゑ
)
につくな、
254
身内
(
みうち
)
を
力
(
ちから
)
にするな……といふ
事
(
こと
)
がある。
255
俺
(
わし
)
の
目
(
め
)
は
俺
(
わし
)
が
神様
(
かみさま
)
に
祈
(
いの
)
つて
何
(
なん
)
とかして
貰
(
もら
)
ふから、
256
どうぞそれ
丈
(
だけ
)
はやめてくれ、
257
頼
(
たの
)
みだから』
258
道公
(
みちこう
)
『オイ
伊太
(
いた
)
、
259
純
(
すみ
)
、
260
どうも
仕方
(
しかた
)
がないぢやないか』
261
伊太公
(
いたこう
)
『
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
先生
(
せんせい
)
だもの、
262
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
三人
(
さんにん
)
が
神様
(
かみさま
)
に
祈
(
いの
)
つて
直
(
なほ
)
して
貰
(
もら
)
へばいいのだ。
263
外
(
ほか
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
先生
(
せんせい
)
の
恥
(
はぢ
)
を
曝
(
さら
)
すのも
済
(
す
)
まないからなア』
264
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
天
(
てん
)
に
向
(
むか
)
つて
合掌
(
がつしやう
)
し、
265
天津祝詞
(
あまつのりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
266
……
国治立大神
(
くにはるたちのおほかみ
)
の
神名
(
しんめい
)
を
称
(
とな
)
へて、
267
罪
(
つみ
)
を
謝
(
しや
)
した。
268
其
(
その
)
詞
(
ことば
)
、
269
『
高天原
(
たかあまはら
)
の
主宰
(
しゆさい
)
にして、
270
一霊四魂
(
いちれいしこん
)
三元八力
(
さんげんはちりき
)
の
大元霊
(
だいげんれい
)
にまします
大国治立大神
(
おほくにはるたちのおほかみ
)
様
(
さま
)
、
271
私
(
わたし
)
は
貴神
(
あなた
)
の
尊
(
たふと
)
き
霊力体
(
れいりよくたい
)
を
賦与
(
ふよ
)
せられ、
272
此
(
この
)
地上
(
ちじやう
)
に
生
(
うま
)
れ
来
(
き
)
て、
273
幼少
(
えうせう
)
の
頃
(
ころ
)
よりいろいろ
雑多
(
ざつた
)
の
善
(
よ
)
からぬ
事
(
こと
)
のみ
致
(
いた
)
しまして、
274
世
(
よ
)
を
汚
(
けが
)
し、
275
道
(
みち
)
を
損
(
そこな
)
ひ、
276
人
(
ひと
)
を
苦
(
くるし
)
め、
277
親
(
おや
)
を
泣
(
な
)
かせ、
278
他人
(
たにん
)
に
迷惑
(
めいわく
)
をかけ、
279
しまひの
果
(
はて
)
にはウラル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
となり、
280
日
(
ひ
)
の
出別神
(
でわけのかみ
)
様
(
さま
)
に
救
(
すく
)
はれて
一人前
(
いちにんまへ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
として
頂
(
いただ
)
きました。
281
かかる
罪
(
つみ
)
深
(
ふか
)
き
吾々
(
われわれ
)
をも
捨
(
す
)
て
玉
(
たま
)
はず、
282
きため
玉
(
たま
)
はず、
283
広
(
ひろ
)
き
厚
(
あつ
)
き
大御心
(
おほみこころ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
詔直
(
のりなほ
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
284
尊
(
たふと
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
にお
使
(
つか
)
ひ
下
(
くだ
)
さいました
事
(
こと
)
は、
285
罪
(
つみ
)
深
(
ふか
)
き
吾々
(
われわれ
)
に
取
(
と
)
つては、
286
無上
(
むじやう
)
の
光栄
(
くわうえい
)
で
厶
(
ござ
)
います。
287
かかる
広大無辺
(
くわうだいむへん
)
なる
御恩寵
(
ごおんちやう
)
に
浴
(
よく
)
し
乍
(
なが
)
ら、
288
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずの
間
(
あひだ
)
に
慢心
(
まんしん
)
を
致
(
いた
)
し
天下
(
てんか
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
気分
(
きぶん
)
になつて、
289
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
盲
(
めくら
)
聾
(
つんぼ
)
唖
(
おし
)
躄
(
あしなへ
)
などを
癒
(
い
)
やし
助
(
たす
)
けむと、
290
勇
(
いさ
)
み
進
(
すす
)
んで
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りました
事
(
こと
)
を、
291
誠
(
まこと
)
に
恥
(
はづ
)
かしく
存
(
ぞん
)
じます。
292
今日
(
けふ
)
只今
(
ただいま
)
山猿
(
やまざる
)
の
手
(
て
)
を
借
(
か
)
つて、
293
吾々
(
われわれ
)
の
両眼
(
りやうがん
)
を
刔出
(
けつしゆつ
)
し、
294
汚
(
けが
)
れたる
心
(
こころ
)
を
清
(
きよ
)
め、
295
曇
(
くも
)
りたる
心
(
こころ
)
の
眼
(
まなこ
)
を
開
(
ひら
)
かせ、
296
身霊
(
みたま
)
を
明
(
あか
)
きに
救
(
すく
)
ひ
玉
(
たま
)
ひし
其
(
その
)
御恩徳
(
ごおんとく
)
を
有難
(
ありがた
)
く
感謝
(
かんしや
)
致
(
いた
)
します。
297
人間
(
にんげん
)
の
体
(
からだ
)
は
神様
(
かみさま
)
の
生宮
(
いきみや
)
とある
以上
(
いじやう
)
は
何処迄
(
どこまで
)
も
大切
(
たいせつ
)
に
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
を
守
(
まも
)
らねばならないので
厶
(
ござ
)
いますが、
298
自分
(
じぶん
)
の
心
(
こころ
)
の
愚昧
(
ぐまい
)
より
大切
(
たいせつ
)
なる
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
を
損
(
そこな
)
ひ
破
(
やぶ
)
り、
299
吾々
(
われわれ
)
の
霊肉
(
れいにく
)
を
与
(
あた
)
へ
下
(
くだ
)
さいました
貴神
(
あなた
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
してお
詫
(
わび
)
の
申上
(
まをしあ
)
げやうも
厶
(
ござ
)
いませぬ。
300
誠
(
まこと
)
にすまない
無調法
(
ぶてうはふ
)
を
致
(
いた
)
しました。
301
仮令
(
たとへ
)
玉国別
(
たまくにわけ
)
両眼
(
りやうがん
)
の
明
(
めい
)
を
失
(
しつ
)
する
共
(
とも
)
、
302
せめては
心
(
こころ
)
の
眼
(
まなこ
)
を
照
(
て
)
らさせ
下
(
くだ
)
さいますれば
神素盞嗚大神
(
かむすさのをのおほかみ
)
様
(
さま
)
より
依
(
よ
)
さし
玉
(
たま
)
ひし
吾
(
わが
)
使命
(
しめい
)
を
飽迄
(
あくまで
)
も
果
(
は
)
たし、
303
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
復命
(
ふくめい
)
をさして
頂
(
いただ
)
く
考
(
かんが
)
へで
厶
(
ござ
)
います。
304
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
御無理
(
ごむり
)
な
願
(
ねがひ
)
は
決
(
けつ
)
して
致
(
いた
)
しませぬ。
305
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
惟神
(
かむながら
)
の
御摂理
(
ごせつり
)
に
依
(
よ
)
りて、
306
御心
(
みこころ
)
の
儘
(
まま
)
にお
取成
(
とりな
)
し
下
(
くだ
)
さいます
様
(
やう
)
に
謹
(
つつし
)
んで
御願
(
おねがひ
)
を
申上
(
まをしあ
)
げます』
307
と
願
(
ねが
)
ひ
終
(
をは
)
り、
308
両眼
(
りやうがん
)
より
雨
(
あめ
)
の
如
(
ごと
)
く
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
してゐる。
309
三人
(
さんにん
)
も
此
(
この
)
有様
(
ありさま
)
を
見
(
み
)
て、
310
思
(
おも
)
はず
落涙
(
らくるい
)
にむせび、
311
大地
(
だいち
)
にかぶり
付
(
つ
)
いて
感謝
(
かんしや
)
の
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らしてゐる。
312
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
尚
(
なほ
)
も
一生懸命
(
いつしやうけんめい
)
に、
313
天地
(
てんち
)
の
大神
(
おほかみ
)
に
対
(
たい
)
し、
314
懺悔
(
ざんげ
)
の
告白
(
こくはく
)
をなしつつあつた。
315
不思議
(
ふしぎ
)
や
左
(
ひだり
)
の
目
(
め
)
は
俄
(
にはか
)
に
明
(
あかる
)
くなり、
316
四辺
(
あたり
)
の
状況
(
じやうきやう
)
は
手
(
て
)
に
取
(
と
)
る
如
(
ごと
)
く
見
(
み
)
えて
来
(
き
)
た。
317
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
び
乍
(
なが
)
ら、
318
又
(
また
)
もや
拍手
(
はくしゆ
)
再拝
(
さいはい
)
して
神恩
(
しんおん
)
を
感謝
(
かんしや
)
する。
319
玉国別
(
たまくにわけ
)
『イヤ
道公
(
みちこう
)
、
320
伊太公
(
いたこう
)
、
321
純公
(
すみこう
)
、
322
喜
(
よろこ
)
んでくれ。
323
どうやら
片眼
(
かため
)
が
見
(
み
)
え
出
(
だ
)
したやうだ。
324
神様
(
かみさま
)
は
罪
(
つみ
)
深
(
ふか
)
き
玉国別
(
たまくにわけ
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さつた。
325
あゝ
有難
(
ありがた
)
し
有難
(
ありがた
)
し』
326
と
又
(
また
)
もや
合掌
(
がつしやう
)
。
327
三人
(
さんにん
)
は
此
(
この
)
言葉
(
ことば
)
に
驚喜
(
きやうき
)
し、
328
『あゝ
有難
(
ありがた
)
し
勿体
(
もつたい
)
なし』
329
と
一斉
(
いつせい
)
に
合掌
(
がつしやう
)
し、
330
勢
(
いきほひ
)
込
(
こ
)
んで
再
(
ふたた
)
び
天津祝詞
(
あまつのりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
始
(
はじ
)
めた。
331
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
332
(
大正一一・一一・二六
旧一〇・八
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 失明
(B)
(N)
感謝歌 >>>
霊界物語
>
第43巻
> 第1篇 狂風怪猿 > 第4章 玉眼開
Tweet
王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
霊界物語ネットに掲載するテキストの作成や校正を手伝っていただける方を募集しています!
まだまだ王仁三郎文献はたくさんありますので、手伝っていただけると嬉しいです。
メールでご連絡ください。
oni_do@ybb.ne.jp
オニド関連サイト
最新更新情報
12/17
【
霊界物語音読
】
第11~13巻をユーチューブにアップしました。再生リストは
まとめサイト
にまとめてあります。
9/8
【
飯塚弘明.com
】
ブログ更新。「三鏡解説」を011まで載せました。
目次はこちら
。
9/1
【
飯塚弘明.com
】
「霊界物語スーパーメールマガジン」に昨年から連載している三鏡の解説を、加筆訂正してブログに順次掲載して行きます。「
三鏡解説 目次
」
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。
oni_do@ybb.ne.jp
(飯塚弘明)
【04 玉眼開|第43巻(午の巻)|霊界物語/rm4304】
合言葉「おに」を入力して下さい→