霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一五章 温愛(をんあい)〔一一六六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻 篇:第4篇 愛縁義情 よみ(新仮名遣い):あいえんぎじょう
章:第15章 温愛 よみ(新仮名遣い):おんあい 通し章番号:1166
口述日:1922(大正11)年11月28日(旧10月10日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年7月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-01-11 12:06:38 OBC :rm4315
愛善世界社版:239頁 八幡書店版:第8輯 115頁 修補版: 校定版:248頁 普及版:104頁 初版: ページ備考:
001 治国別(はるくにわけ)儼然(げんぜん)としてマツ(こう)(むか)ひ、
002治国別何処(いづこ)何人(なにびと)(おとうと)()らぬが、003まづまづ無事(ぶじ)目出(めで)たいなア。004随分(ずゐぶん)苦労(くらう)をしたと()えて(とし)()りには(やつ)れて()るぢやないか』
005 マツ(こう)()びつくやうにして(ひざ)をにじり()せ、
006マツ公貴方(あなた)(わたし)(にい)(さま)007亀彦(かめひこ)さまで(ござ)いませう。008ようマア無事(ぶじ)()(くだ)さいました。009(うれ)しう(ござ)います』
010(はや)くも(なみだ)をハラハラと()らして()る。
011治国別(はるくにわけ)『ヨウ、012これは近頃(ちかごろ)迷惑(めいわく)013この治国別(はるくにわけ)其方(そなた)のやうな(おとうと)()つた(おぼ)えがない。014(なに)かの間違(まちが)ひではあるまいか』
015マツ(こう)『それはあまり胴欲(どうよく)のお言葉(ことば)016よく(この)(かほ)御覧(ごらん)(くだ)さいませ』
017治国別(はるくにわけ)『ちつとも(おぼ)えがない』
018タツ(こう)『モシ亀彦(かめひこ)(さま)019(いや)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(さま)020(わたくし)はマツ(こう)女房(にようばう)(おとうと)021タツと(まを)します。022(たて)から()ても(よこ)から()ても瓜二(うりふた)つ、023()兄弟(きやうだい)間違(まちが)ひはありますまい。024そんなにじらさずに(はや)名乗(なの)つて(くだ)さいませ。025義兄(ぎけい)()()んで()ますから』
026治国別(はるくにわけ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)玉国別(たまくにわけ)(とも)(とりこ)にし(あま)つさへ(おそれおほ)くも斎苑(いそ)(やかた)大神(おほかみ)(さま)()(ほろ)ぼさむと(いた)す、027バラモン(けう)悪神(あくがみ)手先(てさき)となるやうな(おとうと)()つた(おぼ)えがない……かく(まを)治国別(はるくにわけ)胸中(きようちう)千万(せんまん)無量(むりやう)028推量(すゐりやう)(いた)せよ。029バラモン(けう)神司(かむづかさ)030(いや)軍人(いくさびと)
031マツ(こう)『イヤ、032(にい)(さま)ではない治国別(はるくにわけの)(みこと)(さま)033軽率(けいそつ)兄弟(きやうだい)(よば)はりを(いた)しまして、034(まこと)()無礼(ぶれい)(ござ)いました。035何卒(どうぞ)(とが)めなくお見直(みなほ)()(なほ)しを(ねが)()げます』
036玉国別(たまくにわけ)『イヤ治国別(はるくにわけ)さま、037(けつ)して()遠慮(ゑんりよ)には(およ)びませぬ。038折角(せつかく)()対面(たいめん)……』
039()はむとするを、040治国別(はるくにわけ)玉国別(たまくにわけ)口元(くちもと)(おさ)へるやうな()つきして、
041治国別貴方(あなた)()親切(しんせつ)有難(ありがた)(ござ)いますが、042(これ)如何(どう)して名乗(なの)られませうか。043(けつ)して治国別(はるくにわけ)兄弟(きやうだい)()ちませぬ。044マツ(こう)とやら大神(おほかみ)(さま)(おん)(まへ)三五(あななひ)(まこと)(あらは)()はないか』
045マツ(こう)『ハイ(しか)らば(これ)より(わたし)真心(まごころ)御覧(ごらん)()れます。046(その)(うへ)にて兄弟(きやうだい)名乗(なの)りをお(ねが)(まを)します』
047(また)もや()(くづ)るる可憐(しほ)らしさ。048治国別(はるくにわけ)()繁叩(しばたた)き、049(かな)しさを(こら)黙然(もくねん)として()る。
050タツ(こう)『サア兄貴(あにき)()かう、051到底(たうてい)(まこと)(あら)はさねば何程(なにほど)(じつ)(にい)(さま)だつて名乗(なの)つて(くだ)さる(はず)がない』
052涙声(なみだごゑ)(しぼ)りながら()(あが)る。053マツ(こう)()(あが)り、
054マツ公宣伝使(せんでんし)(その)()のお方々(かたがた)055暫時(しばらく)(わか)(いた)します。056明日(みやうにち)はきつと此処(ここ)でお()(かか)りませう。057(この)山口(やまぐち)にはランチ将軍(しやうぐん)058片彦(かたひこ)059久米彦(くめひこ)(はじ)鬼春別(おにはるわけ)大将(たいしやう)勢揃(せいぞろひ)をして()りますれば、060随分(ずゐぶん)()用心(ようじん)なさいませ。061(いま)此処(ここ)をお()ちなされては、062如何(いか)神力(しんりき)無双(むさう)宣伝使(せんでんし)なればとて、063剣呑(けんのん)(ござ)います。064左様(さやう)ならば』
065()(わか)れ、066両人(りやうにん)急坂(きふはん)(みなみ)(くだ)()く。067(あと)見送(みおく)つて治国別(はるくにわけ)(なみだ)押隠(おしかく)し、
068治国別()がれたる(ひと)相見(あひみ)今日(けふ)()
069(むかし)にましていとも(くる)しき。
070(はし)()(ひと)姿(すがた)(なが)むれば
071()らず()らずに(なみだ)ぐまるる。
072(あやまち)(あらた)(なほ)大神(おほかみ)
073(みち)にかへれよ二人(ふたり)()(ひと)
074(あき)()(さび)しさ(われ)(せま)りけり
075(おも)はぬ(ひと)()るにつけても。
076(なつか)しき(こひ)しき(ひと)曲津見(まがつみ)
077(しこ)(つかさ)となり(さが)りける。
078(われ)とても(こころ)(おに)にあらねども
079(かみ)大道(おほぢ)(はづ)すよしなし。
080(わが)身魂(みたま)如何(いか)なる(つみ)(つく)りしか
081(さび)しさ()()(あき)山路(やまみち)
082不意(ゆくり)なくめぐり()ひたる愛人(うづひと)
083(かみ)(あだ)とぞ()きし(かな)しさ』
084玉国別(たまくにわけ)治国別(はるくにわけ)(かみ)御心(みこころ)(おも)ひやり
085(われ)(おも)はず(なみだ)おとしぬ。
086やがて(また)(はな)()(はる)(きた)るらむ
087冬籠(ふゆごも)りして()(ひと)()は。
088(しも)()(ゆき)をかぶりて()(はな)
089(かをり)めでたき(には)白梅(しらうめ)
090治国別(はるくにわけ)有難(ありがた)玉国別(たまくにわけ)(こと)()
091三月(やよひ)木々(きぎ)心地(ここち)なしぬる。
092(われ)(いま)(かな)しきヂレンマにかかりけり
093(まこと)(あい)(かせ)()められ』
094道公(みちこう)惟神(かむながら)(かみ)(こころ)(まか)しませ
095やがて()れゆく(あき)大空(おほぞら)
096万公(まんこう)(おや)となり()となり(また)兄弟(きやうだい)
097(うま)るも(かみ)仕組(しぐみ)なるらむ。
098さりながら生者(しやうじや)必滅(ひつめつ)会者(ゑしや)定離(ぢやうり)
099浮世(うきよ)(さま)如何(いか)にとやせむ』
100晴公(はるこう)()(きみ)(ふか)(こころ)(おも)ひやり
101(はる)(こころ)(くも)りけるかな』
102五三公(いそこう)()(きみ)(こころ)(やす)けく思召(おぼしめ)
103(たよ)りまつ()(はな)(ひら)かむ。
104清春(きよはる)(やま)(ひそ)みし伊太公(いたこう)
105(ともな)(かへ)るマツ タツ二人(ふたり)
106マツ タツの二人(ふたり)(とも)はやがて此処(ここ)
107(ゑみ)(たた)へて(かへ)()るらむ』
108玉国別(たまくにわけ)最前(さいぜん)マツ(こう)(はなし)()けば、109(この)山道(やまみち)には鬼春別(おにはるわけ)軍勢(ぐんぜい)数多(あまた)()()()様子(やうす)110吾々(われわれ)(べつ)(いそ)必要(ひつえう)も、111かうなつてはありますまい。112(しばら)敵軍(てきぐん)(この)山道(やまみち)通過(つうくわ)する(まで)()(こと)(いた)しませうか』
113治国別(はるくにわけ)『それも(ひと)つの神策(しんさく)でせう。114仮令(たとへ)幾万(いくまん)敵軍(てきぐん)ありとも(かみ)(まか)せた吾々(われわれ)115(すこ)しも(おどろ)きは(いた)しませぬが、116(てき)四方(しはう)()()らした(ところ)が、117(めし)(うへ)(はへ)()ふやうなもの、118(ふたた)斎苑(いそ)(やかた)()(きた)るは必然(ひつぜん)でせう。119どうしても(こころ)(そこ)より帰順(きじゆん)さすか、120(ただし)(この)難所(なんしよ)(やく)して(その)進路(しんろ)(さへぎ)(とめ)るより(ほか)121名案(めいあん)もありますまい』
122玉国別(たまくにわけ)(わたくし)(ほこら)(まへ)(しばら)眼痛(がんつう)軽減(けいげん)する(まで)(いの)りませう。123何卒(どうぞ)貴方(あなた)はもとの場所(ばしよ)へお(いで)なさつて英気(えいき)(やしな)捲土(けんど)重来(じうらい)(てき)(そな)へて(くだ)さいませ』
124治国別(はるくにわけ)左様(さやう)ならば(しばら)御免(ごめん)(かうむ)りませう。125サアサア万公(まんこう)126晴公(はるこう)127()かう』
128(さき)()つ。129(あと)には玉国別(たまくにわけ)130道公(みちこう)両人(りやうにん)(のこ)つて()る。131五三公(いそこう)132純公(すみこう)治国別(はるくにわけ)(したが)つて森蔭(もりかげ)()(ぼつ)した。133晩秋(ばんしう)(かぜ)(また)もや(はげ)しく()いて()た。134(なかば)(こは)れし(ほこら)はギクギクと(あや)しき(こゑ)()て、135()()した。136木々(きぎ)(こずゑ)はヒウヒウと(ふえ)()く。137バラバラバラと枯葉(かれは)()ちる。138(つめ)たき(あめ)さへ(まじ)つて、139無雑作(むざふさ)()(わる)玉国別(たまくにわけ)(あたま)()(たた)く。140二人(ふたり)手早(てばや)(みの)(かぶ)り、141(かさ)(しつか)(むす)びつけ、142(ほこら)(うしろ)(あめ)(かぜ)とを(から)うじて()ける(こと)()た。
143 ()(やうや)西山(せいざん)(かたむ)いて、144(ねぐら)(さだ)むる(とり)(こゑ)彼方(かなた)此方(こなた)谷間(たにま)より(かまびす)しく(きこ)(きた)る。145薄衣(うすぎぬ)(はだ)()やす(かぜ)146時々(ときどき)()(きた)村時雨(むらしぐれ)147()()れると(とも)寂寥(せきれう)益々(ますます)()(せま)(きた)る。148道公(みちこう)玉国別(たまくにわけ)身体(からだ)(うしろ)よりグツと()いて(からだ)(だん)(たも)つべく、149(わが)()(さむ)さを(わす)れて(いたは)つて()る。150発作(ほつさ)(てき)()てくる(あたま)(いた)み、151間歇(かんけつ)(てき)()()()(いた)み、152()()はれぬ(くる)しみである。153玉国別(たまくにわけ)(ひそ)かに(かみ)(いの)り、154()()(つみ)謝罪(しやざい)して()た。155(この)(とき)(ゆふべ)谷間(たにま)(あつ)して宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(きこ)えて()た。
156(五十子姫)至仁(しじん)至愛(しあい)大神(おほかみ)
157大御心(おほみこころ)になりませる
158三五教(あななひけう)御教(みをしへ)
159豊葦原(とよあしはら)瑞穂国(みづほくに)
160くまなく(ひら)()らさむと
161(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
162神言(みこと)(かしこ)()でませる
163(わが)()(きみ)音彦(おとひこ)
164(いま)何処(いづこ)にましますか
165斎苑(いそ)(やかた)神殿(かむどの)
166(ぬかづ)きまつり(わが)(つま)
167(いさを)をたてさせ(たま)へよと
168(いの)(をり)しも摩訶(まか)不思議(ふしぎ)
169(わが)()にうつりし光景(くわうけい)
170河鹿(かじか)(たうげ)()(たか)
171懐谷(ふところだに)()れまして
172子猿(こざる)(むれ)十重(とへ)二十重(はたへ)
173()(かこ)まれし(その)揚句(あげく)
174(ふた)つの(まなこ)(うしな)ひて
175(くる)しみたまふ有様(ありさま)
176(うかが)ひまつりし(わが)(こころ)
177(なん)(たと)へむすべもなし
178(こころ)(さだ)(きも)()
179(かみ)御前(みまへ)(ぬか)づきて
180大神勅(だいしんちよく)(うかが)へば
181(すめ)大神(おほかみ)御言葉(みことば)
182斎苑(いそ)(やかた)五十子(いそこ)(ひめ)
183(をつと)(なん)(すく)ふべく
184今子(いまこ)(ひめ)(したが)へて
185片時(へんじ)(はや)()でませと
186()らせ(たま)ひし有難(ありがた)
187(てん)にも(のぼ)心地(ここち)して
188(こころ)いそいそ河鹿山(かじかやま)
189(わた)りて此処(ここ)まで(きた)りけり
190あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
191御霊(みたま)(さち)はひましまして
192(わが)()(きみ)遭難(さうなん)
193(すく)ひたまひて三五(あななひ)
194(かみ)()さしの神業(かむわざ)
195完全(うまら)委曲(つばら)()()げる
196御稜威(みいづ)(あた)(たま)へかし
197朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
198(つき)()つとも()くるとも
199仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
200(かみ)(つか)へし(わが)(つま)
201(ふた)つの(まなこ)()するとも
202如何(いか)でかひるみ(たま)はむや
203(とほ)山野(さんや)()(わた)
204(わが)()(きみ)(あと)()うて
205(その)神業(しんげふ)詳細(まつぶさ)
206(おぎな)ひまつり五十子(いそこ)(ひめ)
207今子(いまこ)(ひめ)諸共(もろとも)
208(この)神業(しんげふ)(はた)さねば
209仮令(たとへ)(ひやく)(ねん)かかるとも
210斎苑(いそ)(やかた)(かへ)らじと
211(ちか)ひまつりし(かな)しさよ
212あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
213(この)急坂(きふはん)()きつける
214(しこ)(あらし)一時(いつとき)
215(はや)(しづ)まり(ふゆ)()
216(はな)()(はる)(きた)るごと
217(わが)()(きみ)眼病(がんびやう)
218(ひら)かせたまへ惟神(かむながら)
219(かみ)御前(みまへ)()ぎまつる』
220 ()(うた)つて(くだ)(きた)るのは(うた)文句(もんく)(あら)はれた玉国別(たまくにわけ)(つま)五十子(いそこ)(ひめ)であつた。
221今子姫玉国別(たまくにわけ)妻神(つまがみ)
222(つか)へたまひし五十子(いそこ)(ひめ)
223(をつと)危難(きなん)(すく)はむと
224(かみ)御許(みゆる)()けたまひ
225孱弱(かよわ)(をんな)()をもつて
226荒風(あらかぜ)すさぶ荒野原(あらのはら)
227(やうや)()えて河鹿山(かじかやま)
228(さび)しき山野(やまの)()(わた)
229(また)もや()()烈風(れつぷう)
230(かみ)(くしけづ)(あめ)()
231()()(つまづ)(あし)(やぶ)
232種々(いろいろ)雑多(ざつた)艱苦(かんく)して
233(たづ)()ますぞ雄々(をを)しけれ
234今子(いまこ)(ひめ)(いま)此処(ここ)
235(わが)()(きみ)(あと)()
236(をんな)ながらも皇神(すめかみ)
237(みち)にさやれる曲津見(まがつみ)
238(いづ)言霊(ことたま)()()して
239言向(ことむ)(やは)(つき)(くに)
240四方(よも)にさやれる(おに)大蛇(をろち)
241醜神司(しこがみつかさ)(はら)はむと
242(いは)()()()()みさくみ
243(あし)にまかして(すす)()
244あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
245(われ)()一行(いつかう)()()ちを
246(あは)れみたまひ逸早(いちはや)
247(わが)()(きみ)(おん)(まへ)
248(すす)ませたまへ惟神(かむながら)
249(かみ)御前(みまへ)今子姫(いまこひめ)
250誠心(まごころ)(ささ)()ぎまつる
251獅子(しし)(おほかみ)(たけ)るとも
252如何(いか)木枯(こがらし)(つよ)くとも
253河鹿(かじか)(たうげ)(けは)しとも
254などか(おそ)れむ皇神(すめかみ)
255(めぐみ)()けし(この)(からだ)
256(いさ)(すす)んで何処(どこ)までも
257()かねばおかぬ(わが)(おも)
258()げさせたまへ天地(あめつち)
259御親(みおや)とまします大御神(おほみかみ)
260(かむ)素盞嗚(すさのをの)大御神(おほみかみ)
261()()(かみ)()(はな)
262(ひめ)(みこと)大前(おほまへ)
263頸根突(うなねつ)()()ぎまつる』
264(うた)つて(ほこら)(もり)(まへ)(むか)つて(くだ)()るのが今子姫(いまこひめ)であつた。265五十子(いそこ)(ひめ)266今子姫(いまこひめ)は、267玉国別(たまくにわけ)(この)(ほこら)(うしろ)雨風(あめかぜ)(しの)()るとは(ゆめ)にも()らず、
268五十子(いそこ)(ひめ)『アヽ今子(いまこ)さま、269やうやう(ほこら)(もり)(まで)(まゐ)りました。270(かげ)(かぜ)(しづ)まり(あめ)もやみましたから、271此処(ここ)()祈念(きねん)をして(しばら)(あし)をやすめる(こと)(いた)しませう。272かうスツポリと()()れては坂道(さかみち)剣呑(けんのん)(ござ)いますからなア』
273今子姫(いまこひめ)『ハイさう(いた)しませう。274(なん)だか(ゆか)しい(もり)(ござ)います。275(わたし)はどうしても(この)(もり)玉国別(たまくにわけ)さまが()られるやうな()がしてなりませぬわ』
276五十子(いそこ)(ひめ)貴女(あなた)もさう(おも)ひますか。277(わたし)(なん)となく、278なつかしい(もり)だと(おも)ひます。279サア此処(ここ)一服(いつぷく)(いた)しませう』
280 両人(りやうにん)拍手(はくしゆ)再拝(さいはい)281(なかば)(やぶ)れし(ほこら)(むか)つて祈願(きぐわん)()めて()る。
282 (この)(とき)玉国別(たまくにわけ)道公(みちこう)(いだ)かれ心地(ここち)よく(ねむり)について()たがフト()()まし、
283玉国別『ヤア道公(みちこう)284()苦労(くらう)だつた。285(われ)(かか)へて()つて()れたのだなア。286(かげ)(あたた)かく(ねむ)らして(もら)つた。287(あたま)(いた)みも(なほ)つた。288()(いた)みも(わす)れたやうな()がする。289アヽ()(がた)い、290(この)(うれ)しさは何時(いつ)までも(わす)れはせぬぞ』
291道公(みちこう)先生(せんせい)292そりや(なに)仰有(おつしや)います。293弟子(でし)(れい)()ふといふ(こと)がありますか。294(わたし)だつて貴方(あなた)(かか)へさして(いただ)いたお(かげ)で、295(まこと)(あたた)かく()らず()らず安眠(あんみん)(いた)しました。296これも先生(せんせい)()余光(よくわう)(ござ)います。297(れい)()はれては(こま)ります。298(わたし)(はう)からお(れい)申上(まをしあ)げねばなりませぬ』
299玉国別(たまくにわけ)惟神(かむながら)なれが(なさけ)のあつ(ごろも)
300(つめ)たき(かぜ)(しの)ぎけるかな』
301道公(みちこう)()(きみ)(おん)()(ぬく)()にうけて
302(よみが)へりけり(われ)(たましひ)
303玉国別(たまくにわけ)(たび)()(ひと)(なさけ)(さと)りけり
304(かみ)(みち)とに(つか)へゆく()は』
305道公(みちこう)(こは)れたる古宮(ふるみや)なれど(あたら)しき
306(めぐみ)(つゆ)(くだ)したまひぬ』
307玉国別(たまくにわけ)治国(はるくに)(わけ)(みこと)神司(かむつかさ)
308夜風(よかぜ)にさぞや(くる)しみたまはむ。
309(わが)宿(やど)(のこ)せし(つま)(さぞ)やさぞ
310(わが)()()()(たづ)()るらむ』
311 五十子(いそこ)(ひめ)312今子姫(いまこひめ)(さと)くも、313(ほこら)(うしろ)より(かす)かに()()(うた)()きて、314()(あが)るばかり()(よろこ)び「(わが)(つま)はここにましませしか」と(とどろ)(むね)をぢつと(おさ)へ、
315五十子(いそこ)(ひめ)(なつか)しき(わが)()(きみ)(こゑ)()きて
316()(わた)りけり(むね)月影(つきかげ)
317今子姫(いまこひめ)(なつか)しき(わが)()(きみ)皇神(すめかみ)
318(かげ)(つつ)まれ(やす)くいませる』
319 道公(みちこう)小声(こごゑ)になり、
320道公『モシ先生(せんせい)321あの(うた)をお()きになりましたか、322どうやら五十子(いそこ)(ひめ)(さま)のやうで御座(ござ)いますなア』
323玉国別(たまくにわけ)『ウン(たしか)五十子(いそこ)(ひめ)だ。324一人(ひとり)今子姫(いまこひめ)間違(まちが)ひなからう』
325道公(みちこう)『そんな(こと)仰有(おつしや)らずに、326(はや)くお()ひになつたらどうでせうか。327五十子(いそこ)(ひめ)(さま)遥々(はるばる)此処迄(ここまで)(あと)(した)つてお(いで)なさつたので(ござ)います』
328玉国別(たまくにわけ)『ウン、329()うてやり()いは山々(やまやま)だが、330(いま)()(こと)出来(でき)ぬ。331不愍(ふびん)ながら斎苑(いそ)(やかた)()(かへ)さねばなるまい』
332五十子(いそこ)(ひめ)『モシ其処(そこ)()られますのは、333(わが)(つま)玉国別(たまくにわけ)(さま)ぢや(ござ)いませぬか。334貴方(あなた)大変(たいへん)怪我(けが)をなされましたと、335(かみ)(さま)(うけたま)はり(こころ)(こころ)ならず、336今子(いまこ)さまとお(あと)(した)つて(まゐ)りました。337()容態(ようだい)如何(いかが)(ござ)いますか、338どうぞお()らせ(くだ)さいませ』
339玉国別(たまくにわけ)盲目(めしひ)たる(こころ)(まなこ)(ひら)けけり
340(みぎ)りの()をば(さる)にとられて』
341五十子(いそこ)(ひめ)(なさけ)なや(わが)()(きみ)(おん)(まなこ)
342(えぐ)()りたる(さる)(うら)めし』
343今子姫(いまこひめ)()(かく)(わが)()(おん)(きみ)()でませよ
344五十子(いそこ)(ひめ)(こころ)あはれみて』
345玉国別(たまくにわけ)(つま)(きみ)一目(ひとめ)()ひたく(ほり)すれど
346(かみ)使命(しめい)はおろそかならねば。
347玉国(たまくに)(わけ)(つかさ)妻神(つまがみ)
348(たす)けられしと(ひと)()はれむ。
349(はづ)かしき(わが)(まなこ)をば若草(わかぐさ)
350(つま)(みこと)如何(いか)でか()はさむ』
351道公(みちこう)『モシ先生(せんせい)352そんな几帳面(きちやうめん)(こと)仰有(おつしや)らいでも(よろ)しいぢやありませぬか。353奥様(おくさま)がお(いで)になつて()るのですから、354(たれ)(なん)(まを)しませう。355そこが夫婦(ふうふ)情愛(じやうあい)(ござ)いますから、356サア(ほこら)(まへ)(まで)(まゐ)りませう』
357玉国別(たまくにわけ)『そんなら()(かく)()()ようかなア』
358道公(みちこう)()()かれ、359(つゑ)(ちから)(ほこら)(まへ)()()つた。360五十子(いそこ)(ひめ)十七夜(じふしちや)(つき)(やうや)(やま)()(のぼ)つた(ひかり)(をつと)(かほ)()(なが)め、
361五十子(いそこ)(ひめ)『ヤア(おも)つたよりも(ひど)()(きづ)362マアどうしたら(よろ)しからうなア、363今子姫(いまこひめ)さま』
364今子姫(いまこひめ)『お()(どく)(こと)(ござ)います、365(なん)(まを)()げて(よろ)しいやら、366(こと)()()ませぬ。367(しか)()心配(しんぱい)なさいますな、368キツト(かみ)(さま)(なほ)して(くだ)さいませう』
369五十子(いそこ)(ひめ)『モシ(わが)夫様(つまさま)370(あま)(いた)みは(いた)しませぬか』
371玉国別(たまくにわけ)『ウン(ちつと)ばかり(いた)むやうだ』
372大正一一・一一・二八 旧一〇・一〇 加藤明子録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→