一、ここに謹しみて
皇祖天照大御神の御神勅を写し侍り、普く道の人々に伝へんとするなり。
宝勅
吾れ諸々の蒼生詐り計りて、例へば、善しと思ふとも、必ず、天の命の怒を享けて、根の国に赴かん、正しき心を持ちて、まさに悪しくとも、必ず天の神の恵みあらん。諸々の生人等、天に逆ふ時は道無く、地に逆えばその幸ひ無し。その事に離れて、根の国に入り落ちんぞ。重ねて心を天地に等しくして、思ひを風雲に載せて道に従ふの本とし、神を守るの要とせよ、万の管々しき事を払ひ棄てて、一つ心の定まれる規範を尋ねて、天の神の神言に叶ひて、神の心に叶へ。諸々の生人等、天地に従ひて、玉の緒を継ぎ、皇御祖を祭り、心の規矩を正しくし、その源の根を深うし、宗廟の神を敬ひて、四方の国を従へて、天の位の貴き事を視て、その業を天が下に弘むべし。
二、春日の神の御神託を、ここに謹しんで写し侍り、人々の為に伝へんとす。
例へば諸々の人常に清き宝を構へ、国土の珍物を供し、七重の注連縄を張り、数百日心を苦しめて我を祈るとも、その心邪に、慳貪ならん家にはいたるまじ。例へば重服の深き家にも、慈悲常にあらん。その室に招かずといふとも、必ず影向あるべし。我常に慈悲を神体とするが故なり。